日本発のエンターテイメントとして、世界でもアニメや漫画と並んで大きな人気を誇るゲーム。世代を超え、多様なユーザーに愛されるゲームは、産業としても大きなポテンシャルを秘めています。
一方で1本のゲームを開発するためには、膨大な時間と資金が必要です。今回は財団や国が設置する、ゲーム開発に使える支援策をまとめました。
ゲーム開発を次の段階へ進めるために必要な、資金調達のポイントを見ていきましょう。
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この記事の目次
インディーゲーム開発支援の重要性
近年、世界的な大ブームとなったマインクラフトをはじめ、インディーゲームが人気を集めています。個人の作成したゲームがネットなどを介してユーザーに広まり、メディアの枠を超えて発展していく流れは、もはや一般的な流通方法のひとつと言えそうです。
しかしインディーゲームの開発では、資金調達が大きな壁になります。また、プロモーションや技術面での課題から、アイディアが商品化されず、埋もれてしまうこともあるでしょう。
こうした問題には、公的な支援が欠かせません。補助金や助成金を活用した資金調達はもちろん、技術者の伴走サポートや、各企業とのつながりを促進する発表会への参加が、若手技術者を支えるのです。
開発者は創造的な活動に集中できる環境を整えるため、こうした支援の充実と適切な活用が、課題解決への第一歩となります。
インディーゲーム向け補助金制度 2選
インディーゲーム開発向けの支援制度には、日本ゲーム文化振興財団「ゲームクリエイター助成制度」や、デジタル等クリエイター人材創出事業(映像・ゲーム等人材創出支援事業)【創風】などがあります。
それぞれの概要や、支援内容をまとめました。
日本ゲーム文化振興財団「ゲームクリエイター助成制度」
「ゲームクリエイター助成制度」は、日本ゲーム文化振興財団が、若手ゲームクリエイターの創作活動を助成するために設置したものです。クリエイターの活動を奨励し、ゲーム文化の振興に寄与します。
対象は、コンピューターを使った広義のゲームです。対象事業への制限が少なく、使いやすい助成制度と言えるでしょう。
応募資格と対象事業
応募は、以下のすべてに該当する者が対象です。
- コンピュータゲームの創作活動を行う者であること
- 年齢35歳以下であること
- 国内における活動であること
- 活動状況および成果について適正に報告できること
国内で活動する、若手が対象となります。なお、グループの場合は、代表者の年齢で判断されます。
対象事業
対象となるゲームには、以下のものが挙げられます。
- ロールプレイングゲーム
- シューティングゲーム
- アクションゲーム
- アドベンチャーゲーム
- シミュレーションゲーム
- パズルゲーム など
原則として、プラットフォームの制限はありません。アーケードゲームやコンシューマーゲーム、パソコンゲーム、モバイルゲームなど幅広い意味でのゲームが対象です。また、ジャンルの指定もありません。
対象経費と補助額
助成の対象となる経費は、活動に必要な費用のうち、諸給与・事務所維持費・生活費等の経費は除いたものです。ただし、活動のために臨時に雇い入れた者に対する謝礼金についてはこの限りではありません。
【補助額】
補助金額は、1件あたり200万円までです。
申請の流れ
申請は、Webでの応募のみ受け付けています。応募書類を用意し、PDF等で提出してください。なお、プレゼン資料等が動画になる場合は、YouTube限定公開で設定の上URLを準備してください。
また、助成金の交付時期は毎年3月です。
【募集期間】
令和6 (2024)年 9月1日~12月31日
デジタル等クリエイター人材創出事業(映像・ゲーム等人材創出支援事業)【創風】
「創風」は、経済産業省の予算で設置された補助事業です。「ゲーム」「映像・映画」の2部門から成り、採択されたクリエイターに対して、作品作成から展開までをサポートします。
今年度は122件の応募があり、ゲーム部門で9件、映像・映画部門で10件の、計19件の個人・チームが選ばれました。
事業全体の流れは、以下の図も参照してください。
出典:公募要項
現時点では令和7年度分の予算要求はありませんが、昨年度同様、補正予算には組み込まれるかもしれません。令和7年度も実施される場合に備え、参考として、本年度の概要を見ていきましょう。
対象者
対象者の主な要件は、以下のとおりです。
対象者の主な要件 |
個人またはチームであること |
日本国籍または日本の永住資格を有すること |
中学校を卒業しており、35歳未満であること |
デジタル技術等を活用し、海外やビジネス展開等も見据えた映像・映画ゲーム等の高品質なデジタルコンテンツを制作する意欲を有すること |
また、クリエイター(ゲーム)の要件は以下のとおりです。
クリエイター(ゲーム)の主な要件 |
PC(STEAM)・家庭⽤ゲーム機・XR機器・スマートフォン向けに、単体の有償販売を予定していること |
パブリッシャーと契約を交わしていないこと(交渉中は可) |
資⾦調達を⾏っておらず、他社と資本関係がないこと |
参加希望者およびチーム⾃ら、応募作品の著作権および知財を単独で保有していること |
チームメンバーに、プロググラマーまたはゲーム開発ツールを使った主な制作を担う作業者が含まれていること |
要件を満たしていれば、会社員や未成年者も対象となります。
なお、アイテム課金制のゲームや特定のアプリ内で動作するゲームは対象外です。また、応募時にはデモなどの提出が必要です。
対象事業
対象となる事業は、コンテンツの一般公開を目的としているものに限られます。また、以下のものは対象外です。
- 政治的または宗教的な宣伝意図を有するもの
- 性的な内容や差別的な要素を有するもの
- 慈善事業への寄付を主な⽬的とするもの
既に国などの補助⾦・助成⾦等が⽀出されているものも対象外ですが、クラウドファンディングによる資⾦調達などはこの限りではありません。
対象経費
対象となる主な経費は、以下のとおりです。
- ⼈件費
- 借料および損料
- 旅費
- 委託・外注費
- 消耗品費
- 印刷製本費
支援内容・補助額
本事業では、「メンターの伴走」「活動費の支援」「つながり創出」の3つの支援が設定されています。作成から発表までを総合的に支援する仕組みです。
メンターの伴走 |
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メンターによる技術⾯・ストーリー⾯のサポート(伴⾛⽀援)を行います。クリエイター全員に向けた講義や、担当メンターによるアドバイス・相談等が受けられます。 |
活動費の支援 |
クリエイターがゲームを制作するために必要な経費を補助します。1申請あたり500万円を上限に、補助対象経費の全額補助(補助率10/10)が受けられます。 |
つながりの創出 |
コンテンツ関連企業や著名なプロデューサー・制作担当者など、ゲームの業界関係者が参加する中間成果発表会・最終成果発表会を開催します。ゲーム業界関係者への作品発表およびアピールの機会となります。 |
申請の流れ
申請は、以下の流れで行います。(今年度は既に受付終了)
①企画書をクラウドストレージ上に準備する
②Google Formsへの応募情報登録・必要書類のアップロードを行う。
申請はすべて、オンライン上で行います。
補助金を最大限に活用するためのポイント
補助金・助成金の交付は事業の実施後になるため、計画的な予算管理とスケジュールの調整が必要です。
また、採択には審査が行われます。ミスのない書類を作成することはもちろん、計画している事業について、わかりやすく説明する資料を用意することが重要です。過去に採択された事例も参考にして、審査員に熱意が伝わる資料を準備しましょう。
また、こうしたサポートには、事業期間の終了後にも持続的な支援が行われるものもあります。長期的なサポートを有効に活用するためにも、制度の内容は事前に詳しく確認しておきましょう。
まとめ
インディーゲーム開発では、資金調達のほか、技術面やプロモーションに関する支援も必要です。
ゲームクリエイター助成制度は35歳以下の若手開発者を対象に最大200万円を支援し、創風は技術面のメンター支援や業界関係者との接点創出まで含めた包括的なサポートを提供します。
これらの制度を活用することでゲーム開発の課題を克服し、開発者が独創的な開発に専念できる環境を整えていきましょう。