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令和4年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助金 第5次公募からの変更点

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事業承継・引継ぎ補助金とは、事業再編や事業統合などを含め「事業承継」を行う中小企業等を支援する制度です。事業承継の際に必要な経費の一部を補助してくれるため、大きな意思決定を行う中小企業の負担を減らして後押ししてくれます。

今回の記事では事業承継・引継ぎ補助金のポイントや第5次公募における主な変更点について解説します。いくつかの事業に分かれているため、自社で使えそうな部分については必ず公募要領をチェックしておきましょう。

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この記事の目次

事業承継・引継ぎ補助金とは

「事業承継・引継ぎ補助金」とは、事業承継(事業再編や事業統合を含む)を機会として経営革新等を実施する中小企業・小規模事業者に対して、事業継承に向けた取り組みに必要な経費の一部を補助する制度のことです。

また、事業再編や事業統合に伴う経営資源引き継ぎに必要な経費の一部も補助することで、事業承継や事業再編、事業統合を促進し、日本の経済の活性化を図ることを目的としています。

事業承継・引継ぎ補助金では、以下3つの事業が設定されています。

事業名 概要
経営革新事業 事業承継・事業再編・事業統合等を契機として、経営⾰新等に取り組む中⼩企業者等を⽀援する
専⾨家活⽤事業 事業再編・事業統合に伴う中⼩企業者等の、経営資源引き継ぎに必要な経費の⼀部を補助する
廃業・再チャレンジ事業 事業再編・事業統合に伴う中⼩企業者等の、再チャレンジに取り組むための廃業に係る経費の⼀部を補助する

上記3つの事業について、それぞれのポイントをチェックしていきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金 経営革新型のポイント

【⼀定の賃上げを実施した場合における補助上限額の800万円への引き上げ】
本補助事業における補助上限額は原則600万円です。しかし⼀定の賃上げを実施した場合、補助上限額が800万円に引き上げられます。補助額の内、「600万円までの部分は補助率2/3」「600万円を超え800万円以下の部分は補助率1/2以内」となります。

【⼀定条件を満たした場合における補助率の引き上げ】
①⼩規模企業者
②営業利益率が低下
③営業利益または経常利益が⾚字
④中⼩企業活性化協議会等からの⽀援を受けている
上記のいずれかに該当する場合、「補助率は2/3以内」に引き上げられます。

【同⼀法⼈内における代表者交代の場合、未来の承継も補助対象となる】
事業承継前の取り組みを補助⾦の対象とすることで、後継者の早期成⻑を後押しし、事業承継の早期化・円滑化につながると考えられることから、⼀部要件の緩和を⾏いました。「未来の承継」として、後継者候補を主体に事業承継前における経営⾰新的な取り組みに必要な費⽤を⽀援します。

*未来の承継とは?
・同⼀法⼈内の代表者交代による事業承継である
・将来経営者となることが⼗分⾒込まれる後継者が選定できている
・後継者候補が該当法⼈に在籍している
・補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度までに事業承継を完了する予定である
など、いくつかの要件を満たす場合に、事業承継対象期間以降の事業承継においても補助事業の対象となります。

【審査の加点項⽬が追加される】
いずれも交付申請時点で、「健康経営優良法⼈である」「サイバーセキュリティお助け隊サービスを利⽤する中⼩企業等である」「(連携)事業継続⼒強化計画の認定を受けている」「申請者の代表者がアトツギ甲⼦園のファイナリストである」などが加点⾃由として追加されました。

事業承継・引継ぎ補助金 専⾨家活⽤事業のポイント

【同⼀案件について、買い⼿・売り⼿の双⽅による申請が可能】
専⾨家活⽤事業では、買い⼿⽀援型(承継者)と売り⼿⽀援型(被承継者)の2つの類型があります。同⼀の経営資源引継ぎ(M&A)案件について、買い⼿と売り⼿の双⽅がそれぞれの類型で申請することも可能です。

【「M&A⽀援機関登録制度」に登録された専⾨家による⽀援が対象】
委託費のうち「FA・M&A仲介費⽤」については、「M&A⽀援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者による⽀援のみが補助対象となります。登録FA・仲介業者については、中⼩企業庁HP、あるいはM&A⽀援機関登録制度事務局HPにおいて公表されているためチェックしておきましょう。

【補助⾦の交付を受けるには実質的な経営資源の引継ぎが必要】
承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合が⾏われていないと事務局が判断した場合は補助対象外となります。

〜補助対象外例〜

  • 事業再編・事業統合を伴わない物品・不動産等のみの売買
  • グループ内の事業再編及び親族内の事業承継等

【議決権の割合により交付申請できないケースがある】
「事業再編・事業統合の後に承継者が保有する対象会社、あるいは被承継者の議決権(吸収分割、事業譲渡の場合は除く)が過半数にならない場合」や、「事業再編・事業統合の前に承継者が保有する対象会社、または被承継者の議決権が過半数の場合」などは、補助対象外となります。

事業承継・引継ぎ補助金 廃業・再チャレンジ事業のポイント

廃業対象は以下2パターンです。「再チャレンジ申請の場合:パターン1のみ」「併⽤申請の場合:パターン1およびパターン2」が申請の対象となります。

パターン1:会社⾃体の廃業
会社⾃体を廃業するために、「補助事業期間内に廃業登記を⾏う」「在庫を処分する」「建物や設備を解体する」など、原状回復を⾏う事業。

パターン2:事業の⼀部の廃業
事業の⼀部を廃業(事業撤退)するために、「補助事業期間内に廃業登記を⾏う」「在庫を処分する」「建物や設備を解体する」など、原状回復を⾏う事業。

経営⾰新事業や専⾨家活⽤事業と併⽤申請する場合、廃業費の上乗せ額は150万円を上限とし、補助率は各事業の補助率が適⽤されます。各事業の補助率は、補助対象者や賃上げの実施有無などにより異なっており、2/3以内または1/2以内のいずれかです。

事業承継・引継ぎ補助金 第5次公募からの変更点

事業承継・引継ぎ補助金第5次公募からは「経営革新事業」「専門家活用事業」においていくつか変更点があります。

経営革新事業の変更点

変更点①:事業承継対象期間における「未来の承継」の追加
従来は「2017年4月1日~補助事業完了期限日」を事業承継の対象期間としていました。しかし5次公募からは、事業承継前の取り組みも補助対象となっています。具体的には、後継者の早期成長を後押しして事業承継の早期化・円滑化につなげることを目的として、 「未来の承継」という要件を新たに設けました。

これにより、経営者交代型(Ⅱ型)のうち「同一法人内の代表者交代」での事業承継に限り、一定要件を満たす場合には「未来の承継」として、補助事業期間の終了後における事業承継も補助対象として交付申請が可能になります。

「未来の承継」の要件は以下の4点です。

未来の承継
1:交付申請時点で、以下いずれかの要件を満たす、将来経営者となることが十分見込まれる後継者候補を選定できている
- 対象会社の役員として3年以上の経験がある
- 対象会社・個人事業に継続して3年以上雇用されている(補助事業期間終了時に要件を充足)

2:後継者候補が、交付申請時点でに対象の会社に在籍している

3:指定の期間内に承継が完了する予定であり、その蓋然性が高い事業承継計画(認定経営革新等支援機関の確認を受けたもの)を作成・提出する

4:以下の要件を満たす補助事業計画を立案し、実行する
- 後継者候補が主導して取り組む事業である
- 承継予定の中小企業等における事業である
- 承継予定である中小企業の経営資源を有効活用した事業である

変更点②:補助率や補助上限額に関する要件の変更・追加
1~4次公募では600万円以内であった補助上限額が、5次公募以降では800万円以内となります。補助率は原則的として「1/2以内」となり、要件を満たす事業者においては「2/3以内(補助額600万円以内の部分に限る)」となります。交付申請に求められる補助事業計画の要件や、併用申請時の廃業費の補助率も変更となります。

具体的な変更点は以下の4つです。

具体的な変更点
1:補助事業計画における、生産性向上要件達成の必須化
生産性向上要件とは、補助事業期間および5年間分の補助事業計画において、「付加価値額」または「1人当たりの付加価値額」の伸び率が「3%/年の向上を達成すること」を指します。付加価値額とは、「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足し合わせた額です。

1~4次公募では、生産性向上要件を達成する補助事業計画を策定することは、「補助上限額を400万円以内→600万円以内へと引き上げるため」の要件でした。しかし5次公募以降では、交付申請するすべての事業者に、生産性向上要件を達成する補助事業計画の策定が必須化されました。

2:一定要件を充足した場合の補助率引き上げ(1/2以内→2/3以内)
1~4次公募において、補助対象者の要件を満たす中小企業者の補助率は一律「2/3以内(補助額400万円以内)」でした。しかし5次公募以降では、補助率が原則「1/2以内」となり、一定要件を交付申請時に充足した場合のみ、補助率が「2/3以内」まで引き上げられます。

3:賃上げ要件を充足した場合の補助上限額引き上げ(600万以内→800万以内)
5次公募以降は、従業員に対して一定要件を満たす賃金引き上げを実施した場合、補助上限額が600万円以内から800万円以内に引き上げられます。

600万円超〜800万円以内の補助率は、上記2の要件を満たしているかにかかわらず、一律「1/2以内」となります。

4:廃業費の併用申請時の補助率について
5次公募以降において廃業費を併用する場合の補助率は、事業費の補助率が「1/2以内であれば1/2以内」、事業費の補助率が「2/3以内」となります。事業費の補助率に影響される点に注意しましょう。

変更点③:交付申請時に事業承継が完了済の場合の必要書類
1~4次公募では、交付申請時に事業承継が完了している事業者であっても、事業承継の完了書類については「承継完了報告」として、実績報告期間での書類提出を求めていました。

5次公募以降は、交付申請時点で事業承継が完了している事業者は、交付申請時に書類の提出が必要です。

変更点④:その他の変更点
「事業承継によって引き継いだ経営資源を活用した経営革新の取り組みである」という旨が明示化されました。

また、補助対象経費の経費区分から「人件費」も削除されています。

上記の変更点の詳細については「経営革新事業(5次公募以降)における制度上の変更点・注意点について」をチェックしておきましょう。

専門家活用事業の変更点

変更点①:交付申請に関する要件の変更
5次公募以降では、以下に該当する場合は交付申請できません。

交付申請できない場合
1:以下の補助金における交付実績がある事業者
・令和2年度第1次補正予算「経営資源引継ぎ補助金」
・令和2年度第3次補正予算「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」
・令和3年度当初予算「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」
・令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)」
・令和4年度当初予算「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)」

2:「[M&A支援機関登録制度]」に登録されたFA・仲介業者、またはFA・仲介業者(法人)の代表者が補助対象者、あるいは補助対象者(法人)の代表者と同一である事業者

採択後に上記事実が発覚した場合には、事務局より交付決定の取り消し等が実施されるためご留意ください。

変更点②:補助対象となる法人、個人事業主等に関する要件変更
5次公募以降、申請者(補助対象者)である法人、または個人事業主に対して「法人設立/事業の開業からの経過年数に関する要件」が加わりました。

交付申請時点で、法人の場合は「3期分の決算および申告が完了」、個人事業主の場合は「開業届出書ならびに所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出した日付から5年が経過している」ということが要件です。

変更点③:補助率や補助額に関する要件の変更
5次公募以降では、補助率や補助額が一部変更されています。とくに売り手支援型においては、条件に応じて「補助率が2/1以内あるいは2/3以内となる」「補助下限額が50万円以内となる」ということにご注意ください。

変更点④:経営資源の引継ぎが実現しなかった場合の対象費用の変更
5次公募以降、経営資源引継ぎが未実現の場合、専門家への着手金など基本合意締結以前に発生した委託費用は全額対象外となります。

買い手支援型においては、原則デューデリジェンス費用のみが補助対象となりますので、ご留意ください。

ただし、専門家作成資料が「専門家の支援を受けて事業再編・事業統合等に着手・遂行した実態がある」と事務局が認めない場合、当該専門家費用については補助対象経費として認められない可能性があります。また、成果物の内容について、当該専門家に対する追加調査の実施や追加での証憑提出を要請する可能性もあるため注意しましょう。

変更点⑤:その他の変更点
事業譲渡に関して、実績報告時に事業譲渡資産について検査を実施しますが、その際に「有形資産のみ」「無形資産のみ」の譲渡は原則対象外となるため注意しましょう。

その他
1:有形資産のみの譲渡(対象外となる事例)
・(飲食事業等における)店舗(調理設備等)のみの引き継ぎ
・(マッサージ・エステ事業等における)施術台・施術用機器のみの引き継ぎ
・(運送事業等における)車両のみの引き継ぎ
・(情報通信業等における)スマートフォン、PC、複合機等のみの引き継ぎ

2:無形資産のみの譲渡(対象外となる事例)
・従業員のみの引き継ぎ
・製作事例・ノウハウのみの引き継ぎ
・顧客リストのみの引き継ぎ
・店舗の賃貸借契約のみの引き継ぎ

3:その他
・譲渡対象が不明瞭な事業譲渡
・専門家による譲渡価額算定結果が不自然な事業譲渡(譲渡資産額に対して専門家委託費用が過大である場合等)

また、買い手支援型の加点事由として「賃上げ要件」が追加されました。対象となる賃上げ要件は以下の通りです。
〇交付申請時点の最新の地域別最低賃金を基準として、「①補助事業期間終了時に事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上賃上げしている」「②(①を達成している場合)補助事業期間終了時に事業場内最低賃金から+30円以上賃上げされている」

上記の変更点の詳細については「専門家活用事業(5次公募以降)における制度上の変更点・注意点について」をチェックしておきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金の申請の流れ

事業承継・引継ぎ補助金の申請の流れは以下の2パターンで若干異なります。

経営革新事業&廃業・再チャレンジ事業の場合
1:「gBizIDプライム」アカウントを取得する
電⼦申請システム「jGrants」を利⽤するにあたり必要になります。アカウント取得には1〜2週間程度かかるため余裕を持って申請しましょう。
2:Webサイトから「認定経営⾰新等⽀援機関による確認書」をダウンロードする
3:認定経営⾰新等⽀援機関から本補助⾦に係る確認書を取得する
4:当てはまる交付申請類型に沿って必要書類を準備する
5:オンライン申請フォーム(jGrants)に必要事項を記⼊する
6:申請様式や必要書類に相違・不⾜がないかを確認する
7:オンライン申請フォーム(jGrants)に必要書類を添付する
8:申請処理を⾏い、申請状況を確認する
専門家活用事業の場合
1:「gBizIDプライム」アカウントを取得する
2:必要な申請書類を準備する
3:オンライン申請フォーム(jGrants)に必要事項を記⼊する
4:申請様式や必要書類に相違・不⾜がないかを確認する
5:オンライン申請フォーム(jGrants)に必要書類を添付する
6:申請処理を⾏い、申請状況を確認する

まとめ

第5次公募については以下の点をポイントとして押さえておきましょう。

  • 規定の賃上げなど一定要件を満たした際に補助金額・補助率が引き上げられる
  • 「同一法人内の承継も補助対象」「同⼀案件で買い⼿と売り⼿双⽅による申請が可能」など補助対象者が幅広くなった

上記のポイントからもわかるように第5次公募からは、より幅広い中小事業者が補助対象となるように変更されました。過去の公募で対象外だった場合でも新たに申請できる可能性ができたため、各要件をチェックして自社に活用できるものがないかを確認すると良いでしょう。

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