かつて経済成長の制約とみられていた気候変動対策は、いまや成長の機会ととらえられています。
今回ご紹介する「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業)」は、自立・分散型地域エネルギーシステムや脱炭素型交通をテーマに、新たなビジネスモデルや技術・制度のイノベーションを適宜取り入れながら、新しい時代をリードする民間企業等の先進的な取組を支援するもので、2040年頃を目処に温室効果ガスの排出を実質ゼロとする先導的モデルの構築を目指しています。
これまでに、地方公共団体のほか、次のような採択者がありました。
- 電気や電気通信設備の設計・施工を行う会社
- エネルギー会社
- 温泉供給管理会社
- 温泉宿
- 鉄道会社
- 自動車会社
- 旅行会社など
脱炭素化と、地域資源活用の促進をお考えの場合は、補助金の活用をご検討ください。
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この記事の目次
事業の目的
環境省の第五次環境基本計画では、SDGsやパリ協定といった脱炭素化の流れと地域が抱える課題に対する環境・経済・社会の統合的向上に向けて、「地域循環共生圏※」を構築することを掲げています。
※各地域がその特性に応じ、地域資源を活かして、自立・分散型の社会を形成しつつ、近隣地域と連携するというもの。
出典:追加公募要領概要(説明資料)より抜粋
この「ローカルSDGs」ともいえる地域循環共生圏の構築および展開を図ることで、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を目指す事業となります。
補助対象事業
今回の追加公募の対象事業は以下のとおりです。
(1) 地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る自立・分散型地域エネルギーシステム構築支援事業(略称:自立・分散エネ)
(2) 温泉熱等利活用による経済好循環・地域活性化促進事業(略称:温泉熱等利活用)
(3) 温泉供給設備高効率化改修による省CO2促進事業(略称:高効率化改修)
(4) 自動車CASE活用による脱炭素型地域交通モデル構築支援事業(略称:脱炭素交通)
この4区分それぞれで、
①計画策定事業
②設備等導入事業
を募集しています。
【対象事業の基本的要件は?】
申請にあたり、以下のすべての要件を満たすことが求められます。
- 補助事業を行うための実績・能力・実施体制を有する事業であること
- 申請内容に事業内容、事業効果、経費内訳、資金計画等が明確な根拠に基づき示されている事業であること
- 申請者は公募要領別紙1に示す暴力団排除に関する誓約事項に誓約できる者であること
- 本事業の補助により導入する設備等について、国からの他の補助金等を受けていない事業であること(固定価格買取制度による売電を行わないものであることを含む。)
事業ごとの要件など、詳細は、公募要領をご確認ください。
地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る自立・分散型地域エネルギーシステム構築支援事業(略称:自立・分散エネ)とは
ここからは、各事業の概要をまとめました。
【自立・分散エネの対象事業は?】
①計画策定事業
②設備等導入事業
①…自立・分散型地域エネルギーシステム構築に係る事業実施計画の策定を行う事業です。計画の策定後2年以内に、計画で策定した自立・分散型地域エネルギーシステムに係る設備等導入を行わないと補助金返還の可能性があります。
②…「①計画策定事業」で策定した事業実施計画、もしくは事業実施計画と同等と環境省が認めた計画等に基づいて、地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る自立・分散型地域エネルギーシステム構築に必要な設備等の導入を行う事業です。
【対象者】
以下のいずれかの法人・団体が対象です。
・地方公共団体
・民間企業(地方公共団体と共同申請する事業者に限る。導入する設備等をファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業を含む。)
・その他環境大臣の承認を経て協会が適当と認める者
【補助内容】
①計画策定事業
事業期間:単年度
上限1,000万円、補助率3/4
②設備等導入事業
事業期間:原則3年度以内
上限10億円、補助率2/3
ただし、再生可能エネルギーの変動調整機能のうち、ガスコージェネレーションシステムについては補助率が1/3となります。また、車載型蓄電池については、蓄電容量(kWh)の1/2に2万円を乗じて得た額となります。
【補助対象設備の例】
・再生可能エネルギーの使用に係る設備
・需要家側での再生可能エネルギー等の使用に際して必要となる設備
・自営線
・熱導管
・受変電設備
・再生可能エネルギーの変動調整機能(蓄電システム、蓄熱システム、EMS機器、ガスコージェネレーションシステム)
・車載型蓄電池(通信・制御機器及び充放電設備とセットで、かつ外部給電可能なものに限る)
【補助対象設備の範囲(赤枠部分)】
出典:公募要領より抜粋
温泉熱等利活用による経済好循環・地域活性化促進事業(略称:温泉熱等利活用)とは
【温泉熱等利活用の対象事業は?】
①計画策定事業
②設備等導入事業
①…温泉熱等を利活用し、地域単位でバイナリー発電や熱利用を行う事業実施計画の策定を行う事業です。計画策定後2年以内に設備等導入を行わないと補助金返還の可能性があります。
②…「①計画策定事業」で策定した事業実施計画、もしくは事業実施計画と同等と環境省が認めた計画等に基づいて、地域の経済好循環と地域活性化の促進のため、温泉熱等を利活用し、地域単位でバイナリー発電や熱利用に必要な設備等の導入を行う事業です。
【対象者】
以下のいずれかの法人・団体が対象です。
- 地方公共団体
- 民間企業
- 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人
- 地方独立行政法人法(平成15年法律第108号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人
- 一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人
- 地域における温泉の管理や配湯を行う組合(民間企業除く)
- その他環境大臣の承認を経て協会が適当と認める者
【補助内容】
①計画策定事業
事業期間:単年度
上限1,000万円、補助率3/4
②設備等導入事業
事業期間:原則3年度以内
上限3億円、補助率2/3
【補助対象設備の例】
・温泉熱等の使用に係る設備
・需要家側での温泉熱等の使用に際して必要となる設備
・自営線
・熱導管
・受変電設備
・温泉熱等の変動調整機能
・温泉供給設備
・温泉モニタリング設備
【補助対象設備の範囲(赤枠部分)】
出典:公募要領より抜粋
温泉供給設備高効率化改修による省CO2促進事業(略称:高効率化改修)とは
【高効率化改修の対象事業は?】
①計画策定事業
②設備等導入事業
①…温泉供給設備更新時の高効率化改修事業実施計画の策定を行う事業です。
▼補助対象となる計画の例
・基本計画調査
・効率的な施工方法等検討(配管ルート、設備規模、設備内容等)
・省エネ効果算定
・CO2削減量算定
・事業性、資金調達方法の検討
②…温泉施設において運用している設備の改修を行うことで、当該設備のエネルギー消費量及びエネルギー起源二酸化炭素を削減する事業です。
【対象者】
以下のいずれかの法人・団体が対象です。
- 地方公共団体
- 民間企業
- 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人
- 地方独立行政法人法(平成15年法律第108号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人
- 一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人
- 地域における温泉の管理や配湯を行う組合(民間企業除く)
- その他環境大臣の承認を経て協会が適当と認める者
【補助内容】
①計画策定事業
事業期間:単年度
上限1,000万円、補助率3/4
②設備等導入事業
事業期間:原則単年度または2年度以内
補助率1/2
※上限について:CO2削減量の補助金額に対する費用対効果を求める算定式から算定したCO21tあたりの削減コストが、57,000[円/t-CO2]を超える場合は、57,000[円/t-CO2]×エネルギー起源二酸化炭素の排出削減量[t-CO2]から求めた金額が上限となります。
【補助対象設備の例】
部品・部材の交換の例…ポンプ、ケーシング管、制御盤、貯湯槽、配湯管など
部品・部材の追加の例…断熱ジャケット、インバーター、ケーシング管、温泉モニタリング装置など
自動車CASE活用による脱炭素型地域交通モデル構築支援事業(略称:脱炭素交通)とは
【脱炭素交通の対象事業は?】
①計画策定事業
②設備等導入事業
①…脱炭素型地域交通モデル構築に係る事業実施計画の策定を行う事業です。計画策定後2年以内に計画で策定した脱炭素型地域交通モデル構築に係る設備等導入を行わないと補助金返還の可能性があります。
②…「①計画策定事業」で策定した事業実施計画、もしくは事業実施計画と同等と環境省が認めた計画等に基づいて、自動車CASE活用による脱炭素型地域交通モデル構築のため、電気自動車、充放電機等及びこれらの設備を運転制御するために必要な通信・制御機器設備等を導入する事業です。
【対象者】
以下のいずれかの法人・団体が対象です。
・地方公共団体
・民間企業(導入する設備等をファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業を含む。)
・その他環境大臣の承認を経て協会が適当と認める者
【補助内容】
①計画策定事業
事業期間:単年度
上限1,000万円、補助率3/4
②設備等導入事業
事業期間:原則3年度以内
上限5億円、補助率1/2
電気自動車を導入する場合は、蓄電容量(kWh)の1/2に2万円を乗じて得た額となり、CEV補助金の「銘柄ごとの補助金交付額」が上限となります。
【補助対象設備の例】
・電動モビリティ(電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、電動バイク、超小型モビリティ)
・充放電設備
・脱炭素型地域交通モデル構築に必要なシステム・設備(ただし、環境省地球環境局長が認めたものに限る。)
【補助対象設備の範囲(赤枠部分)】
出典:公募要領より抜粋
手続きの流れ
【募集期間】
令和3年10月1日(金)~ 令和3年10月29日(金)17時
(1)申請書類の提出
電子メールによる提出のみ可。10月29日の17時必着です。
【応募書類】
書類作成の流れとしては、応募申請する事業に係る様式、参考資料をダウンロードし、応募申請書記入例、ガイドブック等を参照して、様式に必要事項を記入するとともに添付資料を作成します。
提出書類は事業によって異なるため、応募書類の様式1にある「応募申請時提出書類等一覧」でご確認ください。
(2)審査・交付決定
採択通知は12月中旬を予定しています。
(3)事業実施
交付決定日以降に補助事業を開始し、2月28日までに検収・支払いを完了させます。
(4)完了実績報告
事業完了後30日以内、または3月10日のいずれか早い日までに完了実績報告書を提出します。
(5)補助金の受給
交付額の確定通知を受けた後、精算払請求書を3月18日までに提出し、その後、補助金受給となります。
申請から補助金を受け取るまでの流れは、下図をご覧ください。
出典:追加公募要領概要(説明資料)より抜粋
まとめ
気候変動への対応を経済成長の足かせととらえる時代は終わりました。国際的にみても、気候変動対策を成長のきっかけとする時代に突入しています。
地域資源を再認識し、それを活用するという「地域循環共生圏」の考えのもと、補助金を活用しながら、地域の「環境」「経済」「社会」が一体となって向上できる仕組みづくりに取り組んでみませんか?
補助金・助成金についてさらに詳しく知りたい方は、無料相談窓口もございますのでお気軽にお問合わせください。
参考:一般社団法人地域循環共生社会連携協会 〔追加公募〕令和3年度及び令和2年度(第3次補正予算)自立・分散エネ、温泉熱、脱炭素交通事業 公募
03-6822-5976
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