住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案が11月に閣議決定されました。これは2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、住宅の省エネ化を支援するものです。また経済産業省・国土交通省・環境省の3省が連携し、住宅の省エネ化支援のための補助制度の新設と各事業のワンストップ利用を可能にすることも発表されています。
これらの取り組みのうち、今回は住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業について、12月1日時点での予定をまとめました。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
住宅の省エネ化が促進される理由
11月の閣議決定では、家庭部門での省エネ推進として、住宅の断熱性の向上を目的とした窓のリフォームや高効率給湯器の導入などの支援強化が発表されました。
令和4年度補正予算案に盛り込まれた住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業は、これを踏まえたものです。
現在、家庭部門のエネルギー消費は2010年代と比べると減少傾向にはあるものの、いまだ高い水準に留まっています。そのうち、約30%は冷暖房の使用によるものです。
出典:エネ百科
【経済産業省】住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業・【環境省】断熱窓への改修促進等による家庭部門の省エネ・省 CO2加速化支援事業
今回の予算案では、住宅の省エネルギー化に関わる事業に1,000億円の予算がつきました。これらにともない、経済産業省・国土交通省・環境省の3省は省エネリフォーム工事等への支援を実施することも発表しています。
その内容は、3つの事業に分類されます。
①住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等
②高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金
③こどもエコすまい支援事業
今回は①住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等について、お伝えしていきます。
【目的】
住宅においては、窓からの熱損失が大きいことが知られています。本事業では、既存住宅の窓の断熱性能を高めることで住宅の省エネルギー化を図り、冷暖房費負担の軽減や2030年度の家庭部門からのCO2排出量を約7割削減することなどが目指されています。
補助対象事業
既存住宅の高断熱化に関わる改修の際、その費用の一部が補助されます。補助額は工事内容に応じて定額です。対象となるのはガラス・サッシ窓の断熱改修工事で、一定の基準を満たすものです。
補助対象期間
期間内に申請されたもののうち、以下の期間内に契約および工事を行うものが補助の対象となります。
■工事請負契約
令和4年11月8日から令和5年12月31日まで
■工事の実施
事業者登録の後に着工し、令和5年12月31日までに工事が完了するもの
改修後の窓の性能
改修後の窓の性能は、対象住宅の種類に応じて熱貫流率の基準を満たす必要があります。熱貫流率の基準は以下のとおりです。
■戸建住宅および低層集合住宅
「ガラス交換」「内窓設置」「外窓交換 (カバー工法)」「外窓交換 (はつり工法)」でUw1.9以下
■中高層集合住宅
「外窓交換 (カバー工法)」のみUw2.3 以下 (そのほかはUw1.9以下)
なお、申請の際には証明書等の書類の提出が必要です。また同一の住宅についてリフォーム工事を複数回行う場合には、複数回の申請を行うことが可能です。
補助額等
補助額は、対象となるリフォーム工事の規模や回数、住宅の種類に応じて決まります。1つの住宅における合計補助額は、補助単価に施工箇所数を乗じて算出されます。それぞれの補助額の算出は、以下の表を確認してください
【計算例】
例えば戸建て住宅において、ガラス交換 (グレードA) の大を2枚、内窓設置 (グレードSS) の小を1カ所に行った場合の補助金額の計算は以下の通りです。
ガラス交換 (グレードA) 大=26,000×2
内窓設置 (グレードSS) 小=53,000×1
補助金額=105,000円
なお、1戸当たりの上限補助額は2,000,000円です。
事業の全体像
本事業は、リフォームを行った事業者が、申請者となって補助金を申請し交付を受けます。ただし交付された補助金は住宅所有者等に全額還元される必要があります。
還元方法について予めリフォーム事業者が住宅所有者等に説明し、同意を得てください。
本事業の参加にあたっては、リフォーム事業者は事前にとして「事業者登録」としての登録を受ける必要があります。
補助の対象となるのは、事業者登録後に着手するリフォーム工事です。
申請方法
申請方法については、今後、変更される場合があります。申請前には必ず最新の情報を確認してください。ここでは、12月1日時点での申請方法予定を見ていきましょう。
事業者登録
事業者登録の手続きは、以下のとおりです。
■期間
令和5年1月中旬から遅くとも令和5年11月30日
登録は事業者単位で行います。1事業者が複数回登録することはできません。
■登録時に必要な主な事項や書類
①事業者情報 | |
---|---|
・法人 法人名称、法人番号 法人登記の登記事項証明書・法人の印鑑証明 ・個人 屋号、個人事業主の氏名 事業主の印鑑証明 |
②事業内容 | |
---|---|
・実施予定のリフォーム事業の内容 ・受注可能エリア |
③事業免許等 | |
---|---|
【許可業者・登録団体の構成員の場合】 ・建設業許可 ・住宅リフォーム事業者団体登録 |
交付申請時期・交付申請期間
交付申請時期と期間は以下の通りです。
■交付申請時期
すべての工事の完了後
■交付申請期間
令和5年3月下旬~遅くとも令和5年12月31日
なお、以下の期間は工事着工後に交付申請の予約が可能です。
令和5年3月下旬~遅くとも令和5年11月30日
提出書類
申請にあたり、提出が必要な書類は以下のとおりです。
①事業者登録 | |
---|---|
【法人以外】 ・事業者登録申請書 ・印鑑証明書 【法人の場合】 ・商業法人登記の写し |
②交付申請 | |
---|---|
・本補助金の利用について、工事発注者が同意する共同事業実施規約 ・工事請負契約書の写し ・工事発注者の本人確認書類 ・対象工事内容に応じた性能を証明する書類 ・予約申請の場合は、工事着手したことがわかる写真 |
今後の予定
今後のスケジュールは、以下のとおりです。
■対象となる建材・設備の公募
令和4年12月中旬から遅くとも令和5年11月30日
■事業者登録
令和5年1月中旬から遅くとも令和5年11月30日
■登録事業者の公開
事業者登録後随時
■予約提出期間
令和5年3月下旬から遅くとも令和5年11月30日
■交付申請期間
令和5年3月下旬から遅くとも令和5年12月31日
住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業活用のメリット
原油高騰による電気料金の値上げは、家計にも大きな打撃を与えています。賃金の向上がインフレに追いつかない現状では、生活に関わる費用の値上げはさらに経済を冷え込ませる原因にもなります。
住宅の省エネ化によって電気代が抑えられても、そもそもリフォーム費用に回せる金銭的余裕がない、というのが現状です。
住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業では、工事に関わる費用の2分の1程度が補助されます。また、事業者が申請者となることで、住宅所有者の事務的な手続きが軽減されるのも大きなメリットのひとつです。
一般的に電気代は、夏の冷房よりも、冬の暖房のほうが高額になります。補助金を活用して窓の断熱工事を行い、部屋も懐も暖かい冬を迎えましょう。
まとめ
窓の断熱性向上のためのリフォームは、1度行えば今年も、次の年も省エネ効果が期待できます。2年、3年と歳を重ねるたびに省エネによる節約効果も積み重なっています。いまリフォームに踏み切れば、数十年後には大きな資産が残るかもしれません。
より快適な住まいへのリフォームを検討している方は、ぜひ住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業を活用してください。持続可能な社会の第一歩として、まずは身近なところから、環境に配慮した生活に変えていきましょう。
参考:住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業【経済産業省】及び断熱窓への改修促進等による家庭部門の省エネ・省 CO2加速化支援事業【環境省】の内容について