寡婦控除は、夫と死別または離婚をした女性を対象とした所得控除制度です。令和2年の税制改正で「寡婦控除」と「ひとり親控除」の2つに分かれ、令和7年度・令和8年度の税制改正でも要件や控除額が段階的に見直されています。さらに2025年6月に成立した年金制度改正法により、寡婦に関連する遺族年金の仕組みも2028年4月から大きく変わる予定です。
寡婦控除の対象は女性に限られ、子ども以外の扶養親族も要件に含まれるのが大きな特徴です。一方、子を扶養しているシングルマザー・シングルファザーは「ひとり親控除」の対象となります。
本記事では、寡婦控除と類似する制度の概要、最新の改正内容、申請方法までを2026年6月時点の情報でまとめました。自分がどの控除の対象となるのか、判断する際の参考にしてください。
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この記事の目次
寡婦とは?対象条件とひとり親との違い
寡婦控除を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。「ひとり親」に該当する場合は寡婦控除ではなく「ひとり親控除」の対象となり、控除額の大きいひとり親控除が優先されます。
まずは寡婦とひとり親の違いを確認していきましょう。
国税庁の定義における寡婦の範囲
寡婦控除の対象となる人の範囲は、令和2年以後の税制改正で以下のように定められています。
| ■夫と離婚した後、婚姻をしておらず、扶養親族がいる |
| ■夫と死別した後、婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない |
その年の12月31日の時点で要件を満たす場合に、寡婦として認められます。また「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいいます。
なお寡婦の場合、扶養親族は自分の両親や兄弟などです。扶養対象が子どもの場合は「ひとり親」に該当します。
※離婚の場合、離婚と同時に姻族関係も終了するため、元夫の親族(姻族)は扶養親族の対象に含まれません。
参考:国税庁 寡婦控除
ひとり親と寡婦の違いは?
「子供がいるシングル」は基本的に『ひとり親』、「離婚・死別経験がある女性で扶養親族がいる(または死別の場合は条件を満たせば扶養親族がいなくてもOK)場合」は『寡婦』となるケースが一般的です。寡婦控除を受けようとする際、「ひとり親」に該当する場合は寡婦控除の対象外となり、ひとり親控除が優先されます。
| 比較項目 | ひとり親控除 | 寡婦(かふ)控除 |
|---|---|---|
| 対象の性別 | 男女問わず | 女性 |
| 婚姻歴の要件 | 問わない(未婚・離婚・死別すべて可) | 離婚 または 死別(未婚は対象外) |
| 扶養する対象 | 「生計を一にする子」が必須 ※他者の扶養に入っていない子に限る | 【離婚の場合】「扶養親族」がいること 【死別の場合】要件なし(いなくても可) |
| 子・扶養親族の所得要件(令和8年分の所得税) | 子の合計所得金額58万円以下 | 扶養親族の合計所得金額58万円以下 |
| 本人の所得制限 | 合計所得金額1,000万円以下(令和8年分以後の所得税に適用) | 合計所得金額500万円以下 |
| 事実婚の有無 | 住民票に「未届の夫・妻」等の記載がある人がいないこと | 住民票に「未届の夫・妻」等の記載がある人がいないこと |
| 控除額(令和8年分の所得税) | 35万円 ※令和9年分以後の所得税は38万円に引き上げ予定 | 27万円 |
| 優先順位 | 寡婦よりも優先される(要件を満たすならこちら) | 「ひとり親」に該当しない場合に判定 |
参考:国税庁 ひとり親控除
寡婦かひとり親かの判定の際は、まず「扶養している子供がいるか」を確認し、該当すれば男女問わず控除額の大きい「ひとり親控除」を優先します。子供がいない、あるいは子供が独立して扶養から外れた後であっても、離婚や死別を経験した独身女性であれば「寡婦控除(27万円)」の対象となる可能性があるため、まずは「ひとり親」の要件をチェックし、当てはまらなければ「寡婦」を検討するという順序で判断しましょう。
令和7年度・令和8年度税制改正による寡婦控除・ひとり親控除の変更点
寡婦控除・ひとり親控除は、近年の税制改正で要件・控除額が段階的に見直されています。2026年6月時点で押さえておくべき改正点を整理します。令和7年度税制改正(既に施行済み)
2024年12月の令和7年度税制改正大綱を経て、以下の変更が決定・施行されました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 適用時期 |
|---|---|---|---|
| ひとり親控除の本人所得要件 | 合計所得金額500万円以下 | 合計所得金額1,000万円以下 | 令和8年(2026年)分以後の所得税 |
| 扶養親族・同一生計配偶者等の合計所得金額要件 | 48万円以下 | 58万円以下 | 令和7年(2025年)12月1日以後 |
これにより、これまで本人の所得が500万円を超えていてひとり親控除の対象外だった方も、1,000万円以下であれば対象となる可能性が広がりました。
令和8年度税制改正(さらなる拡充予定)
2025年12月19日に与党が公表した令和8年度税制改正大綱に基づき、基礎控除の本則部分が58万円から62万円に引き上げられることに伴い、扶養親族等の所得要件も連動して引き上げられます。あわせてひとり親控除の控除額も拡充される予定です。
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 適用時期 |
|---|---|---|---|
| 寡婦の扶養親族の合計所得金額要件 | 58万円以下 | 62万円以下 | 令和9年(2027年)分以後の所得税 |
| ひとり親控除の子の総所得金額等要件 | 58万円以下 | 62万円以下 | 令和9年(2027年)分以後の所得税 |
| ひとり親控除の控除額(所得税) | 35万円 | 38万円 | 令和9年(2027年)分以後の所得税 |
| ひとり親控除の控除額(住民税) | 30万円 | 33万円 | 令和10年(2028年)度分以後の個人住民税 |
注意したいのは、ひとり親控除の控除額35万円→38万円への引き上げは2027年分(令和9年分)以後の所得税から適用される点です。2026年分(令和8年分)の所得税では控除額はまだ35万円のままなので、年末調整や確定申告で誤らないようにしましょう。
寡婦に該当する具体的なケースを紹介
寡婦控除の対象となるケースについて、具体的に見ていきましょう。夫と離婚した女性の場合、寡婦控除の対象となるのは、扶養親族がいる場合です。扶養親族とは、その年の12月31日時点で、次の要件を満たす人をいいます。
| ■6親等内の血族および3親等内の姻族や里子、市町村長から養護を委託された老人 |
| ■納税者と生計を一にしている |
| ■年間の合計所得金額が58万円以下である(令和7年12月1日以後・令和8年分の所得税) ※令和9年分以後は62万円以下 |
| ■青色申告者の事業専従者として、年内に一度も給与の支払を受けていない(または白色申告者の事業専従者でない) |
参考:国税庁 専門用語集
従って、以下の例は寡婦控除の対象となります。
- 夫と離婚後、収入のない老母を扶養している
- 夫と離婚後、アルバイトの弟(合計所得金額58万円以下)を扶養している
なお死別または生死不明の場合は、扶養親族の要件はありません。
また以下の場合は、寡婦控除の対象外です。
- 夫と離婚後に開業し、妹を青色事業専従者にしている
- 夫と死別後、事実婚状態の男性がいる(住民票に「未届の夫」等の記載がある)
- 本人の合計所得金額が500万円を超えている
さらに扶養親族が独立したり、収入が上がったりした場合も、寡婦控除の対象から外れることがあります。
寡婦控除の控除額はいくら?
寡婦控除の控除額は定額の27万円です。申請の条件には、寡婦であることのほか、本人の所得金額の制限があります。
寡婦控除の概要
寡婦控除とは、所得税から一定の控除を受けられる仕組みです。控除額や対象者は、以下のとおりです。
| 対象者 | 合計所得金額が500万円以下の寡婦 |
| 控除額 | 27万円 |
離婚・死別に関わらず、本人の合計所得金額は500万円が上限になります。なお、令和2年以降の改正で寡婦控除の控除額は27万円のままで据え置かれており、令和8年度税制改正でも控除額自体の見直しは行われていません(ひとり親控除のみ控除額が引き上げ予定)。
寡婦控除とひとり親控除や扶養控除の違い
ひとり親に該当する場合には、ひとり親控除が受けられます。また、控除対象扶養親族に該当する相手がいる場合は扶養控除の対象です。なお扶養控除は、扶養親族の区分によって控除額が違います。
参考:国税庁 扶養控除
各控除の対象と控除額(令和8年分の所得税ベース)は、以下のとおりです。
| 控除の種類 | 控除額(所得税) | 対象 |
| 寡婦控除 | 27万円 | 夫と死別・離婚(扶養親族あり)した女性 |
| ひとり親控除 | 35万円(令和9年分以後は38万円) | 配偶者と死別・離婚し、扶養する子がある人 |
| 扶養控除(一般の控除対象扶養親族) | 38万円 | 16歳以上の扶養親族がある者 |
| 扶養控除(特定扶養親族) | 63万円 | 19歳から23歳までの控除対象扶養親族がいる者 |
| 扶養控除(老人扶養親族・同居老親等) | 58万円 | 70歳以上の同居老親等(それ以外の場合は48万円) |
自分がどの制度に該当するかわからないときは、自治体の担当窓口や税務署に問い合わせてみましょう。
寡婦控除の申請方法
寡婦控除の申請方法は、会社員として年末調整で行う場合と、確定申告で行う場合の2つがあります。それぞれの申請手続きの流れや、必要な書類についてまとめました。
年末調整で申請する場合
会社員の場合は、年末調整にて寡婦であることを申告します。
毎年秋ごろに会社から配布される年末調整の書類のうち、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「主たる給与から控除を受ける」欄で、「寡婦」にチェックをつけてください。
あとは通常の手続きと同じです。必要事項を記載し、会社に書類を提出してください。
確定申告で申請する場合
確定申告を行う人は、申告書にて寡婦控除の申請をします。
おおまかな流れは、以下のとおりです。
| ①第一表の「所得から差し引かれる金額」に金額を記載する |
| ②第二表の右側にある「本人該当事項」にチェックをいれる |
まず申告書様式の第一表にある「所得から差し引かれる金額」の「寡婦、ひとり親控除」欄に、金額を記入してください。寡婦控除は定額27万円です。
次に第二表の「本人該当事項」にて、「寡婦控除」「ひとり親」欄の該当箇所へチェックを入れましょう。
あとは通常どおり記載し、税務署に提出してください。添付書類等は必要ありません。
寡婦年金はいくらもらえる?
公的年金では、夫が受け取るはずだった年金を寡婦に支給する「寡婦年金」制度があります。寡婦年金の詳細を見ていきましょう。
支給要件
寡婦年金の対象となるための要件は、故人である夫と寡婦である妻の両方に設定されています。
死亡日の前日までに、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上あること
10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていたこと
この場合の妻は、事実上の婚姻関係が含まれます。そのほかの概要は、以下のとおりです。
| 支給期間 | 妻が60歳から65歳になるまでの間 |
| 年金額 | 夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の3/4 |
なお以下の場合には、支給の対象外です。
- 亡くなった夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるとき
- 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているとき
申請方法
市区町村役場や年金事務所にある、年金請求書にて申請します。主に必要な添付書類は、以下のとおりです。
- 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
- 戸籍謄本(記載事項証明書)
- 世帯全員の住民票の写し
- 死亡者の住民票の除票
- 請求者の収入が確認できる書類
- 受取先金融機関の通帳等
遺族基礎年金との違いと2026年度の年金額
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者が亡くなったとき、該当者に生計を維持されていた遺族が受ける年金です。遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
遺族基礎年金の2026年度(令和8年度)の支給額
令和8年度(2026年度)の改定により、18歳年度末までの子がいる配偶者などが対象となる「遺族基礎年金」の額が引き上げられました。
| 項目 | 令和8年度(2026年度)の年額 |
|---|---|
| 遺族基礎年金(昭和31年4月2日以後生まれ) | 84万7,300円+子の加算額(前年度比+約1万5,600円) |
| 遺族基礎年金(昭和31年4月1日以前生まれ) | 84万4,900円+子の加算額 |
| 子の加算額(1人目・2人目) | 各24万3,800円 |
| 子の加算額(3人目以降) | 各8万1,300円 |
| 中高齢寡婦加算(40歳以上65歳未満の寡婦が対象) | 63万5,500円 |
たとえば「配偶者と子2人」の世帯では、本体の基礎年金額84万7,300円に第1子・第2子の加算額(各24万3,800円)が加わるため、合計で年間約133万4,900円が支給される計算です。
寡婦が遺族年金を受け取るためには、18歳到達年度末までの子供がいることなどが条件です。子どもが18歳年度末を過ぎると、遺族基礎年金は支給対象外となります。その場合も要件を満たしていれば、寡婦年金の対象となります。
【重要】2028年4月から遺族厚生年金の制度が大きく変わる
2025年6月20日に公布された年金制度改正法(令和7年法律第33号)により、2028年4月から遺族厚生年金の制度が大きく変わる予定です。寡婦の生活に直結する改正のため、概要を押さえておきましょう。
主な改正内容
| 改正項目 | 改正内容 |
|---|---|
| 遺族厚生年金の有期給付化 | 60歳未満で配偶者を亡くした場合、男女ともに原則5年間の有期給付に変更(現行:子のいない30歳以上の妻は無期限受給) |
| 中高齢寡婦加算の段階的廃止 | 40歳以上65歳未満の子がいない妻に支給される中高齢寡婦加算(2026年度は年約63万5,500円)が、2028年4月から25年かけて段階的に廃止 |
| 死亡分割制度の創設 | 亡くなった配偶者の厚生年金加入記録の一部(約半分)を、残された配偶者の年金記録に上乗せする仕組みを新設 |
| 子の遺族基礎年金の支給停止規定見直し | 収入要件の撤廃等により、子どもが遺族基礎年金を受け取れるケースが拡大 |
影響を受ける人・受けない人
2028年4月から施行される改正により、影響を大きく受けるのは「子のいない若い妻」です。一方、子育て世帯への影響は小さく、遺族基礎年金の子ども加算は増額の方向で検討されています。施行までに段階的な経過措置が設けられる予定のため、現時点で遺族厚生年金を受給している方が直ちに5年で打ち切られるわけではありません。
寡婦控除に関するよくある質問
寡婦控除とひとり親控除はどちらが優先されますか?
扶養している子がいる方は、寡婦控除ではなくひとり親控除が優先されます。ひとり親控除は男女問わず適用でき、控除額も大きいため(令和8年分の所得税で35万円、令和9年分以後は38万円)、子のある独身者はまずひとり親控除の要件を確認してください。子の要件を満たさない場合や子が独立した後の方は、寡婦控除(27万円)の対象になる可能性があります。
未婚のシングルマザーでも寡婦控除は受けられますか?
未婚の場合、寡婦控除の対象にはなりません。寡婦控除は「離婚」または「死別」が要件です。一方、ひとり親控除は婚姻歴を問わず(未婚・離婚・死別すべて)対象となるため、未婚で子を扶養しているシングルマザー・シングルファザーはひとり親控除の対象となります。
事実婚の相手がいる場合は寡婦控除を受けられますか?
事実婚の相手がいる場合、寡婦控除もひとり親控除も受けられません。住民票に「未届の夫」「未届の妻」などの記載がある場合は、寡婦・ひとり親に該当しないと判定されます。事実婚関係を解消した後であれば、他の要件を満たすことで対象となる可能性があります。
本人の所得が500万円を超えている場合はどうなりますか?
寡婦控除は合計所得金額500万円以下が要件のため、500万円を超える場合は対象外となります。一方、ひとり親控除は令和7年度税制改正により本人の合計所得金額要件が1,000万円以下に拡大されており、令和8年(2026年)分以後の所得税から適用されています。ひとり親に該当する方は所得が500万円超でも1,000万円以下であれば対象となります。
ひとり親控除の控除額はいつ38万円に引き上げられますか?
令和8年度税制改正により、ひとり親控除の控除額は所得税で35万円から38万円へ引き上げられますが、適用は令和9年(2027年)分以後の所得税からです。住民税の控除額(30万円→33万円)の引き上げは令和10年度(2028年度)分以後の個人住民税から適用されます。令和8年(2026年)分の所得税では、控除額はまだ35万円のままなので、年末調整や確定申告では誤らないようご注意ください。
扶養親族の所得要件はどう変わりましたか?
扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額要件は、令和7年12月1日以後、48万円以下から58万円以下に引き上げられています。さらに令和8年度税制改正により、令和9年(2027年)分以後の所得税からは62万円以下に引き上げられる予定です。寡婦控除の扶養親族要件・ひとり親控除の子の所得要件にも同様に適用されます。
寡婦控除を申請するための必要書類はありますか?
寡婦控除を受けるための添付書類は基本的に必要ありません。会社員の場合は年末調整時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「寡婦」欄にチェックを入れて提出するだけです。確定申告の場合も、申告書第一表の「寡婦、ひとり親控除」欄に金額を記入し、第二表の「本人該当事項」にチェックを入れれば完了します。ただし、税務署から個別に確認を求められる場合があるため、戸籍謄本等の関連書類は保管しておくと安心です。
寡婦年金と遺族基礎年金は同時に受給できますか?
寡婦年金(妻が60歳〜65歳までの間に夫の老齢基礎年金額の3/4を受給する制度)と遺族基礎年金は、同じ要件で同時に受給することはできません。寡婦年金は国民年金第1号被保険者の夫が老齢基礎年金を受給する前に亡くなった場合の特例的な給付で、遺族基礎年金が支給される世帯(18歳年度末までの子がいる配偶者)とは想定するケースが異なります。詳しくは年金事務所にご確認ください。
2026年度の遺族基礎年金はいくらですか?
2026年度(令和8年度)の遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年額84万7,300円(前年度比約1万5,600円増)です。これに子の加算額(1人目・2人目は各24万3,800円、3人目以降は各8万1,300円)が上乗せされます。たとえば「配偶者と子2人」の世帯では合計で年間約133万4,900円が支給される計算です。なお、40歳以上65歳未満の寡婦が対象となる中高齢寡婦加算は2026年度で年額63万5,500円となっています。
2028年4月以降、遺族厚生年金はどう変わりますか?
2025年6月20日公布の年金制度改正法により、2028年4月から遺族厚生年金は大きく変わります。主な改正点は、①60歳未満で配偶者を亡くした場合、男女ともに原則5年間の有期給付となる(現行は子のいない30歳以上の妻は無期限受給)、②中高齢寡婦加算が25年かけて段階的に廃止される、③死亡分割制度(亡くなった配偶者の厚生年金記録の約半分を残された配偶者に上乗せ)が新設される、の3点です。施行までには段階的な経過措置が設けられる予定で、子育て世帯への影響は限定的とされています。
まとめ
寡婦控除は、死別または離婚後の生活を支援するための税制優遇制度です。夫と死別した女性、または離婚して扶養親族がいる女性で、年間所得が500万円以下の場合が対象となり、控除額は27万円です。
近年は税制改正による見直しが相次いでおり、令和7年度税制改正でひとり親控除の本人所得要件が1,000万円以下に拡大、令和8年度税制改正では扶養親族の所得要件が62万円以下に引き上げられる予定です(令和9年分以後の所得税に適用)。ひとり親控除の控除額35万円→38万円への引き上げも令和9年分以後の所得税からの適用となるため、令和8年(2026年)分の所得税ではまだ35万円のままである点に注意してください。
また、2025年6月成立の年金制度改正法により、2028年4月から遺族厚生年金の制度も大きく変わります。寡婦の生活に直結するため、最新動向を継続的にチェックしておくことが大切です。
控除や年金制度は、生活の支えとなるセーフティネットのひとつです。要件を満たしていれば寡婦年金の支給も受けられ、子どもがいれば遺族年金の対象にもなります。必要に応じて申請し、自分や家族の暮らしを守ってください。
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