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寡婦とは何か?対象条件と控除の申請方法を解説

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寡婦控除は、夫と死別または離婚をした女性を対象とした制度です。平成2年の税制改正で制度が変更され、「寡婦控除」と「ひとり親控除」の2つに分かれました。大きな違いは、寡婦控除の対象は女性に限られ、子ども以外の扶養親族も要件に含まれることです。

今回は、寡婦控除と類似する制度の概要、申請方法についてまとめました。自分がどの控除の対象となるのか、判断する際の参考にしてください。

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この記事の目次

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寡婦とは?対象条件とひとり親との違い

寡婦控除を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。「ひとり親」に該当する場合には「ひとり親控除」の対象となります。

まずは寡婦とひとり親の違いを確認していきましょう。

国税庁の定義における寡婦の範囲

令和2年以後、寡婦控除の対象となる人の範囲は以下のように定められました。

■夫と離婚した後、婚姻をしておらず、扶養親族がいる
■夫と死別した後、婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない

その年の12月31日の時点で要件を満たす場合に、寡婦として認められます。また「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいいます。

なお寡婦の場合、扶養親族は自分の両親や兄弟、姻族などです。不要対象が子どもの場合は「ひとり親」に該当します。

参考:国税庁 寡婦控除

「寡婦」と「ひとり親」の違い

寡婦控除等を受けようとする際、「ひとり親」に該当する場合は対象外となります。ひとり親とは、以下の条件を満たす人のことです。ひとり親が以下の要件を満たす場合には、ひとり親控除の対象となります。

■婚姻をしていない、または配偶者の生死の明らかでない
■事実上の婚姻関係と認められる相手がいないこと
■生計を一にする子がいること

おおまかには、寡婦は「夫と離婚して扶養親族がいる・死別した人で、独身の女性」、ひとり親は「未婚または配偶者の生死が明らかでない場合で、子どものいる親」と言ってよいでしょう。

参考:国税庁 ひとり親控除

寡婦に該当する具体的なケースを紹介

寡婦控除の対象となるケースについて、具体的に見ていきましょう。夫と離婚した女性の場合、寡婦控除の対象となるのは、扶養親族がいる場合です。扶養親族とは、その年の12月31日時点で、次の要件を満たす人をいいます。

参考:国税庁 専門用語集

■6親等内の血族および3親等内の姻族や里子、市町村長から養護を委託された老人
■納税者と生計を一にしている
■年間の合計所得金額が48万円以下である
■青色申告者の事業専従者として、年内に一度も給与の支払を受けていない(または白色申告者の事業専従者でない)

従って、以下の例は寡婦控除の対象となります。

  • 夫と離婚後、収入のない老母を扶養している
  • 夫と離婚後、アルバイトの弟を扶養している

なお死別または生死不明の場合は、扶養親族の要件はありません。
また以下の場合は、寡婦控除の対象外です。

  • 夫と離婚後に開業し、妹を青色事業専従者にしている
  • 夫と死別後、事実婚状態の男性がいる

さらに扶養親族が独立したり、収入が上がったりした場合も、寡婦控除の対象から外れることがあります。

寡婦控除の控除額はいくら?

寡婦控除の控除額は定額です。申請の条件には、寡婦であることのほか、所得金額の制限があります。

寡婦控除の概要や、ほかの控除制度との違いをまとめました。

寡婦控除の概要

寡婦控除とは、所得税から一定の控除を受けられる仕組みです。控除額や対象者は、以下のとおりです。

対象者 合計所得金額が500万円以下の寡婦
控除額 27万円

離婚・死別に関わらず、合計所得金額は500万円が上限になります。

寡婦控除とひとり親控除や扶養控除の違い

ひとり親に該当する場合には、ひとり親控除が受けられます。また、控除対象扶養親族に該当する相手がいる場合は扶養控除の対象です。なお扶養控除は、扶養親族の区分によって控除額が違います。

参考:国税庁 扶養控除

各控除の対象と控除額は、以下のとおりです。

控除の種類控除額対象
寡婦控除27万円夫と死別・離婚(扶養親族あり)した女性
ひとり親控除35万円配偶者と死別・離婚し、扶養する子がある人
扶養控除控除対象扶養親族38万円16歳以上の扶養親族がある者
特定扶養親族63万円19歳から23歳までの控除対象扶養親族がいる者
老人扶養親族58万円70歳以上の同居老親等(それ以外の場合は、控除額は48万円)

自分がどの制度に該当するかわからないときは、自治体の担当窓口等に問い合わせてみましょう。

寡婦控除の申請方法

寡婦控除の申請方法は、会社員として年末調整で行う場合と、確定申告で行う場合の2つがあります。それぞれの申請手続きの流れや、必要な書類についてまとめました。

年末調整で申請する場合

会社員の場合は、年末調整にて寡婦であることを申告します。

毎年秋ごろに会社から配布される年末調整の書類のうち、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「主たる給与から控除を受ける」欄で、「寡婦」にチェックをつけてください。

あとは通常の手続きと同じです。必要事項を記載し、会社に書類を提出してください。

確定申告で申請する場合

確定申告を行う人は、申告書にて寡婦控除の申請をします。
おおまかな流れは、以下のとおりです。

①第一表の「所得から差し引かれる金額」に金額を記載する
②第二表の右側にある「本人該当事項」にチェックをいれる

まず申告書様式の第一表にある「所得から差し引かれる金額」の「寡婦、ひとり親控除」欄に、金額を記入してください。寡婦控除は定額27万円です。

次に第二表の「本人該当事項」にて、「寡婦控除」「ひとり親」欄の該当箇所へチェックを入れましょう。

あとは通常どおり記載し、税務署に提出してください。添付書類等は必要ありません。

寡婦年金はいくらもらえる?

公的年金では、夫が受け取るはずだった年金を寡婦に支給する「寡婦年金」制度があります。寡婦年金の詳細を見ていきましょう。

支給要件

寡婦年金の対象となるための要件は、故人である夫と寡婦である妻の両方に設定されています。

【夫(故人)】
死亡日の前日までに、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上あること

【妻(寡婦)】
10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていたこと

この場合の妻は、事実上の婚姻関係が含まれます。そのほかの概要は、以下のとおりです。

支給期間 妻が60歳から65歳になるまでの間
年金額 夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の3/4

なお以下の場合には、支給の対象外です。

  • 亡くなった夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるとき
  • 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているとき

申請方法

市区町村役場や年金事務所にある、年金請求書にて申請します。主に必要な添付書類は、以下のとおりです。

  • 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
  • 戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 死亡者の住民票の除票
  • 請求者の収入が確認できる書類
  • 受取先金融機関の通帳等

遺族年金との違い

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者が亡くなったとき、該当者に生計を維持されていた遺族が受ける年金です。遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、いずれかまたは両方の年金が支給されます。

支給額は、以下のいずれかです。

・昭和31年4月2日以後生まれ
81万6,000円+子の加算額

・昭和31年4月1日以前生まれ
81万3,700円+子の加算額

寡婦が遺族年金を受け取るためには、18歳未満の子供がいることなどが条件です。子どもが18歳になると、支給対象外となります。その場合も要件を満たしていれば、寡婦年金の対象です。

まとめ

寡婦控除は、死別または離婚後の生活を支援するための税制優遇制度です。夫と死別した女性、または離婚して扶養親族がいる女性で、年間所得が500万円以下の場合が対象となります。申請は、会社員は年末調整で、自営業などの場合は確定申告で行います。

また要件を満たしていれば、寡婦年金の支給も受けられます。子どもがいれば、遺族年金の対象です。

控除や年金制度は、生活の支えとなるセーフティネットのひとつです。必要に応じて申請し、自分や家族の暮らしを守ってくださいね。

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