「介護休業給付金」とは、家族の介護のために休業する雇用保険被保険者に対し、ハローワークから休業開始時賃金日額の67%相当額が支給される公的給付制度です。対象家族1人につき通算93日まで受給でき、月収30万円の方なら約20万円/月、上限は月額356,574円(令和7年8月1日〜令和8年7月31日)が支給されます。
注意したいのが、年5日取得できる「介護休暇」との違いです。介護休暇は勤務先で完結する短期休暇で、給与の有無は会社の就業規則によります。一方、介護休業は長期休業を前提とした制度で、雇用保険からの給付金とセットで運用されます。両者は名称が似ているため混同されやすいですが、目的・期間・申請先がまったく異なります。
さらに、「介護休業給付金はいつもらえる?」「介護休業給付金の審査は厳しい?」「支給決定通知書はいつ届く?」「介護休暇は有給扱い?」「1日だけの取得もできる?」「もらえないケースは?」など、制度には細かいルールがあり、わかりにくい部分も多くあります。
この記事では、介護休業制度の全体像と2025年改正のポイント、介護休業・介護休暇の違い、介護休業給付金の対象者・支給額・必要書類・いつもらえるかの目安・審査の実態・もらえないケース、ハローワークでの申請方法までを網羅的に解説します。
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この記事の目次
介護休業制度とは?介護休業給付金・介護休暇の全体像
介護休業制度とは、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に基づく、家族の介護を行う労働者のための法定制度です。介護休暇・介護休業を中心に、短時間勤務等の措置や所定外労働の制限などが定められています。
実務の現場では介護休業を「介護休職」と呼ぶ会社もありますが、雇用保険法上の正式な制度名は「介護休業」です。介護休職という名称で社内ルールが設けられている場合でも、育児・介護休業法の介護休業の要件を満たせば、ハローワークの介護休業給付金の対象になります。
全体の概要は、以下の図も参照してください。

出典:介護休業制度(厚生労働省)
介護休業と介護休暇の違い【比較表】
介護休業と介護休暇は、名前は似ていますが期間・給付金・取得単位が大きく異なります。整理すると以下のとおりです。
| 項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 期間 | 年5日(対象家族2人以上は年10日)/1日または時間単位 | 対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可) |
| 給与・手当 | 会社の規定による(有給か無給かは就業規則次第) | 給与は原則無給だが、雇用保険の介護休業給付金あり(賃金の67%相当) |
| 申請先 | 勤務先(書面または口頭) | 勤務先+ハローワーク(給付金申請) |
| 用途 | 通院付添い・ケアマネジャーとの打合せなど短時間の対応 | 仕事と介護の両立体制を整えるための長期休業 |
介護休暇は、短期間または緊急時に利用できる休暇で、給料の有無は会社によって異なります。一方で介護休業は、より長期に家族の介護を行うための休業で、介護休業給付金という経済支援制度と連動しています。
育児・介護休業法の2025年改正で介護制度はどう変わった?
2025年(令和7年)4月1日から、入社6か月未満の労働者を介護休暇の対象外とする労使協定の仕組みが撤廃されました。これにより、入社直後の労働者でも要件を満たせば介護休暇を取得できます。
また、2025年4月改正では、介護と仕事の両立を支援するために以下の措置も事業主に義務化されています。
- 介護に直面した労働者への個別周知・意向確認の義務化
- 介護に直面する前の労働者(40歳到達時点)への情報提供の義務化
- 研修や相談窓口の設置など、介護休業を取得しやすい雇用環境の整備義務化
介護休業給付金の受給要件(休業開始日前2年間に被保険者期間が12か月以上)は改正の影響を受けていません。改正内容の詳細は関連記事もご参照ください。
介護休暇とは?対象者・取得日数・給与の扱い・申請方法
介護休暇とは、労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できる、家族の介護のための法定休暇です。家族の介護等で急に予定を変更せざるを得なくなった時に活用できます。「介護有給」「介護有給休暇」と検索される制度はこの介護休暇のことを指す場合が多いですが、給料が有給か無給かは会社の就業規則によります。介護休暇で取得できる日数と単位
介護休暇で取得できる日数は、対象となる家族の人数によって異なります。
- 対象家族が1人の場合:年5日まで
- 対象家族が2人以上の場合:年10日まで
上記は、1日または時間単位で取得可能です。なお、半日または時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者については、労使協定を締結している場合、1日単位でのみ取得できます。通院の付添い、ケアマネジャーとの面談、入院付き添いなど、短時間で済む介護対応にも柔軟に使えます。
介護休暇の対象となる労働者と家族の範囲
介護休暇の対象は、対象家族を介護する労働者です。ただし、以下の場合は対象外です。
- 日々雇用労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
なお、2025年4月1日から、入社6か月未満の労働者を対象外とする要件は廃止となりました。これにより、入社直後でも条件を満たせば介護休暇を取得できます。
また、対象となる家族は以下のとおりです。
・父母
・養子含む子
・配偶者の父母
・祖父母
・兄弟姉妹
・孫
介護関係の「子」の範囲は、養子を含む、法律上の親子関係がある子のみです。
介護休暇は有給?無給?給与の扱いはどうなる?
結論として、介護休暇の給与の有無は会社の就業規則によって決まります。育児・介護休業法は「介護休暇を与えること」を義務化していますが、「有給とすること」までは義務付けていません。
給与の扱いは、以下のパターンに分かれます。
| 会社の規定 | 給与の扱い |
|---|---|
| 有給として整備 | 介護休暇日も通常の賃金を支給 |
| 無給として整備 | 介護休暇日の賃金は支給されず、雇用保険からの給付金もなし |
| 半額支給などのハイブリッド | 会社独自ルールに基づく |
介護休暇は雇用保険からの給付金対象外のため、無給の場合はハローワークからの補填もありません。無給扱いになる会社の場合、まずは年次有給休暇と組み合わせて取得を検討し、より長期の休みが必要になれば介護休業+介護休業給付金への切り替えを検討するのが実務的です。
介護休暇の申請方法(手続き)
介護休暇の申請方法は、勤務先への書面の提出もしくは口頭での申出によって行います。社内で規定されている書面等がある場合は、社内様式を使用してください。介護休暇は雇用保険からの給付金がないため、ハローワークでの手続きは不要です。
なお、社内に介護休暇制度がないと感じる会社でも、育児・介護休業法に定められた法定制度のため、要件を満たす労働者は取得を申し出ることができます。会社が独自の「介護特別休暇」や「福祉休暇」を別途設けている場合もあり、就業規則を確認しましょう。
介護休業とは?対象者・期間・要件をわかりやすく解説
介護休業とは、対象家族1人につき、通算93日・3回まで取得できる長期休業です。介護休暇よりも長期の休みを取得できるので、実際に介護を行うだけでなく、「介護と仕事を両立するための体制づくりの期間」として想定されています。
介護休業給付金の対象となる介護休業の要件は、以下のとおりです。
②被保険者が、事業主にその期間範囲に関して申し出を行い、実際に取得した休業であること
ただし、介護休業は、産前・産後休業中に開始することはできません。また、介護休業の期間中に他の家族に対する介護休業、産前・産後休業、育児休業が開始された場合、それらの新たな休業の開始日の前日をもって当初の介護休業は終了します。
介護休業の93日の数え方とリセットの考え方
介護休業の通算93日は、同一の対象家族1人につきの上限です。対象家族が複数いる場合は、家族ごとに93日まで取得できます。
「介護休業 93日 リセット」「介護休業 使い切った」「介護休業 180日」と検索される論点は、以下のように整理できます。
- 同一の対象家族については、93日を超えて再度取得することはできません(リセットはありません)
- 3回までの分割は可能で、合計93日が上限です
- 別の対象家族(例:父の次に母)について介護休業を取得する場合は、別途93日が認められます
- 180日や長期化を要する場合は、介護休業終了後に「短時間勤務」「所定外労働の制限」「フレックスタイム」等の措置を活用するのが基本です
介護休業を1日だけ取得することはできる?
結論として、介護休業は1日だけの取得も制度上は可能です。「介護休業給付金 1日だけ」と多く検索されている論点ですが、要件にある「2週間以上の常時介護が必要な状態」は、休業の取得期間ではなく、対象家族が継続的に介護を必要とする状態を示しています。
ただし注意点として、介護休業は対象家族1人につき通算93日を3回までしか分割できません。1日単位での取得を重ねると分割回数を消費するため、短時間の対応であれば介護休暇(年5日/2人以上で年10日)を使う方が実務的です。
介護休業給付金とは?対象者・支給額・条件
介護休業給付金とは、介護休業期間中に雇用保険から支給される給付金です。雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合、休業開始時賃金日額の67%相当額が支給されます。一般に「介護給付金」「介護手当給付金」「介護休暇給付金」と呼ばれることもありますが、正式名称は「介護休業給付金」です。
介護休業給付金の対象者と条件(雇用保険との関係)
介護休業給付金の対象者は、雇用保険の被保険者で、以下の要件をすべて満たす方です。
・原則として、介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上ある
・有期雇用労働者の場合、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月後までに、労働契約が満了することが明らかでないこと
また、労使協定を締結している場合、以下の人は対象外です。
・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
労使協定とは、労働組合または労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定のことです。
なお、個人事業主・フリーランス・会社役員(雇用保険に加入していない方)は介護休業給付金の対象外です。介護休業給付金は雇用保険からの給付であるため、雇用保険の被保険者であることが必須要件です。パート・アルバイトでも雇用保険に加入していれば対象になります。
介護休業給付金はいくらもらえる?月収別の支給額目安
介護休業給付金は、1回の介護休業につき、毎回1か月ごとの「支給単位期間」の支給額を計算して支給されます。1回の介護休業期間は最大3か月なので、最大で3支給単位期間です。
介護休業給付金の1支給単位期間ごとの給付額は、以下の式で算出します。
休業開始時賃金日額は、原則として、介護休業開始前6か月間の総支給額を180で除した額です。
正確な金額は提出する雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書から算出されますが、1か月の介護休業を取得した場合、支給額の目安は以下のとおりです。
| 月収の目安 | 1支給単位期間あたりの支給額目安 |
|---|---|
| 15万円 | 約10万円 |
| 20万円 | 約13万4,000円 |
| 30万円 | 約20万1,000円 |
| 40万円 | 約26万8,000円 |
| 50万円以上(上限適用) | 356,574円(上限額) |
給付額には上限と下限が設けられています。令和7年8月1日〜令和8年7月31日の上限額は356,574円、下限額は90,420円です。この金額は毎年8月1日に改定されます。
また、支給対象期間中に賃金支払い日があり、そこで支払われた賃金の額と賃金日数の67%相当額の合計額が賃金月額の80%を超えるときは、支給額は以下のように調整されます。
・賃金が休業開始時賃金日額×支給日数の13%〜80%:賃金月額の80%相当額と賃金の差額
・賃金が休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上:支給なし
介護休業給付金は所得税・住民税ともに非課税で、社会保険料の控除もないため、額面がほぼ手取り額として受け取れます(社会保険料本体は別途会社経由での納付が必要な場合あり)。
介護休業給付金はいつもらえる?いつ振り込まれる?
「介護休業給付金 いつもらえる」「介護休業給付金 いつ振り込まれる」と多く検索されているとおり、振込時期は気になるポイントです。介護休業給付金の支給時期は、おおむね支給決定日から1週間程度で振り込まれます。
申請から振込までの流れは以下のとおりです。
- 介護休業終了日の翌日から2か月後の月末までに申請
- ハローワークが審査(1〜2か月程度)
- 「介護休業給付支給決定通知書」が郵送される
- 支給決定日から約1週間で口座に振り込まれる
つまり、介護休業終了から実際の振込までは、おおむね1〜3か月程度の期間を見ておきましょう。介護休業中の生活費は事前に確保しておくか、勤務先からの一部給与支給・他の給付制度との併用を検討するとよいでしょう。
介護休業給付金支給決定通知書はいつ届く?内容の見方
介護休業給付金支給決定通知書は、申請受理からおおむね2〜4週間程度で郵送されます。原則として事業主宛てに送付されるため、本人には勤務先経由で受け取るケースが多いです。
通知書に記載されている主な項目は以下のとおりです。
- 支給決定額(実際に振り込まれる金額)
- 支給単位期間(対象となる期間)
- 支払日(口座への振込予定日)
- 次回申請の締切
通知書が届いてから振込までは約1週間が目安です。通知書がなかなか届かない場合、書類不備で審査が遅延している可能性があるため、ハローワークに問い合わせましょう。
介護休業給付金の審査は厳しい?審査期間の目安
「介護休業給付金 審査 厳しい」「介護休業給付金 審査 期間」と検索される方が多いですが、介護休業給付金の審査は原則として書類要件を満たせば支給される制度で、他の助成金のような裁量的な採否判断はありません。
ただし、以下の点はハローワーク側で厳密にチェックされます。
・介護休業申出書と実際の休業実績が一致しているか
・支給対象期間中の賃金支払い額(80%以上支給されていないか)
・対象家族の続柄・氏名が住民票等で確認できるか
・介護休業終了後に職場復帰する予定があるか
審査期間の目安は申請から支給決定まで1〜2か月程度です。書類不備がなければ、必要書類提出から4〜6週間ほどで支給決定通知書が届きます。書類差戻しがあると1〜2か月遅延することもあるため、初回申請時は必ずハローワークで書類チェックを受けることをおすすめします。
介護休業給付金がもらえない・審査に落ちるケース
「介護休業給付金 もらえない」「介護休業給付金 審査 落ちた」と検索される論点をまとめると、以下のいずれかに該当する場合は給付対象外となります。
・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
・休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われている
・同一の対象家族について、3回を超えて再度介護のための休業を取得する
・休業前から退職を予定している(職場復帰が前提)
・被保険者期間が12か月に満たない
・雇用保険に加入していない(個人事業主・フリーランス・短時間労働者の一部)
・対象家族が「2週間以上の常時介護が必要な状態」に該当しない
「介護休業給付金 復帰できない」というケースもあります。介護休業給付は、介護休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。休業前にすでに退職を予定している場合には、介護休業給付の支給対象となりません。やむを得ず休業中に退職した場合は、それまでの支給単位期間分は支給される場合もあるため、ハローワークに相談してください。
介護休業給付金の申請方法と必要書類【ハローワーク】
介護休業給付金の受給手続は、事業所を管轄するハローワークで行います。「介護休暇 ハローワーク」と検索される方も多いですが、ハローワークでの手続きが必要なのは介護休業給付金であって、介護休暇そのものではない点に注意してください。
介護休業給付金の申請期限
介護休業終了日の翌日から2か月後の月の月末までに「介護休業給付金支給申請書」と「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を、事業所を管轄するハローワークに提出してください。
申請手続きは原則として、事業主を経由して行います。ただし、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続きを行うことも可能です。
介護休業給付金の必要書類一覧
申請に必要な書類は以下のとおりです。
| 受給資格確認に必要な書類 | |
|---|---|
| ①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 事業主が記入 |
| ②賃金台帳・タイムカード等 | 賃金の額および賃金の支払い状況を証明する書類 |
| 支給申請に必要な書類 | |
| ①介護休業給付金支給申請書 | 個人番号欄にマイナンバー(個人番号)の記載が必要 |
| ②被保険者が事業主に提出した介護休業申出書 | 休業の取得を申し出た文書 |
| ③住民票記載事項証明書等 | 介護対象家族の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類 |
| ④出勤簿・タイムカード等 | 介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類 |
| ⑤賃金台帳等 | 支給対象期間中に支払われた賃金の額、賃金の支払い状況、休業日数、就労日数を確認できる書類 |
なお、介護休業の取得に医師の診断書は原則として必要ありません。「対象家族が2週間以上の常時介護を必要とする状態」かどうかは、要介護認定の結果や、家族・本人による状態説明によって判断されます。
事業主が使える介護関連助成金と連携する
労働者が介護休業を取得した場合、事業主は「両立支援等助成金 介護離職防止支援コース」で最大80万円の助成金を受けられる可能性があります。従業員側の介護休業給付金とは別制度で、事業主が申請するものです。制度を導入している会社は、労働者の申請に理解を示しやすくなります。
東京都では、独自の「介護休業取得応援奨励金」も用意されています。
介護休業のメリット・デメリット・注意点
介護休業の活用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットや注意点も理解しておきましょう。「介護休業 デメリット」と検索される論点を整理します。
介護休業のメリット
- 賃金の67%相当の介護休業給付金が支給されるため、収入減少を一定程度カバーできる
- 休業期間中も雇用が継続するため、退職せずに介護に専念できる
- 仕事と介護の両立のための体制づくり(ケアプラン作成、介護サービスの手配等)の時間を確保できる
- 育児・介護休業法により事業主は休業を拒否できないため、原則として確実に取得できる
- 給付金は非課税で、額面がほぼ手取り額となる
介護休業のデメリット・注意点
- 支給額は賃金の67%であり、満額の支給ではない
- 給付金の振込は休業終了後となるため、休業中の現金収入は減少する
- 通算93日・3回までの上限があり、長期介護には不足する場合がある
- 休業中は社会保険料の免除がない(育児休業との大きな違い)
- 賞与・退職金の算定で休業期間が控除される場合がある(会社の規定による)
- 復帰後のキャリアや業務分担に影響する可能性がある
なお、介護休業給付金と育児休業給付金は制度設計が似ていますが、社会保険料免除の有無や取得日数の上限が大きく異なります。育児休業給付金の詳細と比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。
介護で退職する前に知っておきたい支援制度
「親の介護で働けない」「介護のため退職」「介護を理由に退職」と悩む方は少なくありません。介護退職は、年金や社会保険、生涯収入に大きく影響するため、退職する前に活用できる支援制度を確認しましょう。
仕事と介護の両立を支える法定制度
育児・介護休業法には、介護休業・介護休暇のほかにも仕事と介護の両立を支える制度があります。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 短時間勤務等の措置 | 対象家族1人につき、利用開始から3年の間で2回以上利用可能 |
| 所定外労働の制限 | 残業をしないことを請求できる |
| 時間外労働の制限 | 月24時間・年150時間を超える時間外労働をしないことを請求できる |
| 深夜業の制限 | 深夜(22時〜5時)に労働させないことを請求できる |
これらの制度は介護休業給付金とは別に勤務先に申し出ることで利用できます。「介護しながら働く」「介護をしながら仕事」を継続するための強力な味方です。
雇用保険のその他の給付金と併用できる?
やむを得ず退職した場合、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給できる可能性があります。ただし、介護休業給付金と基本手当は同時受給できません。介護休業は職場復帰前提の制度、基本手当は求職活動前提の制度で、位置づけが異なるためです。
介護退職の場合、家族の介護を理由とした「特定理由離職者」として扱われ、給付制限期間なしで基本手当を受給できるケースがあります。詳細はハローワークにご確認ください。
公務員の介護休暇との違い
公務員の介護休暇は、地方公務員法・国家公務員法に基づく別制度です。公務員の場合は最大6か月(180日相当)まで取得可能で、給与の60%が支給される等、民間と異なるルールが適用されます。公務員の方は、所属組織の人事担当部署に確認してください。
介護休業申請手続きの注意点と相談窓口
介護休業申請手続きは原則として、事業主を経由して行います。ただし、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続きを行うことも可能です。
支給には、職場復帰が前提です。休業取得後、そのまま退職する予定がある場合には、支給対象とはなりません。申請時には、以下の点をあらかじめ押さえておきましょう。
- 事業主への介護休業申出書の提出は、休業開始予定日の2週間前までに行う
- 申出が遅れた場合は、事業主が休業開始日を一定範囲で指定できる
- 支給申請書の提出期限(介護休業終了日の翌日から2か月後の月末)を厳守する
- 休業中に賃金が支払われる場合は、ハローワークに必ず申告する
介護休業の相談窓口
介護休業や介護休業給付金についてわからないことがあれば、以下の相談窓口に問い合わせましょう。
・都道府県労働局 雇用環境・均等部(室):会社が介護休業を認めないなどの労働問題に関する相談
・地域包括支援センター:介護そのものや、家族の介護サービス利用に関する相談
・市区町村の介護保険担当窓口:要介護認定や介護サービスに関する相談
介護休暇・介護休業給付金に関するよくある質問
介護休暇・介護休業給付金についてよく寄せられる質問と回答をまとめました。介護休業給付金はいつもらえる・いつ振り込まれますか?
介護休業終了後にハローワークへ申請し、審査(1〜2か月程度)を経て支給決定されます。支給決定日からおおむね1週間程度で口座に振り込まれます。介護休業終了から実際の振込までは、おおむね1〜3か月程度の期間を見ておきましょう。詳しい振込日は「介護休業給付支給決定通知書」で確認できます。
介護休業給付金の審査は厳しいですか?
介護休業給付金の審査は書類要件を満たせば原則支給される仕組みで、他の助成金のような裁量的な採否判断はありません。ただし、雇用保険被保険者期間が12か月以上あるか、休業実績と申出書が一致しているか、休業中の賃金が賃金月額の80%未満か、対象家族の続柄が住民票等で確認できるか、職場復帰の予定があるかは厳密にチェックされます。書類不備がなければ申請から支給決定まで1〜2か月程度が目安です。
介護休業給付金がもらえない・審査に落ちるのはどんなケースですか?
主に以下のケースで給付対象外となります。①休業開始日前2年間の被保険者期間が12か月未満、②休業中に賃金の80%以上が支払われている、③同一の対象家族について3回を超える取得、④休業前から退職を予定している、⑤雇用保険に加入していない(個人事業主・短時間労働者の一部)、⑥対象家族が「2週間以上の常時介護が必要な状態」に該当しない。書類不備で差し戻されるケースもあるため、申請前にハローワークで確認することをおすすめします。
介護休業給付金の上限額はいくらですか?
令和7年8月1日〜令和8年7月31日の1支給単位期間あたりの上限額は356,574円、下限額は90,420円です。上限額は毎年8月1日に改定されます。この上限を超える月給の方でも、給付金は上限額までとなります。給付金は非課税のため、額面がほぼ手取り額となります。
介護休業給付金支給決定通知書はいつ届きますか?
介護休業給付金支給決定通知書は、申請受理からおおむね2〜4週間程度で郵送されます。原則として事業主宛てに送付されるため、本人には勤務先経由で受け取るケースが多いです。通知書には支給決定額・支給単位期間・支払日・次回申請の締切が記載されており、通知書が届いてから約1週間で振込されます。
介護休暇は有給扱いですか?無給ですか?
介護休暇の給与の有無は会社の就業規則によって決まります。育児・介護休業法は介護休暇を与えることを義務化していますが、有給とすることは義務付けていません。有給として整備している会社もあれば、無給の会社もあります。無給の場合は雇用保険からの補填もないため、まずは年次有給休暇との組み合わせや、より長期の休みが必要な場合の介護休業+介護休業給付金への切り替えを検討しましょう。
介護休業を1日だけ取得した場合、給付金の対象になりますか?
介護休業の取得期間が2週間以上である必要はありません。要件にある「2週間以上の常時介護が必要な状態」は、介護休業の取得期間ではなく、対象家族が継続的に介護を必要とする状態を示すものです。なお、介護休業は対象家族1人につき通算93日を3回まで分割して取得可能です。1日だけの取得も制度上は認められますが、分割回数の上限があるため、短期間の対応は介護休暇の利用が実務的です。
介護休業の93日はリセットされる?使い切ったら再取得できますか?
同一の対象家族について介護休業の93日を使い切った場合、リセットはなく再取得はできません。3回までの分割を含めて合計93日が上限です。ただし、別の対象家族(例:父の次に母)について介護休業を取得する場合は、家族ごとに新たに93日まで取得可能です。長期化する場合は、短時間勤務・所定外労働の制限などの両立支援制度を併用しましょう。
個人事業主・フリーランスでも介護休業給付金はもらえますか?
いいえ、介護休業給付金は雇用保険からの給付であるため、雇用保険の被保険者であることが必須です。個人事業主・フリーランス・会社役員(雇用保険に加入していない方)は対象外です。該当する方は、市区町村の生活支援制度や、家族介護者向けの介護給付(介護保険の家族介護慰労金など)を検討してください。パート・アルバイトでも、雇用保険に加入していれば対象になります。
入社して6か月未満なら介護休暇は取れないのですか?
2025年(令和7年)4月1日から、入社6か月未満の労働者を対象外とする労使協定の仕組みは廃止されています。そのため、入社後6か月以内の方も介護休暇を取得できます。ただし、1週間の所定労働日数が2日以下の場合や、日々雇用の労働者は引き続き対象外です。
勤務先に介護休暇制度がない・認めてくれない場合はどうすればいいですか?
介護休暇・介護休業は育児・介護休業法に基づく法定制度のため、就業規則に明記されていなくても、要件を満たす労働者は取得を申し出ることができます。会社が制度を認めない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談しましょう。指導・助言が行われ、是正されるケースが多くあります。退職を考える前にまずは外部の相談窓口に問い合わせることをおすすめします。
介護休業(介護休職)に医師の診断書は必要ですか?
介護休業の取得に医師の診断書は原則として必要ありません。「対象家族が2週間以上の常時介護を必要とする状態」かどうかは、要介護認定の結果や、家族・本人による状態説明によって判断されます。会社が独自に診断書の提出を求める場合は社内ルールに従いますが、法律上の必須書類ではありません。
まとめ
介護は、「高齢の親を持つ労働者」だけの問題ではありません。子供や配偶者、自分自身が要介護の状態となったときには、家族全体の生活を調整していく必要があります。介護の問題は、誰もが当事者になりうる社会的課題のひとつです。
介護休業制度は、育児・介護休業法に基づき、仕事と介護を両立するための支援として整備された法定制度です。介護休暇・介護休業・介護休業給付金を組み合わせ、短時間勤務等の措置や所定外労働の制限とあわせて活用することで、介護離職を防ぐことができます。
この記事のポイントを振り返ります。
・介護休業:対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可能。1日だけの取得も可
・介護休業給付金:休業開始時賃金日額×支給日数×67%(雇用保険から支給)
・上限額:令和7年8月1日〜令和8年7月31日の上限は356,574円/支給単位期間
・申請先:介護休暇は勤務先のみ/介護休業給付金は事業所管轄のハローワーク
・振込時期:支給決定日からおおむね1週間。終了から振込まで1〜3か月程度
・審査:書類要件を満たせば原則支給。裁量的な採否判断はなし
・もらえないケース:雇用保険未加入、休業前退職予定、賃金80%以上支給、被保険者期間12か月未満 等
・個人事業主・フリーランスは対象外(雇用保険の被保険者であることが必須)
・退職前に短時間勤務・所定外労働制限など両立支援制度の活用を検討
介護休業給付金をはじめとする支援制度を活用し、少しでも負担を減らしながら、大変な時期を乗り越えていきましょう。「親の介護で働けない」と悩んでいる方も、退職を選ぶ前にぜひこの制度を活用してみてください。
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