IT市場が急成長している昨今では、あらゆる分野で将来性が期待できるIT・IoTを導入する企業が増加傾向にあります。そんな中、東京都北区ではIT等の導入費用を補助する「IT・IoT導入チャレンジ支援事業」を実施しています。
この記事では本支援事業の内容に加え、ITとIoTの違いや活用のメリットについても詳しく解説します。IT・IoTを利用して業務効率化や生産性向上を図りたい、また資金や人材不足等の理由でIT・IoT導入をためらっていたなどの対象事業者は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
ITとIoTの違いは?
【ITとIoTの意味】
IT(Information Technology)とは「情報技術」を意味し、コンピューターに関するあらゆるデータや情報を作成・処理・保存する技術の総称です。企業におけるIT化の推進は、業務効率化や生産性向上のために欠かせない取り組みです。また近頃では、ITとほぼ同義で「情報通信技術」を意味するICT(Information and Communication Technology)という表現が、ITに代わり定着し始めています。
そしてIoT(Internet of Things)とは、直訳すると「モノのインターネット」です。デジタル化が進み、家電や自動車などの「モノ」をインターネットに接続することで、離れた場所からでも対象物の操作や情報収集が可能となりました。この技術を活用し、あらゆる「モノ」がインターネットに接続された社会を実現するため、IoTの活用が重要視されています。
出典:厚生労働省 ICTやIoT等を活用した働き方
IT・IoT導入チャレンジ支援事業とは
ここからは、東京都北区が実施する「IT・IoT導入チャレンジ支援事業」の内容についてみていきます。
本支援事業は東京都北区の中小企業者に対し、IT・IoT等の導入に係る費用の一部を補助し、労働生産性を向上させることを目的としています。
本事業における「IT・IoT等」の定義
本事業での「IT・IoT等」は下記の項目を指します。
- ソフトウェア・サービス等の情報通信関連ツール
- インターネットに接続された多様・多数の物から送信される、もしくはそれらの物へ送信される多くの情報の活用についての技術
- 当該情報の活用によって創出される付加価値によって、事業者の経営の能率、生産性向上、新規事業の創出、就業機会の増大を生み、国民生活の向上や国民経済の健全な発展に貢献するもの
補助対象者
中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条1項に規定する中小企業者の中で、下記の条件を全て満たしている者とします。
- 区内に本社もしくは主たる事業所を保有する(※)中小企業、または区内に事業主の住所を持つ個人事業者。
- 区内で1年以上継続的に事業を営んでいる。
- 法人都民税(個人事業者の場合は特別区民税)を滞納していない。
(※)「区内に本社もしくは主たる事業所を保有する」とは、本店もしくは支店を北区で登記し、主たる事務所として届け出を行っており、実質的に申請者の事業が営まれていることを指します。ただ登記があり事業を形式的に営んでいる状態では不十分であり、下記の内容から総合的な判断を行います。
- 会社の概要
- ホームページ
- 名刺
- 事業所の態様(社名の看板や表札等)
- 電話等連絡時の状況
- 事業実態や従業員の状況等
客観的な視点から、北区に根付くよう事業活動が実質的に行われることが求められます。
補助要件
- 補助を受ける予定の年度内にIT・IoT等の導入を行い経費を支出する。
- 同一のIT・IoT等について、北区以外から経費の補助や交付決定を受けていない。
- IT・IoT等を導入することで労働生産性の向上が予測される。
補助対象経費
区分 | 概要 | 備考 |
①ソフトウェア費用 | パッケージソフト、新たに構築されたソフト、カスタマイズしたソフトを問わないこととします。 | 自社製作ソフトの人件費は除きます。有償、無償に関係なく、システム構築に要するソフトウェアの導入を必須とします。 |
②IT・IoT導入に関する機器費用 | データ収集、送受信、利活用を目的とした機器費用(各種センサー類、カメラ、GPS、Wi-Fi等の無線機器)並びにこれらの設置費用 | パソコン、タブレット、スマートフォン、サーバー等の汎用性を備えた機器は、専ら補助対象事業者の生産性向上を目的として利用するものであることとします。また、適切な機能・スペックの設備を選ぶこととします。 |
③クラウド費用 | クラウドサービスの利用費用 | 契約期間が補助対象期間を超過する場合は、按分により補助対象期間分を算出することとします。 |
④リース料 | 上記①、②もしくは③をリース契約に則り支払うリース料 | 導入初年度に加え、補助対象期間内の費用のみ対象とします。内訳で対象経費を明瞭にすることとします。 |
⑤外注費・委託費 | 補助対象の事業実施に要するシステム開発並びに設計に関する外注費もしくは委託費 | ー |
⑥専門家経費 | IT・IoTの導入もしくは活用方法を実証するため、外部事業者(専門家)等から技術指導を受ける際に必要な謝金もしくは委託費 | ー |
⑦その他、区長が補助対象として適当であると判断するもの | 技術の進展等により①から⑥までに含まれていないものの、対象とすることが補助対象事業者の生産性向上等に寄与すると想定されるもの | ー |
【補助対象経費の例】
- ウェブ会議用ITツールの導入
- クラウドの活用による販売管理システム、顧客管理システムの導入
- センサーやIoTツール等の導入による生産性や不良率の見える化
- AIや画像認識の技術を使った顧客対応の自働化や効率化
- BluetoothやICタグを活用しレストランの注文を省力化 など
【対象外の例】
- 消費税等の間接経費
- 汎用性が高いとみなされるもの
- 補助対象経費の支払先が補助対象事業者の役員、もしくは役員が所属する企業等であるもの
※IT・IoT相談員へ前もってご相談の上で申請していただくため、まずはご相談ください。
補助限度額、補助率
補助金額は2/3の額とし、最大100万円です。今年度より上限額が50万円から100万円に増額されています。
※補助金額が5万円未満のものは対象外とします。
【補助件数】
5件程度(先着順)
【補助対象期間】
2023年2月末日まで
申請方法
申込の流れ |
1.申込を行う前に、まず「北区 産業振興課 商工係」へ電話連絡し、申請内容についてIT・IoT相談員へご相談ください。 |
2.2022年4月1日より申込受付を開始しています。北区公式ホームページの「添付ファイル」に記載の申込書へご記入の上、FAXで申し込んでください。※補助件数が上限に達した場合はキャンセル待ちとなるので、ご了承ください。 |
3.申込完了後、受付完了通知がFAXで届きます。 |
4.補助を受ける予定のIT・IoT等の導入を進めます。 |
5.必要な書類(下記参照)を全て揃え、2023年2月28日15時までに郵送もしくは窓口(北とぴあ11階)へ直接ご提出ください。 |
【申請に必要な書類】
- 一号様式(交付申請書・別紙)※様式データは北区公式ホームページの「添付ファイル」よりダウンロード可能です。
- 企業概要(会社案内、パンフレット、自社HPの会社概要を印刷したもの等)
- 導入したIT・IoT等の概要(パンフレット、IoT等の内容が確認できるHPを印刷したもの等)
- 契約書の写し等(コンサルタントへ委託する場合)
- 直近の法人都民税(個人事業主の場合は特別区民税・都民税)の納付が確かめられる納税証明書※領収証書は不可とします。(個人事業主の場合は納税証明書、もしくは非課税証明書)
- 補助対象経費の支出明細書並びに支払いが確かめられるもの(領収書、銀行振込明細書等※写し可)
- 返信用封筒(申請者の住所・氏名を記載し切手を貼ったものとします)、A4サイズの通知書(三つ折り)を1枚送付します。
【注意事項】
同一の補助対象者への補助金交付は、同一年度内に1回までとします。
IT・IoT活用による共通のメリット
IT・IoTを活用することで、手間のかかる作業を自動化したり、情報をデジタル化し管理や共有が容易になったりと、業務効率化やコスト削減が望めます。さらには、あらゆる情報をIT化することで、データを基にした正確な判断ができるため、経営や事業戦略において大いに役立つでしょう。
また、IT化によってアナログ業務の負担が減れば、人手不足に悩む企業にとってプラスに働きます。加えてIT化はリモート環境の整備にも有効なので、就業形態の幅が広がれば優秀な人材をより確保しやすくなります。
IoT活用による主なメリット
IoTを活用すれば、家電の使用状況や製造設備の稼働具合などを、現場へ出向くことなく遠隔地から確認できます。またインターネットを介して、パソコンやスマートフォンから機器を稼働したり制御したりも可能です。
他にも、物の状態を検知してリアルタイムで通知する利用方法もあります。これらの活用法を実現させれば、あらゆる分野の企業で生産性向上や課題解決が期待できるでしょう。
まとめ
中小企業では、IT関連に精通した人材が不足していたり、コスト・セキュリティ等のリスクが増大したりなどの理由で、IT・IoTの導入に踏み切れないケースも少なくありません。
「IT・IoT導入チャレンジ支援事業」を利用すれば、費用の補助を受けながら徹底した効率化やコスト削減が実現できます。東京都北区の対象事業者は、ぜひこの機会に本支援事業の活用を検討してみてはいかがでしょうか。