雇用調整助成金に関して11月30日まで特例措置を実施することが公表されています。また、10月に最低賃金の引き上げが行われることなどを踏まえて、年末までは、助成率をリーマンショック時以上の水準に保つ方針も示されています。
緊急事態宣言やまん延防止の適用地域が増えることで、これから多くの地域で時短・休業要請が行われることが考えられます。こういった状況では、雇用調整助成金等の特例(地域特例など)措置の対象になりますので、支援内容をきちんと把握しておくことをおすすめします。
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この記事の目次
延長が決定した雇用調整助成金の特例措置とは
雇用調整助成金は、事業主が労働者に休業手当等を支払う場合に、その一部を助成するもので、特例措置によって助成率と上限額の引き上げが行われています。
この措置は令和2年4月1日から令和3年11月末まで(緊急対応期間)の休業等に適用されます。
特例措置の支給対象となる事業主
下記の条件を満たす雇用保険の適用事業主(全ての業種)が対象です。
(1)新型コロナウイルスの影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
(2)最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
(3)労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
助成対象となる労働者
支給対象事業主に雇用されている雇用保険被保険者が助成の対象となります。
なお、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は「緊急雇用安定助成金」の助成対象となり、雇用調整助成金と同様に申請が可能です。
特例措置の助成率と助成額(原則的な措置の場合)
【助成率】
中小企業:休業手当に相当する額の4/5
(解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合は9/10)
大企業:休業手当に相当する額の2/3
(解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合は3/4)
【上限額】
1人1日あたり上限13,500円
特例の原則的な措置をまとめると、次のようにあらわすことができます。
新型コロナウイルスの影響により売り上げが減少した事業者が、労働者の雇用維持を図るために休業等を実施した場合、解雇などを行っていない中小企業なら助成率は支払った休業手当に相当する額の9/10、1人1日あたり上限13,500円が助成されます。
業況特例と地域特例
原則的な措置に対して、助成率と上限額の上乗せが行われているのが「業況特例」と「地域特例」です。
【業況特例(全国)】
業況特例は、売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年または前々年同期に比べ30%以上減少している全国の事業主が該当します。
【地域特例】
地域特例は、緊急事態宣言対象区域、または、まん延防止等重点措置の実施区域の都道府県知事による要請等を受けて、営業時間の短縮等に協力する事業主が該当します。
【助成率】
中小企業:休業手当に相当する額の4/5
(解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合は10/10)
大企業:休業手当に相当する額の4/5
(解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合は10/10)
【上限額】
1人1日あたり上限15,000円
出典:緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について
特例措置の助成内容について、年末までは、特に業況の厳しい企業への配慮を継続するとともに、助成率は原則的な措置を含めて「中小企業:4/5(解雇等行わない場合は9/10)、大企業:2/3(解雇等行わない場合は3/4)」以上を確保する予定と公表されています。
上限額については、感染拡大地域・業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していく方針ということです。
支給申請手続きの流れ
休業を実施した後に、支給申請に必要な書類をそろえて、事業所の住所を管轄する労働局またはハローワークに提出します。
支給申請に必要な書類はそれぞれ以下のとおりです。
○初回の提出のみでよい書類
●支給申請ごとに提出する書類
【業況特例に該当する場合】
【地域特例に該当する場合】
出典:雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)P.27~28
▼まん延防止等重点措置に係る特例の対象となる期間は、以下のページで確認ができます。
緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に係る雇用調整助成金の特例について(区域一覧)
▼なお、どの特例に該当するか(どの様式を使用すればよいか)は、以下の様式ダウンロードページで4つの質問に答えることで、必要な様式の番号がわかります。
雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウイルス感染症対策特例措置用)
最低賃金引き上げを踏まえた雇用調整助成金の要件緩和
厚生労働省の公表のなかで、今年度の最低賃金引き上げを踏まえた雇用維持への支援として雇用調整助成金の要件緩和が適用される予定であることも示されています。
要件緩和の概要
業況特例または地域特例の対象となる中小企業が、事業場内で最も低い時給を30円以上引き上げる場合、10月から12月までの3か月間の休業について休業規模要件が問われなくなります。休業等規模要件とは、休業ののべ日数が所定労働日数の1/40(中小企業の場合)以上であるとする、支給対象要件の1つです。この要件がなくなることにより、これまで対象とならなかった規模の小さい休業も雇用調整助成金の対象になります。
なお、引き上げの実施日以降の休業について要件緩和が利用可能になり、助成率や上限額は業況特例や地域特例と同じになります。
【主な対象要件】
・令和3年10月から3か月間の休業について、業況特例または地域特例の対象となる中小企業であること。(令和3年1月8日以降解雇等を行っていない場合に限る)
・事業場内最低賃金を、令和3年7月16日~同年12月までの間に、30円以上引き上げること。(事業場内最低賃金と地域別最低賃金との差が30円未満である場合に限る)
この要件緩和に関して、具体的な申請手続き等は今後公表されます。
まとめ
今回は、11月末まで継続することが公表された雇用調整助成金等の特例(業況特例、地域特例)措置について確認しました。
また年末までは、特に業況の厳しい企業への対策を継続し、助成率を現行水準以上維持すること、また最低賃金引き上げに関して雇用調整助成金の休業規模要件緩和の実施があきらかになっています。
雇用調整助成金の12月以降の助成内容については、雇用情勢を踏まえながら検討が行われ、10月中に公表される予定です。上限額については、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していく方針ということですので、いつから上限額が下がるのかにも注目しましょう。現在は制度が十分手厚い段階ですので、雇用を維持するための雇用調整助成金の活用をご検討ください。
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