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ものづくり補助金 大きく変化した10次公募開始!グリーン、デジタル枠の申請要件をご紹介します

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中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり直面する制度変更には、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等があります。

こういった制度変化に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善のための設備投資等を支援するのが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」です。2月16日に、ものづくり補助金の10次締切分の公募要領が公開されました。申請できるようになるのは約1か月後の3月15日からですので、まずは公募要領を確認し、申請開始までに準備を進めていただきたいと思います。

令和3年度補正予算による見直し・拡充が行われ、今回から「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」などで手厚い支援を受けることが可能になっています。ぜひこの機会に成長への戦略投資として補助金活用をご検討ください!

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この記事の目次

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ものづくり補助金の10次公募が注目される理由

新型コロナをきっかけとして、世界的にデジタルやグリーン投資の加速と経済・産業構造の急速な変化が起きています。政府は将来を見据えた戦略的な産業政策として、デジタルやグリーンなど新分野への展開や生産性向上につながる取り組みを行う中小企業を支援する方針を打ち出し、それを受けて、ものづくり補助金の10次公募では申請要件等が大きく変わっています。

ものづくり補助金の変更点

【大きく変わったものづくり補助金】
(1)従業員規模に応じた補助上限額の設定
(2)補助対象事業者の見直し・拡充
(3)3つの新枠の創設

(1)について、9次公募まで通常枠の補助上限額は一律1,000万円でしたが、今回から従業員数5人以下は750万円、6~20人は1,000万円、21人以上は1,250万円と、従業員規模に応じて上限額が設定されました。従前に比べ、5人以下の場合は減額、6~20人の場合は変わらず、21人以上なら増額となっています。

(2)について、キーワードは「特定事業者」「再生事業者」です。
まず、「資本金10億円未満の特定事業者の追加」が行われた点についてみていきます。以下の図は、これまでの補助対象事業者(中小企業者)と、今回追加される対象者(特定事業者)をあらわしたものです。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業令和3年度補正予算案の概要

政府は、中小企業について、経営基盤を強化することで中堅企業へと成長し、海外で競争できる企業を増やしていきたい考えで、令和3年8月に一部が施行された「産業競争力強化法等の一部を改正する法律」において、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群の支援を目的とした、中小企業等経営強化法等に新たな支援対象類型(特定事業者)を創設しました。それにより、これまで支援施策の対象にならなかった企業も、規模拡大のための支援策等について、対象に含まれるようになりました。

また、今回から「再生事業者」(中小企業再生支援協議会等から支援を受けて再生計画を策定する事業者等)を対象に、補助率を2/3に引き上げて支援を行うことになりました。
▼再生事業者の定義はこちらから
<別紙4>「再生事業者」の定義について

(3)について、時代の変化に応じた3つの新しい枠が創設されました。それぞれの申請要件などは後述しますが、各枠の対象者を端的に表すと次のようになります。

  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠:業況が厳しいながらも賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者
  • デジタル枠:DX等に取り組む事業者
  • グリーン枠:温室効果ガスの排出削減等に取り組む事業者

賃上げとデジタルは、通常枠(補助率:原則1/2)に比べ、補助率2/3と優遇されています。グリーン枠は補助率2/3であることに加えて、補助金額が最大2,000万円と優遇されています。

つまり、こういった特別枠では、補助率や上限額が引き上げられていますので通常よりも手厚い支援を受けることが可能になっています。なお、賃上げおよびデジタル枠の応募申請は、当該枠で不採択の場合、通常枠で再審査されます。再審査の結果、通常枠で採択された場合は、通常枠の補助率等の条件が適用されることになります。

ものづくり補助金の概要

新たに作られた3つの枠の申請要件を見る前に、ものづくり補助金の全体像を確認しておきましょう。

【ものづくり補助金のポイント】
(1)革新的製品・サービスの開発、または生産プロセス等の改善に必要な設備投資等を支援する制度
(2)補助上限額は750万円~3,000万円、補助率は1/2もしくは2/3 ※申請枠や類型、従業員の人数によって異なる
(3)賃上げなどの要件を満たす3~5年の事業計画が必要
(4)単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必須
(5)収益納付がある

(1)ものづくり補助金では、製品等の革新性が問われます。これまで作り出されたことがないような製品・サービスの開発等のための設備投資等が対象となります。

(2)ものづくり補助金の申請型は「一般型」と「グローバル展開型(海外事業(海外拠点での活動を含む)の拡大・強化等を目的とした設備投資等を支援する型)」に分かれており、「一般型」には4つの枠(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠)があります。

各補助上限額と補助率は以下のとおりです。
◆上限額
一般型
[通常枠] 750万円~1,250万円
[回復型賃上げ・雇用拡大枠] 750万円~1,250万円
[デジタル枠] 750万円~1,250万円
[グリーン枠] 1,000万円~2,000万円
※一般型では従業員規模により補助上限の金額が異なります
グローバル展開型 3,000万円

◆補助率
一般型
[通常枠] 1/2 (小規模事業者、再生事業者 2/3)
[回復型賃上げ・雇用拡大枠] 2/3
[デジタル枠] 2/3
[グリーン枠] 2/3
グローバル展開型 1/2 (小規模事業者 2/3)

(3)ものづくり補助金では、以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画の策定及び実行が求められます。(基本要件)

  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする

要件が未達の場合は、補助金を一部返還(申請時点で、賃上げ計画を策定していない場合は全額返還)などの返還規定が設けられています。

出典:公募要領〔一般型・グローバル展開型〕(10次締切分) 概要版

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が継続していることから、補助事業実施年度の付加価値額及び賃金の引上げ目標を据え置きし、その翌年度から3~5年の間にこの目標値を達成する計画とすることが可能です。(回復型賃上げ・雇用拡大枠を除く。)

回復型賃上げ・雇用拡大枠については、従業員に対する賃上げ等を前提とした優遇制度であることから、給与支給総額または事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合に加え、補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点で給与支給総額または事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一方でも達成できていない場合には、補助金交付額の全額の返還が求められます。

再生事業者の場合は、各目標が達成できていない場合でも返還は免除されます。

(4)ものづくり補助金では設備投資が必要で、必ず単価50万円(税抜き)以上の機械装置等を取得するものとします。

補助対象経費としては、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、原材料費などがあります。

下図は補助対象経費をまとめたものです。

出典:公募要領〔一般型・グローバル展開型〕(10次締切分) 概要版

(5)補助金は基本的に返済不要の資金といいますが、ものづくり補助金では、自己負担額を超える利益が生じた場合、収益納付をします。ただし、事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合や十分な賃上げ(年率平均3%以上給与支給総額を増加させた場合や最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にした場合等)をした場合は免除されます。

ものづくり補助金「回復型賃上げ・雇用拡大枠」とは

ここからは、新設の3つの枠の申請要件等を確認します。

【回復型賃上げ・雇用拡大枠の概要】
業況が厳しいながらも賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援する枠で、補助上限・補助率は以下のとおりです。

前項で確認した、ものづくり補助金の基本要件に加えて、回復型賃上げ・雇用拡大枠には次の3つの申請要件があります。

  • 前年度の事業年度の課税所得がゼロであること
  • 常時使用する従業員がいること
  • 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成すること

つまり、応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいる事業者のみ、この枠に申請できるということになります。

ものづくり補助金「デジタル枠」とは

【デジタル枠の概要】
デジタルトランスフォーメーション(DX)に資する革新的な製品・サービス開発またはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する枠です。単なるデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化(既存の業務フローそのものの見直しを伴わないもの)や単なる電子化にとどまる製品・サービスの開発は補助対象経費になりません。補助上限・補助率は以下のとおりです。

基本要件に加え、デジタル枠の申請要件は次の3つです。

  • 次の①または②に該当する事業であること
    ①DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
    ②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善であること
  • 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を行い、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構に対して提出していること
  • 独立行政法人情報処理推進機構が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行っていること

ものづくり補助金事務局が独立行政法人情報処理推進機構に対して照会を行い、自己診断結果の提出・「SECURITY ACTION」宣言状況の確認を行います。診断結果・宣言が提出されていない場合は、デジタル枠では要件不備として不採択となります。

ものづくり補助金「グリーン枠」とは

【グリーン枠の概要】
温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発または炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する枠で、補助上限・補助率は以下のとおりです。

基本要件に加え、グリーン枠の申請要件は次の3つです。

  • 次の①または②に該当する事業であること
    ①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
    ②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善
  • 3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。
  • これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(有る場合はその具体的な取組内容)を示すこと

◆温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発の例

  • 省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発
  • 非石油由来の部素材を用いた製品・サービスの開発
  • 廃棄物削減に資する製品・サービスの開発 等

◆炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善の例

  • 生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資
  • 水素・アンモニアを活用する設備導入による燃焼工程と生産プロセスの最適化
  • 複数ラインの作業工程を集約・高効率化 等

スケジュール

最後に、スケジュールを確認しておきましょう。

【10次締切】
公募開始日:令和4年2月16日(水) 17時
申請開始日:令和4年3月15日(火) 17時
申請締切日:令和4年5月11日(水) 17時

3月15日から申請受付開始となり、5月11日に締め切られたあと、7月中旬をめどに採択結果が通知されます。その後1か月程度で交付決定し、そこから10か月間以内(グローバル展開型は12か月以内)が補助事業実施期間となります。

事業の実績報告後、確定検査を経て補助金交付額が確定し、補助金が支払われます。補助事業終了後も、毎年(4月)事業化状況報告等を行います。

出典:公募要領〔一般型・グローバル展開型〕(10次締切分) 概要版

まとめ

革新的製品・サービスの開発、または生産プロセス等の改善に必要な設備投資等を支援する「ものづくり補助金」が10次公募から大きく変わりました。

・従業員規模に応じた補助上限額の設定
・補助対象事業者の拡大
・時代の変化に応じた新枠の創設

ものづくり補助金では事業者の皆さまの経営革新を支援しています。デジタル・グリーンなどの成長投資や、賃上げ等の事業環境変化への対応をお考えの方は、ものづくり補助金の活用をご検討ください。

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