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無痛分娩に使える補助金 2026年度

公開日:2024/11/26 更新日:2026/6/17
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「出産の痛みを少しでもやわらげたい」「でも費用が高くて踏み切れない」――無痛分娩を検討するなかで、こうした不安を抱える方は少なくありません。日本の無痛分娩の実施率は2023年度(令和5年度)で13.8%にとどまり、フランスの8割超、アメリカの7割超と比べて依然として低い水準です。

一方で、状況は大きく動き始めています。国は2026年度を目途に正常分娩の保険適用導入を検討しており、出産そのものの経済的負担を軽減する流れが加速しています。こうしたなか、無痛分娩費用を独自に助成する自治体も増加。2025年(令和7年)10月からは、東京都が都道府県として初めて最大10万円の助成を開始しました。

この記事では、無痛分娩の基本情報から費用相場、東京都をはじめとする全国の自治体の助成制度、申請方法までをまとめて解説します。

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無痛分娩とは?費用相場と実施率をわかりやすく解説

無痛分娩は、出産時の痛みを和らげるために麻酔を使用する分娩方法です。背中の特定の場所(硬膜外腔)に細い管を入れ、そこから麻酔薬を投与することで、おなかから太ももにかけての痛みを抑えます。

意識ははっきりしているため出産の様子もよく分かり、赤ちゃんが生まれた瞬間も体験できます。身体への負担が少なく、出産後の回復も早いことから、世界で広く普及している出産方法のひとつです。

無痛分娩の費用はいくら?平均123,533円が上乗せされる

無痛分娩の費用は、正常分娩費用に上乗せされる形でかかります。東京都が実施した医療機関向けの調査によると、無痛分娩部分の平均費用は123,533円でした。費用帯の割合は以下のとおりです。

無痛分娩の費用(東京都調査)
15万円以上20万円未満40.00%
10万円以上15万円未満38.80%
5万円以上10万円未満15.30%

正常分娩そのものの費用も上昇が続いています。厚生労働省の調査では、全国の正常分娩の平均費用(妊婦合計負担額)は令和5年度で574,583円となり、出産育児一時金50万円を控除した後でも506,540円の自己負担が残ります。正常分娩費用が一時金50万円を上回るケースは全体の約45%に上っており、ここに無痛分娩費用が上乗せされると、産婦側の負担はさらに大きくなります。

なお、出産費用は基本的に保険適応外で全額自己負担ですが、医学的な理由で無痛分娩が必要と判断された場合は保険適応となるケースもあります。

参考:無痛分娩に関する医療機関実態調査結果厚生労働省 正常分娩の出産費用の状況

無痛分娩の実施率は13.8%|希望者は6割超でも実施は少ない

日本の無痛分娩の実施率は、2023年度(令和5年度)で全分娩の13.8%です。2018年の5.2%から6年間で約2.7倍に増加しており、急速に普及が進んでいます。とはいえ、フランスの8割超、アメリカの7割超と比べると、依然として低い水準にとどまっています。

希望者は少なくありません。東京都が実施した都民向け調査では、無痛分娩を希望する産婦の割合は6割を超えています。希望と実施に大きな差が生じている背景には、「痛みを感じなければ愛情もわかない」といった偏見や、無痛分娩を取り扱う施設の少なさがあります。2024年時点で分娩施設1,948施設のうち、無痛分娩を取り扱うのは787施設(約40%)にとどまります。

出産時の母体の負担を減らすことは、その後の回復にも大きな影響を及ぼします。選択肢を増やすことは、母体の健康と生活を守るためにも重要なことなのです。

参考:日本産科麻酔学会公益社団法人日本産婦人科医会

東京都の無痛分娩費用助成は最大10万円【2025年10月開始・2026年度も継続】

無痛分娩費用の助成を含む令和7年度東京都予算案の主要施策を示した資料
出典:令和7年度(2025年度)東京都予算案の概要 主要な施策より抜粋

東京都の「無痛分娩費用助成等事業」は、対象医療機関で無痛分娩を受けた都民に最大10万円を助成する制度です。2025年10月にスタートし、2026年度も継続しています。

この制度は、小池都知事が2024年の知事選で掲げた公約の一つで、少子化対策と出産環境の整備を目的としています。全国の都道府県では初めての試みとなったことで大きな注目を集めました。助成額は以下のとおりです。

助成額
最大10万円(無痛分娩に係る一連の医療行為1回につき1度のみ。多胎児の場合も同様)

東京都の助成を受けられる人の条件は?

東京都無痛分娩費用助成等事業の助成要件は以下のとおりです。出産日・分娩方法・医療機関・居住地・申請期限のすべてを満たす必要があります。

項目要件
出産日2025年10月1日以降に出産した方(2025年10月1日以降に無痛分娩を予定していた方が2025年9月30日以前に出産した場合、必要書類により確認できれば対象)
分娩方法硬膜外麻酔または脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔による無痛分娩を受けた方
医療機関東京都が指定する「対象医療機関」で出産した方
居住地都内自治体で妊娠の届出を行い母子健康手帳の交付を受け、以後申請日まで継続して都内に住民登録がある方(都外で届出・交付を受けた後に都内へ移した場合は対象外)
申請期限出産日の翌日から起算して1年以内(厳守)

なお、対象医療機関の一覧は東京都福祉局のサイトで随時更新されており、2026年4月1日時点の一覧も公開されています。申請は指定フォームによる電子申請です。

助成の対象になる費用・ならない費用

助成対象となるのは、硬膜外麻酔の手技や管理費用、麻酔の薬剤費など、無痛分娩に係る一連の医療行為に要した費用です。一方で、以下の費用は助成対象外です。

  • 室料差額・個室料・食事料等
  • 文書料など医療行為に直接関係しない費用
  • 保険適用となった費用

あくまでも無痛分娩に直接関わる処置や行為が助成対象となります。出産費用は全国平均で50万円超かかり医療保険の適用外で自己負担となるため、無痛分娩の高額な費用がハードルとなっていました。この助成制度により、妊婦の経済的負担を軽減し、安心して出産できる環境を整えることが目指されています。

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東京都以外で無痛分娩助成がある自治体は?全国6つの例

無痛分娩への助成は、東京都以外の全国の市町村でも広がっています。ここでは、群馬県下仁田町・みなかみ町、千葉県いすみ市、茨城県取手市、岡山県備前市、愛知県みよし市の助成制度を紹介します。

群馬県下仁田町|自己負担額の1/2・上限10万円

下仁田町では、町に定住している人が無痛分娩を選択した際、要する費用の一部を助成します。医療保険各法の被保険者または被扶養者であり、町税等に滞納がない者が対象です。

助成額
保険適応外の無痛分娩費用のうち自己負担額の1/2(上限10万円)

助成要件は以下のとおりです。

(1)無痛分娩をした日において町に住所があり、その後も定住する意思がある方
(2)医療保険各法の被保険者または被扶養者である方
(3)町税等に滞納がない方

申請は、出産後90日以内に申請書・医療機関証明書・同意書・通帳表紙裏面のコピー・領収書・明細書を提出して行います。医療機関から十分な説明を受け、自分の意思で申請する必要があります。診察の結果などにより無痛分娩の適応にならない場合がある点にもご注意ください。

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群馬県みなかみ町|1回の分娩につき最大10万円

みなかみ町では、無痛分娩により出産した方の経済的負担を軽減するため、その費用の一部を助成しています。無痛分娩の費用が10万円未満の場合は、医療機関に支払った費用が助成されます。

助成額
1回の分娩につき最大10万円

助成要件は以下のとおりです。

・令和7年4月1日以降の分娩
・無痛分娩で出産した日にみなかみ町に住民登録があり、引き続き定住の意思があること
・夫婦ともに町税等に滞納がないこと

出産した日から3か月以内に、無痛分娩費用助成金交付申請書・領収書・明細書原本・医療機関証明書・口座振込先がわかるものをそろえて子育て健康課に申請します。出生届の手続きの際に同時に申請することも可能です。

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千葉県いすみ市|自己負担額の1/2・上限10万円

いすみ市では、無痛分娩を希望する妊婦に対し、保険適応にならない無痛分娩費用の一部を助成しています。

助成額
自己負担額の1/2(上限10万円)

対象となるのは以下のすべてに当てはまる方です。

・令和7年4月1日以降に妊娠の届け出をした妊婦であり、無痛分娩をした日においていすみ市に住民登録がある方
・医療保険各法の被保険者または被扶養者
・市税等に滞納がない方

出産後90日以内に、領収書・診療明細書、医療機関証明書、同意書、夫婦それぞれの納税証明書、母子健康手帳、口座番号がわかるもの、本人確認書類を用意し、産婦本人が大原保健センターで申請します。本人以外が申請する場合は委任状が必要です。

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茨城県取手市|自己負担額の1/2・上限10万円

取手市では、無痛分娩を選んだ妊婦の経済的な負担を軽減するため、2025年度から新たに助成制度を導入しました。

助成額
自己負担額の1/2(上限10万円)

助成要件は以下のとおりです。

項目要件
出産日2025年4月1日以降に無痛分娩により出産した方
分娩方法無痛分娩(麻酔薬を用いた方法)を実施した方(診察結果によっては適応外となる場合あり)
医療機関無痛分娩を取り扱う医療機関で出産した方
居住地出産日に取手市内に住所を有し継続して定住の意思がある方(市税等に滞納がなく、暴力団員でない方)

申請は、一時的に自己負担した上で出産日の翌日から起算して3か月以内に行います。交付申請書兼請求書、領収書(または支払証明書)及び明細書の写し、医療機関証明書、振込先口座を確認できる通帳やキャッシュカード等の写しを、役所窓口への持参または郵送で提出します。

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岡山県備前市|最大20万円と全国でも手厚い助成

備前市では、安心して出産できる環境を整備するため、無痛分娩に係る費用を助成しています。最大20万円と、一般的な他自治体の助成(上限10万円)よりも助成額が大きい点が特徴です。

助成額
無痛分娩費用の合計の2/3以内(最大20万円)

助成要件は以下のとおりです。

・無痛分娩を実施した日において市内に住所を有し、かつ引き続き定住する意思があること
・無痛分娩費用について他の地方公共団体から補助金等の交付を受けていないこと
・市税等に滞納がないこと

申請は、無痛分娩後2か月以内に、交付申請書兼請求書・医療機関証明書・振込希望先金融機関の通帳又はキャッシュカードのコピーを提出して行います。

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愛知県みよし市など|助成自治体は全国に拡大中

無痛分娩への助成は、上記以外の自治体にも広がっています。愛知県みよし市でも独自の無痛分娩費用助成制度が設けられているなど、少子化対策の一環として公的サポートの枠組みが各地で拡大しています。

お住まいの自治体に助成制度があるかどうかは、年度ごとに変更される場合もあるため、市区町村の公式ホームページや窓口で最新情報を確認することをおすすめします。

無痛分娩を選ぶ際に考慮すべきポイント

無痛分娩は費用面での負担が大きい選択肢であり、メリットだけでなくリスクにも備える必要があります。ここでは、無痛分娩のメリット・デメリットと、医療機関の選び方を整理します。

無痛分娩のメリット・デメリット

無痛分娩には、お産の痛みや産後疲労の緩和といったメリットがある一方、麻酔の副作用などのデメリットもあります。両面を理解した上で検討することが大切です。

【メリット】
  • お産の痛みや産後の疲労を緩和できる
  • 麻酔によって産科処置がしやすい
  • 必要と判断された際に帝王切開への移行がしやすい
  • 産後の体力の回復が早い
【デメリット】
  • 麻酔の副作用が出ることもある
  • 麻酔の効き具合によっては痛みが軽減されないケースもある
  • 陣痛促進剤や吸引分娩が必要になることもある
  • 麻酔ができない場合もある

無痛分娩を選択する際には、事前に医師とよく相談し、十分に情報を集めたうえで検討する必要があります。

参考:厚生労働省 無痛分娩を考える妊婦さんとご家族のみなさまへ

無痛分娩ができる病院の探し方

無痛分娩を希望する際は、まず無痛分娩を行っている施設を探す必要があります。厚生労働省の「出産なび」では、無痛分娩を行っている施設を探すことができます。詳細条件で「希望による無痛分娩あり」にチェックを入れて検索すると、施設ごとの費用総額なども確認できます。

また、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)の全国無痛分娩施設検索では、各施設の診療体制や情報公開状況を確認できます。2026年3月時点で全国565施設が掲載されています。

ただし、これらの情報だけでは無痛分娩の種類や方法までは分かりません。場所や費用で候補を絞ったら、各施設に問い合わせて希望どおりの方法が受けられるか確認しましょう。出産費用は入院期間や部屋、食事などのオプションでも大きく差が出るため、総合的な費用感をつかんでおくことが大切です。


無痛分娩の補助金・助成金に関するよくある質問


無痛分娩の助成金はいくらもらえますか?


助成額は自治体によって異なります。東京都・群馬県下仁田町・みなかみ町・千葉県いすみ市・茨城県取手市は上限10万円、岡山県備前市は最大20万円です。多くの自治体が「自己負担額の1/2、上限10万円」という設計を採用しています。



東京都の無痛分娩助成はいつから始まりましたか?


東京都の無痛分娩費用助成等事業は2025年10月1日から始まりました。都道府県としては全国で初めての試みで、対象医療機関で無痛分娩を受けた都民に最大10万円が助成されます。2026年度も制度は継続しています。



東京都の助成を受けるための条件は何ですか?


2025年10月1日以降に都が指定する対象医療機関で硬膜外麻酔等による無痛分娩を受け、妊娠の届出から申請日まで継続して都内に住民登録があることが条件です。申請期限は出産日の翌日から1年以内です。



無痛分娩の費用はどのくらいかかりますか?


東京都の調査では、無痛分娩部分の平均費用は123,533円です。これが正常分娩費用に上乗せされます。正常分娩の全国平均費用は令和5年度で574,583円のため、無痛分娩を選ぶと合計で60万〜70万円程度になるケースが多くなります。



無痛分娩は保険適用されますか?


無痛分娩は原則として保険適応外で全額自己負担です。ただし、医学的な理由で無痛分娩が必要と判断された場合は保険適応となるケースもあります。なお、国は2026年度を目途に正常分娩の保険適用導入を検討しています。



無痛分娩の助成と出産育児一時金は両方もらえますか?


基本的に併用できます。出産育児一時金50万円は正常分娩費用を含む出産全体に対して支給され、自治体の無痛分娩助成は無痛分娩に係る医療行為に対して支給されるためです。ただし、一部自治体では他の公的助成との併用に制限がある場合があるため、事前に確認しましょう。



無痛分娩の助成はどこで申請しますか?


申請先は自治体によって異なります。東京都は指定フォームによる電子申請、群馬県みなかみ町は子育て健康課、千葉県いすみ市は大原保健センターなど、市区町村の窓口や電子申請が中心です。多くは領収書・明細書・医療機関証明書・振込先口座がわかるものが必要書類となります。



無痛分娩の助成の申請期限はいつまでですか?


申請期限は自治体ごとに異なります。東京都は出産日の翌日から1年以内、群馬県下仁田町・千葉県いすみ市は出産後90日以内、群馬県みなかみ町・茨城県取手市は出産後3か月以内、岡山県備前市は無痛分娩後2か月以内です。期限を過ぎると受けられないため、早めの手続きが重要です。



日本の無痛分娩の実施率はどのくらいですか?


日本の無痛分娩の実施率は2023年度(令和5年度)で全分娩の13.8%です。2018年の5.2%から約2.7倍に増加していますが、フランスの8割超、アメリカの7割超と比べると依然として低い水準です。希望者は6割を超えており、希望と実施に大きな差があります。



無痛分娩ができる病院はどうやって探せますか?


厚生労働省の「出産なび」やJALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)の全国無痛分娩施設検索が便利です。2024年時点で分娩施設1,948施設のうち787施設が無痛分娩を取り扱っています。施設ごとに実施方法や費用が異なるため、候補を絞ったら各施設へ直接問い合わせましょう。



まとめ

無痛分娩は、出産時の痛みを和らげることで母体への負担を軽減する出産方法です。日本の実施率は2023年度で13.8%と上昇傾向にあるものの、費用や周囲の偏見など課題も残ります。

ただし、すべての人が無痛分娩に適しているとは限りません。メリットやデメリットを十分に理解し、医師と相談しながら総合的に判断することが重要です。

東京都の最大10万円助成をはじめ、群馬県下仁田町・みなかみ町、千葉県いすみ市、茨城県取手市、岡山県備前市、愛知県みよし市など、自治体による補助制度は着実に広がっています。さらに国は2026年度を目途に正常分娩の保険適用を検討しており、出産の経済的負担をめぐる環境は今後も変化していく見込みです。希望の形での出産が叶うよう、まずは自分が利用できる制度や施設を探してみましょう。

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