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マイナ保険証の利用と病院・医療機関への支援策とは

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2024年(令和6年)12月から紙の健康保険証が廃止されることを受け、2023年9月からはすべての医療機関・薬局でマイナンバーカード保険証(マイナ保険証)での受診ができるようになりました。また、マイナ保険証を利用した場合は初診・再診ともに窓口での負担額が紙の保険証よりも少なく設定されるなど、普及に向けた政策が進んでいます。

医療機関にむけては、マイナ保険証利用促進のため、機器導入等の支援策を講じています。今回はマイナ保険証活用の現状や、促進に向けた医療機関への支援策を紹介します。

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この記事の目次

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マイナ保険証の利用状況

マイナンバーカードの登録時には人的ミスが相次いだこともあり、紙の保険証を手放すことに不安を覚える利用者も多くいます。厚生労働省の発表では、2023年11月のマイナ保険証利用件数は約727万件でした。

受診機会の少ない若年層では、マイナ保険証の普及が遅れていることも指摘されています。特に20代の所有率は70%以下、30代と40代でも75%に満たないなど、すべての国民が紙の保険証からマイナ保険証へ切り替えるには、まだ時間がかかりそうです。

出典:マイナ保険証利用促進のための医療機関等への補助等の支援策について

12月の制度変更に向け、保険証の切り替え促進を目指して、国は医療機関の後押しを求めています。

医療機関におけるマイナ保険証利用促進のための支援

医療機関等における、カードリーダーの操作に慣れない患者への説明など、マイナ保険証の利用を勧奨する取組を支援します。マイナ保険証の利用促進を図ることが目的です。

概要

マイナ保険証の利用率(初診・再診・調剤)が、2023年10月から5%ポイント以上増加した医療機関等が支援されます。

期間

2024年1月~11月
前半期は2024年1月~5月の5ヶ月間、後半期は2024年6月~11月の6ヶ月間です。

内容

各期間のマイナ保険証平均利用率と、2023年10月の利用率を比較します。利用率の増加量に応じた支援単価をマイナ保険証総利用件数に乗じた額が、支援金として交付される仕組みです。支援額は以下のとおりです。

出典:マイナ保険証利用促進のための医療機関等への補助等の支援策について

顔認証付きカードリーダー増設の支援

マイナ保険証利用件数が既に高い施設では、顔認証付きカードリーダーを増設することで、使用率の向上を図るサポートが設定されています。

期間

2023年11月11日以降

内容

顔認証付きカードリーダーを増設した場合に費用の一部が補助されます。対象となる施設は、以下のものです。

・2023年10月から2024年3月までのいずれかの月で、カードリーダー1台あたり、マイナ保険証の月間利用件数が500件以上ある

病院においては、カードリーダーが最大3台分まで対象です。対象台数は、無償提供を受けたカードリーダーの数と、該当期間の月間利用件数によって定められています。(病院以外の施設は、利用件数に関わらず、顔認証付きカードリーダー1台増設が補助対象)支援台数の詳細は以下のとおりです。

出典:マイナ保険証利用促進のための医療機関等への補助等の支援策について

補助対象・補助率

「顔認証付きカードリーダー、資格確認端末の購入費用、工事費」に要した費用総額の2分の1が補助されます。各機関の補助上限額は、以下の通りです。

■病院
1台:27万5,000円
2台:45万円
3台:62万5,000円

■診療所または薬局
1台:27万5,000円

診察券・医療費助成の受給者証の一体化支援

マイナ保険証を活用すると、診察券やお薬手帳も不要になります。現時点でオンライン資格確認システムを導入している場合には、再来受付機等の改修によってマイナンバーカードを診察券としても利用することができます。

また、医療費助成の受診者証確認もオンラインで実施できるよう、整備が進められています。こうした流れを背景に、厚生労働省では再来受付機・レセプトコンピュータの改修費用にも、支援が設定されました。

医療機関・薬局に対する支援内容は、以下のとおりです。

期間

2023年11月11日以降に生じた改修

内容

機関ごとの主な支援内容は、以下のとおりです。

①診療所・薬局(大型チェーン薬局以外)
・上限額:5万4,000円
・補助率:3/4

②大型チェーン薬局(受給者証と診察券の両方対応の場合のみが対象)
・上限額:3万6,000円
・補助率:1/2

➂病院
※再来受付の改修を含む場合
・上限額:60万円または40万円
・補助率:1/2または1/3

受給者証のみ対応は対象外です

※再来受付機がない場合
・上限額:28万3,000円
・補助率:1/2

補助要件

補助額の一部は、該当する補助要件によって異なります。それぞれの補助要件は、以下の通りです。

①2023年10月から2024年3月末までの、いずれかの月のマイナ保険証の月利用件数の総数が500件以上であること。
②2023年10月末のマイナ保険証の利用率と比較して、2024年1月以降の平均利用率が5%以上増加したこと。なお、2024年1月以降の利用率を算出し、5%を超えた時点で申請条件を満たしたことになります。

①の要件を満たした場合、病院が再来受付機の改修を含む取組を行う際の支援上限額は60万円、補助率は1/2となります。また、②の要件のみを満たす場合は上限額が40万円、補助率は1/3です。

支援内容の詳細は、以下の図も参照してください。

出典:マイナ保険証利用促進のための医療機関等への補助等の支援策について

医療費助成の受給者証のオンライン資格確認の流れとメリット

医療費助成の受給者証をオンライン資格確認が可能になると、医療機関・薬局には以下のようなメリットがあります。

受給者証情報の手動入力負荷が削減される
最新の医療費助成受給資格が確認可能になる
医療費助成資格の確認事務コストが削減される

また、オンライン資格確認の全体の流れは、以下の図のようになります。

出典:マイナ保険証利用促進のための医療機関等への補助等の支援策について

よくある質問

厚生労働省は、医療機関と薬局からの主要な質問に回答しています。そのうち、ここでは各項目の主な質問を見ていきましょう。

医療機関等におけるマイナ保険証利用促進のための支援

Q. 同じ患者が複数回来院・利用した場合、利用回数の数え方は?

A. 利用率を算定する際の利用件数については、該当月のマイナ保険証利用人数(名寄せ処理後)が採用されます。ただし支援金を交付する際は、マイナンバーカードによるのべ利用件数に支援単価を乗じてください。

医療機関・薬局における顔認証付きカードリーダー増設の支援

Q. 既に増設を完了している場合、遡って費用の支援を受けることは可能?

A. 2023年11月11日以降に発生した費用であれば、支援の対象です。

診察券等のマイナンバーカードへの一体化に係る支援

Q. 再来受付機等の改修の補助対象経費には、電子カルテや自動精算機など、診察券の一体化に関連して必要となる周辺システムの改修経費も含まれる?

A. 含まれます。
また再来受付機がない医療機関でも、顔認証端末によるマイナンバーカード対応で受付登録できるよう、レセプトコンピュータを改修すれば、補助の対象です。

まとめ

医療関係者の人材不足は、社会全体にとって深刻な問題です。マイナ保険証の普及によって医療機関のDX化が進めば事務作業が削減され、人手不足の軽減も期待されます。

さらに利用者の利便性向上によって病院の利用時間が削減されれば、待ち時間も少なくなり、迅速な医療行為の提供にもつながります。

国の支援策も上手に活用し、医療現場のDX化を進めていきましょう。

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