「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」では、省エネルギー対策を目的として事業を実施する法人や個人事業主に対し補助を行なっています。補助対象となる設備には定めがあるため、間違えないように細かくチェックしておきましょう。
今回の記事では、事業概要や補助対象事業者、対象経費、公募期間などについて詳しく解説します。
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この記事の目次
省エネルギー投資促進支援事業費補助金について
「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」とは、省エネルギー設備への更新を促進するための補助金のひとつです。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が代表幹事となり、大日本印刷株式会社(DNP)と共同事業体で運営しています。
事業者が計画した省エネルギーの取り組みを進める中で、省エネルギー性能の高いユーティリティ設備や生産設備等への更新、計測、見える化、制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを導入することにより、省エネルギー効果の要件を満たす事業に必要な経費の一部を補助します。
この補助によって、各分野の省エネルギー化を推進し、経済的社会環境に応じた安定的かつ適切なエネルギー需要構造の構築を目的としています。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金は2種類ある
省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、より細かく以下の2種類に分けられます。
| 分類 | 概要 | 留意点 |
| (Ⅲ)指定設備導入事業 | SIIがあらかじめ定めた設備のみ対象 | 単独での実施が可能 |
| (Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業 | エネマネ事業者と協力し、より効果的に省エネルギー化を図る事業 | 単独実施は不可 (Ⅲ)と組み合わせた場合のみ対象 |
(Ⅲ)指定設備導入事業は、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録、および公表した指定設備へ更新する事業です。
対して、(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業は、(Ⅲ)指定設備導入事業と組み合わせて申請する必要があります。SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMS(エネルギーマネジメントシステム)を用いて、より効果的に省エネルギー化を図る事業です。
省エネルギー投資促進事業補助金では、(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業のみの単独実施はできません。単独で申請する場合、別の制度である「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」で申請可能です。
補助対象事業
エネルギー管理を一体で行っている工場・事業場等において実施されており、かつ以下に掲げる事業区分に該当するものが補助対象事業となります。
| 【(Ⅲ)指定設備導入事業】 |
|---|
| 既存設備を、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが公表した補助対象設備へ更新することにより、原油換算ベースでいずれかの省エネルギー効果の要件を満たす事業 ①省エネルギー率:10%以上 ②省エネルギー量:1kL以上 ③経費あたり計画省エネルギー量:1kL/千万円以上 上記の要件に加えて、省エネ法に基づく定期報告義務がない事業者については、エネルギーの合理化に関する中長期計画を、SIIが指定するフォーマットで策定すること |
| 【(Ⅲ)指定設備導入事業+(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業】 |
|---|
| (Ⅲ)設備単位型に加えて、SIIが設置した外部審査委員会で審査・採択し、SIIが公表したエネマネ事業者からエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、EMS機器を活用した省エネの中長期計画を作成、その後改善による成果の公表を行うことにより、効果的にエネルギー使用量削減及びエネルギー需要最適化を図る事業。 |
(Ⅲ)指定設備導入事業では、2025年度募集分より、要件が追加されています。省エネ法に基づく定期報告義務がない事業者(特定事業者等以外の事業者)については、エネルギーの合理化に関する中長期計画を、SIIが指定するフォーマットでの策定が必要です。
前年度より要件が増えているため、ご注意ください。
補助対象事業者
以下の要件をすべて満たすことが必要です。
| (1) 国内において事業活動を営んでいる法人および個人事業主である |
| (2) 本事業を実施するために必要な経営基盤を有し、事業の継続性が認められる者である |
| (3) 本事業により国内において設置する補助対象設備の所有者であり、その補助対象設備の処分制限期間、継続的に使用する者である |
| (4) 本事業により取得した補助対象設備を、SIIが交付規程で定める取得財産等管理台帳に記載のうえ、善良な管理者の注意をもってその補助対象設備等を管理し、補助金交付の目的に従って効率的運用を図る者である |
| (5) 経済産業省から補助金交付等停止措置、あるいは指名停止措置が講じられていない者である |
| (6) 公的資金の交付先として、社会通念上適切と認められない者ではない |
| (7) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む事業所、あるいはそれに類する事業所ではない |
| (8) 成果報告時に、導入した設備の最低1週間以上のエネルギー使用量実測データ等を用いて、省エネルギー効果を報告できる事業者である |
| (9) 会計検査院による現地検査等の受検に際し、事業者として会社単位で誠実に対応できる事業者である |
補助対象経費
【(Ⅲ)指定設備導入事業】
補助対象設備に係る設備費のみが対象です。原則3者以上による価格競争等を実施した結果による最低価格が上限となります。ただし、交付決定が行われる以前に発生した経費(事前調査費等)や契約、発注行為に係る経費は補助対象外です。
その他にも、以下の経費については補助対象外となります。
【対象外経費】
・補助事業の実施に必要な設計費等の経費(設計費)
・導入する補助対象設備、または除却する設備の運搬費等の経費(運搬費)
・既存設備等の撤去費用、除却、または廃棄に必要な経費(撤去費・廃棄費用)
・導入する補助対象設備の設置に必要な据付費や工事費等の経費(据付費・工事費)
・補助対象設備以外(配線、配管等)の材料等の経費(材料等経費)
・会議費等の諸経費や交付決定前に発生した経費(諸経費やその他経費)
・消費税法に定める消費税や地方消費税(消費税・地方消費税)
【(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業】
以下が補助対象となります。
| 区分 | 内容 |
| 設計費 | 補助事業の実施に必要なシステム設計費等 |
| 設備費 | 補助事業の実施に必要な機械装置の購入、製造(改修を含む)に必要な経費 |
| 工事費 | 補助事業の実施に不可欠な工事に必要な経費 |
EMSについては、以下の「省エネルギーに寄与するもの」に限ります。
| 項目 | 内容 |
| 主装置・盤 | 計測制御主装置、ローカルサーバー、ロガー、主装置盤等 |
| 計測計量機器 | 電力量センサ、ガスメーター、流量計、水量計、温湿度センサ、熱量計、パルス検出器等 |
| 機械監視装置 | 生産量制御管理装置、設備稼働状況監視装置等 |
| 制御機器 | 制御用センサ、リレースイッチ、コントローラ、インバータ、流量調整弁、自動制御設備、制御PLC(Programmable Logic Controller)、VAV(Variable Air Volume System)等 |
| 通信装置 | モデム、ルーター、通信PLC(Power Line Communication)等 |
| モニター装置 | 監視用端末、PC、タブレット、モニター、ローカルサーバ等 |
| ソフトウェア | 導入拠点での需要予測、最適化計算、最適制御機能等 |
個別のシステム設計が発生し、対価に応じた成果物(設計図書等)が作成される場合、これらを設計費として計上できます。また、工事実施に伴う工事用図面等は、設計費に含めず工事費に含めてください。
ただし、以下の経費については補助対象外です。
【補助対象外経費】
・SIIが補助対象外と判断した機器、設備、構造物、基礎工事等
・補助金交付決定が行われる以前に係る経費(事前調査費等)
・建屋等の建築物、外構工事費等、および事業に関係のない工事費
・既存設備やシステムの解体、撤去、移設に係る経費
・消費税、および地方消費税
【組み合わせ申請した場合の補助対象経費】
事業区分毎に認められた費用が補助対象となります。見積書は、対象設備((c)指定設備・(d)EMS機器)ごとで取得し、補助対象経費区分(設計費、設備費、工事費)に分けて作成しましょう。
補助率および補助金限度額
| (Ⅲ)指定設備導入事業 | (Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業 | |
| 中小企業者等 | 補助率1/3以内 | 補助率1/2以内 |
| 上記以外 | 補助率1/3以内 | 補助率1/3以内 |
【補助金限度額】
各事業区分の補助率が、各事業区分の補助対象経費に適用されます。事業区分で明確に分けられない共有部分(工事費等)の費用は、その費用に対して当該共有部に係る設備費の割合等を乗じ、かつ当該事業区分の補助率を乗じたものが補助金額となります。
1事業(申請)当たりの補助金限度額は以下の通りです。
| (Ⅲ)指定設備導入事業 | (Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業 | |
| 上限額 | 1億円/事業全体 | 1億円/事業全体 |
| 下限額 | 30万円/事業全体 | 100万円/事業全体 |
(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業を組み合わせて申請する場合は、(Ⅲ)指定設備導入事業と(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業、それぞれの上限額合計が事業全体の上限額となります。
補助事業期間
(1) 事業開始日
交付決定日が事業開始日となります(契約・発注行為は必ず交付決定日以降に行うこと)。
(2) 事業完了日
導入した補助対象設備を検収のうえ、事業に関わる補助対象経費の支払いが完了する日が事業完了日となります。初年度は3月末までに必要な補助対象経費を、SIIが定める期日までに概算払請求書に記載して報告してください。
2年度目(最終年度)は、2027年1月31日(日)までに補助事業を完了させる必要があります。事業完了の遅延が見込まれる場合は、速やかにSIIに連絡しましょう。
また、原則として既存設備は事業完了日までに撤去してください。ただし「一定期間、既存設備を並行稼働させる必要がある」等のやむを得ない事情がある場合は、事前にSIIに相談して交付申請時に理由書を提出しましょう。
各事業区分の補助対象設備・要件
ここからは、区分(Ⅲ)と(Ⅳ)それぞれの補助対象設備と要件についてご紹介します。
【(Ⅲ)指定設備導入事業・補助対象設備】
以下の設備区分に該当する設備であり、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、かつSIIが補助対象設備(公募要領の68〜90ページ参照)として登録および公表したものが補助対象設備です。
〜指定設備の設備区分〜
1:高効率空調(産業・業務用エアコン等)
2:産業ヒートポンプ
3:業務用給湯器
4:高性能ボイラ
5:高効率コージェネレーション
6:低炭素工業炉
7:変圧器
8:冷凍冷蔵設備
9:産業用モータ
10:制御機能付きLED照明器具
11:工作機械
12:プラスチック加工機械
13:プレス機械
14:印刷機械
15:ダイカストマシン
~要件~
補助対象設備は以下の要件をすべて満たすことが必要です。
1:国内ですでに事業活動を営んでおり、エネルギー管理を一体で行っている工場・事業場等において現在使用している設備を、本事業で定められた補助対象設備に更新する
2:工場移転や集約等、既存事業所を移設する際に既設設備を更新する場合は対象とする
3:既存設備を補助対象設備へ更新して省エネルギー化を図る。ただし、導入予定設備の性能(エネルギー消費効率等)が既存設備と比べて低く、省エネルギー化が図れない場合は補助対象設備とは認められない
4:更新前後で使用用途が同じである
5:兼用設備、将来用設備、または予備設備等ではない
6:中古品でない
7:その他法令に定められた安全上の基準等を満たした設備である
【(Ⅳ)エネルギー需要最適化対策事業】
~補助対象設備~
SIIが定める「EMSのシステム要件(公募要領92~97ページ参照)」を満たし、エネマネ事業者が提供するエネルギー管理支援サービス等の実施に必要不可欠なシステムや機器であり、あらかじめSIIの確認を受け補助対象システム・機器として登録されているものが補助対象です。
~対象となるエネマネ事業者~
対象となるのは「SIIに登録されたエネマネ事業者」です。エネマネ事業者はSIIのホームページ上で公表されます。
申請に当たっては、事業者の求めに応じてエネマネ事業者が、SIIへの交付申請、実績報告、成果報告等の手続きを担当するものとします。その際に補助事業者は、申請・報告等に必要な情報をエネマネ事業者に提供しなければなりません。
~要件~
以下の①、②のすべての要件を満たす事業が申請できます。
①以下の点を記載したEMS機器を活用した省エネ計画を作成すること
・EMS機器による計測等を行い省エネの取り組み対象とする工程
・プロセスの範囲✓ 対象範囲で考える具体的な省エネ取り組み(3項目以上)
・省エネ推進体制の構築(対象範囲を管理する主要部署は参加を必須とし、立ち上げ予定時期を定めること)
※策定する計画期間は2年間とする
※省エネルギー率2%改善を目安とする
②EMS機器を活用した省エネ計画による改善の成果を報告し、公表すること
・1年目・2年目のそれぞれで、SIIが定めたフォーマットに基づき、省エネ取り組みとその実施時期および省エネ効果を記載して報告
・報告時までに実施予定の取り組みが実施できなかった場合は、その理由を求める
申請スケジュールと手続きの流れ
最後に事業全体スケジュールを確認しましょう。
事業手続きの流れは以下のとおりです。
| 1:公募要領の確認 各種補足資料(SIIホームページに掲載)も併せて確認が必要です。 |
| 2:計画立案・書類作成 SIIホームページより実施計画書等の様式をダウンロードし、実施事業計画を立案して申請書類を作成しましょう。 |
| 3:アカウント登録 SIIホームページでアカウント登録をしましょう。登録から数日以内に、SIIからユーザー名等がメールで送付されます。 |
| 4:補助事業ポータルにログイン・必要事項の入力 メールで通知されたURLにアクセスし、補助事業ポータルにログインします。必要な情報を補助事業ポータルに入力しましょう。 |
| 5:書類の出力 入力情報を確認のうえ、書類作成機能から申請書類を出力しましょう。 |
| 6:書類の郵送 公募要領のルールに則り、必要書類をファイリングしてSIIに郵送しましょう。 |
【公募期間】
3次公募:2025年8月13日(水)~9月24日(水)※公募終了
【申請方法】
補助事業ポータルにログインして必要事項を入力し、申請書類を作成のうえ、すべての書類を以下に郵送しましょう。申請書類については「公募要領48~50ページ」に記載されています。
〒115-8691
赤羽郵便局私書箱23号
一般社団法人環境共創イニシアチブ 事業第1部
「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」
3次公募交付申請書在中
上記宛名の赤字部分は、必ず赤字にして郵送しましょう。簡易書留等の、配送状況が確認できる手段で郵送してください。事業部に直接持ち込みはできません。
また、申請書類は返却されないため、必ず提出書類全ての写しを控えておいてください。
省エネルギー投資促進支援事業は2026年度の実施はある?
省エネルギー投資促進支援事業は、ここ数年は年3回の公募が行われてきました。今年度(2025年度)も第3回公募が実施され、次年度の募集はあるのか関心を持たれている方も多いのではないでしょうか。
経済産業省の令和8年度予算の概算要求では、省エネルギー投資促進支援事業費補助金として、予算が計上されています。

出典:経済産業省 令和8年度予算の概算要求(59ページ)
上記のことから、省エネルギー投資促進支援事業は2026年度も引き続き実施されると考えられます。ただし、要件等が変わる可能性もあるため、来年度の情報が公開されるのを待ちましょう。
まとめ
省エネルギー投資促進支援事業では、省エネルギー対策のために設備導入などを行う企業を資金面で支援してくれます。どのような設備が対象になるかは細かく区分が設定されているため、自社の状況にマッチするものがないかを注意深くチェックしておきましょう。


