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新時代の経済対策!デフレ脱却への道筋とは

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政府はこの度新たな経済対策を打ち出しました。これは、国民の収入を向上させ、企業の競争力を強化し、経済全体の成長を促すためのものです。施策には、緊急的な生活支援の給付金や、賃上げ促進税制の拡充のほか、半導体や電気自動車等の戦略分野への大型投資、家庭での省エネ改善支援等が含まれています。さらに、「年収の壁」を取り払い、規制改革を通じたビジネスの新たな機会を創出するとしています。

これらの措置は、デフレからの完全脱却と持続可能な成長を目指す政府の決意を示すものであり、活力ある経済を支える基盤となることが期待されます。本記事では、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」における主要政策についてご紹介します。

この記事の目次

物価高により厳しい状況にある生活者・事業者への支援

賃金の上昇が物価高に追いつかない現状を受けて、令和6年分の所得税と令和6年度分の個人住民税の減税措置が行われます。この減税は、納税者および配偶者と各扶養家族につき、所得税は3万円、住民税は1万円が減額されることになります。さらに、所得税減税額が所得税額を上回る場合は、令和7年度分の住民税から残額が控除できるシステムが導入されます。この措置は、令和6年6月から始まり、税制改正を通じて実施される予定です。

特に苦しんでいる低所得者層へは、迅速な支援が実施されます。今年夏から多くの自治体が開始した、1世帯あたり3万円を基準とした物価高対策支援が、追加的に拡充されることになりました。新たに1世帯あたり7万円が加えられ、住民税非課税の世帯に対しては、合計で1世帯あたり10万円の支援が提供される計画です。これらの対策は、国民一人ひとりの生活を直接的に支え、賃金と物価のギャップを埋め、デフレ脱却への過渡期を支援することを目的としています。

燃料油価格の激変緩和措置について

燃料油価格の急激な変動を緩和するための措置は、エネルギー価格の上昇という現状を受け、2023年9月に緊急措置として実施され、その後も状況に応じて柔軟な運用が行われています。今回は、家計や中小企業が過度な負担を背負わないよう、2024年4月末まで措置を延長する方針です。

さらに、現在継続中の電気・ガス料金の激変緩和措置についても、同じく2024年春までの継続が決定しており、国際的な燃料価格の動きを踏まえつつ、2024年4月末まで現行の措置が続けられ、5月からは緩和の範囲を縮小する計画です。

LPガスに関しては、小売価格の削減を目指し事業者の経費負担を軽減するため、スマートメーター、バルクローリー、配送トラック、充填所自動化設備、ガスタンクなどの導入支援が展開されます。これらの措置によって、家計や事業者の経済的負担を軽減し、エネルギー価格の激変に伴う影響を抑えることを目指します。

出典:総合経済対策 政策ファイル

エネルギーコスト上昇に対する経済社会の耐性の強化

日本は2050年のカーボンニュートラル実現を目指しており、これに向けた取り組みを加速します。具体的には、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの導入を強化し、化石燃料への海外依存度を低減することで、エネルギーコストの上昇に対する国内経済の耐性を向上させる方針です。

企業に対しては、特に工場などでの省エネ設備投資を複数年度にわたり支援し、中小企業向けの省エネ診断を推進する予定です。一方、家庭では、子育て世帯や若者夫婦に向けて省エネ住宅の取得支援を行い、省エネ改修や断熱窓への改修、高効率給湯器の導入をワンストップでサポートします。運輸部門においては、クリーンエネルギー自動車や充電・水素充填インフラの普及、合成燃料の商用化に向けた実証研究を支援することで、CO2排出削減を目指します。

再生可能エネルギーに関しては、自家消費型太陽光発電や蓄電池、地域に根ざした再エネの導入を後押しする施策が打ち出されています。また、原子力エネルギーの安全性を最優先に、十数基の原発の再稼働や次世代革新炉の開発・建設、バックエンド事業の加速を進めることで、エネルギー供給の安定性と環境負荷の低減を図っていく方針です。これらの施策は、エネルギーコスト上昇の影響を最小化し、経済社会全体の耐性を高めるための重要なステップとなります。

施策例
エネルギー消費効率の高い設備への更新を促進する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」および「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」
中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費
高効率給湯器の導入を促進する「家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」
断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業
既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業
質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援
クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金
商用車の電動化促進事業 等

中堅・中小企業の賃上げの環境整備

中小企業の賃上げを後押しするため、賃上げ促進税制を中心に、複合的な措置が講じられます。中小企業等について、赤字法人でも賃上げが実現できるよう、新しい税制上の繰越控除制度が創設されます。最低賃金については、2030年代半ばまでに全国加重平均を1,500円に引き上げる目標が設定されており、地域間格差の是正も図られます。また、事業再構築や業務改善を支援することで、継続的な最低賃金の引き上げに企業が対応できるように助成措置が充実される予定です。

中小企業の資金繰り支援に関しては、資本性劣後ローンの運用見直しや賃上げに取り組む事業者に対する金利低減措置などが行われ、これらの措置の周知徹底と利用促進が進められます。

また、「挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議」が新設され、官民が協力して経営改善や再生を支援します。このほか、経営者保証改革を促進し、保証料の負担軽減や手続きの電子化を進めることで、中小企業の積極的な事業展開が支援される予定です。

インボイス制度への対応も円滑化され、相談体制の拡充、取引実態調査、システム導入支援などが行われることで、中小企業や小規模事業者が制度変更にスムーズに対応できるよう支援が提供されます。これら一連の措置は、中堅・中小企業の賃上げとそれに伴う経営環境の整備を目的としています。

施策例
賃上げ促進税制の強化
中小企業等事業再構築促進事業
最低賃金の引上げに向けた環境整備を支援する業務改善助成金
日本政策金融公庫等による資金繰り支援 等

人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援

人手が足りない中小企業・小規模事業者を対象に、省人化・省力化のための機器の導入支援が始まります。これはカタログを見て必要なものを選んで導入できるような、簡易で即効性がある支援で、それぞれの会社の状況に合わせたより良い生産方法を見つけるのに役立ちます。また、地方でも賃上げが実現可能となるよう、中堅・中小企業が新たな工場や拠点の設立、大規模な設備投資を行う場合について新たな支援措置を行います。

出典:総合経済対策 政策ファイル

さらに、中小企業の生産性を向上させるために、設備投資や販路開拓、情報通信機器の導入などに対する支援が行われます。これには、インボイス制度への対応支援も含まれ、海外展開を図る企業に対しても支援が提供される予定です。

地方公共団体と連携し、ハローワークの体制を拡充することで、社会生活を支える職種における人材確保に努めます。また、医療・介護・障害福祉分野では、2024年度の報酬同時改定に向けた対応として、賃上げに必要な財政措置を講じることで、人材の確保を図ります。事業承継税制では、後継者不在の中小企業に対して、特例承継計画の提出期限を延長し、円滑な事業継承を支援します。これらの総合的な支援によって、中小企業の人手不足への対応と賃上げの継続を目指します。

施策例
簡易で即効性がある省人化・省力化支援に向けた中小企業等事業再構築促進事業の再編
中堅・中小企業の持続的賃上げに向けた省人化等の大規模成長投資の促進
中小企業等の生産プロセス効率化・高度化等を支援する「中小企業生産性革命推進事業」<再掲> 等

「年収の壁」への対応を含めた所得向上への取組

非正規労働者が収入を増やせるように、所得増加を目指す支援策も打ち出されています。特に「年収の壁」と呼ばれる制度的な障害を越えられるように、「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行していくとしています。

例えば、「106万円の壁」に直面する労働者を持つ事業主には、申請人数の制限なしで、キャリアアップ助成金の新コースにより労働者一人あたり最大50万円を支援します。これは社会保障の負担も軽減し、将来の年金給付の増加にもつながります。「130万円の壁」に対しては、被扶養者の就労先が当該被扶養者の収入の増加が一時的なものであることを証明することで、迅速な扶養認定の判断が可能になります。企業には配偶者手当の見直しを促し、関連するフローチャートを普及させます。

そのほか、非正規雇用労働者の正規雇用化に取り組む事業主を支援するため、キャリアアップ助成金の増額や正社員転換を促す加算措置の新設等を行います。さらに、在職中の非正規雇用労働者のリ・スキリング支援を創設する予定です。

施策例
年収の壁・支援強化パッケージ
「キャリアアップ助成金」による非正規雇用労働者の正社員化の促進 等

地方活性化

地方活性化と、都市と地方の交流を促進するために、自然や文化などの資源の有効活用や移住等の促進に力を入れます。国立公園では滞在体験の質を高めて高付加価値観光の推進を図り、文化芸術においては、文化財や文化施設の活用とデジタルアーカイブ化を通じて、文化芸術立国を目指します。農林水産業については、輸出促進やグリーン化など、生産基盤の強化を進めます。

また、半導体や蓄電池の国内生産拠点整備などを通じて、地方経済の活性化を目指し、サプライチェーンの強靱化を図ります。サーキュラーエコノミーの推進や、まちづくり、交通ネットワーク整備、特定地域の振興も推進される予定です。

出典:総合経済対策 政策ファイル

さらに、地方公共団体が経済対策を実施できるよう、地方交付税を増額することで、地方の自立と総合的な発展を後押しします。これらの取り組みを通じて、地方が持つ多様な資源とポテンシャルを最大限に引き出し、全国各地で活気あるコミュニティを再生させることを目指しています。

施策例
国土計画(広域地方計画)の再構築による地域活性化
国立公園における滞在体験等の魅力向上事業
人材育成・収益化に向けた舞台芸術デジタルアーカイブ化推進支援事業
次世代半導体等の国内における研究開発を支援するための「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」
先端半導体の国内生産拠点の確保
重要物資の安定供給のためのサプライチェーン強靱化支援
企業の人材ニーズに応えるための「先導的人材マッチング事業」 等

経済対策の効果は

今回の総合経済対策には5つの柱があり、それぞれの財政支出は以下のとおりです。

総合経済対策の柱 財政支出
1.物価高から国民生活を守る 6.3兆円程度
2.地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する 3.0兆円程度
3.成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する 4.7兆円程度
4.人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する 1.6兆円程度
5.国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する 6.1兆円程度

低所得世帯に対する計10万円の所得支援、一人あたり4万円の所得・住民税減税などを通じた国民の所得の基盤強化とともに、燃料費や電気・ガス代の急激な値上がりを抑える措置を取ることで、消費者物価を前年比1.0%ポイント程度抑える効果が期待されています。総合経済対策全体としては、実質GDPを19兆円程度増加し、年間の経済成長率が1.2%程度向上する効果を見込んでいます。

参考:デフレ完全脱却のための総合経済対策の効果

今後の流れ:補正予算の編成

政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を実行するため、令和5年度の補正予算案の早期成立に取り組むとしています。この対策はただの予算措置にとどまらず、財政投融資、税制改正、制度や規制の改革など、さまざまな手段を組み合わせた総合的なものです。あわせて、財政運営の短期的な考え方による問題点を改善することにも着手するとしています。

参考:「デフレ完全脱却のための総合経済対策」について

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