
東京で開業することを考えているなら、知っておきたい「創業助成金(創業助成事業)」。これは、賃借料、広告費、器具備品購入費や人件費など、創業初期に必要な経費が最大300万円助成される制度です。
6月8日に令和5年度の第2回募集のお知らせが出ました。募集開始は10月2日からを予定しています。
春と秋の2回募集されるこの助成金は、申請要件を満たすための準備に時間がかかります。そのため、助成金を使ってみたいとお考えの都内創業予定の方や、創業して5年未満の中小企業者の皆さまは、本記事を参考にして早めに準備を進めるようにしてください。
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この記事の目次
東京都 創業助成金(創業助成事業)とは
創業助成金(創業助成事業)は、都内開業率を2030年度に12%まで向上させる政策目標の達成に向けて、東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社が都内創業予定者等に対して、創業初期に必要な経費の一部を助成するものです。
対象者
都内創業予定者または創業して5年未満の中小企業者等(申請要件1)
ただし、申請時点で、個人事業主または法人登記上の代表者として経営に従事している期間が、通算5年未満であることとします。
この要件に該当するかどうかは、「申請要件1確認チャート」でチェックすることができます。
出典:令和5年第2回創業助成事業【募集要項】
このほか、申請を行うには別の要件も満たす必要があります。以下、主な要件になります。
■創業支援事業の利用(申請要件2) |
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指定された19の創業支援事業のいずれか(※)を利用して、所定の要件を満たしている (※例) 〇 TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者 〇 インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設の入居者 〇 東京都及び都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者 〇 都内区市町村で認定特定創業支援等事業(産業競争力強化法)による支援を受けた方 等 |
このような「創業支援事業」の利用が必要になります。下の表は、対象となる19の支援事業と要件をまとめたものです。
【創業支援事業と各要件】※「当年度」「前年度」は以下の期間を指します。 「当年度:令和5年4月1日~令和6年3月31日」、「前年度:令和4年4月1日~令和5年3月31日」 |
①TOKYO創業ステーション「プランコンサルティング」またはTOKYO創業ステーションTAMA「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内に証明を受けた方 |
②公社(多摩支社)実施の「多摩ものづくり創業プログラム」を受講後、同社による「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内に証明を受けた方 ※②は現在募集を行っておりません |
③公社が実施する「事業可能性評価事業」にて、当年度(またはその前年度以前の過去3か年の期間内)に事業の可能性ありと評価され、継続的支援を受けている方 |
④公社が実施する「進め!若手商人育成事業」における「商店街開業プログラム」を当年度(または前年度以前の過去3か年の期間内)に受講修了した方 |
⑤東京都・公社が設置した創業支援施設に入居している方(または以前に入居していた方) |
⑥東京都の認定インキュベーション施設に認定後6か月以上継続して入居し、申請を行う事業内容に関する個別具体的支援を入居期間中に継続して受けている方(または以前に受けていた方) |
⑦独立行政法人中小企業基盤整備機構、都内区市町村、地方銀行、国公立大学などが設置した都内所在の創業支援施設を1年間以上の賃貸借契約を締結して入居している方(または過去3か年の期間内に入居していた方) |
⑧青山スタートアップアクセラレーションセンターにおいて、アクセラレーションプログラムを受講している方(または以前に受講していた方) |
⑨東京都の「創薬・医療系ベンチャー育成支援プログラム」における選抜プログラムを過去3か年度において受講修了した方 |
⑩東京都の「TOKYO STARTUP GATEWAY」にて、前年度以前の過去3か年度の期間内にセミファイナリストまで進んだ方 |
⑪東京都の「東京都女性ベンチャー成長促進事業」にて、国内プログラムを受講している方(または以前に受講していた方) |
⑫東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」にて、取り扱い金融機関から当該事業に係る融資を受け、その証明を受けた方 |
⑬東京都中小企業融資制度(創業融資)を利用している方 |
⑭都内区市町村が実施する中小企業制度融資のうち、創業者を対象とした「東京信用保証協会の保証付き制度融資」を利用している方 |
⑮東京都が出資する、ベンチャー企業向けファンドからの出資等を受けている方 |
⑯政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)を利用している方 |
⑰産業競争力強化法に規定する認定特定創業支援等事業により支援を受けて、過去3か年の期間内に証明を受けた方 |
⑱東京商工会議所、東京信用保証協会、東京都商工会連合会、中小企業大学東京校BusiNestより認定特定創業支援等事業に準ずる支援を受けて、過去3か年の期間内に証明を受けた方 |
⑲東京都「高校生起業家養成プログラム」にて、過去3か年度の期間内に「養成講座」を修了した方 |
<参考>創業支援事業の早見一覧表
出典:令和5年第2回創業助成事業【募集要項】
ポイントとして、申請要件を満たすのに2か月以上かかる点が挙げられます。また指定された支援事業によっては、現在募集を行っていないものもありますので、ご注意ください。各事業の実施・運営機関の情報は、TOKYO創業ステーションのサイトで確認するようにしてください。
■事業要件(申請要件3) |
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申請を行う事業等が下記を満たしていること ・所定の年数以上、事業活動を実施できる ・助成対象期間内に事業を実施できる 等 |
■その他(申請要件4) |
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下記を満たしていること ・納税地が都内である ・所定の要件に該当する助成金・補助金の重複助成・補助を受けない 等 |
なお、以下に当てはまる方は、本助成金に申し込むことができません。
■個人事業主・法人の登記上の代表者として、通算5年以上の経営経験がある方
■みなし大企業に該当する方
■個人開業医
※一般財団法人や一般社団法人も対象外です。ほかにも事業協同組合、商工組合、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、農事組合法人、特定目的会社、任意のグループなども対象になりません。
創業助成金の対象経費は?
創業初期に必要な以下の経費が助成対象になります。- 賃借料…都内の不動産の賃借料(事務所、店舗、駐車場)、サーバー等のリース・レンタル料
- 広告費…販路開拓や顧客獲得を目的とした広告費用。ホームページやチラシの制作料、展示会出展料
※サイト上で予約・決済等を行うためのシステム等の構築に関する費用は対象外 - 器具備品購入費…机、いす、コンピューター、エアコンなどの1点あたりの購入に金額が税込1万円以上、50万円未満のもの
※中古品や消耗品の購入費などは対象外 - 産業財産権出願・導入費…商品、製品、サービスに対する特許権、商標権などの産業財産権の出願費用など
- 専門家指導費…外部専門家に相談や指導を受ける際に発生する経費
※顧問契約は対象外 - 従業員人件費…正規従業員の給与、パート・アルバイト従業員に対する賃金など
※申請者本人、役員の報酬、派遣や委託契約で支払う人件費は対象外
助成対象期間
交付決定日から6か月以上2年以下
助成率・助成額
助成率:対象経費の2/3以内
助成限度額:300万円
交付決定日から助成対象期間中に、契約、履行(取得・実施等)、支払い(分割の場合は全ての支払い)が完了した経費が助成対象となります。ただし、賃借料と従業員人件費に限り、交付決定日以前に契約した内容も対象になります。
創業助成金の申請受付期間
助成金の申請には、「申請書の提出(郵送)」と「WEB登録」の2つの手続きが必要です。
【申請書の提出】
令和5年10月2日(月)~令和5年10月11日(水)※必着
簡易書留、一般書留、レターパックプラス(赤)のいずれかで期間内に郵送で提出します。
【WEB登録】
令和5年10月2日(月)~令和5年10月11日(水)
TOKYO創業ステーションホームページ上の登録フォームに、申請書と同じ内容を入力します。
申請に必要な書類
申請書提出時に必要となる書類は以下のとおりです。申請書はTOKYO創業ステーションホームページからダウンロードできます。
- 創業助成事業申請前確認書(指定様式)
- 創業助成事業申請書(指定様式)
- 直近2期分の確定申告書等
※法人の場合:法人税の確定申告書等
※個人事業主の場合:所得税の確定申告書等 - 履歴事項全部証明書(法人)/個人事業の開業・廃業等届出書(個人事業主)
- 申請要件確認書類
※所定の創業支援事業の利用を証明するものを提出
提出書類に不足がある場合や押印を忘れた場合は、書類審査で不通過になってしまいますので、ミスのないようご注意ください。
創業助成金のスケジュール
創業助成金の申請から、受給までの流れを確認しましょう。
①東京都が実施する創業支援事業を利用する
②助成金の申請を行う※申請期間は令和5年10月2日~10月11日
③書類審査を通過した方のみ面接審査が行われる※期間は令和6年1月10日~1月17日
④令和6年3月1日に交付決定(予定)
⑤対象期間内に事業を完了する
⑥事業完了後に実績報告を行い審査を経て助成金が交付される
※助成対象期間が6か月を超えている場合は、6か月経過以降に事業実績の報告を行うことで、助成金の中間払を受けることも可能です。(中間払で従業員人件費のみの申請は不可)
出典:令和5年第2回創業助成事業【募集要項】
最後に、助成事業完了後の取り組み義務について確認しておきましょう。
助成事業を完了してから、5年間は以下の義務があります。
- 事業活動・納税
- 関係書類の保存
- 企業化状況報告の提出(年に1回)
- 収益納付(対象者のみ)
- 財産の管理
- 財産処分の承認
助成金交付後も、しばらくは報告の義務などが課されるということですね。
まとめ
今回は10月2日より第2回公募が開始となる、東京都「創業助成金」についてご紹介しました。
申請要件に「創業支援事業の利用」があるため、まず申請準備として、指定された19の支援事業のいずれかを利用することから検討してみましょう。要件となる創業支援事業には、経営の経験が少ない方にとって有益なプログラムが多く含まれていますので、自身の必要に応じて適切な創業支援事業を利用するようにしましょう。
創業助成金の過去の採択率の平均は2割を切っています(平成29年度~令和3年度。TOKYO創業ステーション サイトより)。競争率は高いですが、採択されれば、最長2年間にわたって、人件費や事務所賃借料、広告宣伝費等の一部が助成され、助成対象期間終了後も東京都中小企業振興公社の継続的なサポートを受けられます。東京都で開業するなら、ぜひ活用したい支援事業といえるでしょう。
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