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就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説

公開日:2023/8/22 更新日:2026/4/14
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就業促進定着手当は、新しい職場に再就職した人が、離職前より低い賃金で就労する場合に支給される手当金です。

日本国内の転職率は年々上昇傾向にあります。年収アップを目的とした転職だけでなく、ライフスタイルの変化にあわせて転職せざるを得ない人もいます。転職は必ずしも給与が上がるわけではなく、減ってしまうケースもあるのです。国は、転職などにより収入が減ってしまう人を支援するため、ハローワークによる就職促進給付を行っています。

2025年4月1日、雇用保険法の改正により就業促進定着手当の上限額が大幅に変更されました。上限額の計算に使う割合がこれまでの「30%または40%」から一律「20%」へ引き下げられています。受給を検討している方は、最新の制度内容を正しく把握することが重要です。

本記事では、就業促進定着手当の概要や支給額、申請方法を最新情報をもとに解説します。今後転職を検討している方や、すでに転職が決まって給与が下がることになってしまった方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の目次

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【重要】2025年4月の制度改正ポイント

2025年4月1日より、雇用保険法等の一部改正(令和6年法律第26号)が施行され、就業促進定着手当に関して2点の大きな変更がありました。

変更点①:支給上限額の引き下げ
上限額の計算に用いる割合が、従来の「30%または40%」から一律20%へ引き下げられました。2025年4月1日以降に再就職手当を受給した方に新しい割合が適用されます。

変更点②:就業手当の廃止
就業促進手当のひとつであった「就業手当」(短期就労者向け)は、2025年3月31日をもって廃止されました。今後の就業促進手当は「再就職手当」と「就業促進定着手当」(「常用就職支度手当」)に一本化されています。

就業促進定着手当とは

就業促進定着手当は、失業や再就職に伴って収入が減少した場合に支給されるお金です。雇用保険における失業等給付の就職促進給付のひとつで、「就業促進手当」に分類されます。

具体的には、再就職先に6か月以上雇用され、再就職先の6か月間の賃金が離職前よりも低い場合に支給されます。「再就職手当」の支給を受けた方を対象とした制度であり、早期再就職した職場への定着を支援することが目的です。

ただし、6か月以内に再就職先の雇用保険の被保険者資格を喪失した場合は受給の対象外です。

就業促進定着手当の支給対象者

支給対象者の要件

支給対象者の要件
①再就職手当を受給している
②再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
③所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること

なお、被雇用保険者資格は事業主の都合による出向等で喪失した場合でも受給の対象外となります。また、離職前の賃金日額が下限額の場合も受給の対象外です。

※起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません。就業促進定着手当は「雇用保険の被保険者としての就労継続」が前提のため、事業主となった場合は対象外です。

再就職手当とは

就業促進定着手当を受給するには、まず「再就職手当」の支給を受けていることが前提条件です。再就職手当とは、雇用保険受給資格者の方が基本手当の受給資格の決定を受けたあと、早期に安定した職業に就いた場合に受け取れる手当のことです。

【再就職手当の受給要件】

再就職手当の受給要件
①受給手続き後、7日間の待期期間を経て就職した
②基本手当の支給残日数が、所定給付日数の1/3以上ある
③離職した前の事業所に再び就職したものでない
④受給資格に係る離職理由により給付制限がある方は、求職申込みをしてから待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークなどの紹介により就職したものである
⑤再就職先に1年以上勤務する
⑥原則として、雇用保険の被保険者になっている
⑦過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けたことがない
⑧受給資格決定前から採用が内定していた会社に雇用されたものでない

基本手当の支給残日数によって受給率が異なり、早く就職したほうが再就職手当の額が上がる仕組みです。

  • 支給残日数が所定給付日数の1/3以上:支給率 60%
  • 支給残日数が所定給付日数の2/3以上:支給率 70%

【再就職手当の計算方法】

再就職手当の計算式
基本手当日額 × 所定給付日数の支給残数 × 受給率(60%または70%)
※基本手当日額は「雇用保険受給資格者証」に記載

なお、再就職手当や就業促進定着手当などに関する基本手当日額の上限額は以下のとおりです(2025年8月1日改定後)。

離職時の年齢基本手当日額の上限額
60歳未満6,570円
60歳以上65歳未満5,310円

※上限額は毎年8月1日に改定。2025年8月1日に最新改定済み(次回改定は2026年8月1日)

就業促進定着手当の計算方法

就業促進定着手当の支給額を計算する方法は以下のとおりです。

就業促進定着手当の計算式
(離職前の賃金日額 − 転職後6か月間の1日分の賃金額)× 転職後6か月間における賃金の支払基礎日数

離職前の賃金日額

離職前の賃金日額は、離職時の年齢による以下の上限額と下限額が定められています。

区分対象金額
上限額離職時の年齢が30歳未満14,510円
離職時の年齢が30歳以上45歳未満16,110円
離職時の年齢が45歳以上60歳未満17,740円
離職時の年齢が60歳以上65歳未満16,940円
下限額全年齢共通3,014円

※これらの金額は毎年8月1日に改訂されますのでご注意ください。

【就業促進定着手当の上限額】
就業促進定着手当には上限額があります。2025年4月1日以降に再就職手当を受給した方は、上限額の計算割合が一律20%に変更されています。

再就職した時期上限額の計算式
2025年4月1日以降に再就職(現行)基本手当日額 × 支給残日数 × 20%
2025年3月31日以前に再就職(旧制度)再就職手当の支給率が70%の場合:× 30%  再就職手当の支給率が60%の場合:× 40%
【注意】就業促進定着手当の計算で用いる「支給残日数」は、再就職手当の計算で適用された支給残日数です。再就職手当支給後の残日数ではありませんのでご注意ください。雇用保険受給資格者証に記載されている再就職手当対象の支給残日数をご確認ください。

転職後6か月間の1日分の賃金額

就業促進定着手当の計算で用いる「再就職後6か月間の賃金の1日分の額」は、「月給」か「日給・時給」かによって計算方法が異なります。

月給再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
日給・時給次のうちどちらか金額の高い方
①再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
②(再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%

就業促進定着手当のシミュレーション(2025年4月改正後)

2025年4月1日以降の改正後の制度を踏まえて、受け取れる金額を試算してみましょう。

前提条件(2025年4月以降に再就職のケース)
・年齢:36歳(30〜45歳の区分)
・離職前の賃金日額:8,000円(上限16,110円・下限3,014円の範囲内)
・再就職後の月給:210,000円
・支払基礎日数:月30日 → 6か月で180日
・基本手当の支給残日数:64日
・基本手当日額:6,570円(上限)
・上限額の式(改正後):基本手当日額(上限)× 支給残日数 × 20%

各要素を計算式に当てはめます。

離職前の賃金日額8,000円
再就職後6か月間の賃金の1日分の額7,000円(月給なので:1,260,000円 ÷ 180 = 7,000円)
6か月の基礎日数180日
計算式(8,000円 − 7,000円)× 180日 = 180,000円
上限額(2025年4月以降)6,570円 × 64日 × 20% = 84,096円

計算式で算出した180,000円は上限額84,096円を超えているため、実際の就業促進定着手当は84,096円となります。

【2025年4月改正の影響】このシミュレーション例で旧制度(支給率60%→上限40%適用)を計算すると、上限額は「6,570円 × 64日 × 40% = 168,192円」でした。改正後は同じ条件で84,096円と約半額になっており、実際の受給額に大きな影響が出ています。

就業促進定着手当の申請方法

就業促進定着手当の申請は、ハローワークで行います。

申請方法必要書類を揃えたうえで、以下どちらかの方法で申請
・再就職手当の支給申請を行ったハローワーク窓口
・郵送
申請に必要な書類①就業促進定着手当支給申請書
②雇用保険受給資格者証
③就職日から6か月間の出勤簿の写し
④就職日から6か月間の給与明細または賃金台帳の写し
※就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締切日後の6か月分
申請期間再就職した日から6か月が経過した日の翌日から2か月以内

就業促進定着手当の申請は、特別な事情があると認められない限り、期間を過ぎてからの申請は認められませんのでご注意ください。

就業促進定着手当支給申請書における書き方のポイント

就業促進定着手当支給申請書の入手方法

ハローワーク窓口お住まいの地域を管轄するハローワーク(雇用保険給付窓口)にて入手可能。申請書の入手と併せて手当や手続きについても相談できます。
インターネット上ハローワークインターネットサービスの「帳票一覧」からダウンロード可能。自宅などでも申請書をダウンロード・印刷できます。

就業促進定着手当支給申請書の内容やポイント

申請書には、申請者本人だけでなく再就職先の事業主側が記入する欄があります。

申請者情報本人が記入:氏名・連絡先・住所など・署名
事業主の証明再就職先の事業主が記入:企業の基本情報・雇用保険事業所番号・1週間の所定労働時間・求人申し込み時等に明示した賃金月額・賃金支払い状況・押印など

申請書のなかで特に重要なのが「賃金支払状況」の欄です。「賃金支払対象期間」「賃金支払基礎日数」「賃金額」などの内容をもとに受給要件の判断が行われます。正しい内容で記入し、記入漏れや不備がないようにしましょう。

参考:就業促進定着手当支給申請書

就業促進定着手当に関するよくある質問

2025年4月の改正で何が変わった?

2025年4月1日より、就業促進定着手当の上限額の計算に用いる割合が、従来の「30%または40%」から一律「20%」に引き下げられました。同じ条件でも支給上限が旧制度の約半額になるケースがあります。また、短期就労者向けの「就業手当」は2025年3月31日をもって廃止されています。2025年4月1日以降に再就職手当を受給した方は新しい計算ルールが適用されます。

支給後、再び離職した場合はどうなりますか?

就業促進定着手当の支給後に再び離職して失業状態になった場合、再就職手当と就業促進定着手当を差し引いた残余の日数分の基本手当を受給できるケースがあります。また、12か月(解雇・倒産などによる離職の場合は6か月)以上働いた後に離職した場合は、新たに失業給付の受給資格を取得できることがあります。詳細はハローワークにご相談ください。

支給対象とならないケースはありますか?

主に以下のケースが対象外です。①再就職手当を受給していない方、②再就職先で6か月未満しか働いていない方、③再就職後の賃金が離職前と同額以上の場合、④起業など自営業による再就職の場合。また、事業主の都合による出向等で被保険者資格を喪失した場合も対象外となります。

パート・アルバイト勤務でも対象になりますか?

雇用保険の被保険者であれば対象になる可能性があります。週20時間以上の勤務など雇用保険の加入要件を満たしていることが前提です。雇用形態ではなく、雇用保険の被保険者であるかどうかが判断基準になります。

「6か月間」の数え方はどうなりますか?

就職日が給与締め日の翌日の場合は「就職日から6か月間」、就職日が給与締め日の翌日を過ぎている場合は「就職日以降の最初の締め日の翌日から6か月間」が対象期間となります。正確な期間はハローワークに確認するとよいでしょう。

支給申請を忘れたり期限を過ぎたりしたらどうなりますか?

申請期限(再就職した日から6か月が経過した日の翌日から2か月以内)を過ぎると、原則として受給できなくなります。特別な事情があると認められる場合を除き、期限後の申請は認められませんので、申請期間の管理を徹底しましょう。

支給対象になる「賃金の低下」の基準は?

再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ることが要件です。同額以上であれば支給されません。昇給等により離職前の賃金日額を上回った場合も、差額が発生しないため対象外となります。

基本手当日額の上限はいつ改定されますか?

毎年8月1日に改定されます。2025年8月1日から最新の上限額が適用されています(60歳未満:6,570円、60歳以上65歳未満:5,310円)。就業促進定着手当の計算に用いる基本手当日額の上限額は、再就職手当を受給した時点での上限額が適用される点に注意が必要です。

起業・自営業になったときは支給対象になりますか?

原則として対象外です。就業促進定着手当は「雇用保険の被保険者としての就労継続」が条件であり、起業などで雇用保険の被保険者から外れる形態には適用されません。

支給が決定するまでどれくらい時間がかかりますか?

ハローワークで書類審査・内容確認がありますので、申請後すぐには支給されず一定の期間がかかります。申請書類に不備がある場合は追加の確認が発生し、さらに時間がかかることがあります。必要書類をそろえ、記入漏れのないよう事前に準備しておくことがスムーズな受給につながります。


まとめ

転職では労働環境や働き方の変化もメリットのひとつですが、年収の変化はライフスタイルにも大きく影響します。特に最初の数か月間は心身ともに負担となるケースも多く、就業促進定着手当はそのような転職直後の収入減を補う大切な制度です。

ただし、2025年4月1日以降の改正により上限額が一律20%に引き下げられており、受給できる金額は従来より少なくなっています。申請前に自身の状況と最新の計算方法をしっかり確認し、申請期限(再就職後6か月経過の翌日から2か月以内)を逃さないようにしましょう。

社会全体の経済活性化と働く人の環境改善を両立させるこうした支援を、ぜひ上手に活用してください。

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