顧客サービスの質向上と運営効率の改善は、観光業界において重要な課題となっています。この課題に対応するため、東京都では宿泊業、飲食業、小売業、旅行業などを営む観光関連事業を対象に「デジタルレベルアップ推進事業補助金」を実施しています。
本補助金を利用して業務管理システムや、販売実績の分析等が可能な顧客管理システム、セルフ支払機などを導入してみませんか。デジタル技術を使った業務効率化やサービスの向上をご検討中の観光関連事業者の皆さまは、ぜひ詳細をご覧ください。
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この記事の目次
観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金
「観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金」とは、東京都内の中小観光事業者が業務効率化やサービスの質向上を目的としてデジタル技術を活用する際、経費の一部を補助する制度です。観光事業者がアドバイザーの助言を受けて作成した計画に基づき行うデジタル技術を活用した取組が対象です。中小企業だけでなく個人事業主も対象になります。
観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金の補助対象者と補助対象事業
観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金には、「補助対象者」「補助対象事業」のそれぞれが設けられています。ここでは要点を紹介します。
【補助対象者】
以下の(1)~(5)すべてを満たす事業者が対象です。
補助対象者 |
(1)指定要件に該当しており、大企業が実質的な経営に参画していない中小企業者(会社および個人事業者) |
(2)東京都内で旅行者向けサービスや商品を販売している(予定を含む)観光事業者であり、以下のいずれかに該当している - 旅館業法の許可を受けて、同法第2条第2項あるいは第3項の営業を行っている宿泊事業者 - 食品衛生法で定める飲食店営業あるいは喫茶店営業の許可を受けて営業している飲食事業者 - 東京都内に販売場を設け営業している小売事業者 - 東京都内に主な営業所を置き、かつ旅行業法に基づく登録を受けて営業している旅行事業者 - その他、旅行者に対して直接サービス開発・提供や商品開発・製造・販売などを行い、公益財団法人東京観光財団(以下、TCVB)の理事長が認める事業者 |
(3)以下のすべてに該当する事業者 - 東京都内に登記簿上の本店あるいは支店があり、令和6年4月1日現在で2年以上事業を営んでいる - アドバイザーの助言を受けて作成した計画に基づき、デジタル技術を活用した取り組みを実施している事業者 - 作成した計画に基づき、途中経過の確認や事業実施に係る助言などをアドバイザーから受けて事業を実施する事業者 - 補助事業の成果を活用し、東京都内で引き続き事業を営む予定である |
(4)以下のいずれかに該当する事業者 - 法人の場合は、東京都内に登記簿上の本店あるいは支店があり、登記簿謄本により都内所在等が確認できる。また、都税事務所発行の納税証明書を提出できる。 - 個人事業者で事業税が課税対象の場合は、税務署に提出した「個人事業の開業・廃業等届出書」の写しで都内所在等を確認できる。また、都税事務所発行の納税証明書および区市町村発行の代表者の住民税納税証明書を提出できる。 - 個人事業主で事業税が非課税の場合は、税務署に提出した「個人事業の開業・廃業等届出書」の写しで都内所在等を確認できる。また、代表者分について、税務署発行の所得税納税証明書および区市町村発行の住民税納税証明書を提出できる。 |
(5)以下のすべてに該当する事業者 - 同じテーマや内容で、TCVBや国、都道府県などから補助を受けていない - 暴力団関係者あるいはは遊興娯楽業のうち、風俗関連業やギャンブル業、賭博業等、公的資金の補助先として不適切な業態ではない - 過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けていない - 事業税その他租税の未申告あるいは滞納がない - 東京都やTCVB等への賃料や使用料等の債務支払いが滞っていない - 国や都道府県などから補助事業の交付決定取消し等を受けていない。あるいは、法令違反等不正の事故を起こしていない - 民事再生法や会社更生法、私的整理手続中など、事業の継続性について不確実な状況が存在 していない - 補助事業の実施時に法令を順守し必要な許認可を取得している - 補助事業の進行管理等に対応できる - 補助事業の実施場所が東京都内にある - 過去に本補助金の支援決定を受けている場合、申請時点で当該補助事業を確定・完了している - 宗教活動や政治活動が主目的の団体等ではない |
【補助対象事業】
都内の中小観光事業者が、アドバイザーの助言を受けて作成した計画をもとに行う「デジタル技術を活用した取り組み」が補助対象事業です。以下のような取り組みを想定しています。
・販売実績の分析等が可能な顧客管理システムの構築・導入
・直販比率拡大のための自社サイト内の予約販売・決済システムの構築・導入
・業務の簡略化や効率化を図るためのセルフ支払機の導入
・施設内の混雑状況をリアルタイムで提供するシステムの導入 等
「経営アドバイザー」からの支援について、TCVBが契約している中小企業診断士から、途中経過の確認や事業実施に係る助言等のアドバイスを受けることも可能です。具体的に以下の内容で支援を受けられます。
- 事業計画のブラッシュアップ
- 事業計画の実行支援
- 派遣回数は「合計5回(90分 / 回)が上限
- 派遣期間は補助対象期間に応じる
以上が「補助対象者と補助対象事業」の概要です。より具体的な企業区分や各条件の留意点といった詳細は、「募集要領のp.1〜5」をご確認ください。
補助率・限度額
【補助率】
補助率は「賃金引上げ計画の有無」で異なります。
・賃金引上げ計画あり:補助対象経費の3/4以内
・賃金引上げ計画なし:補助対象経費の2/3以内
【限度額】
1000万円(下限:100万円)
補助対象経費と対象外経費
(1)デジタル化・DX 経費 |
① システム構築費 ② ソフトウェア導入費 ③ クラウド利用費 ④ データ取得・解析経費 |
(2)機械設備導入費 |
① 機械設備購入費 ② 機械設備開発費 |
(3)アドバイザー等支援費 |
① アドバイザー支援費 ② 専門家指導費 |
以下に該当するものは補助対象外経費となるため注意しましょう。
- 補助事業と無関係の物品の購入や外注、業務委託等の経費
- 申請書に記載されていないものを購入した経費
- 帳票類に不備がある経費
- 他社発行の手形や小切手、クレジットカード等で支払われている経費
- 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(事務用のパソコンやプリンタ、タブレット端末等)
- 不動産の取得費 等
補助金制度を利用する際には、申請前に補助対象経費の内容をしっかりと確認することが重要です。
交付申請スケジュール・申請方法
観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金の交付申請スケジュールは以下の通りです。申請方法と合わせて確認しましょう。
【ステップ1】「アドバイザー支援証明書」を取得する
まずは観光事業や経営、IT分野に精通した専門家による「既存事業の課題抽出」「課題解決や改善に必要な取り組み」についてアドバイスを受けます。このアドバイザーによる助言内容等が記載された「アドバイザー支援証明書」を、申請書類と併せて提出しましょう。
【ステップ2】申請書類を準備する
申請方法は、郵送による申請と電子申請の2パターンあります。
①郵送
TCVBのホームページから書類をダウンロードする
②jGrants
jGrantsの当該補助金ページで詳細を確認する
【ステップ3】申請書類を提出する
完成した申請書類を、以下いずれかの方法で提出しましょう。
①郵送の場合
簡易書留やレターパックなど追跡可能な方法で、以下の宛先まで郵送してください。
東京都新宿区山吹町346-6 日新ビル2階
公益財団法人東京観光財団 観光産業振興部観光産業振興課
観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業担当 宛
募集期間:令和7(2025)年3月31日(月)まで *当日消印有効
②jGrantsの場合
jGrantsの当該補助金ページから申請
募集期間:令和7(2025)年3月31日(月)17時申請到達分まで
申請に必要な「GビズIDプライムアカウント取得」には、2~3週間程度かかるため、余裕を持って申請しましょう。アカウント発行が間に合わない場合は、郵送で申請してください。
交付申請から補助金交付までの流れ
交付申請から補助金支払いまでの流れは「 賃金引上げ計画の有無」で異なります。今回は「 賃金引上げ計画なしの場合」を紹介します。
①事業者からの交付申請内容をもとに審査を実施する(1ヶ月程度) |
②審査が完了し交付決定後に事業を開始する(事業終了まで最長1年) |
③事業終了から1ヶ月以内に実績報告を提出する |
④事業者からの実績報告をもとに完了検査を行う(2〜3ヶ月程度) |
⑤完了検査後に1〜2週間程度で交付金額が確定する |
⑥補助金請求後に1〜2週間程度で交付される |
出典:公募要領
まとめ
「観光関連事業者デジタル化レベルアップ支援事業補助金」は、都内の宿泊業、飲食業、小売業、旅行業などの観光関連事業者を支援する制度です。この補助金を活用して、業務管理や顧客管理システムの導入による業務効率化や、セルフ支払機の導入や混雑状況のリアルタイム提供による顧客体験向上などに取り組むことが可能です。
都内で観光事業を営む、またはこれから観光事業を営む予定の皆さま、アドバイザーの助言を受けながらデジタル技術を活用した新しい取り組みを始めてみませんか?