少子高齢化社会が進むにつれ、高齢者向けビジネスでは、新たな需要が生まれています。東京都は都内中小企業者等が高齢者市場でビジネスチャンスを獲得できるよう、「高齢者向け新ビジネス創出支援事業」を設置しました。これは製品・サービスの開発・改良や、設備投資等を支援する制度です。
今回は高齢者向け新ビジネス創出支援事業の概要や申請方法、活用事例をまとめました。
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この記事の目次
高齢者向け新ビジネス創出支援事業とは
本助成事業は、都内の中小企業者等が高齢者市場でビジネスチャンスを獲得できるよう支援することを目的としたものです。指定の高齢者向けビジネスにおける支援テーマに沿い、高齢者を対象として開発・改良する製品・サービスが対象となります。
支援内容は、以下の2つです。
| ■開発・改良フェーズ 高齢者向けの製品・サービスの開発・改良および開発・改良した製品・サービスを検証・モニタリングする ■設備投資・事業環境整備フェーズ 開発・改良した製品を量産するための設備投資および製品の販売またはサービスを提供するための事業環境整備を行う |
それぞれ詳しくみていきましょう。
助成内容
助成の対象となるには、まず「開発・改良フェーズ」の事業を行うことが必須です。「設備投資・事業環境整備フェーズ」の事業は任意となります。
また対象となる「高齢者向けビジネス」とは、以下のいずれかに該当するものです。
| ■生活の質の向上を目的とするビジネス ①高齢者本人向けビジネス ・趣味の充実支援製品、サービス ・家庭用運動器具 ・ウエアラブル端末 ・健康増進ツーリズム ・エンディングノート など ②高齢者とその家族・親族向けビジネス ・遠隔コミュニケーションツール ・子供や孫と一緒に行うイベント企画サービス ・遺言書代行サービス など ➂高齢者と地域社会等とのつながりに関するビジネス ・社会参加を支援する製品、サービス ・交流の場提供サービス ・シニア食堂 など |
| ■生活の維持・低下防止を目的とするビジネス ④高齢者本人向けビジネス ・視覚、聴覚等身体機能補助用具 ・転倒事故、ヒートショック、熱中症対策製品 ・コミュニケーションロボット など ⑤高齢者とその家族・親族向けビジネス ・住宅の安全、安心に関する製品 ・高齢期に備えた住宅選びの総合的な相談サービス ・防犯カメラ など ⑥高齢者と地域社会等とのつながりに関するビジネス ・防犯対策製品 ・災害時の避難製品 ・災害時の避難生活用品 など ⑦就労に関する高齢者向けビジネス ・就労支援製品、サービス ・リカレント教育サービス ・高齢者のスキル など ⑧サポートが必要な高齢者向けビジネス ・杖など、移動に関する製品 ・宅配サービス ・訪問理容サービス ・家事代行サービス など ⑨デジタルデバイド解消に関する高齢者向けビジネス ・操作のしやすいデジタル機器 ・インターネットや各種オンラインサービス等の利活用教室 ・セキュリティ対策教室 など ⑩その他 |
なお、こうしたビジネスはあくまで一例です。高齢者向けビジネスにおける「支援テーマ」に即した内容であれば、対象となります。
ただし、高齢者向けに開発・改良する製品・サービスのみが対象です。
助成対象者
助成の対象となるのは、東京都内の中小企業者等や団体、創業を具体的に計画している者です。そのほかの主な要件は、以下のとおりです。
- 同一の申請テーマ・内容で、重複して助成・補助等を受けていないこと
- 事業税等を滞納(分納)していないこと
- 東京都および公社に対する賃料・使用料等の債務の支払が滞っていないこと
- 過去5年間に、不正等の事故を起こしていないこと
- 助成事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと
- 必要な許認可を取得し、関係法令を遵守すること
- 暴力団関係者または風俗事業者等でないこと
- その他、公社が公的資金の助成先として適切でないと判断するものではないこと
なお本助成事業の同一年度の申請は、1事業者につき1件のみ可能です。
助成対象期間
助成期間は、以下のとおりです。
| ■開発・改良フェーズ 令和8年1月1日から令和9年9月30日まで(1年9か月以内) ■設備投資・事業環境整備フェーズ 開発・改良フェーズの完了から令和9年9月30日まで |
助成内容によって期間が違うので、注意してください。
助成率・限度額と助成対象経費
助成率と限度額は、以下のとおりです。
■助成率
2/3
■限度額
750万円
なお限度額は、「開発・改良フェーズ」と「設備投資・事業環境整備フェーズ」を合わせた額となります。
【助成対象経費】
支援内容ごとの主な対象経費は、以下のとおりです。
| ■開発・改良フェーズ ①原材料・副資材費 ②機械装置・工具器具備品費 ③委託・外注費 ④産業財産権出願・導入費 ⑤専門家指導費 ⑥直接人件費 ⑦規格認証・登録費 ⑧展示会等参加費 ⑨広告・宣伝費 |
| ■設備投資・事業環境整備フェーズ ①機械装置・工具器具備品等 ②店舗新装・改装工事費 ③店舗賃借料 ④委託・外注費 |
ただし、助成対象経費で得た財産の所有権やソフトウエアの場合は著作権は、助成事業者に帰属する必要があります。
高齢者向け新ビジネス創出支援事業の申請方法
高齢者向け新ビジネス創出支援事業の申請には、まずエントリーが必要です。その後、必要書類をそろえて電子システムJグランツから申請します。| ■申請前エントリー 令和7年5月29日(木)~7月25日(金) ■Jグランツでの申請 令和7年6月16日(月)~7月31日(木)17時 |
いずれも公社ホームページから、申請してください。
また事業全体のスケジュールは、以下のとおりです。

出典:東京都中小企業振興公社
申請締め切り後、10月初旬頃までに一次審査が行われます。その後、10月中下旬までに二次審査が行われ、総合審査会を経て、12月末には助成対象者が決定する予定です。
高齢者向け新ビジネス創出支援事業の活用事例
高齢者向け新ビジネス創出支援事業は、実際にどんな事業に活用されているのでしょうか。ここでは、東京都が公表している令和5年度採択者の活用事例を紹介します。
| ①株式会社freecle(フリークル) 70代より上の世代では「簡単に操作ができ、対面だけでなく通話時も補聴できる製品」の需要が高いことから、イヤホン形式の「70~80代の方向け集音器」を開発。 通話時にクリアな音質を実現したほか、モノラルのBluetooth通信をステレオサウンドにリアルタイム変換する独自処理を行うことで、無線式としても使うことができる。 |
| ②Craif株式会社(クライフ) 超高齢社会の進展とともに健康寿命の延伸が社会的課題となっていることを踏まえ、だ液のみでフレイルの遺伝的なリスクを評価する「フレイル特化型遺伝子検査サービス」を開発。 がん領域で培った検査技術の知見を基に、遺伝的な「なりやすさ」を判定可能にした。 身体的・心理的な負担が少なく、自分自身の健康リスクを手軽に知ることで、早期からの予防や生活改善につなげていく。 |
まとめ
高齢者向け新ビジネス創出支援事業は、都内中小企業者等が高齢者市場でのビジネスチャンスを獲得するための支援制度です。開発・改良フェーズと設備投資・事業環境整備フェーズの2段階で構成され、最大750万円の支援を受けられます。
なお申請には事前エントリーが必要です。早めに準備を行いましょう。
超高齢社会が進展する中、高齢者向けビジネスは、今後も大きな伸びが期待される分野です。本事業を始めとした支援策を積極的に活用し、ビジネスチャンスをつかんでいきましょう。
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