東京都が展開する「高齢者向け新ビジネス創出支援事業」は、高齢者市場の拡大という社会的背景を背景に、新たなビジネスチャンスを中小企業にもたらすためのプロジェクトです。本記事は、都内で事業を展開する中小企業者や起業を考えている個人、さらには高齢者市場に関心を持つビジネスパーソン全般に向けて、この助成事業の詳細と活用方法を解説します。
これからのビジネスの方向性を考えている方や、新しい市場を探求したいと考えている方もぜひチェックしてみてください!
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この記事の目次
高齢者向け新ビジネス創出支援事業の目的は
「高齢者向け新ビジネス創出支援事業」は、東京都が推進する高齢者向けビジネステーマに沿って、都内の中小企業者等が開発・改良する製品・サービスを対象に、新しい事業展開に要する経費を助成するものです。これにより、中小企業が高齢者市場において新しいビジネスの機会を見つける後押しをします。
助成事業の内容
この助成事業は2つのフェーズから構成されます。
高齢者向けの製品やサービスの開発・改良、およびその検証・モニタリングに関連する経費を助成
- 試作開発・改良
- 試験評価、効果検証
- 試作広報
- 規格・認証取得
量産や販売、サービス提供のための設備投資や環境整備に関連する経費を助成
- 設備投資・事業環境整備
助成事業でカバーする範囲を表したのが以下の図です。
出典:令和5年度 高齢者向け新ビジネス創出支援事業
助成限度額
750万円(「開発・改良フェーズ」と「設備投資・事業環境整備フェーズ」の合計)
助成率
2/3以内
助成対象経費
フェーズに応じた経費が助成されます。開発・改良フェーズでは、原材料や機械装置、外注費などが対象で、設備投資・事業環境整備フェーズでは、機械装置や店舗の新装・改装工事費などが対象となります。
なお、開発・改良フェーズにおいて、対象経費の1~7は必須、8以降は任意の経費となっています。
開発・改良フェーズ |
1.原材料・副資材費(必須) |
2.機械装置・工具器具備品費(必須) |
3.委託・外注費(必須) |
4.産業財産権出願・導入費(必須) |
5.専門家指導費(必須) |
6.直接人件費(必須) |
7.規格認証・登録費(必須) |
8.展示会等参加費 |
9.広告・宣伝費 |
設備投資・事業環境整備フェーズ |
10.機械装置・工具器具備品等 |
11.店舗新装・改装工事費 |
12.店舗賃借料 |
13.委託・外注費 |
助成対象事業
東京都が設定した支援テーマに合致する事業で、次のいずれかに掲げるものが対象です。ただし、助成金交付申請書を提出した時点で概ね開発・改良が完了しているものは対象外です。
・新たなソフトウエアの開発、及び既存ソフトウエアの改良を含む、新製品の開発および既存製品の改良
・新サービスの開発および既存サービスの改良
高齢者向けビジネスにおける支援テーマ
申請テーマが以下のいずれかに該当する必要があります。支援テーマと対象となるビジネスの例を簡単にまとめました。
支援テーマ | 対象となるビジネス例 |
1.高齢者本人向けビジネス | 趣味の充実支援製品・サービス、家庭用運動器具、トレーニング・フィットネス(ジム・スタジオ等)、疾病予測・予防サービス、介護予防サービス、健康増進ツーリズム 等 |
2.高齢者とその家族・親族向けビジネス | 遠隔コミュニケーションツール、子供や孫と一緒に行うイベント企画サービス、家族との動画共有ソフト、遺言書代行サービス 等 |
3.高齢者と地域社会等とのつながりに関するビジネス | 社会参加を支援する製品・サービス、交流の場提供サービス(コミュニケーションカフェ、書店、会食、カラオケ)等 |
4.高齢者本人向けビジネス | 転倒事故・ヒートショック・熱中症対策製品、脳トレ、健康食品、服薬管理システム 等 |
5.高齢者とその家族・親族向けビジネス | 住宅の安全・安心に関する製品、防犯カメラ、見守り・安否確認・緊急通報関連製品・サービス 等 |
6.高齢者と地域社会等とのつながりに関するビジネス | 防犯対策製品(緊急通報ボタン、防犯ブザー、安否確認システム、見守りサービス、巡回訪問サービス等)、災害時の避難製品・サービス 等 |
7.就労に関する高齢者向けビジネス | 就労支援製品・サービス(作業靴、作業着、パワースーツ等)、リモートワークを円滑にする製品・サービス、、就労支援マッチングサービス 等 |
8.サポートが必要な高齢者向けビジネス | 移動に関する製品(杖、歩行器、歩行車、車いす、手すり・スロープ・段差解消機等)、パーソナルモビリティ、宅配サービス、配食サービス、家事代行サービス 等 |
9.デジタルデバイド解消に関する高齢者向けビジネス | 操作のしやすいデジタル機器、デジタル機器に対する苦手意識を軽減する体験教室、スマホやタブレット等の使い方教室 等 |
10.その他いずれにも該当しない高齢者向けビジネス |
このように、高齢者本人やその家族、親族を対象としたビジネス、高齢者と地域社会とのつながりを強化するビジネス、デジタルデバイド解消に関する高齢者向けビジネスなど、多岐にわたるテーマが設定されています。
さらに細かくみると、支援テーマの1~3は「生活の質の向上を目的とするビジネス」で、4~6は、「生活の維持・低下防止を目的とするビジネス」ということができます。
助成対象者の要件
助成の対象となるのは、東京都内で実際の事業活動を行っている中小企業や企業グループ、さらには東京都内での創業を考えている個人も含まれます。
①東京都内の中小企業者(会社及び個人事業者) |
②東京都内の中小企業団体等 |
③複数の企業等で構成される中小企業グループ(共同申請) |
④東京都内での創業を具体的に計画している個人 |
申請対象者と要件はそれぞれ以下のとおりです。
※基準日は、令和5年11月1日
法人
・基準日現在で、東京都内に本店または支店を持つこと。
・基準日現在で、東京都内で実質的に1年以上事業を行っているか、1年未満でも東京都内で新しく創業した者(この場合「未決算法人」と呼ばれる)。
個人事業者
・基準日現在で、都内所在地等が、「個人事業の開業・廃業等届出書」の控えで確認できること。
・基準日現在で、東京都内で実質的に1年以上事業を行っているか、1年未満でも東京都内で新しく創業した者。
創業予定者
・基準日現在で、東京都内で創業を具体的に計画していること。
・交付決定後に、登記簿謄本または「個人事業の開業・廃業等届出書」の写し(税務署の受付印があるもの)を提出可能であること。
助成事業の実施場所
助成事業を実施する場所には、特定の要件が求められています。その場所は、企業の事業所や工場などとして利用されている場所で、賃貸の物件も含まれます。さらに、その場所は原則として東京都内に位置している必要があります。
また、申請書に記載された設備や購入物品、開発スタッフ、成果物などが実際にその場所で確認できることが必須です。購入した物品がその場所に存在しない場合は助成対象外になると明記されており、申請書に記載した住所と異なる場所での実施が判明した場合は採択が取消される可能性もありますのでご注意ください。
申込方法
申請は2ステップから成り立っています。まず、申請前エントリーを行い、その後Jグランツを使用して正式な電子申請を行います。
【ステップ1.申請エントリー】
期間:令和5年10月10日(火)~11月9日(木)
申請を検討している方は、「公社ネットクラブ会員サービス」へ登録後、申請前エントリーフォームへ入力して、エントリーを行ってください。
【ステップ2.Jグランツによる電子申請】
期間:令和5年11月10日(金)~11月17日(金)17時00分
Jグランツの利用には、「GビズIDプライムアカウント」を取得する必要があります。アカウントがまだ発行されていない方は、先にアカウントを作成し、その後に申請を行ってください。
助成金を活用して高齢者市場への新たな道を開こう
日本は急速に高齢化が進んでおり、この市場は今後も拡大することが確実視されています。東京都の「高齢者向け新ビジネス創出支援事業」は、高齢者ニーズに特化したビジネスの開発・改良を奨励し、事業展開に必要な経費の一部を助成することで、企業の新しい取り組みをサポートしています。
都内で事業を展開する中小企業者や起業を検討する個人にとって、この助成は資金面での大きな後押しとなるだけでなく、都が推進する公的なプロジェクトに参加することで、信頼性やブランド力の向上も期待できます。さらに、高齢者向けのビジネスに関心を持つビジネスパーソンにとっても、市場のトレンドを把握し、新しい事業機会を探る上での有益な情報源となるでしょう。
まとめ
今回ご紹介した「高齢者向け新ビジネス創出支援事業」は、高齢化が進む中での製品・サービスの開発・改良や、設備投資等を支援するものです。例えば、高齢者本人やその家族を対象としたビジネスや、高齢者と地域社会との連携に焦点を当てたビジネスなど、様々な事業が考えられます。今後拡大する高齢者市場でビジネスチャンスをつかみたいとお考えの方は、本事業の活用をご検討ください。