東京都が実施する「就職氷河期世代等待遇向上支援助成金」は、氷河期世代やシニア世代の労働者を支援し、待遇向上を測るための制度です。企業は最大146万円の助成金を受けとれ、人材の確保や育成の負担が減らせます。
今回は令和7年(2025年)度東京都就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の概要や旧制度との違い、申請方法をまとめました。
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この記事の目次
就職氷河期世代等待遇向上支援助成金とは
就職氷河期世代等待遇向上支援助成金では、就職氷河期世代・シニア世代の人が長く働き続けられる労働環境を整備し、待遇向上に積極的に取り組む中小企業等に対して助成金を交付されます。
令和7年度の変更点
「就職氷河期世代等待遇向上支援助成金」は、令和6年度に「東京都就職氷河期世代リスタート支援助成金」として実施された制度です。旧事業の内容は、就職氷河期世代等待遇向上支援助成金では「正規雇用等コース」となりました。
令和7年度の就職氷河期世代等待遇向上支援助成金は対象者が拡大され、シニア世代や有期雇用者も対象となっています。
特に新設された「安定有期雇用コース」では、労働契約期間が1年以上3年未満(シニア世代は1年以上2年未満))と短い場合でも助成対象となります。
コースごとの対象事業者は、以下のとおりです。
| ■正規雇用等コース - 氷河期・シニア世代向け就職支援事業の利用者を、正規・有期雇用(労働契約期間が3年以上(55歳以上は2年以上))として雇用した中小企業等 - 国の特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の支給決定を受けた中小企業等 |
| ■安定有期雇用コース 氷河期・シニア世代向け就職支援事業の利用者を、有期雇用(労働契約期間が1年以上3年未満(55歳以上は1年以上2年未満))として雇用した中小企業等 |
そのほか、本事業の概要をみていきましょう。
主な要件
東京都就職氷河期世代等待遇向上支援助成金では、事業者や労働者にそれぞれ要件が設定されています。主な各要件をまとめました。
【対象となる事業主】
以下のすべての該当する中小企業等が、助成の対象です。
| ■東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること |
| ■国の特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の交付決定を受けていること または、都が実施する就職支援事業を利用し「対象となる労働者」を雇用した中小企業等であること |
「都が実施する就職支援事業」とは、以下の9つです。
| (1) 就活エクスプレス (2) ミドルチャレンジ(jobトライ) (3) 東京しごと塾 (4) 就職チャレンジ多摩(ミドルコース) (5) 雇用創出・安定化支援事業 (6) ものづくり産業人材確保支援事業 (7) 原油価格高騰に係る雇用創出・安定化支援事業 (8) 成長産業人材雇用支援事業 (9) キャリアチェンジ再就職支援事業 |
また、中小企業等の区分は特定求職者雇用開発助成金に準じます。
【対象となる労働者】
対象労働者の主な要件は、以下のとおりです。
| ■以下のいずれかに該当すること ・正規雇用労働者として採用された ・有期雇用労働者として採用された日から6か月未満の間に、正規雇用労働者に転換された ・有期雇用労働者として採用され、継続して雇用されている場合 |
| ■指定の就職支援事業に参加し、正規雇用労働者または指定の期間以上の有期雇用労働者として雇用された |
なお有期雇用者の契約期限は、コースによって指定が異なります。該当するコースに申請してください。
【対象事業】
事業主は対象労働者に対して、期間内に以下の支援事業を行ってください。
| ■3年間(安定有期雇用コースは1年間)の指導育成計画の策定 |
| ■指導育成者(メンター)の選任およびメンターによる指導 |
| ■指導育成計画に基づく研修の実施 |
なお支援期間は3か月間です。
就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の交付金額
交付金額はコースごとに異なります。また一定の要件を満たして場合は、交付金の加算があります。コースごとの交付金額をみていきましょう。
正規雇用等コース
対象労働者数に応じた金額が、事業主へ交付されます。対象労働者数毎の交付金額は、以下のとおりです。
| 対象の労働者数 | 交付金額 |
| 1人 | 30万円 |
| 2人 | 60万円 |
| 3人以上 | 90万円 |
また、要件を満たした場合は以下の加算が受けられます。
| (1) 退職金制度整備加算 申請日時点で退職金制度が無く、支援期間中(3か月間)に、以下のいずれかの退職金制度整備をした場合、交付金額に10万円を加算します。 - 改正後の就業規則等を、労働基準監督署へ届出を行い施行した場合 - 新たに中退共制度に事業主として加入した場合 |
| (2) 結婚・育児支援制度加算について 結婚・育児支援制度について、支援期間中に以下のいずれかを行い、就業規則等を労働基準監督署へ届け出た場合、10万円を加算します。 - 指定の休暇制度から2つを導入 - 休暇制度および一時金制度から1つずつ選んで整備 |
| (3) 賃上げ加算について 支援期間の2か月目および3か月目に支払われた賃金額が、支援期間の前月および前々月と比較して60円以上増額している場合、賃上げした労働者数に応じて以下のように金額を加算します。 - 1人:12万円 - 2人:24万円 - 3人以上:36万円 |
なお加算があるのは、正規雇用等コースのみです。安定有期雇用コースのみの場合、加算は受けられません。
安定有期雇用コース
対象労働者数に応じて、以下の金額が事業主へ交付されます。
| 対象の労働者数 | 交付金額 |
| 1人 | 20万円 |
| 2人 | 40万円 |
| 3人以上 | 60万円 |
申請は1年度につき、1雇用保険適用事業所ごとに3人(正規雇用等コースおよび安定有期雇用コースの合計)が限度です。
また上限額は、加算を合わせて146万円となります。同一の対象労働者について交付決定を受けられるのは、1回のみです。
就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の申請について
就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の申請は、特定求職者雇用開発助成金支給決定通知書を受理した後、または都の対象事業を利用して雇用後1カ月後に行います。主な流れは以下のとおりです。

出典:東京都 東京都就職氷河期世代等待遇向上支援助成金のご案内
(1) 事業実施計画書券交付申請書提出
(2) 支援機関
(3) 実績報告書提出
申請方法やスケジュールを確認しましょう。
申請期間等のスケジュール
就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の申請は、第1回から第6回まで予定されています。各回に支援期間・実績報告受付期間が設定されていますので、注意してください。
| 申請回 | 交付申請受付期間 | 支援期間 | 実績報告受付期間 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 令和7年5月1日~5月31日 | 令和7年7月1日~9月30日 | 令和7年10月1日~10月25日 |
| 第2回 | 令和7年6月1日~6月30日 | 令和7年8月1日~10月31日 | 令和7年11月1日~11月25日 |
| 第3回 | 令和7年7月1日~7月31日 | 令和7年9月1日~11月30日 | 令和7年12月1日~12月25日 |
| 第4回 | 令和7年8月1日~8月31日 | 令和7年10月1日~12月31日 | 令和8年1月1日~1月25日 |
| 第5回 | 令和7年9月1日~9月30日 | 令和7年11月1日~令和8年1月31日 | 令和8年2月1日~2月25日 |
| 第6回 | 令和7年10月1日~10月31日 | 令和7年12月1日~令和8年2月28日 | 令和8年3月1日~3月18日 |
第6回の実績報告受付締切日は、他の回より早く設定されています。消印が締切日を過ぎた書類は受け付けられませんので、注意してください。
申請方法・必要書類
申請の方法は「電子」と「郵送」または「窓口」の3つから選択できます。電子申請で交付申請書を行った場合は、その後の実績報告書、撤回届、中止申請書および再提出書類もすべて電子申請で行ってください。
郵送・窓口での申請の場合は、必要な書類を窓口に提出します。原則、郵送での提出となりますが、窓口に持参する場合は、受付時間内に提出してください。
【必要書類】
交付申請時に提出が必要な主な書類は、以下のとおりです。
- 事業実施計画書兼交付申請書
- 誓約書
- 同意書
- 支払金口座振替依頼書
なお提出代行者が申請する場合には、別途委任状が必要です。
まとめ
東京都就職氷河期世代等待遇向上支援助成金は、就職氷河期世代とシニア世代の雇用促進と待遇向上を図る制度です。令和7年度からは対象者が拡大されました。
対象となる中小企業等は、東京労働局管内に事業所を持ち、指定の就職支援事業を活用して対象者を雇用すること等が要件です。
働く意欲のある人材を有効に活用することは、持続可能な社会の構築にとっても欠かせない要素のひとつです。東京都就職氷河期世代等待遇向上支援助成金は有期雇用者も対象となり、さらに使いやすい制度に改正されました。
支援策を上手に活用し、企業も、働く人もより豊になる社会を目指しましょう。


