開発前の技術検討は、製品の成功にとって非常に重要な要素です。今回はそんな技術検討をより充実させるための「製品開発着手支援助成事業」についてご紹介します。製品開発の企画・構想やアイディアを事前に検証したい、アイデアを形にするための支援を探しているという方はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
製品開発着手支援助成事業の特長
この事業は、社外資源を活用して技術検討を行う際の支援を提供するものです。検討に必要な原材料費や加工、依頼試験などの経費、さらには市場調査費用(最大25万円まで)も助成の対象となります。創業年数や業種の制限はなく、創業を予定している方も申請が可能です。
製品開発着手支援助成事業の活用例
中小企業のチャレンジを応援するこの助成金は、どのようなシーンで活用できるのでしょうか?
■様々な素材・材料を検討して使用する部材を選定したい |
■動作原理を確認したい |
■開発手法や設計仕様を検討したい |
■複数のエンジンやアルゴリズムから最も効率的な計算処理方法を検討したい |
こういったお悩みに対応できます。
対象者の主な要件
主な要件は以下のとおりです。
(1) 中小企業者 (会社又は個人事業者)
(2)中小企業団体等
(3) 複数の企業等で構成される中小企業グループ(共同申請)
(4) 東京都内での創業を具体的に計画している者
都内に1年以上実質的に事業を行っている中小企業者や都内で創業を計画している個人が主な申請資格となります。
【助成事業の実施場所について】
申請事業者の本社や事業所、工場等であることが要件です。賃借の場合も該当します。基本的には東京都内での実施ですが、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)でも申請は可能です。創業を計画している方は、助成事業を行う場所を有する予定であることを明示する必要があります。
助成対象期間
助成の対象となる期間は、令和6年3月1日から令和7年2月28日までです。この期間内に助成を受けた活動を開始・完了させる必要があります。
助成対象経費
助成が受けられる経費は、原材料・副資材費と委託・外注費です。ただし、原材料・副資材費のみでの申請は認められません。
【原材料・副資材費】
技術検討の実施に直接使用し消費する、原料・材料・副資材等の購入費
【委託・外注費】
(1) 委託費:自社内で直接実施することができない技術検討の一部を外部の事業者等に依頼する経費で、実施する者において創意工夫・検討が必要なもの
(2) 外注費:自社内で直接実施することができない技術検討の一部を外部の事業者等に依頼する経費で、仕様書において実施内容を具体的に指示できるもの
(3) 共同研究費:共同研究契約により共同で検討を実施するために要する経費
(4) 市場調査費:本助成事業における想定顧客のニーズを確かめるために、市場調査を生業とする事業者に調査・分析を依頼する経費
※委託・外注費の(1)~(3)のうち1つ以上の経費の申請が必要です。(4)市場調査費のみの申請はできません。
なお、以下に該当するものは、助成対象外となります。
■機械装置・工具器具や試作金型、ソフトウエアの購入費用や使用料
■規格・認証取得に要する経費、産業財産権に関する経費
助成限度額・助成率
助成の上限は100万円で、下限額は10万円となります。助成率は、助成対象経費の1/2以内です。
助成対象事業の要件
技術検討を中心とした、製品・技術開発の前段階の活動が対象です。具体的には、材料選定、動作原理の確認、手法検討、市場調査などが含まれます。
助成事業の対象範囲は下の図も参考にしてください。
出典:事業案内チラシ
対象事業は、以下の要件を全て満たしている必要があります。
助成対象事業 |
(1) 事業化を視野に入れた研究開発を実施する前の技術検討である |
(2) 他企業・大学・試験研究機関等の社外資源を活用するものである |
(3) 委託・外注費の委託費・外注費・共同研究費のいずれか1つ以上の経費を計上する |
助成対象外となる事業
助成の対象外となる事業の例も確認しましょう。製品企画の段階や、既に研究開発が進行中のもの、基礎研究、量産化段階の技術、模倣や軽微な改良のみのものなどが該当します。
助成対象外となる事業 |
×製品企画の段階であり、かつ、技術検討結果を活用して行う製品化を見据えた研究開発の計画が明確ではないもの |
×申請時において技術検討が概ね終了しているもの。製品化を見据えた研究開発の段階にあるもの。又は、本助成事業の実施により研究開発が概ね終了するもの |
×量産化段階にある技術や既に事業化され収益を上げているもの |
×助成対象期間内に技術検討の完了が見込めないもの |
×開業、運転資金や設備投資(生産・量産用の機械装置・金型の導入等)を目的としているもの |
×技術検討又はその後の研究開発の成果が特定の顧客(法人・個人)向けで、汎用性の無いもの 等 |
製品開発着手支援助成事業 申請方法
事前にエントリーを行い、指定の期間内にJグランツを利用して電子申請します。募集要項・申請書様式は、東京都中小企業振興公社ホームページよりダウンロードできます。
【申請エントリー】
令和5年10月4日(水)~令和5年10月31日(火)
【Jグランツによる電子申請】
令和5年11月13日(月)~令和5年11月24日(金)
製品開発着手支援助成事業 活用のメリット
製品開発は資金を要する大きな挑戦であり、リスクも負うことから、中小企業にとっては一歩間違うと経営の危機に直面することも考えられます。この「製品開発着手支援助成事業」は、そんな中小企業の技術検討をサポートすることで、事業リスクを軽減させる役割を果たしています。
都市部の中心、特に東京都内では競争が激しく、独自の技術やサービスを持つことが求められますので、製品開発を始める前に、市場調査や技術の検討を行うことで、市場ニーズに適した製品を開発して成功確率を高めることができます。この助成事業は、その初期段階の支援として絶好の機会を提供しているのです。中小企業にとっては、資金的な負担を軽減し、より質の高い製品開発を目指す上での強力なバックアップとなるでしょう。
まとめ
「製品開発着手支援助成事業」は、新規の製品や技術開発を目指す企業や個人におすすめの支援策です。開発の初期段階での技術的な課題への取り組みをサポートし、より優れた製品の実現への道を明瞭にするため、助成事業の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
参考:製品開発着手支援助成事業