2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、国や自治体は、クリーンなエネルギーの活用を促進しています。
東京都には、初期費用ゼロで太陽光発電の導入ができる「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」があります。これは太陽光発電のさらなる普及促進を目指すもので、サービス利用料の低減等を通じて、住宅所有者に還元されます。
太陽光発電を導入したり、蓄電池を設置したりすることは、長期的には電気代の節約にもつながります。環境にも家計にも優しい太陽光発電を促進する、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業の詳細をみていきましょう!
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この記事の目次
太陽光発電とは
太陽光は、持続可能な再生エネルギーのひとつとして普及してきました。日本の平地面積当たりの太陽光発電の導入量は、主要国の中で1位です。
しかし太陽光発電の導入には、課題や注意点もあります。まずは太陽光発電の課題やメリット・デメリットを確認しておきましょう。
太陽光発電のメリットとデメリット
【メリット】
太陽光発電の大きなメリットは、環境に優しく、電気代の軽減にもつながることです。環境問題の解決と家計の負担軽減を両立させる発電方法として、一般家庭でも広く取り入れられています。
また太陽光発電は設備の設置場所の自由度が高く、屋根や地面、壁面など様々な場所に取り付けが可能なことも特徴のひとつです。しかし、これまで主流だった「シリコン系太陽電池」は、太陽電池自体の重さや屋外で耐久性を持たせるために重量があり、設置場所が限られることが課題でした。
この課題を解決するため、薄くて、軽く、柔軟な「ペロブスカイト太陽電池」に対する期待が高まっています。これまでは設置が難しかった場所にも太陽光発電を導入できようになれば、太陽発電はますます身近なものとなっていくはずです。 参考:資源エネルギー庁
【太陽光発電と蓄電池の同時設置のメリット】
太陽光発電は、蓄電池を同時に設置することで、エネルギー利用の効率が向上します。太陽光発電は、成果が天候に左右されやすいことも注意すべき点です。しかし蓄電池を使うことで、条件の良いときに発電した電気をためておくことができます。また、停電時の電力確保にも重要な役割を果たします。
持続可能で、自立したエネルギー利用を実現するために、太陽光発電と蓄電器を同時に設置することは、大きなメリットがあるのです。
【デメリット】
太陽光発電の活用は環境や家計への負担が少ない一方で、コストやメンテナンスには手間と費用がかかります。これは、太陽光発電のデメリットともいえるでしょう。
太陽光パネルなどの設置に必要な初期投資は、回収するまでに10年ほどかかると言われます。また、定期的なメンテナンスも必要です。こうした予算的な負担から、太陽光発電の導入をためらっている人も多いかもしれません。
東京都が実施する「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」は、そうした人を支援するための制度なのです。
初期費用ゼロ!東京都の「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」について
本事業は、初期費用ゼロで太陽光発電及び蓄電池を設置するサービスを助成するものです。助成金は、サービス利用料の低減等を通じて住宅所有者に還元されます。
ここから、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業の詳細をみていきましょう。
対象事業
補助の対象となる事業の主な要件は、以下のとおりです。
①要件を満たし、登録された事業プランであること |
②事業プラン登録の日から令和9年度末までに、初期費用ゼロサービスに関わる契約が締結されること |
➂事業プランにより設置する蓄電池システムは、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)により登録されているものであること |
助成金額
助成金額は、以下のとおりです。
対象設備 | 基準 | 助成金額 |
---|---|---|
太陽光発電 - 新築 | 3kW以下 | 15万円/kW |
太陽光発電 - 新築 | 3kW超3.6kW以下 | 一律36万円 |
太陽光発電 - 新築 | 3.6kW超 | 10万円/kW |
太陽光発電 - 既存 | 3kW以下 | 18万円/kW |
太陽光発電 - 既存 | 3kW超3.75kW以下 | 一律45万円 |
太陽光発電 - 既存 | 3.75kW超 | 12万円/kW |
蓄電池 | 5kWh未満 | 19万円/kWh |
蓄電池 | 5kWh以上6.34kWh未満 | 一律95万円 |
蓄電池 | 6.34kWh以上 | 15万円/kWh |
なお、機能性PVによる上乗せが適用される場合は、最大で5万円/kWが追加されます。また、国や他の地方公共団体による補助金との併給も可能です。
対象経費
支援の対象となる経費は、以下のとおりです。
設計費 |
太陽光発電システム等の設計等に要する経費基本設計費、実施設計費、システム設計費等 |
設備費 |
太陽光発電システム等の設備の購入等に要する経費または以下の付属機器に要する経費 ・太陽電池モジュール等の架台 ・蓄電池用収納盤 ・保護装置及び昇圧ユニット ・接続箱 ・直流開閉器 ・交流開閉器 ・電力モニター ・余剰電力販売用電力量計 ・配線及び配線機器 など |
工事費 |
太陽光発電システム等の設置工事に要する経費 |
住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業の事業の流れ
事業全体の流れは、以下のとおりです。
①事業プラン申請・登録
公益財団法人東京都環境公社が「事業プラン」を募集・審査し、事業プランを登録します。登録された事業プランは、ホームページ等で公表されます。
②助成金交付申請
事業プラン登録後、事業者は登録された事業プランに係る契約を、住宅所有者と締結してください。契約締結後、公社に対して助成金の交付申請を行います。
助成金は事業者に支払われますが、サービス利用料の低減等を通じて、住宅所有者へ還元される仕組みです。事業期間は、令和4年度~令和9年度(助成金の交付は令和11年度まで)です。
事業の流れは、以下の図も参照してください。
出典:助成金申請の手引き
申請に必要な書類
交付申請に必要な主な書類は、以下の①~⑬です。
①助成金交付申請書 |
②誓約書 |
➂利用料金計画表 屋根借りの場合は、契約期間内の屋根の使用料合計額に助成金総額が加算されていることがわかる書類が必要です。 |
④初期費用ゼロサービスに係る契約書の写し |
⑤太陽光発電システム等の領収書及び領収書の内訳書等 |
⑥太陽光発電システム等の設置状況を示す写真 |
⑦太陽光発電システム等を設置した建物の全景写真 |
⑧太陽電池配置図 |
⑨保証書 |
➉建物の登記事項証明書 |
⑪電気設備に関する施工証明書 |
⑫受電地点特定番号がわかる資料 |
⑬その他公社が必要と認める書類 |
申請は、ホームページの交付申請フォームから行ってください。
初期費用ゼロの対象となる事業プランとは?
次は、支援の対象となる事業プランについて、もう少し詳しく見ていきましょう。事業プランの種類や要件をまとめました。
事業プランの種類
本事業で対象となるのは、「リース」「電力販売」「屋根借り」「自己所有モデル」のうち、事業プランとして登録されているものに限られます。
各プランの内容は、以下のとおりです。
リース | 事業者は太陽光発電システム等を住宅所有者にリースし、住宅所有者は発電された電気を利用する。 |
電力販売 | 発電された電気のうち、住宅所有者の自家消費分の電気を住宅所有者に販売する。さらに余剰分を電力会社等に販売する。 |
屋根借り | 事業者は、屋根の賃料を住宅所有者に支払う。発電された電気は、電力会社に販売する。 |
自己所有モデル | 事業者は、発電された電気の売電権と引き換えに、太陽光発電システム等の所有権を住宅所有者に移転する。 |
事業プランの内容は、以下の図も参照してください。
出典:東京都 住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業 リーフレット
事業プランの要件
事業プランに登録されている事業は、いずれも「初期費用ゼロでの太陽光発電等設置サービス」です。各種サービスは事業者によって異なります。
また、登録された事業プランは、以下の主な要件を満たしたものです。
①住宅所有者は、設備費に関する初期費用の負担が不要なサービスであること |
②設置される太陽光発電システム等は、停電時においても電気供給を継続する機能を有していること |
③太陽光発電システム等が故障した場合、事業者等による速やかな交換・修理が行われるサービスが付帯していること |
④助成金総額が、登録事業プランのサービス利用料金等の合計額から控除されている、または住宅所有者に還元されるもの等であること |
⑤安全性や周辺環境への配慮がなされていること |
⑥太陽光発電システムは、太陽光発電システムを構成するモジュールが、指定の団体の認証等を受けた未使用品であること |
⑦蓄電池を設置する場合、該当の蓄電池が、次の要件を全て満たしていること ・定置用である ・未使用品である ・国が令和3年度以降に実施する補助事業における補助対象機器として、一般社団法人環境共創イニシアチブにより登録されているものである |
⑧住宅所有者との契約期間が10年以上であること |
⑨住宅所有者から譲渡を受ける事業プランにおいては、譲渡を受けた環境価値を都内で活用するものであること |
助成金全額還元の流れ
事業者に交付された助成金は、契約プランのサービス開始後、利用料割引・一括キャッシュバック等の形で全額還元されます。
事業全体の流れは、以下のとおりです。
①プラン選択:登録事業のプランから自宅にあったプランを選ぶ |
②契約:登録事業者と契約 |
③助成金還元 |
なお、住宅所有者による助成金申請は不要です。
太陽光発電を導入できるか調べる!発電量・設置可能量等の確認方法は?
自宅に太陽光発電を設置した場合、どれくらいの発電量があるのか知りたいときは「東京ソーラー屋根台帳」(ポテンシャルマップ)が便利です。ポテンシャルマップでは、都内にある建物が、どの程度太陽光発電に適しているかチェックできます。
ただし、ポテンシャル値は一定の条件下でシミュレーションを行った理論値です。実際に設置した場合の発電量や集熱量等の設置効果を保証するものではありません。飽くまで、目安の確認としてご利用ください。
よくある質問
住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業では、Q&Aが公表されています。ここではそのなかから、主なものをいくつか見てみましょう。
Q1. 住宅兼事務所として使っている建物への太陽光発電システム等の設置は対象になる?
A1. 停電時に太陽光発電システム等からの電気を当該住宅で活用できる場合、対象となります。
Q2.申請額が予算額を超えた場合は?
A2. 申請は先着順に受理されます。申請の合計額が予算額を超えた場合は受理が停止され、該当日に申請されたものは抽選を行います。
Q3. 太陽光発電システム等を設置した後、不具合が発生したら?
A3.事業プランにより設置された太陽光発電システム等が故障した場合は、事業者または機器製造者により交換・修理が行われます。まずは契約内容を確認し、事業者等にご連絡ください。
まとめ
環境問題の悪化は、深刻さを増しています。太陽光発電をはじめとしたクリーンなエネルギーの活用は、今後ますます重要になっていくでしょう。
一方で、初期費用などのコストの負担は、新しい設備導入の際に大きな課題となります。住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業は、初期費用ゼロで太陽光発電システム等を導入できる、使いやすい制度です。
太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひ、こちらの制度を活用してみてください。