電気代の値上げ傾向が続く中、東京都では、LED照明等節電促進助成金の応募が始まっています。これは中小企業を対象に、製造業を営む事業者が省エネ効果の高いLED照明の導入を図る取組を支援するものです。
申請は、事前に節電診断等を受ける必要があります。しかし現状では、節電診断は申請から開始までに1か月程度かかる見込みです。申請の際はスケジュールを確認し、早めに準備を進めなくてはなりません。
今回はLED照明等節電促進助成金の事業の流れや申請方法についてまとめました。
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この記事の目次
LED照明等節電促進助成金とは
世界的に不安定な社会情勢を背景に、電気代や物価といった生産コストが上昇しています。本事業は節電のために必要な設備等の導入を支援し、都内中小企業の振興に資することを目的としたものです。
LED照明等節電促進助成金では節電診断を受けたうえで節電計画を策定し、LED照明器具やデマンド監視装置等を設置する必要があります。節電診断には別途、書類の提出や調査協力等が必要です。
まずは節電診断の概要について、見ていきましょう。
節電診断とは
節電診断とは、公社から派遣される節電促進アドバイザーがヒアリング調査等を行い、計画中の節電計画の診断や節電アドバイスを行うものです。現在は申し込みが多く、診断の開始までに時間を要します。さらに診断後、報告書の交付までには、約1か月かかります。節電診断を受けることは助成金交付の要件のひとつですので、なるべく早めに診断を申し込みましょう。
節電診断の申込要件は、以下の2つです。
①申込日時点で、申請要件のすべてを満たしている
②節電計画が概ね立案済で、必要な書類を提出できる
また、節電診断の申請に必要な書類は以下のとおりです。
①節電診断申込書
②導入設備の設置前(既設)の配置図面
③導入設備の設置後(新設)の配置図面
④導入設備の見積書および仕様書
⑤主要製造製品がわかる書類 会社案内など
⑥直近の製造原価報告書
⑦工場設置認可
⑧直近12か月分の電気の使用量と料金のわかるもの
すべての書類は指定のデータ形式にし、メールに添付して提出してください。
なお募集期間中であっても、節電診断の予定件数に達した場合は受付を早期に終了します。例年早期に受付を終了していますので、注意してください。
LED照明等節電促進助成金 助成内容
次に、LED照明等節電促進助成金の助成内容について見ていきましょう。助成の対象となるのは指定の設備の購入と設置に関する経費です。導入予定の設備が対象かどうか、事前に確認しておきましょう。
助成対象経費
助成の対象経費は、以下のとおりです。
①設備購入費 |
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■LED 照明器具 LEDモジュールが組み込まれたベースライト形、ダウンライト形等の製品のうち、PSE マークの表示がされているもの等が対象です。既設のものを器具ごと交換する必要があります。また、基本的な付帯設備も対象です。ただし、以下のものは対象外です。 ・調光器、スイッチ ・非常灯、誘導灯 ■デマンド監視装置 電力量計に接続し、あらかじめ設定した電力使用量に近づくと警報を出す装置を有するものが対象です。また、警報装置、制御装置などの付帯設備も対象になります。 ■進相コンデンサ 電気回路において力率を改善するために導入するものが対象です。この機器の稼働に必要な付帯設備も対象になります。 ■インバータ 周波数や電圧、電流を制御し、動力設備の運転量を制御するものが対象です。また、この機器の稼働に必要とみとめられる付帯設備も対象になります。ただし、キュービクルは対象外です。 |
②工事費等 |
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①の設備導入、設置に直接必要な経費が対象になります。 ただし、以下のものは対象外です。 ・結線工事以外の工事 ・設備増設等に関わる工事費 ・「公共工事設計労務単価」の上限を超えた部分の労務費 |
助成対象事業者
助成の対象となるのは、東京都内で製造業を営む中小企業等です。また申請の際には、以下のいずれかの診断を受けていることが必要です。
①節電診断 |
②クール・ネット東京が実施する省エネ診断 |
③クール・ネット東京が実施する「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」において、省エネサポート事業者が交付決定を受けて実施した省エネコンサルティング |
助成率
1/2
助成額
■助成上限額
1,500万円
■下限額
30万円
事業の流れ
事業全体の流れは、以下のとおりです。
①節電診断
②申請エントリー
③申請書類の提出 (電子申請)
④審査会
⑤交付決定
⑥事業実施
➆完了報告
⑧完了検査
⑨助成金額確定
⑩助成金請求
⑪助成金支払
事業の流れと申請者が行う手続きについては、以下の図も参照してください。
出典:東京都中小企業振興公社 LED照明等節電促進助成金
申請スケジュール
LED照明等節電促進助成金の第1回募集は、すでに終了しました。今後、令和6(2024)年9月と令和7年1月に募集があります。また、申請には申請エントリーが必要です。
各スケジュールは以下のとおりです。
【第2回】 | |
申請エントリー・電子申請受付期間 | 令和6年9月9日(月)9:00~13日(金)17:00 |
交付決定 | 令和6年11月下旬 |
助成対象期間 | 令和6年12月1日~令和7年3月31日 |
【第3回】 | |
申請エントリー・電子申請受付期間 | 令和7年1月8日(水)9:00~15日(水)17:00 |
交付決定 | 令和7年3月下旬 |
助成対象期間 | 令和7年4月1日~7月31日 |
なお、助成金予算の執行状況によっては助成金の申請受付を早期終了する場合があります。
申請方法・手順
それでは、申請方法や手順について確認しましょう。申請の流れは以下のとおりです。
①節電診断等の実施
②申請書の作成、添付書類の準備
③申請エントリー
④申請書類の提出
申請書類の提出は、電子申請システム「Jグランツ」にて行います。電子メール等は利用できませんので、注意してください。なおJグランツを利用するには、事前に「GビズIDプライムアカウント」の発行が必要です。IDの発行には、2~3週間かかりますので、余裕を持って申請を行ってください。
申請に必要な書類は、事業内容によって一部異なります。必ず提出が必要な書類は、以下の①~⑩です。
①助成金交付申請書 |
②直近1期分の確定申告書 |
③履歴事項全部証明書 ■法人の場合 発行後3か月以内の履歴事項全部証明書 ■個人の場合 開業届 ■中小企業団体の場合 登記簿謄本の原本に加え、定款、組合員名簿 |
④納税証明書 |
⑤積算根拠書類 ■2社以上からの見積書の提出が必要です |
⑥仕様書、カタログ等、助成対象設備の仕様がわかる書類 |
➆会社の事業概要、経歴記載のある会社案内 |
⑧設置場所関連書類 ■設置前および設置後の両方の状況がわかる図面 |
⑨節電診断報告書等 ■以下のいずれか ・節電診断の報告書 ・クール・ネット東京で実施した省エネルギー診断の報告書 ・「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」の省エネ対策サポート事業者が作成した提案書 |
➉工程表・設計図書類 ■工程表は、工事各実施日ごとに工事内容と人工数が記載されていることが必要です ■設計図書類は、回路に変更を加える場合に提出してください |
まとめ
消費電力が少なく、寿命が長いLED照明は、環境問題への対策のひとつとしても注目されています。地球環境への姿勢が企業評価にも影響する昨今において、LED照明の導入は費用削減という以上の意味を持ちそうです。
いっぽうで、既存の設備との入れ替えには、費用的な負担が伴います。負担軽減には、ぜひLED照明等節電促進助成金の活用も検討してください。本事業で必須となる節電診断は、節電に関して専門家のアドバイスを受ける機会でもあります。
スケジュールに注意し、計画的に申請準備を進めて、持続可能な事業改革を目指しましょう。