コロナ禍を経て、デジタル技術は社会に大きく普及しました。インターネットが生活に欠かせないものとなったいま、Wi-Fi整備の重要性はますます高まっています。オフィスだけでなく、介護施設や農業者の居住環境など、多様な場所での通信環境の整備が急務となってきました。
さらに宿泊施設はもちろん、観光地や公共スペースでのWi-Fiアクセスは、観光客にとっても必須のサービスのひとつです。
今回は、Wi-Fi導入につかえる助成金や補助金を、活用場面ごとのグループに分けてまとめました。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
Wi-Fi整備の補助金が必要とされる理由
外出先でインターネットを利用するとき、Wi-Fiが使えるかどうかは重要な要素となりつつあります。観光で見知らぬ土地を訪れた旅行者はもちろん、ビジネスや日々の暮らしの中でもWi-Fiが使える場所を滞在・目的地に選ぶ人は少なくないはずです。インバウンド需要も急速に高まる中、Wi-Fiの整備は「滞在先として選ばれる」ためにも必要な要素のひとつになりつつあります。
一方で、新しい設備の導入には予算的な負担が伴います。特に中小企業では、コロナ禍からの復興がまだ十分でない事業者も多くあるのが現状です。
補助金などの支援を上手に活用することで、負担を軽減しつつ、将来的な企業の成長を支えることが期待されています。
Wi-Fi導入には補助金を活用しよう
Wi-Fiの導入に補助金を活用する際の、メリットとデメリットを確認していきましょう。
補助金活用のメリット
前述のとおり、補助金を活用する最大のメリットは、予算的な負担の軽減にあります。設備の導入にかかる費用を抑えることができれば、人件費や商品開発に予算を回すことも可能です。
また、補助金に採択されることは実績となるため、該当事業の良さを対外的にアピールするときにも有利になります。
補助金活用のデメリット
補助金の多くは、後払いです。Wi-Fi導入のためには、あらかじめほかの方法で資金調達をしておく必要があります。また、審査に落ちると補助金の交付を受けられません。
補助金の中には、人気が高く、採択率の低いものもあります。はじめから補助金ありきで事業計画を立てると、うまくいかない場合もあるので注意しましょう。
Wi-Fi導入に使える補助金・助成金
ポスト・コロナの時代に入り、オンラインでの交流やリモートワークは、新しい生活様式として定着しています。「どこでも、どんな状況でも」普段通りの生活ができるデジタル技術の活用には、通信環境の整備が欠かせません。近年のWi-Fi導入では、こうした生活そのものを支えるための、多様な場面で使いやすい支援の需要が高まっています。
ここでは各地のWi-Fi導入に使える補助金・助成金を「介護・医療」「人材確保・多様な働き方」「防災・観光」のグループごとに見ていきましょう。
介護・医療
■宮城県 令和6年度介護ロボット・ICT導入支援事業補助金
介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化を目的とした介護ロボット・ICTの導入を支援します。なお今年度は、補助金額や対象機器、要件等の一部が変更となりました。
【助成対象事業】
①介護ロボット等の導入 ・移乗介助 ・移動支援 ・排泄支援 ・見守り、コミュニケーション ・入浴支援 ・介護業務支援 など |
②ICT等の導入 ・介護ソフトの導入、改修 ・介護記録用のタブレット端末の導入 ・通信環境機器等 ・保守経費等 ・バックオフィス業務用ソフトの導入 |
➂介護テクノロジーのパッケージ型導入 ■介護テクノロジーのパッケージ型による導入:介護ロボット・ICTを、2種類以上組み合わせて導入する場合にかかる経費を対象 ■見守り機器の導入に伴う通信環境整備: ・Wi-Fi環境整備 ・インカムの導入 ・介護ロボット機器から得られる情報をシステムに連動させるための整備 |
【助成率・助成上限額】
助成率:3/4
助成上限額:1,000万円
【申請締め切り】
令和6年9月17日(火)必着
参考:宮城県 令和6年度介護ロボット・ICT導入支援事業補助金
人材確保・多様な働き方
■青森県(農業分野)県外人材雇用受入環境整備支援事業
青森県では、農業分野における県外人材の雇用受入拡大に必要となる居住環境の整備を支援しています。県外からの移住者や外国人を雇用受入するために行う居住環境の整備(既存住宅や空き家の改修)に要する経費が対象です。
【助成対象経費】
農業分野における県外人材の受入拡大に向けて、県外人材の居住環境を整備するために行う、以下の改修等に要する経費
・居住スペース |
・トイレ |
・浴室(シャワー室) |
・空調設備 |
・Wi-Fi設備 |
【助成率・助成上限額】
助成率:1/3
助成上限額:150万円
【申請期間】
令和6年9月20日(金)まで
参考:青森県(農業分野)県外人材雇用受入環境整備支援事業
■東京都 小規模テレワークコーナー設置促進助成金
身近な場所でテレワークを実施できる環境の整備を促進するため、店舗や商業施設等を活用して、地域の方等が利用できる小規模なテレワークコーナーを新たに設置する事業者を支援します。
【助成対象経費】
・電気設備、通信設備工事費、什器類の設置等の費用等 |
・机、椅子、簡易型テレワーク用ブース、パーティション、吸音防音パネル |
・Wi-Fiルーター機器、UTM(統合脅威管理)機器、モニター、プリンター、照明器具 |
【助成率・助成上限額】
助成率:1/2
助成上限額:50万円
【申請期間】
令和6年5月8日(水)~ 令和7年3月31日(月)
参考:東京都 小規模テレワークコーナー設置促進助成金
防災・観光
■東京都 中央区 防災区民組織への通信確保支援(Wi-Fiルーター購入費助成等)
災害時における通信確保策として、通信環境の整備に必要な防災資器材の供与・購入を支援します。本事業は、東京都が実施する「区市町村災害対応力向上支援事業補助金」を活用した事業です。
【助成内容・対象経費】
■供与する防災資器材 ・非常用発電機 ・蓄電池等 |
■供与する防災資器材 ・非常用発電機 ・蓄電池等 |
■購入費助成の対象となる防災資器材 ・Wi-Fiルーター ・非常用発電機 ・蓄電池 |
【助成額】
Wi-Fiルーター等購入費(限度額15万円)
【申請期限】
令和6年6月1日(土)~ 9月30日(月)まで(必着)
参考:東京都 中央区 防災区民組織への通信確保支援(Wi-Fiルーター購入費助成等)
■東京都 OpenRoaming対応Wi-Fi整備支援事業
都内の公衆Wi-Fiにおける通信の安全性と利便性の確保を図るため、区市町村によるOpenRoaming対応Wi-Fi整備計画策定を支援します。
【助成対象経費】
■OpenRoaming対応Wi-Fi機器等の購入費 ・Wi-Fiアクセスポイント ・給電HUB ・LANケーブル ・Wi-Fiルーター など |
■OpenRoaming対応に要した経費 ・初期設定費および電源設置 ・増強工事費 ・配線工事費 ・回線容量増強工事費 など |
【助成率・助成上限額】
助成率:1/2
助成上限額:200万円
【申請期間】
第1回 令和6年7月8日~令和6年7月31日(終了)
第2回 令和6年8月1日~令和6年9月30日(予定)
第3回 令和6年10月1日~令和6年11月30日(予定)
参考:東京都 OpenRoaming対応Wi-Fi整備支援事業
■熊本県山鹿市インバウンド受入環境整備促進事業補助金
外国人観光客の受入のために実施するWi-Fi整備、トイレ洋式化、多言語ホームページの開設、食事メニューの開発などの受入環境整備を支援します。
観光庁補助金併用型(観光庁所管の補助事業で同庁から交付決定を受けた事業)と、市補助金単独型(外国人観光客の受入環境の整備に係るハードまたはソフト事業)があります。
【助成対象経費】
■観光庁補助金併用型 観光庁が定める補助対象経費 |
■市補助金単独型 ・工事請負費 ・機器等の購入費 ・委託費 ・翻訳料 ・原材料費等 |
【助成率・助成上限額】
■観光庁補助金併用型
助成率:3/4
助成上限額:100万円
■市補助金単独型
助成率:1/2
助成上限額:100万円
【申請期限】
令和6年5月8日(水)~9月30日(月)
なお、予算の上限に達し次第、受付は終了となります。また、申請前に市への事前相談が必要です。
まとめ
今回紹介したWi-Fi導入に使える補助金を、一覧表にまとめました。
事業名 | 助成対象事業・経費 | 助成率・上限額 | 申請期限 |
宮城県 令和6年度介護ロボット・ICT導入支援事業補助金 | ①介護ロボット等の導入 ②ICT等の導入 ➂介護テクノロジーのパッケージ型導入 |
助成率:3/4 上限額:1,000万円 |
令和6年9月17日(火) |
青森県(農業分野)県外人材雇用受入環境整備支援事業 | 農業分野における県外人材の受入拡大に向けて、県外人材の居住環境を整備するために行う改修等 | 助成率:1/3 上限額:150万円 |
令和6年9月20日(金) |
東京都 小規模テレワークコーナー設置促進助成金 | 電気設備、通信設備工事費、什器類の設置等の費用等 | 助成率:1/2 上限額:50万円 |
令和7年3月31日(月) |
東京都 中央区 防災区民組織への通信確保支援 | Wi-Fiルーター、非常用発電機、蓄電池 | 上限額15万円 | 令和6年9月30日(月) |
東京都 OpenRoaming対応Wi-Fi整備支援事業 | OpenRoaming対応Wi-Fi機器等の購入等 | 助成率:1/2 上限額:200万円 |
令和6年9月30日(月)など |
熊本県山鹿市インバウンド受入環境整備促進事業補助金 | 観光庁が定める補助対象経費 など | 助成率:3/4または1/2 助成上限額:100万円 |
令和6年9月30日(月) |
世界的には、公共の場でのWi-Fiの使用は一般的なサービスのひとつです。世界各国からの観光客を受け入れている昨今、地域の通信環境の格差は、インバウンドの獲得にも影響を及ぼしかねません。
また、災害時の避難や安全の確認、復旧支援にも、Wi-Fiが大きな役割を果たします。
補助金などの支援を上手に活用し、快適な通信環境を整えていきましょう。