再び大勢の外国人観光客を目にする日は来るのでしょうか。
10月11日に、政府が新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和したことから、コロナ禍で激減した外国人観光客数の回復が期待されています。
しかし、中国などアジア圏からの客足が戻っていないことや、ワクチン3回接種の証明書を必要とする入国規制などを理由として、コロナ禍前の水準に一気に戻ることは難しいと考えられています。
そんななか、東京都は国内外の観光需要を喚起するための、ポストコロナを見据えた助成金事業の第2回募集を開始しました。その名も「夜間・早朝利活用促進助成金」。日中の観光への集中を防ぎ、観光時間の分散化を図ることを目的として夜間・早朝に行われるイベントの実施などを支援する事業です。
これから本格的に国内外からの旅行者誘致を進めるにあたり、観光地の混雑平準化は、一つの重要な要素となっています。今回は、平準化を後押しする東京都「夜間・早朝利活用促進助成金」の内容をご紹介します。
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この記事の目次
東京都 夜間・早朝利活用促進助成金とは
国内外からの旅行者誘致を進めながら、日中の観光への集中を防ぎ、観光時間の分散化を図るため、夜間・早朝に行われるイベント等の実施や情報発信等を行う事業に対し、最大2,000万円を助成する制度です。交付決定日以降に事業を開始し、令和6年(2024年)3月31日までに終了する事業が対象となります。
夜間・早朝利活用促進助成金の事業概要
助成対象事業は2種類あり、夜間観光または早朝観光の振興につながる以下の新たな事業が対象となります。
対象事業 | |
(1)一定期間に実施する新たな夜間・早朝イベント等 | 定期的に実施するイベント等(月1回以上のイベント等を3か月程度以上継続して実施、四半期毎に1回のイベント等を1年間程度継続して実施、など)を対象 |
(2)地域の夜間・早朝の観光振興に向けた取り組み | イベント(1回のみの実施も対象)や PR 活動等の取り組みを対象 |
(1)または(2)の事業の実施にあたり、「全体」「イベント」「その他」それぞれの条件を満たすことが必要です。
全体についての条件 |
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(1)地域の特長を生かした取組であり、観光資源の創出や更なる集積につながるものであること (2)都内で実施するイベント等であること (3)夜間または早朝観光の振興につながるイベント等であること (4)原則、新たな事業であること (5)多くの旅行者を集客すること(集客目標の設定は必須)必要十分なPR活動等を行う計画を有すること (6)原則、日本人(訪都旅行者や都内在住在勤者)、外国人旅行者の両方を対象とした内容とすること(明確なターゲット層が必要) |
原則新たな事業である必要がありますが、従来、昼に定期的に実施していたイベントを、夜間や早朝にまで延長拡大する場合は、その延長に伴う部分(夜間・早朝観光の振興となる部分)が対象となります。
たとえば、従来18時で終了していたイベントを、22時までに拡大するなどのケースが考えられます。なお、この場合、従来実施をしていた時間帯のイベント等費用は助成対象外となります。
イベントについての条件 |
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(1)実施時間は、以下のいずれかを満たすこと ・夜間(日没後から20時以降も引き続き実施する) ・早朝(日の出前後以降から10時頃までに実施する) (2)実施場所は、以下とすること ・屋外、屋内 どちらでも可 ・不特定多数の人に開かれた場所であること(屋内であっても商業ビルの広場等、多くの人が気軽に立ち寄れるもの) ・複数回実施するイベントは、原則として、メイン会場を同一の場所とすること (3)実施にあたり、事前に地元地域との調整を行った上、実施時、近隣住民の迷惑にならないよう配慮をすること |
その他の条件 |
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(1)助成金事業終了後も、当事業の成果を活かし、地域、エリアでの継続的な夜間・早朝イベント等の実施を行う具体的かつ実行性の高い計画を有していること (2)助成事業終了後、5 年間は年間の実施状況報告を行えること (3)実施する地域の都内区市町村より推薦があること |
複数の区市町村にまたがる取り組みを提案する場合は、事業実施に関わる都内区市町村全てからの推薦が必要になります。推薦書の取得については各自治体で必要な処理期間が異なるため、期間に余裕を持って取得のための調整を行ってください。
【対象外の事業】
他の補助金を一部財源とする事業や本事業の目的に反する事業(※)は対象外です。
※特定の場所(スペース)、店舗、特定の店舗、施設の利益に留まり、地域全体の振興につながらないもの。複数回のイベント事業において、実施するメインの場所が実施月により異なるものなど。
助成対象者
区市町村、観光協会、商工会等、エリアマネジメント、民間事業者、その他の法人
民間事業者、その他の法人は、区市町村、観光協会、商工会等と共同実施する場合のみ対象となります。なお、同一の実施主体による申請は、対象事業(1)、(2)どちらか1件のみです。
助成率・限度額
助成率は対象事業(1)、(2)共通で、助成対象経費の1/2以内となっています。ただし、地域の回遊性を向上させる取り組みを含む事業については2/3以内となります。
【回遊性を向上させる取組を含む事業について】
飲食店情報・イベント周辺の観光マップの配布や夜間又は早朝ツアーの実施といった、イベント実施場所以外の地元地域を周遊させる内容とすること。
助成限度額 | |
(1)一定期間に実施する新たな夜間・早朝イベント等 | 2,000万円 |
(2)地域の夜間・早朝の観光振興に向けた取り組み | 500万円 |
助成対象経費
- 会場・設営及び運営委託に要する経費
- 機材・設備・備品の賃借料又は購入費
- 消耗品の購入費
- 出演料
- 広報宣伝費
- 交通手段の確保に係る経費
- 新型コロナウイルス感染症の感染対策に要する経費(消耗品費)
- その他経費
【対象外経費】
上記、助成対象経費に記載のない経費は対象になりません。
助成対象外経費の例として、助成事業者の人件費や飲食に係る経費、動産の保険、イベント中止保険、車両・船舶・航空機等移動手段の購入に係る経費などがあります。
申請要件
助成金の交付申請にあたって、次に掲げる全ての要件を満たす必要があります。
申請要件 |
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(1)事業実施にあたり行政機関等の許可等が必要な場合は、当該許可が取れている(または取れる見込みである)こと (2)実施事業について、地元等との調整が取れている(または取れる見込みである)こと (3)複数者が連名で事業を実施する場合は、申請代表者を決めて申請すること (4)アンケート調査等により、集客目標の効果測定を実施すること (5)外国人旅行者への対応(チラシの作成、案内者の設置など)に努めること (6)他の特許、意匠等の知的財産権を侵害しないこと (7)イベント実施に関して、節電や SDGs を意識した取り組みを実施すること (8)安全・防犯対策を行い、事故等のないよう管理を十分に行うこと (9)法律その他法令等に違反する内容を含む事業でないこと (10)助成金を得て実施する事業については、主催者は、当該申請団体であること |
夜間・早朝利活用促進助成金の申請方法
【募集期間】
令和4年10月26日(水)~ 令和5年1月11日(水)必着
【申請方法】
受付期間内に必要書類を郵送します。また、交付申請書類のうち、交付申請書、事業費経費別明細、企画書については、郵送と併せてEメールでの提出が必要です。
【申請の留意点】
申請を行おうとする観光協会、商工会等、エリアマネジメント、民間事業者、その他の法人の方は、事前に事業を実施する場所が位置する都内区市町村の担当部署に相談し、推薦書を受領してから申請を行ってください。区市町村が申請する場合は、推薦書は必要ありません。
まとめ
混雑の平準化は、コロナ以降の観光における一つの重要な要素となっており、観光客が安心して旅行するために必要な取り組みといえるでしょう。そこに注目し実施されている助成事業が、東京都の「夜間・早朝利活用促進助成金」です。
本事業を活用することで、観光時間の分散化の取り組みを着実に進めていくことが可能となります。対象となる事業者の皆さまは、魅力ある観光コンテンツ創出のためにも活用を検討してみてはいかがでしょうか。