有期契約労働者や短時間労働者等のキャリアアップを促進する「キャリアアップ助成金」。正社員化コースの場合、1人当たり最大80万円、1年1事業所ごとに最大20人まで受給可能なため、年間で最大1,600万円まで受給することができます。
しかしその一方で、虚偽の申告・申請によって助成金を不正受給するケースが増えており、厚生労働省や各労働局は監視の強化を行っています。本記事では、不正受給をするとどうなるのかと、実際の事例もあわせて紹介します。
あわせて読みたい:キャリアアップ助成金とは?全コースの支給額と対象事業者を解説
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
助成金の「不正受給」とは?
厚生労働省では、助成金の不正受給について、次のような行為を指すとしています。
不正受給とは、偽りその他の不正の行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとした場合をいいます。
出典:厚生労働省 京都労働局
うその書類を出したり、実際とは違う内容で申請したりして、本来もらえるはずのない助成金をだまして受け取る行為を「不正受給」と定めています。
キャリアアップ助成金の不正受給が見つかるのはなぜか
不正受給はなぜ見つかるのか、疑問に思っている人も多いかもしれません。それは、適正な申請がされているかを確認するため、労働局が積極的な調査を行っているためです。
都道府県労働局は、事前予告なしの現地調査(事業所訪問・立入検査)を行います。雇用保険法第79条に基づき、支給決定から5年間は現地調査を行う場合があります。
また、厚生労働省の資料等には、不正受給に関する情報を把握している場合、管轄の労働局まで連絡するように書かれています。こういった情報提供からも、不正が発覚していると考えられます。
キャリアアップ助成金を不正受給するとどうなる?
キャリアアップ助成金は、例年約7万件近く活用されていますが、一方で、約200件の不正受給が発覚しています。(厚生労働省「キャリアアップ助成金」パンフレット)助成金を不正受給すると、以下の罰則を受けることになります。
・ペナルティ付きの返還請求
・5年間の不支給措置
・刑事告発の可能性
事業主名・事業所名等の公表
不正受給をした場合、その事業所名等が積極的に公表されます。従業員や代理人等が不正行為を行った場合でも、事業主の不正受給に該当し、代表者が意図的かどうかにかかわらず公表を受けることになります。
また、不正「指南役」の氏名等も公表の対象となる場合があります。
ペナルティ付きの返還請求
不正受給が発覚すると、「不正発生日を含む期間以降の全額」+「不正受給額の2割相当額(ペナルティ)」+「延滞金」の合計額の返還請求が求められます。
そのため、最終的に受給した金額よりも大きな負担が生じることになります。
5年間の不支給措置
不正受給が決定した日から5年間、雇用関係の助成金を受給できません。返還請求分を全額納付していない場合、この期間は延長されます。
不正受給は、会社や従業員の生活に深刻な影響を招くのです。
刑事告発の可能性
不正内容が特に悪質なものは、刑事告発等の可能性があります。実際に雇用関係の助成金の不正受給で摘発され、実刑判決に至った事例も報告されています。
不正行為が発覚すれば刑事責任を問われる重大なリスクが伴うことを、十分に認識しておくべきです。
実際の不正受給の事例
キャリアアップ助成金の不正受給をした事業者や社会保険労務士は、実際の事例として管轄の労働局で以下のように公表されています。
| 令和6年11月15日 社会保険労務士法人 |
| 愛知労働局管内の事業所2社に係る当該助成金の申請において、賃金台帳等を偽造し、当該助成金の不正受給に関与したもの。 |
| 令和6年5月28日 社会保険労務士法人 |
| 愛知労働局管内の事業所3社に係る当該助成金の申請において、虚偽の申請書類を作成し、当該助成金の不正受給に関与したもの。 |
| 令和6年5月14日 社労士事務所 |
| 愛知労働局管内の事業所1社に係る当該助成金の申請において、虚偽の申請書類を作成し、当該助成金の不正受給に関与したもの。 |
出典:不正受給に関与した社会保険労務士又は代理人(愛知労働局)
実際に書類送検されたケースも
少し前の事例ですが、実際に書類送検されたケースもあります。
企業内の非正規雇用者の人材育成などに取り組んだ事業主を助成する、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を不正に受け取ろうとしたとして、京都府警向日町署が8日、詐欺未遂、有印私文書偽造・行使の疑いで、同府向日市の40代の行政書士の男を書類送検したことが、同署などへの取材で分かった。男は容疑を認めている。書類送検容疑は、昨年5月、男が府内で経営する飲食店の元従業員の男性たち2人に、職業訓練をしたとする虚偽の申請書を京都労働局に申請し、2人分の助成金計約90万円をだまし取ろうとしたとしている。(2015年9月9日「産経WEST」)
出典:産経WEST
まとめ
キャリアアップ助成金は、雇用する側にとってとても便利な助成金です。しかし、一歩間違えて不正受給と判断された場合、大きな制裁を受けることになり、企業経営に深刻な影響が及ぶおそれがあります。
そのため、”ちょっとくらい・・・”という考えは通用しないことを、再度認識する必要があります。ただ、助成金の申請は細かい手続きや書類の作成が多く、楽なことではありません。
助成金を受給するに相応しいほどの、手続きや審査があります。もし判断に迷ったら勝手に判断するのではなく、きちんと専門家に相談し、適正な申請を行うようにしましょう。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する

