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パートの労働時間延長に、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」を活用しよう!

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パートタイマーなどの短時間労働者から、厚生年金保険・健康保険(以下、「社会保険」といいます)に入りたいという声や、もっと働きたいけど、社会保険の加入対象になり手取りが減るのが心配で、これ以上働けない、という声が聞こえてくることはありませんか。そんな従業員の方に対して何ができるだろう、とお考えの事業主の皆さまに、「キャリアアップ助成金」をご紹介いたします。

「キャリアアップ助成金」とは、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善などに取り組む事業主を対象にした助成金で7つのコースに分かれています。今回はそのうちの一つ、「短時間労働者労働時間延長コース」についてご紹介いたします。このコースは、短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成されるものです。さっそく内容を確認していきましょう。

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この記事の目次

1、「短時間労働者時間延長コース」とは

パートタイマー、アルバイトなどの短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に加入させた場合、1人あたり28万4000円(中小企業で、生産性の向上が認められる場合)が助成されます。または、2020年3月31日までの暫定措置として、5時間未満でも、手取り収入が減少しないように延長し、新たに社会保険に加入させるとともに、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合も助成対象になります。つまり、受給パターンは週5時間以上延長の場合とそれ以外の場合の2つに分かれます。下記、受給額の表をご覧ください。


パンフレットP.57
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

受給要件のポイント
労働時間の延長は週5時間以上だけでなく、最低1時間からと細かく選べるようになっていますが、社会保険に加入したことで、対象となる労働者の手取りが減少しないようにすることが求められています。そのため図の※3にあるように、週あたり1時間以上5時間未満の延長の場合は延長時間数に応じて基本給を昇給する必要があり、その割合はあらかじめ決められています。

1時間以上2時間未満:13%以上昇給
2時間以上3時間未満:8%以上昇給
3時間以上4時間未満:3%以上昇給
4時間以上5時間未満:2%以上昇給

このとおりに昇給することで、手取り収入が減少していないと判断されます。また、同じく要件にある賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースとも、基本給の増額に関するコースであるため、実施が求められていると理解できます。
まとめると、週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に加入させると1人あたり最大28万4000円(中小企業で、生産性の向上が認められる場合)が助成されます。この場合基本給の昇給は必要ありません。週所定労働時間の延長が1時間以上5時間未満の場合は、延長時間数に応じて基本給を昇給し、新たに社会保険に加入させて、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを行った場合に、助成されるということになります。

2、このコースの対象者は?

受給要件の詳細が理解できたところで、本コースの対象者についてみてみましょう。

次の①から⑤までのすべてに該当する労働者が対象です。

① 支給対象事業主に雇用される有期契約労働者等であること。

② 次の(1)から(5)までのいずれかに該当する労働者であること。

(1) 週所定労働時間を5時間以上延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期契約労働者等として雇用された者

(2) 週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期契約労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて13%以上昇給している者

(3) 週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期契約労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて8%以上昇給している者

(4) 週所定労働時間を3時間以上4時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期契約労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて3%以上昇給している者

(5) 週所定労働時間を4時間以上5時間未満延長した日の前日から起算して過去6か月以上の期間継続して、有期契約労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて2%以上昇給している者

③ 週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であること。

④ 週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること。

⑤ 支給申請日において離職していない者であること。

パンフレットP.58
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

ひとつずつみていくと、①については、有期契約労働者等であること、②については、過去6か月以上勤務していた実績が求められることと、週所定労働時間が5時間以上延長しているか、それ以外(1時間以上5時間未満)の場合、延長時間数に応じて基本給が昇給している必要があることを述べています。③は過去6か月の間、社会保険の加入要件を満たしていなかった方であること、④は事業主または取締役の親族以外であること、⑤は支給申請日において離職していない方であること、以上①から⑤のすべての要件に当てはまる方が対象になります。

3、対象となる事業主は?

次に、対象となる事業主を確認しましょう。労働時間を延長し、社会保険へ加入させることの他にどのようなことが求められるのでしょうか。キャリアアップ助成金の全コース共通要件と、当該コースの要件をそれぞれみてみましょう。

キャリアアップ助成金(全コース共通)事業主要件
○ 雇用保険適用事業所の事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
○ 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
○ キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

パンフレットP.4
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

キャリアアップ管理者とは、有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者として必要な知識および経験を有していると認められる者のことで、事業所ごとに1名配置します。キャリアアップ計画とは有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標達成のために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。

「短時間労働者労働時間延長コース」事業主要件

次の①から⑤までのすべてに該当する事業主であること。

① 雇用する有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長したまたは週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースの実施により処遇の改善を図った事業主であること。

② 上記①により週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者となった労働者を、延長後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6か月分の賃金を支給した事業主であること。

③ 上記①により週所定労働時間を延長した日以降の全ての期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。

④ 上記①により週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること。

⑤ 生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること。

パンフレットP.58
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

事業主には、短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に加入させることと、1時間以上5時間未満の延長の場合は、手取り収入が減少しないように賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施することが求められています。また、労働者の時間延長後6か月以上継続して雇用しその賃金を払っていること、雇用保険へ加入させること、変更した労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を交付すること、なども求められます。

4、申請時の提出書類

コースの労働者と事業主の要件が確認できたところで、申請に必要な書類をみていきましょう。提出書類は以下の通りです。全コース共通様式と、コースの提出書類、それに添付する書類となります。様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

(1) <全コース共通> 様式第3号 キャリアアップ助成金支給申請書

(2) <全コース共通> 様式第4号 事業所確認票

(3) 様式第3号 別添様式7 短時間労働者労働時間延長コース内訳

(4) 支給要件確認申立書(共通要領様式 第1号)

(5) 支払方法・受取人住所届

(6) 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)

(7) 対象労働者の週所定労働時間の延長前および延長後の雇用契約書等

(8) 対象労働者の労働基準法第108条に定める賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
※週所定労働時間の延長前6か月分および延長後6か月分

(9) 対象労働者の出勤簿等(労働時間の明記されているものに限る。)
※週所定労働時間の延長前の6か月分および延長後の6か月分

(10) 中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類

(11) 生産性要件に係る支給申請の場合の添付書類

(12) 支給額②の適用を受ける場合、様式第3号(別添様式2)「賃金規定等改定コース内訳」または様式第3号(別添様式6)「選択的適用拡大導入時処遇改善コース内訳」

(13) 特定適用事業所該当通知書(該当する場合のみ)

(14) 任意特定適用事業所該当通知書(該当する場合のみ)

(3) 様式第3号 別添様式7 短時間労働者労働時間延長コース内訳の記入例


「キャリアアップ助成金パンフレット」P.72
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

5、申請の流れ

申請の流れは以下のとおりです。

(1) キャリアアップ計画の作成・提出
雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聞いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けてください。
ちなみに、週所定労働時間を5時間未満延長する場合には、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施する必要がありますので、キャリアアップ計画にもそれを記載します。

(2) 週所定労働時間延長を実施
週所定労働時間を延長にともない、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした「労働条件通知書」または「雇用契約書」を交付します。

(3) 延長後6か月分の賃金を支給
賃金には時間外手当等も含みます。

(4) 助成金支給申請
延長後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して、2か月以内に支給申請をしてください。

(5) 支給決定
申請状況により、4~5か月など、審査に時間を要する場合があります。

6、「短時間労働者労働時間延長コース」メリット・デメリットについて

最後に、このコースを活用すると会社にとってどのようなメリット・デメリットがあるかを確認してみましょう。

メリットは、社会保険加入により働く方の福利厚生の充実が図れること魅力ある会社として人材の定着が図れること、スキルのある短時間労働者が長時間働けるようになり人材の活用につながることなどが考えられます。

一方、デメリットとして社会保険料の負担が増えることがあげられます。また社会保険に加入させるだけでなく、延長時間数によって手取りが減らないように基本給を上げることが求められていますので、給与の支払いが増えることも考えられます。

平成28年10月1日から社会保険の加入対象が広がり、平成29年4月にも対象が増えるなど、近年対象者が拡大してきていますので、短時間労働者の社会保険加入について考えなければいけない時はいずれやってくるでしょう。社会保険の適用拡大への対応として、適用回避のために労働時間を短縮するのか、それとも延長するのか、会社と働き手の双方が納得できる対応を検討されることをおすすめいたします。

まとめ

キャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長コース」は、パートタイマーなどの短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成されるものです。働き手の「もっと働きたい」、「社会保険に入っても手取り額を減らしたくない」という希望をかなえ、事業主の皆さまにとっては、労働者の意欲向上や、スキルのある短時間労働者が長時間働けるようになり人材の確保・定着につながる可能性があります。

なお、2020年3月31日までの暫定措置として、5時間未満の延長でも一緒に他の処遇改善コースを実施することで、助成を受けることができますので、社会保険適用拡大をお考えの方は活用を検討してみてはいかがでしょうか。ご不明な点など、補助金ポータルまでお気軽にお問い合わせください。

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