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治療と仕事の両立支援に使える助成金4選

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少子高齢化の影響により、企業では慢性的な人材不足が課題となっています。さらには労働者が疾病や障害を抱えると、離職に至ったり職場復帰が難しくなったりと、人材を失うリスクがより高まります。また、不妊治療を経験した方の16%(男女計(女性は23%))が、不妊治療と仕事を両立できずに離職しているというデータがあり、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備が求められています。

そこで役立つのが、治療と仕事の両立支援をサポートする助成金です。この記事では主な助成金4点について解説するので、優秀な人材の確保や職場環境の整備を強化したいとお考えの事業者は、ぜひ参考にしてください。

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この記事の目次

両立支援とは?

ずっと健康だった人が病気になり治療せざるを得なくなると、従来のようには働けなくなる可能性があります。その場合、治療に専念するのか、もしくは治療しながら働けるのかはケースバイケースです。しかし、治療しながら働きたい人にとっては、治療と仕事を両立できるのかどうかは大きな問題です。

一方で、労働者の職場(特に人事労務担当者や産業保健スタッフ)や上司・同僚にとっても、治療と仕事の両立支援は重要視されています。治療をしながら働きたいという意思を持った人が、主治医の判断によって働けるよう、職場環境を整備することが求められています。

治療と仕事の両立支援の流れ

厚生労働省では、治療と仕事の両立を支援するにあたり、下記のような体制を示しています。

両立支援の流れ
(1)治療と仕事の両立支援が必要な労働者(患者)が、自らの仕事に関する情報についての「勤務情報提供書」等を作成し、主治医に提供する。

(2)主治医より、支援に必要な下記に関する情報を提供される。
- 症状、治療の状況
- 退院後・通院治療中の就業継続に可否についての意見
- 望ましい就業上の措置についての意見
- その他配慮を要する事項についての意見

(3)主治医から提供された「主治医意見書」等の情報を事業者へ提出し、両立支援を申し出る。

(4)事業者が産業医等から意見を聴取し、主治医の意見や労働者(患者)本人の要望を考慮した上で、具体的な支援内容を検討する。

このあとの対応は、休養が必要・不要かによって下記の通りに進みます。

【入院等による休養が必要でない場合の対応】
①治療を続けながら就業を継続するための「両立支援プラン」を策定する。
②周囲の同僚や上司等に対し、限定された必要な情報をできるだけ開示し、理解を得ながら「両立支援プラン」を実施する。
【入院等による休養が必要な場合の対応】
①事業者が、休業についての制度と休業可能期間、職場復帰の手順等に関する情報提供を実施する。労働者(患者)は休業申請書類を提出後、休業を開始する。
②疾病が回復した場合、配置転換も考慮に入れた職場復帰の可否を判断し、労働者(患者)が職場復帰するまでの「職場復帰支援プラン」を策定する。

治療と仕事の両立支援に活用できる助成金

それでは、治療と仕事の両立支援に活用可能な支援制度を4つご紹介します。

団体経由産業保健活動推進助成金

本助成金では、中小企業や労災保険の特別加入者を支援する団体等が、傘下の中小企業等に対し、産業保健サービスを提供する際の費用を一部助成します。

助成対象となる団体等

①事業主団体等
②労災保険の特別加入団体

助成対象となる産業保健サービス
①労働者等の健康診断結果の意見聴取
②労働者等に対する下記の取組
- 保健指導
- 面接指導並びに当該指導結果に則った意見聴取
- 健康相談対応
- 健康教育研修
- 事業者並びに管理者への周知啓発
③事業者や労働者等への治療と仕事の両立支援
④事業者への職場環境改善支援

助成対象経費

謝金、旅費、会議費、印刷製本費

補助率、助成金額

補助率:サービス費用の実費の4/5
上限額:100万円

助成対象期間

交付決定日~令和6年1月24日

申請期間

第一次締切:令和5年5月31日(終了)
第二次締切:令和5年7月31日
最終締切:令和5年9月29日

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

事業主が、雇用管理制度(下記受給要件参照)の導入等による雇用管理改善を実施し、離職率の低下が図られた場合に助成額を支給します。

※令和4年4月1日より整備計画の受付を休止しており、令和5年度も引き続き休止中です。令和4年3月31日までに計画を提出した申請のみ手続きが可能なので、ご注意ください。

主な受給要件

事業主(短時間正社員制度を導入する場合は保育事業主)による下記の措置が求められます。

〈目標達成助成〉
①雇用管理制度整備計画の認定
下記ア~オの雇用管理制度の導入を含んだ雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受ける。
ア.諸手当等制度
イ.研修制度
ウ.健康づくり制度
エ.メンター制度
オ.短時間正社員制度(保育事業主のみ)

②雇用管理制度の導入と実施
上記①の計画に基づき、当該計画の実施期間内に雇用管理制度の導入と実施を行う。

③離職率の低下目標の達成
上記①②を実施し、当該計画期間終了から1年経過するまでの離職率を、計画提出前の1年間の離職率よりも、下表の目標値以上に低下させる。
雇用保険一般被保険者の人数区分 1~9人 10~29人 30~99人 100~299人 300人以上
低下させる離職率(目標値) 15% 10% 7% 5% 3%

【受給額】
目標達成助成:57万円

不妊治療と仕事の両立に関する支援

次に、不妊治療を受けている方々が仕事と治療を両立できるよう支援する制度をご紹介します。不妊治療と仕事の両立支援が必要な理由は、不妊治療は時間と費用がかかり、また体力的にも精神的にも負担が大きいためです。支援策として、以下のような制度があげられます。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するものです。

対象事業主

次のいずれにも該当する中小企業事業主が対象です。

①労働者災害補償保険の適用事業主であること。
②交付申請時点で、下記「成果目標」①から③の設定に向けた条件を満たしていること。
③全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。

成果目標

以下のうち1つ以上を選択し、実施します。

①36協定について時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、労働基準監督署長に届け出を行う
②年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する
③時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ特別休暇(病気休暇、不妊治療のための休暇等)の規定を1つ以上新たに導入する

こういった労働時間削減や、年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組むことを目的として、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して経費の一部を助成します。

助成率、助成金額

助成率:3/4
(事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は4/5を助成)

上限額:成果目標の達成状況に基づき、最大250万円
(一定要件の場合、最大480万円加算)

【申請締切】
令和5年11月30日(木)(必着)

両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)

不妊治療と仕事との両立のための職場環境整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を労働者に利用させた中小企業事業主を支援する助成金です。労働者が休暇制度・両立支援制度を利用した場合に活用できます。

支給対象となる事業主

次の①~⑥のいずれかまたは複数の制度を導入し、労働者に利用させた中小企業事業主が対象です。

①不妊治療のための休暇制度(多目的・特定目的とも可)
②所定外労働制限制度
③時差出勤制度
④短時間勤務制度
⑤フレックスタイム制
⑥テレワーク

支給申請までの流れ

申請ステップ
①両立を支援する旨の企業トップの方針の周知
②社内ニーズ調査
③就業規則等の規定の周知
④両立支援担当者の選任
⑤労働者との面談&「不妊治療両立支援プラン」の策定

支給額

①環境整備、休暇の取得等
最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用:30万円

②長期休暇の加算
①を受給し、労働者が不妊治療休暇を20日以上連続して取得:30万円

※①・②ともに1事業主あたり1回限りの支給

申請期限

社員が不妊治療休暇・両立支援制度を利用して、支給要件を満たした日の翌日から申請することができ、申請期限は以下のとおりです。

①環境整備、休暇の取得等の場合
休暇制度・両立支援制度を5日(回)利用した日の翌日から2か月以内

②長期休暇の加算
休暇を20日以上連続して取得し、休暇終了後原職に復帰し3か月継続勤務した日の翌日から2か月以内

まとめ

少子高齢化が急速に進む中、企業によっては労働者の高齢化も問題となっています。高齢になるほど疾病や障害のリスクが高くなるため、治療をしながら仕事をする労働者が今後さらに増えることが懸念されます。

また、不妊治療と仕事の両立に関して、キャリアを積んできた女性社員が不妊治療と仕事との両立に悩んで離職してしまうことは、企業にとって大きな損失であり、不妊治療と仕事との両立支援は企業にとって差し迫った課題となっています。

将来的な人材不足や職場環境への対策、女性管理職の育成などをお考えの事業者は、ぜひ今回紹介した「治療と仕事の両立支援に使える助成金」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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