令和5年5月より「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」の募集が開始されました。この助成金は、都内の中小企業者等のテレワーク実施における課題解決をサポートし必要な導入経費を支援する制度です。
テレワークの実施に課題を抱えている、またこれまでのテレワーク助成金は活用を見送っていたなどの対象事業者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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この記事の目次
東京都のテレワーク関連の助成金とは
今回解説する「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」以外に、東京都が実施するテレワーク関連支援策は下記の通りです。
テレワーク促進助成金 | 都内の中堅企業等・中小企業等に対し、テレワークの導入に必要な機器やソフトウェア等の経費を助成 |
テレワーク導入ハンズオン支援助成金 | ハンズオン支援コンサルティングを受けた都内の中堅企業等・中小企業等に対し、テレワーク導入の取組みに関する経費を助成※ICT等の専門家による助言や提案に基づき、テレワーク環境の整備・導入に取り組む企業向け |
テレワーク推進強化奨励金 | 「テレワーク推進リーダー」を設置し、「週3日・社員の7割以上」テレワークに取り組んだ都内中小企業等に奨励金を支給 |
本記事で紹介する「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」では、テレワーク課題解決コンサルティングによる支援が前提です。下記を組み合わせた支援を行います。
- 課題診断
- ツール等の導入助成
- 専門家による助言
テレワーク定着促進フォローアップ助成金とは
テレワーク定着促進フォローアップ助成金とは、テレワーク定着促進に向け都内中小企業者等を支援する取組です。「テレワーク課題診断コンサルティング」の支援を受け、テレワーク定着における課題解決のためにツール等を導入する事業に対し、助成金を支給します。※「テレワーク課題診断コンサルティング」とは、東京都が行っている「テレワーク定着促進フォローアップ事業」へ申し込み、課題診断後に実施するオンライン助言1回目のことです。なお、オンライン助言は2回受ける必要があります。2回目は、オンライン助言の1回目から6か月後を目安に、各職場のテレワークの実施状況や運用上の課題をもとに、定着に向けた助言を実施します。
助成対象事業者
事業対象企業となるのは都内中小企業等で、要件は以下のとおりです。
(1)事業を都内で営む中小企業等(常時雇用する労働者が2~300人以下の企業)である。 |
(2)都内に勤務する常時雇用の労働者を2人以上雇用している。 |
(3)都税の未納付がない。 |
(4)過去5年間で重大な法令違反等がない。 |
(5)労働関係法令を遵守している。 |
(6)風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業、並びにこれらと類似する事業を営んでいない。 |
(7)代表者、役員もしくは使用人その他の従業員、又は構成員が暴力団員等に該当しない。 |
(8)就業規則を作成し労働基準監督署へ届け出ている。(就業規則の作成・届出義務の対象となる常時雇用する労働者が10人以上の企業等のみとします) |
(9)テレワーク規程の作成が済んでいる。(就業規則の作成・届出義務の対象となる常時雇用する労働者が10人以上の企業等は、労働基準監督署へ届出を行う必要があります) |
(10)「テレワーク東京ルール実践企業宣言(※)」制度へ登録し、「テレワーク推進リーダー設置」表示のある宣言書をウェブサイト上で発行している。 |
(11)テレワーク促進助成金並びにテレワーク導入ハンズオン支援助成金に申請中でない。(都が実施するテレワーク課題診断コンサルティングで必要とみなされた場合を除きます) |
(12)本助成金を受給(受給予定も含みます)していない。 |
(13)テレワーク課題診断コンサルティングを受け、「テレワーク課題改善提案書」を受領している。 |
※(10)について、テレワーク東京ルール実践企業宣言とは
令和2年9月、東京都は「テレワーク東京ルール」の普及に向け連携して取り組むため、公労使による「新しい東京」実現会議で共同宣言を発表しました。その中で、テレワークについて新型コロナウイルス感染症防止のための一過性の形態として捉えず、促進・定着を進めるため下記の戦略ビジョンを掲げています。
- 働き方改革
- ビジネス革新
- 人材の有効活用
- 危機管理
- 地域振興
「テレワーク東京ルール実践企業宣言」とは、上記の戦略ビジョンを前提として、各企業がテレワークに関する独自のルールを策定し宣言してもらう制度です。実践企業宣言を登録すると、次のようなメリットを得られます。※制度への登録には一定の審査を受ける必要があります。
- 宣言書を印刷し掲示できる。
- ウェブサイトで、テレワーク東京ルールの実践企業であると自社PRができる。
- 融資利率の優遇や融資の特例メニューが利用可能になる。
- テレワーク求職者とのマッチングイベント等に参加できる。
助成額・助成率
【助成限度額】
上限100万円
【助成率】
1/2
助成対象経費
下表に該当する経費を対象として、課題解決のために導入したツール等の使用実績に応じて助成を実施します。
科目 | 内容 |
消耗品費 | 物品購入費等(パソコン・タブレット・携帯電話・スマートフォンを除きます) ※税込単価1,000円以上10万円未満に限ります 〈対象外〉 自社製品、中古物品等 |
備品費 | 税込単価10万円以上の物品購入費等(パソコン・タブレット・携帯電話・スマートフォンの物品購入費、並びに税込単価10万円以上の業務ソフトウェアを除きます) 〈対象外〉 自社製品、中古物品等 |
購入費 | 税込単価10万円以上の業務ソフトウェア 〈対象外〉 自社製品、中古物品等 |
委託費 | ・導入機器や物品等の設置、設定費等 ・導入機器等の保守委託等の業務委託料等 ・導入機器等の導入時運用サポート費等(導入前のコンサルティングは除きます) 〈対象外〉 工事に関連した委託費、業務の再委託費等 |
賃借料 | 機器リース料、レンタル料等(パソコン・タブレット・携帯電話・スマートフォンの賃借料を除きます) |
使用料 | ソフトウェア利用料等 |
【助成対象外経費】
助成対象外となる経費も確認しましょう。主な対象外経費を調べました。
- 助成対象経費の経費区分に記載されていない。
- 物品の購入や業務委託等、助成事業に関連がない。
- 使途、単価、規模等が確認できない。
- 本助成金以外の他の事業に要した経費と区分できない。
- 支給決定日より前に開始した事業と関連する。
- 支給申請時に事業が完了している。
- 消費税、振込手数料、収入印紙代、事務手数料、旅費、光熱水費、物品購入に関する送料。
- 携帯電話通話料金、Wi-Fi月額料金、インターネット回線・プロバイダー料金等。
- テレワーク環境構築図等で、導入前後の状況が確かめられない。
- 実績報告時までに完了しない事業に関するものである。
- その他、同一の事由で国・都から給付金・補助金・助成金を受けている。
- テレワーク課題診断コンサルティングで掲示された「テレワーク課題改善提案書」の内容と一致しない。
テレワーク定着促進フォローアップ助成金の申請方法
下記のいずれかの方法で申請できます。
- 郵送
- 電子申請(Jグランツ)
都が行うテレワーク課題診断コンサルティング(オンライン助言1回目)を受け、「テレワーク課題改善提案書」を受領したあとに申請可能です。なお、窓口への持参による申請には対応していません。
※Jグランツによる電子申請を利用するには、法人共通認証基盤においてのアカウント(gBizIDプライム)を取得する必要があります。
【申請の受付期間】
令和5年6月1日~令和6年1月31日
【事業の流れ】
①テレワーク課題診断コンサルティングを受け、「テレワーク課題改善提案書」を受領する。
②必要な書類を提出する。
③支給決定通知を受領する。
④助成事業を実施する。
⑤実績報告書を提出する。
⑥助成額の確定通知を受領する。
⑦助成金請求書兼口座振替依頼書を提出後、助成金が振り込まれる。
テレワーク定着促進フォローアップ助成金の提出書類
最後に、テレワーク定着促進フォローアップ助成金の提出書類を確認しましょう。
提出書類 |
①事業計画書兼支給申請書、事業所一覧 |
②誓約書 |
③雇用保険被保険者資格取得等確認通知書 |
④就業規則 |
⑤テレワークについての規定 |
⑥会社案内もしくは会社概要(ホームページの写し等) |
⑦商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書) ※個人事業主の場合のみ -個人事業の開業・廃業等届出書 -住民票記載事項証明書 |
⑧水道光熱費の請求書もしくは領収書、賃貸借契約書等(該当する場合のみ) |
⑨法人都民税並びに法人事業税の納税証明書 ※個人事業主の場合のみ -個人都民税(居住地分・事業所地分)並びに個人事業税の納税証明書 |
⑩「テレワーク東京ルール実践企業宣言書」制度への登録についての資料 |
⑪テレワーク課題改善提案書 |
⑫テレワーク環境構築図 |
⑬見積書、相見積書 |
⑭導入製品等の資料 |
⑮委任状(代行申請の場合) |
まとめ
中小企業では、テレワークを取り入れるために資金や手間を費やしても、それに見合うメリットが得られない、活用しきれていないというケースも少なくありません。しかしテレワークを上手に定着させることができれば、生産性向上・人材不足解消・コスト削減などあらゆる効果が期待できます。
テレワークの実施にあたり課題を抱えている都内の対象事業者は、解決のための支援を受けられる「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。