デジタル化を進めたい中小企業等と、デジタル化を支援するIT専門家をマッチングし、専門家の支援が安価で受けられる「中小企業デジタル化応援隊事業」は、これまで知名度はそれほど高くなかった印象がありますが、不正受給の件で報道され、事業について知る方が増えたのではないでしょうか。
不正の疑いがある事案が複数確認されていたため9月16日から事業を一時停止していましたが、登録要件の厳格化などの措置を講じて10月19日から再開となりました。
そこで今回は、「中小企業デジタル化応援隊事業」の改正後の利用規約やスケジュールを確認してみたいと思います。デジタル化・IT活用に悩む全国の中小企業の皆さまはぜひ詳細をご確認ください。
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この記事の目次
中小企業デジタル化応援隊事業とは
この事業は、IT活用に取り組もうとする中小企業が、デジタルツールに精通した専門家(中小企業デジタル化応援隊)による支援を受ける際の費用を補助するもので、新型コロナウイルス感染拡大の防止や事業活動の維持、今後の制度変更などに対応できるような企業のデジタル化を支援することを目的としています。
【対象となる業務例】
- デジタル化課題の分析・把握・検討
- IT導入に向けた支援(例:テレワーク、Web会議、ECサイト、キャッシュレス決済、セキュリティ強化 等)
IT専門家による、デジタル関連コンサルティング等をはじめとした準委任契約に基づく支援が対象で、コンテンツ制作やデザイン等の請負契約については、対象外となります。
要件を満たす支援を行ったIT専門家に対して、1時間あたり最大3,500円の謝金が事務局から支払われるため、中小企業等は通常の時間単価から上記金額( 最大3,500円/時間 )を差し引いた金額でデジタル化推進のための支援を受けることが可能です。(1企業あたり補助される謝金は合計30万円まで)
中小企業等の実費負担が1時間あたり最低500円以上あることが謝金支払の要件になっています。実費負担の例は以下のとおりです。
【支援単価・謝金・実費負担の例(消費税込の金額)】
・支援単価: 2,000円の場合、謝金単価:1,500円、実費負担: 500円
・支援単価: 3,700円の場合、謝金単価:3,200円、実費負担: 500円
・支援単価: 4,000円の場合、謝金単価:3,500円、実費負担: 500円
・支援単価:10,000円の場合、謝金単価:3,500円、実費負担: 6,500円
上記例にもあるように、時間単価4,000円のIT専門家の支援がワンコインで受けられるのは魅力ですね。40時間の支援を受けたとしても、中小企業等の費用負担は500円×40時間=20,000円となります。
中小企業デジタル化応援隊事業の新規受付が一時停止となった理由
昨年度にも実施されていたこの中小企業デジタル化応援隊事業ですが、事業について、不正を指南する活動が行われている旨の通報が事務局に寄せられるなど、不正の疑いがある事案が複数確認されたことなどから、制度の見直しを行うため新規案件への支援がストップしていました。
不正行為とは次のような行いを指します。
・事業実態がないのにもかかわらず中小企業等として登録する。
・支援を提供する能力を有していないにもかかわらずIT専門家として登録する。
・支援時間や支援内容を偽って報告する。
・支援を行っていないにも関わらず支援を行ったと報告する。
事務局からのお知らせには「本事業の登録のためだけに開業届を出す」「支援時間の水増し」「支援実態を偽る写真を使った報告」などの不正行為の例があがっています。
中小企業デジタル化応援隊事業の不正再発防止策は?
謝金等の不正受給を未然に防止するため、再発防止策としてIT専門家の登録要件の厳格化等の利用規約の改定が行われました。
【IT専門家の登録要件の厳格化】
IT専門家の登録要件として、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 中小企業支援法に基づく中小企業診断士
- 職業能力開発促進法に基づくウェブデザインの職種の技能検定の合格者
- 情報処理の促進に関する法律に基づく情報処理安全確保支援士
- 情報処理の促進に関する法律に基づく情報処理技術者試験(システム監査技術者試験、ITサービスマネージャ試験、エンベデットシステムスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、ネットワークスペシャリスト試験、プロジェクトマネージャ試験、システムアーキテクト試験、ITストラテジスト試験、応用情報技術者試験、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験、ITパスポート試験等)の合格者※試験制度発足から全ての試験を対象
- 技術士法に基づく情報工学部門の技術士または技術士補
- ITコーディネータ
※上記いずれかに該当するものであることを証明するための証明書のコピー等資料の提出が必要となります。
不正行為に関する情報提供、受け取った謝金等の返還に関する相談については、現在も継続して、専用受付窓口または専用フォームから問い合わせることが可能になっています。
出典:中小企業デジタル化応援隊事業 ウェブサイトより
中小企業デジタル化応援隊事業の流れ
こんな制度があるなら使ってみたい、と思った方へ、簡単に事業スキームをご紹介します。
出典:中小企業デジタル化応援隊事業 ウェブサイトより
中小企業等が行う部分は図の青色の箇所です。
Web上で中小企業登録、相談案件登録を行い、IT専門家から提案される支援計画を承諾したら業務委託契約を締結して、支援の提供を受けます。支援の終了後、実費(500円/時間 以上)を支払うという流れになります。
【スケジュール】
令和3年10月5日の利用規約改定により、登録期限などのスケジュールが変更されています。実施期間に関する期限は以下のとおりとなります。
IT専門家・中小企業等の本事業への登録受付期限 | 令和3年11月1日まで |
IT専門家と中小企業等による支援計画の契約締結の期限 | 令和3年12月17日まで |
IT専門家による支援の完了及び支援実施報告の期限 | 令和4年1月10日まで |
IT専門家による謝金申請の期限 | 令和4年1月10日まで |
支援終了後の支援実施報告書の提出及び謝金申請の手続きが期限内に実施できるように、支援終了日を設定する必要がありますのでお気を付けください。
まとめ
今回は、中小企業等のIT化を専門家がサポートする際の費用が補助される「中小企業デジタル化応援隊事業」についてご紹介しました。
不正受給の問題で新規受付が一時停止となっていた事業ですが、再発防止策を講じた上で事業再開となりました。
通常よりリーズナブルにIT専門家のアドバイスが受けられるチャンスですので、IT化を検討中の中小企業の皆さまは活用を検討してみてはいかがでしょうか。中小企業等の事業への登録受付期限は令和3年11月1日までです。
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