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最低賃金の引き上げにともない業務改善助成金が拡充!

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ここ数年、大幅な最低賃金の引き上げが続く中、多くの中小企業と小規模事業者は賃金負担の増加に頭を悩ませています。

厚生労働省が発表した令和5年度の地域別最低賃金改定では、47都道府県で最低賃金が39円から47円の範囲で引き上げられるという動きがあり、全国加重平均での最低賃金は1,004円に達しました。

このような状況下で、企業が労働環境を改善し、賃金を適正に引き上げるための支援が急務となっています。そこで注目されるのが「業務改善助成金」です。この助成金は、生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引き上げを図るための制度で、設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。8月31日から、対象事業場拡大、賃金引き上げ後の申請が可能になるなど、より多くの企業がこの制度の恩恵を受けられるようになっています。

今回は、業務改善助成金の拡充についてまとめました。賃金引き上げによる影響を最小限に抑えつつ、労働環境を改善したい企業の皆さまはぜひチェックしてみてください。

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この記事の目次

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業務改善助成金とは

業務改善助成金は、設備投資や人材育成など、生産性向上に資する投資を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その投資費用の一部を助成する制度です。

具体的には、「事業場内最低賃金の引き上げ計画」と「設備投資等の計画」を申請して承認を受けた後、その計画通りに事業を進めると、投資にかかった費用の一部が助成されます。事業場内最低賃金の引き上げや設備投資等は、これから実施するものが助成の対象です。

業務改善助成金 拡充ポイント

9月現在、最新の拡充内容のポイントは以下のとおりです。

【①対象事業場の拡大】
今までは事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の事業場が対象でしたが、これが50円以内に拡大しました。

これまで差額が30円を超えていたため助成金の対象外だった事業場も、差額が50円以内に拡大されたため、助成を受けられるようになりました。

【②賃金引き上げ後の申請】
従来、賃金引き上げ後の申請は受け付けられませんでしたが、今回から50人未満の事業場では2023年4月1日から12月31日までに賃金引き上げを実施していれば、賃金引き上げ計画の提出は不要になりました。

【③助成率区分の見直し】
令和5年度の地域別最低賃金の改定額の答申状況が明らかになったことで、事業場内最低賃金額に応じて設けた助成率の区分が30円引き上げられています。

このように、対象となる事業場について、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内から50円以内に拡大された点と、事業場規模50人未満の事業者について、賃金引き上げ後の申請が可能になった点が今回の拡充の大きなポイントです。

なお、②賃金引き上げ後の申請のケースでは、申請時に賃金引き上げ計画の提出は不要ですが、実際に賃金が引き上げられた結果と事業実施計画(設備投資等の計画)の提出は必要になりますのでご承知おきください。

10月からの最低賃金引き上げへの対応として申請する場合

今年10月から順次発効される地域別最低賃金の改定額に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げを行う必要があります。

例えば10月1日に新しい地域別最低賃金(900円→950円)が発効される場合は、発行日の前日である9月30日までに事業場内最低賃金(例:905円→950円)の引き上げを完了させていることが必要です。発行日の当日に引き上げ(905円→950円)を実施しても対象になりませんのでご注意ください。

参考:厚生労働省 業務改善助成金

業務改善助成金の対象事業者

  • 中小企業・小規模事業者である
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない

中小企業・小規模事業者とは、以下のAまたはBの要件を満たす者です。

出典:厚生労働省 業務改善助成金

以上の要件をすべて満たした場合に、事業場ごとに申請できます。

特例事業者

以下の要件に当てはまる場合は特例事業者となり、特例的な拡充を受けることができます。

①賃金要件 申請事業場の事業場内最低賃金が950円未満である事業者
②生産量要件 売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が前年、前々年または3年前の同じ月に比べて、15%以上減少している事業者
③物価高騰等要件 原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント以上低下している事業者

基本となる助成金対象事業者の要件を満たした上で、上記に適合する場合、助成金の上限額や助成率、対象となる経費(②、③に該当する場合)が特例として拡充される仕組みです。

助成上限額

助成上限額は、引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって変わります。

出典:厚生労働省 業務改善助成金

申請事業場の規模が30人未満の場合は、一番右の欄の助成上限額が受けられます。前述の特例事業者に該当する場合は、労働者数の「10人以上」の区分の選択が可能です。(10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合)

助成率

助成率は、申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって変わります。

950円以上 3/4 (4/5)
900円以上950円未満 4/5 (9/10)
900円未満 9/10

申請する事業所での最低賃金が900円未満か、900円以上で950円未満の場合、助成率は3/4より高いものとなります。

( )書きの助成率は、生産性を向上させた事業主からの申請について助成率の割増を行う「生産性要件」に該当した場合に適用されます。

助成対象経費

生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等が助成対象経費となります。

対象経費の例
設備投資
•POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
•リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
コンサルティング
専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上
その他
店舗改装による配膳時間の短縮

特例事業者のうち、生産量要件または物価高騰等要件に該当する場合、通常は助成対象経費として認められない以下の経費も対象となります。

  • 定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車
  • 貨物自動車
  • パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
  • 広告宣伝費、汎用事務機器、事務室の拡大、机、椅子の増設といった「関連経費」

助成金支給までの流れ

今回の拡充で、50人未満の事業場で賃金引き上げ後の申請が可能になりましたが、事業場規模50人未満の事業場の申請を行う事業者は、必ず賃金引き上げ後に申請をしなければならないというものではありません。業務改善助成金の基本的な申請の流れは以下のとおりです。

①事業場内最低賃金の引き上げ計画と設備投資等の計画を立てる
②申請書を提出し、審査を受ける
③交付決定後に計画通り事業を進める
④事業の結果を報告し、助成金が支給される

【注意事項】
以下、事前に確認しておきたい事項をまとめました。

  • 過去に業務改善助成金を活用した事業者も助成対象になります。
  • 現時点の申請期限は2024(令和6)年1月31日ですが、予算がなくなり次第、申請受付が終了する可能性もあります。
  • 事業完了の期限は2024(令和6)年2月28日です。
  • 申請時は、最新の交付要綱・要領で助成要件を確認する必要があります。

まとめ

今回は、最低賃金の引き上げに伴う業務改善助成金の拡充についてご紹介しました。

令和5年度地域別最低賃金の改定額における全国加重平均額43円の引き上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降、最高額となりました。

最低賃金の引き上げは企業にとって避けて通れない課題ですが、業務改善助成金の拡充を上手に活用することで、その影響を最小限に抑え、より良い労働環境を実現する道もあります。

助成金申請は手続きが難しそう、と不安な場合は、専門家のサポートを活用することで、確実かつ効率的に申請を進めることができます。専門家のアドバイスを受けながら、成功確率を高めましょう。補助金ポータルでは専門家をご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。

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