IT導入補助金のC類型は、新型コロナウイルスが事業環境に与えた影響への対策および拡大防止に向けた具体的な対策に取り組む事業者のIT導入等を優先的に支援するために創設されたものです。
この度、令和2年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業の特別枠(C類型)が5月11日より受付開始となりました。
公募スケジュール:2020年5月11日(月)受付開始~2020年5月29日(金)17:00まで
これに伴い、申請要件が全て出揃った公募要領が公開されています。今回は明らかになったIT導入補助金の特別枠(C類型)の内容をご紹介します。
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この記事の目次
令和元年度補正IT導入補助金(A類型・B類型)との違いは?
下図は、A類型・B類型とC類型の相違点を抜粋したものです。
出典:IT導入補助金2020 公募要領 特別枠(C類型)
C類型のポイント
■補助率が2/3に拡充
■補助額は30万円~450万円
■ハードウェア(PC・タブレット等)のレンタル費用も補助対象に
■公募前に購入したITツール等も補助対象に(一定の条件あり)
・さかのぼって申請することが可能な期間:2020年4月7日~が設けられている
補助率が引き上げられること、ハードウェアのレンタル費用が補助対象になることのほか、C類型では遡及申請も可能です。しかし、遡及申請について、申請者による交付申請までの間に当該ITツールとそれを提供するIT導入支援事業者が事務局に登録されていない場合は、補助対象となりませんのでご注意ください。
C類型の補助対象事業者は、A類型・B類型と同様に日本国内で事業を行う中小企業、小規模事業者となっています。
なおC類型は、A類型・B類型との併用はできません。どの型で申請するのが良いか見極める必要があります。
C類型の補助対象となる事業とは?
生産性向上のための業務プロセスの改善と効率化に役立つITツールを導入することに加えて、
新型コロナウイルスの影響を受けて
・サプライチェーンの毀損への対応
・非対面型ビジネスモデルへの転換
・テレワーク環境の整備
などに役立つITツールとその活用に不可欠なハードウェア(レンタル品)の導入に取り組む事業が対象となります。
【補助対象となる事業例】
サプライチェーンの毀損への対応:顧客への製品提供を継続するために必要なビジネスモデルに転換するために必要なIT投資を行う事業
非対面型ビジネスモデルへの転換:非対面、遠隔でのサービス提供が可能なビジネスモデルに転換するために必要なIT投資を行う事業
テレワーク環境の整備:従業員がテレワーク(在宅勤務等)で業務を行う環境を整備するのに必要なIT投資を行う事業
【補助対象事業の考え方】
新型コロナウイルスが事業環境に与える特徴的な影響下において、今後実施しようとする事業に加え、できるだけ早く、実施された事業に対しても支援を行うべきであるということから補助対象事業は大きく2つに分けられています。
(1) 従来のIT導入補助金と同じ「交付決定日以降に補助事業を実施するケース」
事務局に登録されたIT導入支援事業者およびITツールの中から、ITツールを選び交付決定日以降に事業(契約・納品・支払い)を実施します。
(2) C類型限定の「遡及申請(さかのぼり申請)可能期間中に補助事業を実施しているケース」
一刻も早いテレワーク環境の整備や非対面型ビジネスモデルへの転換等の必要性の理由から、公募開始前の「遡及申請可能期間:2020年4月7日以降」に、ITツール導入についての契約を実施した場合も補助対象事業と認められます。
※【遡及申請可能期間:2020年4月7日~】
なお、上記期間外でかつ交付決定以前に実施された事業については、補助対象外となりますのでご注意ください。
【申請類型の考え方】
申請類型は、甲乙丙ツール要件により「C類型-1」と「C類型-2」に分かれています。
「甲:サプライチェーンの毀損への対応」のみ導入する場合はC類型-1、
「乙:非対面型ビジネスモデルへの転換」、「丙:テレワーク環境の整備」どちらか一つ以上を導入する場合はC類型-2となります。
出典:IT導入補助金2020
さらに、補助金申請額によって、同じ類型内でも「賃上げ目標」が必須要件になるか、加点項目になるかは異なりますので、下記の類型判別チャートでご確認ください。
出典:IT導入補助金2020 公募要領 特別枠(C類型)
※賃上げ要件については、次の項で詳しくご説明します。
IT導入補助金 特別枠(C類型)の主な申請要件
(1) 労働生産性の1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標を作成すること
(2) gBizID プライムを取得していること
(3) 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONの「★ 一つ星」の要件である「情報セキュリティ5か条」に関して取り組むことに同意すること
(4) 交付申請の内容について、IT導入支援事業者を含む"第三者"による総括的な確認を受けること
(5) 遡及申請可能期間にITツールの契約を行い、申請する者は、当該申請内容が「今般の新型コロナウイルスが与える影響を乗り越えるために必要不可欠な、緊急のIT投資等」であること
(1)~(4)はA類型・B類型と同じ内容です。(5)は公募前に契約したITツールを申請する場合に、申請の内容が「新型コロナの影響を乗り越えるために必要不可欠な緊急のIT投資等」であることが必要になります。
次にご紹介する賃上げの要件は、申請内容により必須要件あるいは加点要件のいずれかになります。なお、小規模事業者、医療・介護・保育等のサービスを提供する事業者はこの要件の対象外となります。
(6) 本事業で申請しようとする者は、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること
※特別枠の事業者(新型コロナウイルスの影響を受けた事業者)は、補助事業実施年度に感染症の影響を受けることを想定して、下記の賃上げ目標を据え置きし、その翌年度から3年の間に目標値を達成する計画とすることができます。
■事業計画期間において、給与支給総額を「年率平均1.5%以上増加」する
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が、制度改革に先立ち任意適用※に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
※任意適用とは、従業員規模51~500名の企業が、短時間労働者を厚生年金に加入させることを指します。
■事業計画期間において、事業場内最低賃金を「地域別最低賃金+30円以上」の水準にする
なお、申請時点で賃上げ計画を従業員に表明することが必要で、交付後に表明していないことが発覚した場合は、補助金額の返還が求められます。また賃上げの要件が未達の場合も、補助金額の全部もしくは一部の変換が求められることがある、ということに同意して事業計画の策定・実行をする必要があります。
主な申請要件を公募要領より抜粋してご紹介しましたが、詳細は公募要領でご確認ください。
IT導入補助金 特別枠(C類型)の補助対象ツールとは
補助対象となるのは、IT導入支援事業者が提供するITツール導入費(ソフトウェア費、導入関連費、ハードウェアレンタル費)です。
導入するITツールの要件
IT導入補助金のITツールは「ソフトウェア(プロセス)」「オプション」「役務」の3区分に分類されます。ITツールの要件は以下のとおりです。
(1) 3区分のうちの「ソフトウェア(プロセス)」に類するITツールを最低でも1つ以上申請する
(2)「甲:サプライチェーンの毀損への対応」「乙:非対面型ビジネスモデルへの転換」「丙:テレワーク環境の整備」の3つのうち、いずれか1つに該当するITツールを最低でも1つ以上申請する
(3) オプション、役務にかかる経費は上記(1)、(2)の要件を満たしていることを前提として、補助の対象となる
(4) ハードウェアレンタル費は上記(2)の甲乙丙の対応に資する場合においてのみ、「役務」として補助対象となる
(5) 甲・乙・丙のソフトウェア、甲・乙・丙のオプション、ハードウェアレンタルの合計が補助対象経費の1/6以上になるよう導入すること
対象となるハードウェアレンタル費
補助対象となるハードウェアレンタル費の内訳は以下のa,bに限定されています。つまりa,b以外の機器および周辺機器は、補助対象外となります。
a) デスクトップ型PC、ラップトップ型PC、タブレット型PC、スマートフォン
b) 上記a)をレンタル導入する際の付属品として、a)に接続し甲乙丙の事業に対応するためのWEBカメラ、マイク、スピーカー、ヘッドセット、ルーター(Wifiルーター・アクセスポイント等)
補助対象外の経費
代表的な補助対象外経費として
・組み込み系ソフトウェア
・スクラッチ開発のソフトウェア
・広告宣伝に類するもの
・ホームページ制作、Webアプリ制作、スマートフォンアプリ制作、VR・AR用コンテンツ制作等
・コンテンツ配信システム
・会員登録し、Web上でサービスの提供を受ける仕組みのもの
・恒常的に使用されるソフトウェアではないもの
・業務の効率化を図るものではなく、補助事業者が販売する商品やサービスに付加価値を加えることが目的のITツール
などがあげられます。
特別枠公募のスケジュール(予定)
交付申請期間:2020年5月11日~12月下旬まで
事業実施期間:交付決定後~6か月程度 ※詳細日時は別途指定
公募は、複数回の締切を設けて、それまでに受け付けた申請の審査と交付決定が行われる予定です。
5月29日(金)締切後の、次のスケジュールについては別途案内予定とのことです。
まとめ
今回は令和2年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業の特別枠(C類型)についてご紹介しました。
C類型の
■PC・タブレット等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象
■公募前に導入したITツールも申請可能
■さかのぼり申請の要件は「新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために必要不可欠な緊急のIT投資等」
という特徴から、C類型は急いで在宅勤務制度を導入する企業がテレワークに使える業務効率化ツールやPC・タブレット等を導入する際に活用しやすい型といえます。テレワーク導入に関してお悩みの方は、遡及申請が可能なIT導入補助金 C類型の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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