政府はこれまで主に経営者の高齢化への対応という観点から、事業承継の一つの手段として M&A(第三者承継)を進めてきましたが、新型コロナウイルスの発生後は、経営者の年齢にかかわらず、廃業に伴う経営資源の散逸を回避するとともに、生産性向上や創業促進といった観点からもM&Aを推進することが重要であると考えられるようになりました。
そこで中小企業・小規模事業者の事業統合・再編を促すための施策のなかから、今回はM&Aに係る専門家などの活用費用を上限400万円~、補助率2/3で支援する「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)についてご紹介します。
M&Aの成約に向けて取り組みを進めている方、M&Aに着手しようと考えている方はぜひ内容をご確認ください。
▼事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦を支援する「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」はこちらから!
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この記事の目次
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)とは?
事業承継・引継ぎ補助金は、従来の「事業承継補助金」と「経営資源引継ぎ補助金」が統合されてできた補助金です。事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)は、「経営資源引継ぎ補助金」に該当し、買い手支援型、売り手支援型の2つに分類されます。
対象となる経営資源引継ぎとは
買い手支援型(Ⅰ型)
事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業者等であり、以下のすべての要件を満たすこと。
●事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。
●事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。
売り手支援型(Ⅱ型)
事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業者等であり、以下の要件をみたすこと。
●地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。
補助対象者
補助対象者の主な要件は以下のとおりです。
(1)中小企業、個人事業主であること。
(2)日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
(3)反社会的勢力との関わりや法令順守上の問題がないこと。
(4)事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
(5)経済産業省から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと。
(6)補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国に報告された後、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
(7)事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
▶対象事業者要件の詳細は公募要領をご確認ください。
補助対象事業
補助対象事業となる経営資源引継ぎは、補助事業期間に経営資源を譲り渡す者(被承継者)と経営資源を譲り受ける者(承継者)の間で事業再編・事業統合が着手もしくは実施される予定であること、または廃業を伴う事業再編・事業統合が行われる予定であることとし、下図「経営資源引継ぎ形態に係る区分整理」で定める形態を対象とします。「補助対象者」と「経営資源引継ぎの形態」に応じて、交付申請類型番号と実績報告類型番号が分類されています。申請の際は、ご自身の該当する類型番号をご確認ください。
たとえば、買い手支援型で補助対象者が「承継者(法人)」で、経営資源引継ぎの形態が「株式譲渡」の場合、交付申請類型番号と実績報告類型番号はそれぞれ1となります。
出典:公募要領
交付申請ができない例
(1)事業再編・事業統合の後に承継者が保有する対象会社または被承継者の議決権が過半数にならない場合(※ただし、吸収分割、事業譲渡の場合は除く)
(2)事業再編・事業統合の前に承継者が保有する対象会社または被承継者の議決権が過半数の場合
(3)被承継者または被承継者の株主と承継者との関係が同族関係者である場合
(※同族関係者の定義は、法人税施行令第四条を適用するものとする。)
(4)被承継者または対象会社と承継者との関係が支配関係のある法人である場合
(※支配関係の定義は、法人税法第二条十二の七の五を適用するものとする。)
(5)経営資源引継ぎの形態として事業譲渡を選択しているにもかかわらず、実態として不動産の売買のみにとどまり、事業譲渡を伴わない場合
(5)について、単なる不動産売買とみなされる例として以下のようなものがあります。
・最終契約書として、不動産売買契約書のみを締結する場合
・不動産及び取引契約の引継ぎのみで、常時使用する従業員1名以上の引継ぎを伴わない場合
・事業を営んでいない個人または個人事業主から不動産のみを買収する場合
・空き家(廃墟・相続物件等を含む)のみを買収・売却する場合
・賃貸物件(賃貸物件に紐づく契約を含む)のみを買収・売却する場合
・株式、事業及び営業権の譲渡を伴わない、物件の賃借権の譲渡(不動産の譲渡ではなく賃・貸物件を借りる権利の譲渡。譲渡側は、単純に物件引き払い・原状回復のみ発生)の場合
・補助対象経費が不動産売買に係る経費のみである場合
補助対象経費
本補助金の対象経費は、引継ぎ時の専門家等活用に係る費用(M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用等)や、経営革新・経営資源の引継ぎに伴う廃業費用です。
買い手支援型(Ⅰ型)
謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料
売り手支援型(Ⅱ型)
謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料
(廃業費用)廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費
事前着手の届出を申請し、事務局の承認を受けたものは、経費の契約・発注が、2021年6月9 日以後の事務局が認めた日から2021年12月31日までの間に行われ、かつ、支払いまでが同期間内に完了している場合に当該経費を補助対象経費とすることができます。
補助内容
買い手支援型(Ⅰ型)
上限額:400万円以内 下限額:50万円
補助率:2/3以内
売り手支援型(Ⅱ型)
上限額:400万円以内(廃業費用の上乗せ額:200万円以内)下限額:50万円
補助率:2/3以内
手続きの流れ
【申請受付期間】
1次募集:2021年6月11日(金)~7月12日(月)18:00
※2次募集は、2021年7月中旬~8月中旬を予定
申請はjGrantsから行います。
補助金交付までの流れは以下のとおりです。
事前準備
・補助対象事業の確認
・gBizIDプライムの取得
交付申請
・交付申請
・交付決定通知(2021年8月中旬(予定))
事業実施
・補助対象事業実施(交付決定日〜最長2021年12月31日まで)
事業完了後
・実績報告(2022年1月中旬(予定)まで)
・確定審査 補助金交付(2022年3月下旬(予定))
交付申請に必要な書類
「補助対象者」と「経営資源引継ぎの形態」に応じて、交付申請類型番号が分類され、類型番号ごとに必要書類が定められています。たとえば交付申請類型番号1では以下の書類が必要になります。
【承継者または被承継者】
① 履歴事項全部証明書(交付申請日以前 3か月以内に発行されたもの)
※ 申請内容を履歴事項全部証明書で確認できない場合は、閉鎖事項全部証明書(発行から3か月以内のもの)が必要
② 税務署受付印のある直近の確定申告書(別表一、別表二、別表四)
③ 直近の確定申告の基となる直近3期分の決算書(貸借対照表、損益計算書)
※ 設立3年未満で確定申告前の場合はその旨を記載した書面
※ 設立3年未満で確定申告前の法人で前身となる関係会社がある場合には、その旨を補記した関係会社の決算書でも可
④ 常時使用する従業員1名の労働条件通知書
【承継者または被承継者の代表者】
① 住民票(交付申請日以前3か月以内に発行されたもの)
問い合わせ先
令和2年度第3次補正予算 事業承継・引継ぎ補助金 Web サイト
https://jsh.go.jp/r2h
事業承継・引継ぎ補助金事務局(専門家活用)
03-6625-8045
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00 (土・日・祝日を除く)
まとめ
今回は、M&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を後押しする「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」についてご紹介しました。
事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦を支援する「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)」と専門家活用の同時申請は行うことができません。補助金の申請を検討する際には、どの類型にあてはまるかをご確認ください。
どの支援を選べばよいかわからない、ほかにどのような補助金・助成金があるか知りたい、などのご相談は、補助金ポータルまでお気軽にお寄せください。
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