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中小企業の賃上げを支援!事業再構築補助金の給与総額増加要件と補助率引上要件を紹介

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事業再構築補助金では、賃上げを実施する企業を重点的に支援する仕組みがあります。申請要件のひとつでもある「給与総額増加要件」では年平均2%の給与総額増加が指定され、さらに6%を超える等の条件を満たすと、「補助率引上要件」の対象となります。

全国的にも賃上げに対する関心が高まる昨今、労働者の賃金をどのようにしてあげるかは、企業にとっての課題のひとつです。今回は賃上げの負担軽減に活用できる、事業再構築補助金の「給与総額増加要件」と「補助率引上要件」についてお伝えします。

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この記事の目次

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事業再構築補助金の類型及び補助率等

まずは事業再構築補助金の概要について、見ていきましょう。事業再構築補助金は以下の7つの枠から成り立ちます。

①成長枠
成長分野への事業再構築に取り組む中小企業等を支援する

②グリーン成長枠(エントリー・スタンダード)
研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援する

➂卒業促進枠
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援

④大規模賃金引上促進枠
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援

⑤産業構造転換枠
国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援

⑥最低賃金枠
最低賃金引上げ原資の確保が困難な、特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援

⑦物価高騰対策・回復再生応援枠
原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援

このうち、「給与総額増加要件」と「補助率引上要件」の主な対象となる「成長枠」と「グリーン成長枠」について、もう少し詳しく見ていきましょう。

【成長枠】
■補助金額
・従業員数20人以下:100万円~2000万円
・従業員数21~50人:100万円~4000万円
・従業員数51~100人:100万円~5000万円
・従業員数101人以上:100万円~7000万円

■補助事業実施期間
交付決定日~12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)
【グリーン成長枠】
■補助金額
エントリー
中小企業者等
・従業員数 20人以下:100万円~4000万円
・従業員数21~50人:100万円~6000万円
・従業員数51人以上:100万円~8000万円

・中堅企業等
100万円~1億円

スタンダード
・中小企業者等
100万円~1億円

・中堅企業者等
100万円~1.5億円

■補助事業実施期間
交付決定日~14か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで)

なお、補助率と対象経費は、どちらの枠も以下のとおりです。

「成長枠」と「グリーン成長枠」の補助率と対象経費
■補助率
・中小企業者等
1/2 (2/3)

・中堅企業等1/3 (1/2)
( ) は大規模な賃上げを行う場合です。

■対象経費
・建物費
・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝・販売促進費
・研修費

給与総額増加要件とは

給与総額増加要件とは、「事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること」です。補助事業実施期間の終了時点が含まれる、事業年度の給与支給総額が基準となります。

給与総額増加要件は「成長枠」と「グリーン成長枠」の申請要件のひとつですが、「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」では「成長枠またはグリーン成長枠に申請する事業者」であることが要件のひとつです。

したがって、これらの枠の申請時には、給与総額増加要件を満たしていることも前提となります。

給与総額増加要件の注意点

給与総額増加要件では、以下の点に留意してください。

1.補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年率平均で2%以上増加させてください。なお、賃上げ加点を受ける事業者は3~5%の増加が必要です。
2.応募時に、賃金引上げ計画の誓約書を提出してください。
3.正当な理由無く、指定の水準に達していなかった場合には、事業者名が公表されます。
4.「応募時点で直近の事業年度の給与支給総額」 ≦ 「基準年度の給与支給総額」となるようにしてください。
5.応募以降に給与支給総額を引き下げることにより、本要件を達成することは認められません。また、補助率の引上げを受ける場合、6%以上の引上げ後に一時的に給与支給総額を引き下げることも認められません。

【認められる例】
令和6年度に6%引上げた後、令和7年度は同水準、令和8年度以降は2%ずつ引上げる

【認められない例】
令和6年度に6%引上げた後、令和7年度に12%下げることによって、令和8年度以降の年率平均2%以上増加させる

給与支給総額の増加スケジュールに関しては、以下の図も参照してください。

出典:公募要領

※給与支給総額の確認は、以下の金額で行われます。

法人 法人事業概況説明書の人件費の欄に記載された金額
個人 所得税青色申告決算書の給与賃金、専従者給与、青色申告特別控除前 (または白色申告事業専従者控除前) の所得金額の欄に記載された金額の合計

補助率引上要件とは

補助率引上要件とは、以下の2つです。

給与支給総額を年平均6%以上増加する
事業場内最低賃金を年額45円以上引上げる

これらの要件を満たした場合、補助率の引上げを受けることができます。応募時に、大規模な賃上げに取り組むための計画書を提出してください。記載内容の妥当性が審査され、補助率引上げの対象とするか決定します。

補助率引上要件も、「成長枠」と「グリーン成長枠 (エントリー・スタンダード)」の2つの枠に適用されます。また、「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」の申請を行う場合にも、補助率引上要件を満たせば補助率の増加が受けられます。

補助率引上要件の注意点

補助率引上要件では、以下の点に留意してください。

1.給与支給総額の引き上げと事業場内最低賃金の引き上げは、いずれも補助事業実施期間内に行う必要があります。
2.報告対象年度は、「補助金交付候補者としての採択日~補助事業完了期限日のいずれかの時点が含まれる事業年度」です。
3.補助率引上げ要件の基準年度は、「報告対象年度の直前の事業年度」です。
4.応募時点で、直近の事業年度の賃金等が以下の水準に達している必要があります。

・給与支給総額 ≦ 基準年度の給与支給総額
・事業場内最低賃金 ≦ 基準年度の事業場内最低賃金
5.応募以降に給与支給総額や事業場内最低賃金を引き下げることにより、本要件を達成することは認められません。報告年度および基準年度の考え方は、以下のいずれのパターンでも可とされます。


出典:公募要領

要件の達成状況は、実績報告後の初回の事業化状況報告において確認されます。要件達成が確認できた場合に、補助率6分の1分(補助率引上げ分)の金額が追加で支給される仕組みです。

事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが出来なかった場合には、追加で支給した補助率は返還が必要です。

まとめ

給与総額増加要件と補助率引上要件は、いずれも成長枠とグリーン枠で適用される要件です。
事業再構築補助金は、中小企業等の支援を通じて日本経済の構造転換を促すことを目的としています。経済の活発化には、物価高を反映した賃金の引き上げが欠かせません。事業場内の賃上げを行って各要件を満たし、補助金の支給額をあげることで、企業の負担がより少ない形での事業再生を目指しましょう。

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