音楽、ダンス、演劇、映画、漫画などの文化芸術には、私たちに感動や生きる喜びをもたらして人生を豊かにする力があると考えられています。芸術に触れて、感動した、元気や勇気をもらって明日への活力をもらった、という経験がある人も多いのではないでしょうか。また、文化芸術には、社会を活性化する力になるという面もあります。
神奈川県では、そんな役割をもった文化芸術に注目して、地域のにぎわいをつくり出し、文化芸術の発展を支援するための補助事業を行っています。
今回は、神奈川県の「マグカル展開促進補助金」についてご紹介します。神奈川県で文化芸術に関する事業を行うならチェックしておきたい補助金です!
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この記事の目次
マグカル展開促進補助金とは
「マグカル」の展開促進のため、 民間団体が行う文化芸術の新たな事業に要する経費に対して補助金を交付しています。
マグカルって何?
マグカルとは、「マグネット・カルチャー」を略したものです。マグネット・カルチャーは文化芸術の魅力で人を引きつけて、地域のにぎわいを生み出すことを目指す神奈川県の文化事業です。
補助対象者
本補助金は個人での申請はできません。民間団体 (任意団体を含む)が補助の対象になっています。
対象となる民間団体の要件は以下のとおりです。
(1) 団体または団体の主要構成員が補助事業と同一の分野における公演等の実績を有すること |
(2)団体の定款、規約または会則を有すること |
(3)団体の意思を決定して、執行できる体制を確立していること |
(4)団体自らで経理し、監査する会計組織を有すること |
(5)県税やその他の県に対する金銭債務の支払いを滞納していないこと |
(6)暴力団でないこと |
(7)法人の場合、代表者または役員のうちに暴力団員に該当する者がいないこと |
(8)法人格を持たない団体の場合、代表者が暴力団員に該当しないこと |
(1)に関して、補助金が交付された場合にきちんと事業を行う能力があるかを判断するため、交付申請書に実績の内容を記載する必要があります。
また(3)から(8)は、交付申請書での誓約が求められます。
補助対象事業
次に補助の対象となる事業を確認しましょう。
補助対象事業は「神奈川県内で実施し、不特定多数の者に公開する文化芸術の新たな事業」です。
【文化芸術とは】
ここでいう文化芸術とは、以下のものを指します。
・芸術(文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊等)、
・メディア芸術(映画、漫画等)
・伝統芸能(能楽、文楽、歌舞伎等)、
・芸能(講談、落語、歌唱等 ※民俗芸能を含む。)、
・生活文化(茶道、華道、書道、食文化等)
・国民娯楽(囲碁、将棋等 )
芸術と聞いてすぐに思いつく音楽、演劇などから、生活文化や囲碁、将棋などまで幅広く含まれています。
【神奈川県内での実施とは】
「県内」での実施とは、公演を行うホール等が神奈川県内に所在することをいいます。他の都道府県で併せて実施することもできますが、補助の対象は県内での実施分のみになります。このほか、国内外のアーティスト等が、県内の地域に一定期間滞在して、美術をはじめとする文化芸術を発信する「アーティスト・イン・レジデンス」事業も対象となります。
【不特定多数の者に公開とは】
県民を入場、参加または視聴の対象に設定し、実際に多くの入場、参加または視聴が見込まれることをいいます。そのため、以下に挙げるような事業は対象外になります。
・特定の会員等だけを対象とするコンクール、鑑賞事業等
・学校、職能団体、教授所および教室等が行う発表会、展示会等(大学院レベルの研究発表等は除く)
・出版に限られる活動
【新たな事業とは】
補助金の申請を行う団体が過去に実施していない事業か、過去に実施した事業に新たな取組を加える事業のことをいいます。
例えば「目的や計画の段階から新たに構築する事業」や「新たな作品の公開」「公開実績のある作品の見せ方を新たに工夫する事業」等が該当します。
事業期間
補助事業に着手してから完了するまでの期間は、原則として令和5年4月28日から令和6年3月29日までの間で設定することになっています。ただし、やむを得ない理由があれば令和5年4月1日からとすることが可能です。
【事業実施(公演や展示等を実施する日)】
令和5年4月28日から令和6年3月29日までの間
補助対象経費
補助事業に要する直接的な経費のうち、事業期間内に発注から支払までを行ったものが補助対象経費になります。配信を行う事業は、事業期間内に配信を開始する必要があります。
以下、補助対象となる経費の例をまとめました。
項目 | 内訳 |
会場費 | 会場使用料等 |
設営費 | 会場設営費、展示工作・撤去費等 |
舞台費 | 大道具費、小道具費、衣裳費、照明費、道具運搬費等 |
出演費 | 俳優出演料、指揮料、演奏料、ソリスト料等 |
音楽費 | 作曲料、楽器借料、楽譜製作料等 |
文芸費 | 著作権使用料、演出料、舞台監督料、台本料等 |
配信費 | 映像制作費、映像編集費、配信費、翻訳費 |
謝金 | 審査委員謝金、原稿執筆料、会場整理員賃金等 |
通信費 | 案内状発送費等 |
宣伝費 | 広告宣伝費、立看板費等 |
印刷費 | 無料配付する場合のプログラム印刷費、入場券印刷費、ポスター印刷費等 |
旅費 | 交通費、宿泊費等 |
記録費 | 録画費、録音費等 |
消耗品費 | マスク、フェイスシールド、消毒用品等の購入費等 |
手数料 | チケット販売手数料 |
【対象外経費】
補助の対象にならない経費としては以下のようなものがあります。
- 役務等への対価としての必要性が認められないもの
- 団体運営の経常的経費
- 市場価格と比較して著しく高いもの
- 有償で頒布するプログラム等の作成経費
- 自ら設置しまたは管理する施設にて活動を行う場合の会場使用料
- 食糧費
- 取得価格が単価10万円以上の備品の購入費 ※
- 10万円以上の修繕費 ※
※例外が認められる場合もあります。例えば、既存の備品の老朽化または破損のため当該備品を新調(修繕)しようとするもので、新調(修繕)以外に対応できる方法がなく、新調(修繕)しなければ補助事業の遂行が困難と認められる場合は、10万円以上でも、新調(修繕)が可能です。
補助率・上限額
原則として、補助率1/3以内、上限額は100万円です。
ただし特認を受けた場合は、最大で補助率1/2以内、上限額は300万円となります。
【特認について】
特に展開を促進する5つの重点事業には、補助率および補助上限額の特認が設けられています。
特認を希望する場合は、交付申請書に各区分に当てはまる事業であること等の説明を記載します。ただし各区分に当てはまっても、予算の都合により、必ず特認を受けられるというものではありませんのでご注意ください。
重点事業は次の5つです。区分と補助率・上限額は以下のとおりです。
事業の区分 | 補助率 | 上限額 |
(1)先駆的事業 ※従来にない表現の内容や方法または実施の形態で、社会への波及効果が期待される事業 |
1/2以内 | 300万円以内 |
(2)高齢者が行う文化芸術活動の充実を図るための事業 ※「高齢者とは:満65歳以上の方」 |
1/2以内 | 300万円以内 |
(3)障がい者が行う文化芸術活動の充実を図るための事業 ※「障がい者とは:身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)その他の心身の機能の障がいがある方」 |
1/2以内 | 300万円以内 |
(4)地域固有の伝統芸能及び民俗芸能に関する事業 ※「地域固有の伝統芸能とは:特定の地域で独自に行われてきた伝統芸能」「民俗芸能とは:地域の人々によって行われる民俗的な芸能」 |
1/3以内 | 300万円以内 |
(5)若年者を文化芸術に携わる人材として育成するための事業 ※「若年者とは:満15歳以上満25歳以下の方」 |
1/3以内 | 300万円以内 |
申請期間
1次募集:令和5年2月13日~令和5年3月15日 ※17時まで
【申請方法】
e-kanagawaという神奈川県の電子申請システムから申請します。
【提出書類】
(1)神奈川県マグカル展開促進補助金交付申請書(様式1) |
(2)団体または団体の主要な構成員が補助事業と同一の分野における公演等の実績を有することを証する書類 ※チラシ、プログラム、インターネット上の記事等 |
(3)団体の定款、規約または会則為またはこれに類する規約等 |
補助手続きの流れ
申請から補助金支払までの基本的な流れは、以下のとおりです。
Step1:申請(令和5年2月13日~3月15日)
申請期間内に、e-kanagawa 電子申請で申請します。
↓
Step2:審査(3月中旬~)
↓
Step3:交付決定(4月28日予定)
↓
Step4:補助金の支払 ※概算払(先払)の場合
申請時に概算払を希望し、必要があると認められた場合は、交付決定通知後速やかに、補助金の額の50%を限度に振り込まれます。
↓
Step5:事業の着手および実施
↓
Step6:事業実績報告
事業完了日(事業期間の末日)から30日を経過した日までに行います。
↓
Step7:補助金の支払
概算払を実施しなかった場合、この段階で補助金が振り込まれます。概算払の場合も、補助金の確定額と支払済の額の差額が振り込まれます。
前年度からの変更点
最後に、前年度からの変更点を4つ確認しておきましょう。
(1)消費税および地方消費税相当額が補助対象外経費になります。
これに伴い、収支予算書を作成する際は、補助対象経費に税抜の金額を記載するようになります。
(2)事業実績報告で、領収書等の支出証拠書類の提出が必須になります。
適正な領収書等がない経費は、補助対象経費として認められませんので 支出の証拠書類を整理しておく必要があります。
(3)申請の締切時間が、24時から17時に変更されます。
最終日以外は24時間受け付けていますが、申請期間最終日である3月15日の電子申請受付は17時までです。余裕をもって申請するようにしましょう。
(4)広報物への補助金名およびマークの掲載を怠った場合の対応が明確になりました。
正当な理由なく、補助事業の広報物等への補助金名および県が指定するマークの掲載を怠った場合は、交付条件違反として、補助事業の広報に関する経費全体が補助対象外になります。
まとめ
今回は、神奈川県が実施する「マグカル展開促進補助金」についてご紹介しました。
令和4年度の採択結果では、審査において次のような基準で採択したと述べています。
県が重点的に促進を図る分野の事業を中心に、これまでの活動を継続するだけでなく、新たなアイデアで活動を更に発展させていこうとする意欲やその実現可能性が申請書から十分に読み取れる事業を採択しました。(抜粋:神奈川県 令和4年度マグカル展開促進補助金の募集について)
このように、審査では意欲だけでなく、しっかりと計画を立てて、着実に遂行できるかどうか、実現の可能性もみられています。申請の際は、事業内容が多くの観客や視聴者を引きつける魅力を有しているかどうかに加え、具体的で実現可能な目標設定になっているかどうかも気を付けて、準備するようにしましょう。
文化芸術は、私たちの人生を豊かにするものであると同時に、社会を活性化させ、人と人とのつながりを創り出すものでもあります。極めて重要な役割を果たしている文化芸術の活動で神奈川県の「マグカル」の展開促進に取り組みたいとお考えの方は、「マグカル展開促進補助金」の活用をご検討ください。