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環境省令和5年度概算要求 脱炭素経営を後押しする補助金とは

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カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ…

聞いたことがある言葉はありますか?

少しわかりにくいですが、カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの人為的な排出量と吸収量を均衡させ、実質ゼロにすることをいいます。世界の平均気温は増加する温室効果ガスの影響で1℃上昇し、このまま温暖化が進行すると地球に深刻な問題をもたらすと言われているため、地球温暖化対策・カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが、世界中で進んでいます。

サーキュラーエコノミーとは、大量生産と大量消費を続けるのではなく、廃棄された製品や原材料などを資源として、リサイクル・再利用などで活用し、資源を循環させる経済システムのことです。これにより資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指しています。

そして、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに続く国際的な動きとして、ネイチャーポジティブがあります。2021年6月に開催されたG7で「2030年までに生物多様性の減少傾向を食い止め、回復に向かわせる」という地球規模の目標(ネイチャーポジティブ)への取り組みが表明されました。

令和5年度予算の概算要求において、環境省は炭素中立(カーボンニュートラル)、循環経済(サーキュラーエコノミー)、自然再興(ネイチャーポジティブ)の同時達成に向けた取り組みの加速化により、課題解決と経済成長を同時実現する「新しい資本主義」に貢献するとしました。

今回は、「2030年までは勝負の10年」という危機感を持って炭素中立型経済社会への移行を進める環境省の概算要求について調べてみました。

▼カーボンニュートラルについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

カーボンニュートラルとは?脱炭素ロードマップで全体像を把握!

この記事の目次

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令和5年度の要求額


出典:令和5年度環境省重点施策

環境省の一般会計とエネルギー対策特別会計を合わせた概算要求額は4,297億円で、前年度当初予算の3,146億円から37%増加しました。(うち、一般会計は対前年比で25%増、エネルギー対策特別会計は47%増)

GX(グリーントランスフォーメーション)への投資に係る経費と、「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」に係る経費については、予算編成の過程で検討するとしました。

重点施策の基本的方向

環境省では、カーボンニュートラルへの変革を進める「時代の要請への対応」と、環境省の役割である公害の防止や健康被害の補償・救済などの「不変の原点の追求」という2つのコア・ミッションの実現に向けた施策を展開しています。

本記事ではカーボンニュートラルへの変革を進める「「時代の要請への対応」から、予算の大きい所や新規予算、予算が増加している所を抜粋して記載します。
(以下、参考・出典:令和5年度環境省重点施策令和5年度環境省重点施策集(令和4年8月)

時代の要請への対応~新しい資本主義実現に向けた環境と経済の好循環~

時代の要請への対応は、次の5つの項目から成り立っています。

1.炭素中立型経済社会実現に向けた取り組み
2.炭素中立型経済社会と循環経済(サーキュラーエコノミー)の同時達成
3.炭素中立型経済社会と自然再興(ネイチャーポジティブ)の同時達成
4.GXと相乗効果を発揮する重点投資分野での取り組み
5.G7 日本開催を契機とした世界・アジアのSDGs達成への貢献

以下にそれぞれ事業の一例をあげていきます。

1.炭素中立型経済社会実現に向けた取り組み

日本は、2050年までのカーボンニュートラルおよび2030年度温室効果ガス46%削減を目指しています。

その実現に向けて、複数年に渡る継続的・包括的な支援として創設した「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を拡充し、脱炭素先行地域づくりと脱炭素の基盤となる重点対策を加速化します。(①)

①脱炭素先行地域づくり・重点対策の全国実施の加速化      ※( )内は令和4年度予算額
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金 400億円 (200億円)
防災拠点や避難施設となる公共施設への再生可能エネルギー設備等導入支援 70億円 (20億円)
初期経費ゼロ型太陽光発電等の再生可能エネルギー設備 全国導入加速事業 200億円 (38億円)

▼補助事業:公共施設への設備導入支援、オンサイトPPAによる自家消費型太陽光発電・蓄電池導入支援など

また、地域脱炭素と関連する「社会インフラ・サプライチェーンの脱炭素化」を推進するため、企業の脱炭素経営や環境情報開示の後押し、環境関連金融商品の組成・投資の拡大のほか、コールドチェーンの脱フロン化・脱炭素化等を図ります。(②)

②民間資金を活用した脱炭素型社会インフラの整備、中小企業をはじめとするサプライチェーン全体での脱炭素化経営促進
株式会社脱炭素化支援機構による脱炭素事業への資金供給 【財投】400億円 (200億円)
【政府保証】200億円 (新規)
サプライチェーン全体での脱炭素経営の実践普及・高度化 15億円 (新規)
中小企業をはじめとするサプライチェーン全体の脱炭素移行に向けた工場・事業場における先導的な脱炭素化取組の推進 100億円 (37億円)
コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化の推進 73億円 (新規)
グリーンファイナンスの裾野拡大・質の担保のための基盤整備 4億円 (新規)

▼補助事業:工場・事業場における先導的な脱炭素化取組の推進(SHIFT事業)、脱炭素型自然冷媒機器の導入支援(新規)など

さらに、関係省庁と連携して実施する住宅・建築物(既存のものを含む)の脱炭素化に向けた対策強化、再エネとセットでの電動車のシェアリングや地域交通への普及促進などにより、社会全体での脱炭素なくらしへの転換を後押しします。(③)

③くらしの転換を通した需要側からの経済社会システムの変革
住宅のZEH・省CO2化促進 140億円 (110億円)
建築物のZEB・省CO2化促進 130億円 (59億円)
再エネとセットでの電動車のシェアリングや地域交通への普及促進 34億円 (13億円)
ナッジ×デジタルによる脱炭素型ライフスタイルへの転換促進 28億円 (18億円)

▼補助事業:集合住宅の省エネ・省CO2化促進、戸建て住宅のZEH、ZEH+化、高断熱化による省エネ・省CO2化支援など

このほか、洋上風力発電導入促進、地熱発電施設数倍増に向けた環境整備、蓄電池の導入促進等による「自立した国産のエネルギー源である再エネの最大限の導入推進のための基盤づくり」や再エネ由来のグリーン水素や熱の利用等による「地域・社会インフラ・くらしの脱炭素移行に必要な先導技術の早期実証・社会実装」などを進めていきます。(④、⑤)

④自立した国産のエネルギー源である再エネの最大限の導入推進のための基盤づくり
再生可能エネルギー資源発掘・創生のための情報提供システム整備 9億円 (9億円)
洋上風力発電の導入促進に向けた環境保全手法の最適化実証等 5億円 (5億円)
⑤地域・社会インフラ・くらしの脱炭素移行に必要な先導技術の早期実証・社会実装
化石由来資源からの再生可能資源(バイオマスプラスチック等)への素材代替、金属・再エネ関連製品等の省CO2型リサイクル、地域の廃棄物バイオマスの利活用等の実証 50億円 (新規)
再エネ等から製造した水素の利活用推進 70億円 (66億円)

2.炭素中立型経済社会と循環経済(サーキュラーエコノミー)の同時達成

持続可能な社会経済システムを実現するためには限りある地球環境ということを理解して、徹底的に資源を循環させていく社会に移行し、循環経済(サーキュラーエコノミー)を実現することが重要です。

このため、循環経済工程表を踏まえて2030年までにサーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を80兆円以上とすることを目指します。プラスチック資源循環法に基づく取り組みや金属リサイクルの倍増、廃棄物等バイオマスの素材や燃料での持続的な利活用、ファッションロス削減などサステナブル・ファッションに積極的に取り組める環境づくりや情報発信などを進めます。

このほか、資源循環分野の脱炭素化の実現を図るため、廃棄物処理法に基づく基本方針や廃棄物処理施設整備計画の見直し、災害廃棄物対策の体制整備、一般廃棄物処理施設・浄化槽の整備に取り組みます。

①循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行の加速化
プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための設備高度化 100億円 (新規)
プラスチック資源循環の推進 3億円 (3億円)
食品ロス削減および食品廃棄物等の3R推進 2億円 (1億円)
ファッションロス削減等によるサステナブル・ファッション等の促進 1億円 (0.8億円)
②レジリエントな廃棄物処理体制の構築
大規模災害に備えた廃棄物処理体制の検討 5億円 (3億円)
一般廃棄物処理施設の整備 701億円+事項要求 (494億円)
浄化槽の整備 112億円+事項要求 (104億円)
PCB廃棄物の適正な処理の推進等 74億円+事項要求 (41億円)
産業廃棄物の不法投棄等の原状回復措置の推進 3億円 (0.6億円)

3.炭素中立型経済社会と自然再興(ネイチャーポジティブ)の同時達成

2030年までに自然再興(ネイチャーポジティブ:生物多様性の損失を止めて回復軌道に乗せること)の実現を炭素中立型経済社会や循環経済への移行とともに達成することが、持続可能な社会経済システムを実現するために必要だとの立場から、生物多様性国家戦略に基づいて、2030年までに陸・海の30%以上の保全(30by30目標)の実現を目指した取り組みを行います。

また、経営に生物多様性・自然資本配慮を求める国際的枠組のルールメイキングに積極的に関与し、自然再興を実現する経済に向けたビジョンを示し、先進的な日本企業等が対応できる体制を整えます。このほか、ウィズコロナ下で自然・健康への関心が高まる中、自然を活用した地域活性化を進めていきます。

①30by30目標や自然資本に配慮した経営等の実現
30by30達成に向けた国立・国定公園の新規指定等の推進 1億円 (0.6億円)
経営に関する生物多様性・自然再興の国際的枠組促進 0.4億円 (0.4億円)
生物多様性国家戦略に基づく取組の推進 1億円 (0.5億円)
②自然を活用した地域活性化の推進
国立公園満喫プロジェクト等の推進 128億円+事項要求 (108億円)
「令和の名水百選」の推進 0.5円 (新規)
豊かさを実感できる海の再生 2億円 (2億円)

4.GXと相乗効果を発揮する重点投資分野での取り組み

新しい資本主義に向けて、GX(グリーントランスフォーメーション)以外の重点分野に関連する取り組みを進めることによって、GXとの相乗効果を最大限発揮します。

①GX ×「人への投資」
地域脱炭素のための人材づくり支援 50億円の内数 (8億円の内数)
地域の中小企業の脱炭素化を先導する人材の育成 15億円の内数 (新規)
大学等と連携した地域脱炭素等に資する人材育成推進事業 1億円の内数 (0.6億円の内数)
②GX ×「科学技術・イノベーションへの投資」
環境政策への貢献・反映を目的とした研究開発の推進 55億円 (53億円)
脱炭素に向けた革新的触媒技術の開発・実証 19億円 (19億円)
③GX ×「スタートアップへの投資」
イノベーション創出のための環境スタートアップによる研究開発の支援 2億円 (1億円)
脱炭素化を目指すスタートアップへの支援 50億円の内数 (50億円の内数)
④GX ×「デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資」
デジタル技術を活用した工場等のリアルタイムモニタリングの推進 0.7億円 (0.2億円)
デジタル田園都市国家構想に資するデータセンターの再エネ活用等推進 200億円の内数 (38億円の内数)

5. G7 日本開催を契機とした世界・アジアのSDGs達成への貢献

環境外交を強化するため、2023年に日本で開催されるG7を契機として、日本の取り組みを国際社会に発信し国際連携をさらに深めていくことを目指します。また、長期戦略策定、透明性向上のための制度構築、都市の気候行動促進を含む包括的な途上国の脱炭素化・強靭化移行支援を進めて「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の実現に貢献します。

① G7日本開催を契機とした環境外交での主導的な役割の発揮
2023 G7気候・環境関連大臣会合開催経費 3億円 (新規)
海洋プラスチック汚染の国際枠組推進・科学的な基盤整備 3億円 (2億円)
GOSATシリーズによる排出量検証に向けた技術高度化 50億円 (27億円)
②「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の実現等に貢献する途上国の包括的な脱炭素移行支援
脱炭素移行促進に向けた二国間クレジット制度の推進 187億円 (145億円)
アジア等国際的な脱炭素移行支援のための基礎整備 13億円 (11億円)
国際メタン排出削減拠出金 4億円 (新規)

環境省令和5年度補助金

本記事で注目した令和5年度環境省の省エネ・省CO2関連の補助金は以下のとおりです。

1.地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業令和5年度要求額 70億円
(1)公共施設へのエネルギー供給等が可能な再エネ設備導入支援(補助率:1/3、1/2、2/3)
(2)再エネ設備等の導入に係る調査・計画策定支援(上限:500万円、補助率:1/2 )

2.民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 令和5年度要求額 200億円
※一部 総務省・農林水産省・経済産業省 連携事業
(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(太陽光発電設備:定額、蓄電池:定額(上限:補助対象経費の1/3))など

3.工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)令和5年度要求額 100億円
(1)CO2削減計画策定支援(上限:100万円、補助率:3/4 )
(2)省CO2型設備更新支援
A.標準事業 工場 (上限:1億円、補助率:1/3 )
B.大規模電化・燃料転換事業 (上限:5億円、補助率:1/3)
C.中小企業事業(上限:0.5億円)

4.コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業(補助率:原則1/3)令和5年度要求額 73億円(新規)
※一部農林水産省、経済産業省、国土交通省連携事業

5.集合住宅の省CO2化促進事業令和5年度要求額 74億5,000万円
※経済産業省連携事業

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化等支援事業令和5年度要求額 65億5,000万円
※経済産業省・国土交通省連携事業

まとめ

今回は、環境省の令和5年度予算概算要求の重点施策を地域・くらしとサプライチェーンの脱炭素化を中心に調べてみました。

令和5年度、環境省は炭素中立(カーボンニュートラル)、循環経済(サーキュラーエコノミー)、自然再興(ネイチャーポジティブ)の同時達成に向けた取り組みの加速化を基本的な方向とし、地域脱炭素移行や国民のライフスタイルの転換、社会インフラ・サプライチェーンの脱炭素化など、変革を後押しするような補助事業を展開する予定です。

脱炭素経営に取り組んでいく企業はこれらの施策を確認し、経営に活かせる支援策があれば今から情報を注意してみるようにしてください。

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