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「雇用調整助成金の特例」の支給決定額がまもなく1兆円を突破!

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政府は7月30日に行われた経済財政諮問会議において、国内で現在も続く新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ、2020年度の国内総生産(GDP)成長率が1955年からの統計史上最悪となるマイナス4.5%になるとの見通しを発表しました。

多くの失業者を出した2008年のリーマンショック(GDP成長率マイナス3.4%)をはるかに超えるこうした不況の中、ギリギリの状況で従業員の雇用維持に取り組んでいる事業者の方も少なくはないのではないでしょうか。

今回紹介するのは事業者が新型コロナへの対応として従業員の休業を行う場合にその手当について政府が支援を行う「雇用調整助成金の特例」です。

申請の際の参考になるよう最新の制度内容や支給状況について詳しく記載していますので、事業者の方は是非ご覧ください。

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雇用調整助成金とは?

売上減少などの経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用維持に向けて一時的な雇用調整(休業など)に取り組む場合に、休業手当等への支援を受けられる厚労省の助成金制度です。

【申請要件】
事業所設置後1年以上が経過した事業主が対象
過去三ヶ月以上売り上げが前年度比10%以上低下していること
休業などの実施前に計画書を提出すること
対象となる労働者は雇用保険の被保険者であること など

【助成率】
大企業1/2 中小企業2/3

【助成額】
休業等の際に支払う労働賃金に対し日額8330円/一人まで助成
最大100日/1年※3年間で150日まで

雇用調整助成金の特例※最終更新2020年7月31日

上記のように通常の雇用調整助成金は事業者の負担割合が高く利用日数の制限もあるため、特に経営の継続が困難な状況においては事業者の支援を十分に行う事はできません。

そこで、政府が緊急経済対策として雇用調整助成金の制度内容を大幅に拡充するため新たに設置したのが「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例(以下:雇用調整助成金の特例)」です。

【雇用調整助成金の特例のポイント】
・期間内の休業については上限日数の制限を適用しない。
・一人一日当たり支給額を8335円⇒15000円に拡充
・売上減少の要件を前年度非10%⇒5%に緩和
・本来対象外となるアルバイトなどの休業も対象
・手続きが大幅に緩和

申請対象者

雇用保険の適用を受ける事業主が申請対象です。

通常の雇用調整助成金では事業所設置後1年以上の事業主が申請の対象となりますが、特例措置ではこの要件を撤廃し、少なくとも令和元年12月から事業所を設置している事業主であれば申請を行う事が出来ます。

助成対象となる労働者

正規、非正規問わず幅広い労働者が助成の対象です。

通常の雇用調整助成金は、6ヶ月以上の継続勤務を行っている雇用保険の適用労働者の休業等が助成対象となりますが、雇用調整助成金の特例では新規学卒採用者など雇用期間が6ヶ月に満たない労働者についても助成の対象とすることが出来ます。

また、学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当についても「緊急雇用安定助成金※」の適用により同様の助成を受ける事が可能です。
※雇用調整助成金の対象外となる非正規労働者のための同様の制度で、特例措置の一部として実施されています。

助成対象となる休業等

下記の要件を満たす企業等が行う従業員の休業や出向、有給の職業訓練などが助成対象となります。
※出向の場合は給与の減少分のみ助成対象

1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している※比較対象とする月については柔軟に取り扱われます。
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

【具体例】
・観光客のキャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減り売上げが減少した
・市民活動が自粛されたことにより、客数が減り売上げが減少した
・行政からの営業自粛要請を受け、自主的に休業を行い、売上げが減少した
※社員旅行など福利厚生のための休業などは対象外となります。

助成上限額

通常の雇用調整助成金の支給額は、従業員一人一日当たり8330円(教育訓練:1200円加算)が上限ですが、特例措置では支給額の上限が15000円(教育訓練:中小2400円・大企業1800円加算)まで大幅に引き上げられています。

特例措置はこれまで複数回の拡充が行われているため既に支援内容の差が発生していますが、4月1日以降に申請を行った事業者については最新の特例措置の助成内容を適用し、差額がある場合はハローワーク・労働局で追加の支給を行います。※別途手続きは不要

助成金は上限額の範囲内で職場の平均賃金を基準に支給される仕組みです。
※小規模事業主については簡易的な計算式が適用されます。

【支給額の計算式】
助成額=平均賃金額×休業手当等の支払い率×下記の助成率

【小規模事業主の場合の計算式】
助成額=実際に支払った休業手当×下記の助成率

助成率

【中小企業】
原則:4/5
解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合:10/10

【大企業】
原則2/3
解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合:3/4

支給上限日数

通常の雇用調整助成金では原則として1年間で100日分、3年で150日分が上限日数となりますが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年9月30日)に実施した休業などは、この支給限度日数の適用を受けないため日数の制限はありません。

既に雇用調整助成金の利用可能日数がない場合で雇用調整助成金の特例には申請することが可能です。

申請方法

本来、雇用調整助成金では休業を実施する前に休業計画を提出し認定を受ける手続きが必要ですが、現在は緊急対応期間中の特例として「計画届」の提出は不要です。

【本来の申請手続き】
1.労使協定の締結
2.休業計画の提出
3.休業などの実施
4.実績の報告⇒給付金の振込

【特例での申請手続き】
1.労使協定の締結
2.休業などの実施
3.実績の報告⇒給付金の振込

特例の適用期間

雇用調整助成金の特例の適用期間は9月30日までです。
※申請は休業実施の末日から2カ月以内に行う必要があります。

現在の支給状況

厚労省がHP上で公開している現在の支給実績は下表の通りで、ほぼ全ての申請に対し1週間~2週間ほどで円滑に支給の決定が行われていることがわかります。

実際に助成金が交付されるまでには支給決定から数週間~数カ月程度かかる可能性がありますが、長期的には休業に掛る費用面での負担は大きく軽減することができるため、今後の経営回復の機会に備え多くの事業者が雇用調整助成金の特例を活用しています。

8月21日時点の週報※厚労省HPより

最新の実績について詳しく知りたい方はこちらをごらんください 厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html#numbers

まとめ

今回は新型コロナの影響を受ける企業などが雇用維持に向けた休業などを行う場合に支援が受けられる「雇用調整助成金の特例」について紹介しました。

現在の日本は実質的に新型コロナの第二波の中にいるといって間違いなく、特に経営への被害が甚大な外食産業においては7月に入り大手外食チェーンなどが次々に事業規模の縮小などを発表しています。

新型コロナによる経済の縮小は今後も長く続いていくことが予想されていますので、事業者の方は政府の支援制度を活用し自社の体力温存や、コロナに対応した事業転換などに取り組み、経営回復の機会に備えていただきたいと思います。

国税・地方税の納付猶予制度とは?電気・電気ガス料金の支払いの措置制度とは。

都道府県別 新型コロナウイルスに関する補助金・助成金一覧(令和2年5月9日更新)



参考:雇用調整助成金
参考:雇用調整助成金リーフレット

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