令和2年5月27日、政府は新型コロナウイルスへの対策に向けた第二次補正予算案を、過去最大の追加歳出となる31兆円で閣議決定しました。
この補正予算案では、新型コロナで売上げが減少した事業者に対する様々な支援が計画されているため、これから経営回復に取り組む事業者の方は、実施予定の施策について情報収集を行い、今後の事業活動に積極的に取り入れていけるよう準備を進めて置く事が必要です。
そこで、今回は政府の令和二年度第二次補正予算案の中から、事業者の方に特に注目していただきたい、「経産省関連補正予算案」について詳しく紹介いたします。
詳細について下記でご覧ください。
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この記事の目次
令和2年度 経産省関連第二次補正予算案
経産省の令和2年度2次補正予算案は15兆168億円です。
大きな割合を占めるのは資金繰り対策ですが、最も注目してもらいたいのはやはり返済の必要がなく今後の経営の負担にならない給付金や、補助金制度です。
資⾦繰り対策 【10兆9,405億円】
日本政策金融公庫等による実質無利子の融資の継続・拡充(中小事業者向け)【5兆5683億円】
既に実施されている「新型コロナウイルス感染症特別貸付」について、日本政策金融行為子及び商工組合中央金庫(危機対応融資)がこれを継続し、さらに貸付の上限額と利下げの限度額の引き上げを実施します。
◆⽇本政策⾦融公庫・商⼯中⾦等の低利融資と特別利⼦補給制度による、実質無利⼦・無担保・据置最⼤5年の融資について、融資枠を確保。
(ⅰ) ⽇本公庫・商⼯中⾦等による特別貸付
・対象事業者:売上⾼▲5%以上減少等
・適用金利 :当初3年間基準⾦利▲0.9%(中⼩・危機1.11%→0.21%、国⺠1.36%→0.46%)
・貸付限度額:中⼩・危機6億円(拡充前3億円)、国⺠8千万円(拡充前6千万円)
・利下上限額:中⼩・危機2億円(拡充前1億円)、国⺠4千万円(拡充前3千万円)
(ⅱ)特別利⼦補給制度
⼀定の要件の下、当初3年間利⼦補給により実質無利⼦化。
民間金融機関を通じた実質無利子融資の継続・拡充【3兆2375億円】
既に実施されている民間金融機関の実質無利子融資(都道府県の制度融資を活用した融資)を継続し、さらに融資上限額の引上げを実施します。
◆セーフティネット保証、危機関連保証について要件を満たせば保証料ゼロ。
◆⺠間⾦融機関による実質無利⼦・据置最⼤5年の融資等について、融資枠を確保。
(ⅰ)信⽤保証料の減免
・セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証について、⼀定の要件
の下、保証料をゼロ⼜は1/2に減免(上限3,000万円を上限4000万円に拡充))。
(ⅱ)都道府県による制度融資を通じた利⼦補給
• 都道府県に対する補助(定額)を実施し、⼀定の要件の下、制度融資を通じた利⼦補給により当初3年間実質無利⼦化(上限3,000万円を上限4000万に拡充))。
資本性資金供給・資本増強支援(中小事業者向け)【1兆2442億円】
日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫(危機対応融資)が、長期一括償還の資本性劣後ローン(金融機関が資本とみなすことが出来るもの)を供給。
また、官民連携のファンドを通じて出資や債権買取等を行い、経営改善までを幅広く支援。
(ⅰ)資本性劣後ローン
⾦融機関が⾃⼰資本とみなすことができる資本性劣後ローンを供給することで、⺠間⾦融機関からの⾦融⽀援を促し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の成⻑・再⽣やスタートアップ企業の資⾦繰りを⽀援。
主な貸付条件(⽇本公庫中⼩、商⼯中⾦の例)
・貸付限度:最⼤7.2億円(別枠)
・貸付期間:5年1ヶ⽉、10年、20年(期限⼀括償還)
・貸付⾦利:当初3年間⼀律0.5%、
4年⽬以降直近決算の業績が⾚字0.5%、⿊字2.6%⼜は2.95%
(ⅱ)官⺠ファンドによる⽀援
・ 地域の核となる事業者の廃業・倒産を防ぐため、中⼩機構等による出資等を通じ、事業再⽣とその後の企業価値の向上を⽀援。「事業引継ぎ⽀援センター」とも連携し、出資先企業の第三者承継を促進し、地域の事業再編にもつなげる。
・中⼩機構を通じて債権買取りや出資等を⾏い、経営改善までのハンズオン⽀援を実施。「中⼩企業再⽣⽀援協議会」とも連携し、再⽣計画の策定と事業再⽣を促進。
危機対応融資及び資本性劣後ローン(中堅・大企業向け)【8905億円】
日本政策金融公庫の貸付により、商工組合中央金庫等が長期・低利の融資を実施。
また、財務基盤が悪化している事業者に対し、資本性劣後ローンを供給。
(ⅰ)危機対応融資
• 対象者 :最近1ヶ⽉の売上⾼が前年⼜は前々年同期⽐で5%以上減の者等
• 適⽤⾦利:通常⾦利(中堅企業は当初3年間▲0.5%の利下げ)
• 貸出期間:設備資⾦20年、運転資⾦15年
• 貸出限度:上限なし
(ⅱ)資本性劣後ローン
将来成⻑の可能性が⼗分にある、地域経済にとって重要な事業者等に対して、資本性のある劣後ローンを供給することで、⺠間⾦融機関からの⾦融⽀援を促す(中堅企業は当初3年間原則▲0.5%の利下げ)。
持続化給付金【1兆9400億円】
新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けている事業者に対し、事業全般に広く使える給付金を支給する「持続化給付金」の予算を積み増しします。
【給付対象】
中堅企業、中⼩企業、⼩規模事業者、フリーランスを含む個⼈事業者、その他各種法⼈等で、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が前年同⽉⽐で50%以上減少している者。
【給付額】
法⼈は200万円、個⼈事業者は100万円
※ただし、昨年1年間の売上からの減少分を上限とする。
(前年の総売上(事業収⼊)) ̶ (前年同⽉⽐▲50%⽉の売上×12ヶ⽉)
家賃支援給付金【2兆242億円】
第二次補正予算による経済対策として新たに創設された制度で、新型コロナウイルス感染症の影響で売上の急減に直面している事業者に対し、地代・家賃の負担の軽減を図るため最大半年間の家賃補助を行います。
【給付対象】
テナント事業者のうち、中堅企業、中⼩企業、⼩規模事業者、個⼈事業者
等であって、5⽉〜12⽉において以下のいずれかに該当する者。
• いずれか1カ⽉の売上⾼が前年同⽉⽐で50%以上減少。
• 連続する3ヶ⽉の売上⾼が前年同期⽐で30%以上減少。
【給付額・給付率】
・給付額は申請時の直近の⽀払家賃(⽉額)に係る給付額(⽉額)の6倍(6カ⽉分)。
・給付率は2/3、給付上限額(⽉額)は法⼈50万円、個⼈事業者25万円とし、6か⽉分を給付する。加えて、複数店舗を所有する場合など、家賃の総⽀払い額が⾼い者を考慮して、上限を超える場合の例外措置を設ける。
※⽀払家賃(⽉額)のうち給付上限超過額の1/3を給付することとし、給付上限額(⽉額)を法⼈100万円、個⼈事業者50万円に引き上げる。
中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援【1000億円】
「持続化補助金」「モノづくり補助金」「IT導入補助金」の特別枠の補助率を引き上げ、新たに事業再開に向けた消毒設備や換気設備の設置などの取り組みも支援します。
①事業再開枠の対象
消毒、マスク、清掃、⾶沫防⽌対策、換気設備、その他衛⽣管理、掲⽰・アナウンス
②特別枠の対象
・サプライチェーンの毀損【A類型】
・非対面型ビジネスモデルへの転換【B類型】
・テレワーク環境の整備【C類型】
各補助事業の拡充内容(補助上限・補助率)
※経産省資料より
中小・小規模事業者向け経営相談体制強化【94億円】
・各市町村に専門家を派遣し、中小・小規模事業者からの経営相談や支援策等に係る相談への対応体制等を整備。
・全国商工会連合会及び日本商工会議所が経営相談や各種申請などの対応を行う相談員を配置するなどの支援体制を強化する取り組みに対する補助を実施。
感染症対策関連物資生産設備補助事業【22億円】
抗原検査機器やN95マスクなど、ニーズが高い物資について、生産設備の整備・増強に係る費用を補助し、国内における供給の拡大を図る。
補助率
抗原検査機器:9/10
N95マスク等:3/4(中小企業)、2/3(大企業)
まとめ
以上経産省の令和二年度第二次補正予算案について紹介いたしました。
今回の補正予算案なかでも特に大きな注目を浴びているのは、売上の急減に直面する事業者を支援する新たな制度「家賃支援給付金」です。
この給付金は既に実施されている「持続化給付金」と併せて受給することが出来るため、二つの給付金を同時に受給した場合の合計額(上限)は、個人事業者で250万、中小企業で500万~800万円という非常に大きなものになります。
また補助金制度としては毎年利用者数の多い持続化補助金(中小企業生産性革命推進事業)の拡充も注目度が高く、事業再開枠と特別枠の両方の条件を満たす事業では補助額の上限が通常の3倍となる150万円まで引き上げられます。
政府が過去最大の緊急経済対策というだけあって事業者向けの支援策も充実してきましたので、経営者の方はそれらの制度を自社の事業継続・経営回復に有効にご活用ください。
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