「子どものバイト代、今年はいくらまでなら大丈夫?」「103万円を超えたら扶養から外れるのでは?」――年末が近づくこの時期、シフトを抑えるべきか迷っているご家庭も多いのではないでしょうか。
実はこの「年収の壁」は、ここ2年の税制改正で大きく引き上げられています。2026年(令和8年度)の改正では基礎控除などが引き上げられ、本人に所得税がかかるのは給与収入178万円からになりました。家族を扶養に入れられる収入の上限も136万円に広がっています。さらに2026年10月1日には、パートの社会保険加入の「106万円の壁」(月額8.8万円の賃金要件)も撤廃されました。
- 大学生年代(19〜22歳):150万円未満が実質の上限(親の健康保険の扶養)。親の税金は159万円まで変わらない
- 高校生年代(16〜18歳):130万円未満(健康保険)・136万円以下(親の扶養控除)
- 配偶者のパート:130万円未満(健康保険)。税金は136万円まで配偶者控除、約207万円まで段階的に控除が続く
- 本人に所得税がかかるのは178万円から(学生も同じ)。住民税は約119万円から
- 103万円・123万円の壁は、2026年分にはもう当てはまらない
本記事では、学生・パートの家族を扶養している方と、働く本人に向けて、2026年の年収の壁の一覧、立場別の上限と月額の目安、年収の数え方、2028年以降の見通し、必要な手続きまでを国税庁・財務省の資料をもとに解説します。
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この記事の目次
2026年の年収の壁一覧|税金の壁と社会保険の壁
2026年の年収の壁は、約119万円(住民税)から約207万円(配偶者特別控除)まで、主なものだけで11本あります。扶養されている家族(パート・アルバイトで働く配偶者や子ども)の「本人の給与収入(1〜12月の合計)」ごとに、何が起きるかをまとめました。
| 年収ライン | 何が起きるか | 壁の種類 | 影響を受ける人 |
|---|---|---|---|
| 約119万円 | 本人に住民税がかかり始める目安(2026年中の収入。自治体と本人の状況による) | 税金 | 本人 |
| 130万円 | 家族の健康保険の被扶養者から外れる(19歳以上23歳未満を除く) | 社会保険 | 本人・世帯 |
| 136万円 | 扶養控除・配偶者控除の対象から外れる | 税金 | 扶養する側 |
| 150万円 | 19歳以上23歳未満(配偶者を除く)が家族の健康保険の被扶養者から外れる | 社会保険 | 本人・世帯 |
| 159万円 | 大学生年代の子:特定親族特別控除の満額(63万円)が減り始める | 税金 | 扶養する側 |
| 163万円 | 学生本人:勤労学生控除の対象から外れる | 税金 | 本人 |
| 169万円 | 配偶者:配偶者特別控除の満額(38万円)が減り始める | 税金 | 扶養する側 |
| 178万円 | 本人に所得税がかかり始める | 税金 | 本人 |
| 約197万円 | 大学生年代の子:特定親族特別控除がなくなる | 税金 | 扶養する側 |
| 約207万円 | 配偶者:配偶者特別控除がなくなる | 税金 | 扶養する側 |
| (金額なし) | 週20時間以上など勤務先の要件を満たすと本人が社会保険に加入(2026年10月1日に月額8.8万円の賃金要件が撤廃) | 社会保険 | 本人 |
税金の壁は、超えても負担が「なだらかに」増える設計です。一方、社会保険の壁(130万円・150万円)は超えた時点で保険料の負担が新たに発生します。家計への影響が大きいのは社会保険の壁と覚えておくと、判断を誤りにくくなります。
扶養内はいくらまで?立場別の上限早見表
扶養内で働ける上限は、働く人の立場によって異なります。結論は、大学生年代は150万円未満、それ以外(高校生・配偶者・23歳以上の子など)は130万円未満です。いずれも健康保険の扶養のラインが、税金のラインより先に来ます。
図のとおり、どの立場でも紺色の「健康保険の扶養」のラインが、緑色の「税の控除が満額」のラインより低い位置にあります。税金だけを見て働く量を決めると、先に健康保険の扶養から外れてしまう点に注意しましょう。
| 働く人 | 健康保険の扶養 | 親・配偶者の税の控除 | 本人の所得税 |
|---|---|---|---|
| 大学生年代(19歳以上23歳未満) | 150万円未満 | 159万円まで満額(63万円)、約197万円まで段階的に継続 | 178万円まで非課税 |
| 高校生年代(16歳以上19歳未満) | 130万円未満 | 136万円以下で扶養控除38万円 | 178万円まで非課税 |
| 配偶者 | 130万円未満 | 136万円以下で配偶者控除、169万円まで38万円の控除を維持、約207万円まで段階的に継続 | 178万円まで非課税 |
| 23歳以上の子・その他の親族 | 130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) | 136万円以下で扶養控除38万円(70歳以上の同居老親等は58万円) | 178万円まで非課税 |
月にいくらまで?シフトを組むための月額の目安
年収の上限を12で割ると、月額の目安がわかります。大学生年代なら月約12.5万円、高校生・配偶者なら月約10.8万円が、健康保険の扶養にとどまる目安です。
| 年収の上限 | 月額の目安(12等分) | 意味 |
|---|---|---|
| 119万円 | 約9.9万円 | 本人に住民税がかからない目安 |
| 130万円未満 | 約10.8万円(108,333円以下) | 健康保険の扶養にとどまる(大学生年代以外) |
| 136万円 | 約11.3万円 | 親・配偶者の扶養控除・配偶者控除が受けられる |
| 150万円未満 | 約12.5万円(125,000円未満) | 健康保険の扶養にとどまる(大学生年代) |
| 159万円 | 約13.2万円 | 大学生年代の親の控除が満額のまま |
| 178万円 | 約14.8万円 | 本人に所得税がかからない |
※月額は年収の上限を単純に12等分した目安です。健康保険の扶養は、原則として今後1年間の収入見込みで判定されます。2026年4月からは、給与収入のみの場合など一定の条件を満たせば、労働条件通知書などに記載された賃金から年間収入を見込んで判定する取扱いが始まっています。判定方法は加入している健康保険組合などにご確認ください。
大学生のアルバイトはいくらまで?2026年の4つのライン
大学生年代(その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満)のアルバイトで意識すべきラインは、150万円・159万円・163万円・178万円の4つです。このうち世帯の負担が最も大きく動くのは150万円のラインです。
図のうち赤枠の150万円は、親の健康保険の被扶養者でいられる収入要件に関わるラインです。この基準を超える収入が見込まれる場合は、親の扶養から外れ、本人に社会保険料などの負担が生じる可能性があります。それ以外の税金のラインは、収入の増加に応じて負担が段階的に増える仕組みです。
| 年収ライン | 何が起きるか | 誰に影響するか | 影響の大きさ |
|---|---|---|---|
| 150万円(未満なら扶養内) | 親の健康保険の被扶養者から外れる。本人の働き方によって、勤務先の社会保険または国民健康保険などへの加入が必要になる | 本人・世帯 | 大きい |
| 159万円 | 親の特定親族特別控除(63万円)が減り始める | 親 | ゆるやか |
| 163万円 | 勤労学生控除の対象から外れる(主に住民税に影響) | 本人 | 小さい |
| 178万円 | 本人に所得税がかかり始める | 本人 | 小さい |
収入を増やす場合は、150万円未満に収めるか、扶養を外れた場合の保険料負担も踏まえて働くかを検討する必要があります。扶養を外れた後の負担は、勤務先の社会保険に加入するか、国民健康保険などに加入するかによっても異なります。
親の税金は159万円まで変わらない(特定親族特別控除)
大学生年代の子どものアルバイト収入が159万円までなら、親の税負担は変わりません。2025年に創設された「特定親族特別控除」により、子の収入が扶養控除のライン(136万円)を超えても、親は63万円の控除を受け続けられるためです。
| 子の給与収入(2026年) | 親が受けられる控除 |
|---|---|
| 136万円以下 | 扶養控除(特定扶養親族)63万円 |
| 136万円超159万円以下 | 特定親族特別控除63万円(満額) |
| 159万円超197万円以下 | 特定親族特別控除(収入に応じて段階的に縮小) |
| 197万円超 | 控除なし |
かつては子の収入が103万円を1円でも超えると、親の控除63万円が一気になくなる「崖」がありました。現在は159万円を超えても控除が少しずつ減るだけで、急激な負担増は起きません。なお、特定親族特別控除の適用には、親が年末調整で「特定親族特別控除申告書」を提出する必要があります。
親の健康保険の扶養は150万円未満が条件
19歳以上23歳未満(配偶者を除く)が親の健康保険の扶養に入れる収入要件は、年収150万円未満です。2025年10月に130万円未満から引き上げられました。年齢は、その年の12月31日時点で判定します。
- 原則として親の健康保険の被扶養者から外れる
- 本人の働き方に応じて、勤務先の社会保険または国民健康保険などへの加入が必要になる
- 親の勤務先の家族手当・扶養手当の支給要件から外れることがある
健康保険の扶養の判定は、税金のような「1〜12月の合計」ではなく、原則として「今後1年間の収入見込み」で行います。2026年4月1日以降は、給与収入のみであることなど一定の条件を満たす場合、労働条件通知書や雇用契約書に記載された賃金から年間収入を見込んで判定する取扱いが始まりました。
この方法では、契約上の勤務時間や賃金が明確であることなどが必要です。契約内容から年間収入を見込めない場合は、この方法による認定はできません。最終的な判断は加入先の健康保険組合等が行います。
出典:日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」
大学生本人の所得税・住民税はいくらからかかる?
大学生本人の所得税は、アルバイト収入178万円以下ならかかりません。これは学生に限らず、給与収入のみの人に共通のラインです。住民税は、2026年中の収入がおおむね119万円を超えるとかかり始めます。
勤労学生控除の所得要件も、合計所得89万円以下(給与収入163万円以下)に引き上げられました。ただし2026・2027年分は基礎控除だけで178万円まで所得税が非課税になるため、給与収入のみの学生の所得税には実質的な影響はありません。勤労学生控除は、住民税の負担を軽くする効果として引き続き意味を持ちます。
社会保険(勤務先での加入)については、学生は夜間・通信制に通う場合や休学中の場合などを除き、週20時間以上働いても加入対象外となるのが原則です。
高校生のアルバイトはいくらまで?大学生とは上限が違う
高校生年代(その年の12月31日時点で16歳以上19歳未満)のアルバイトは、健康保険の扶養は130万円未満、親の扶養控除は136万円以下が上限です。大学生年代の「150万円・159万円」は適用されません。
16〜18歳は特定親族特別控除の対象外
特定親族特別控除の対象は19歳以上23歳未満のため、高校生年代は対象外です。給与収入が136万円を超えると、親は扶養控除(一般の控除対象扶養親族38万円)を受けられなくなり、段階的な控除もありません。大学生年代と同じ感覚で働くと、親の税負担が一気に増えることになります。
| 子の年齢(12月31日時点) | 親の控除が受けられる収入 | 健康保険の扶養 |
|---|---|---|
| 16歳未満(中学生以下) | 扶養控除なし(年少扶養親族) | 130万円未満 |
| 16歳以上19歳未満(高校生年代) | 136万円以下(扶養控除38万円) | 130万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(大学生年代) | 159万円まで満額63万円、約197万円まで段階的に継続 | 150万円未満 |
| 23歳以上 | 136万円以下(扶養控除38万円) | 130万円未満 |
高校生本人に税金はかかる?
高校生本人の所得税は、大学生と同じく給与収入178万円まではかかりません。住民税は、1月1日時点で18歳未満であれば、前年の合計所得金額が135万円以下のとき非課税となる「未成年者の非課税」の扱いがあります。高校生年代では、税金よりも先に「健康保険130万円・親の扶養控除136万円」が上限になると考えてよいでしょう。月額にすると約10.8万円が目安です。
23歳以上の学生・フリーターの子どもはいくらまで?
23歳以上の子ども(大学院生・フリーターなど)は、給与収入136万円以下なら親が扶養控除38万円を受けられ、健康保険の扶養は130万円未満が条件です。学生であっても、23歳以上になると特定親族特別控除や健康保険の150万円の特例は使えません。
扶養に入れるかどうかは、扶養される親族本人の年間の合計所得金額が62万円以下かどうかで判定します。2025年までの58万円以下から、4万円引き上げられました。合計所得金額は「収入−必要経費にあたる控除」のため、扶養に入れる収入の上限は収入の種類で異なります。
| 親族の収入の種類 | 扶養に入れる収入の目安(2026年) |
|---|---|
| 給与(パート・アルバイト) | 136万円以下(2025年までは123万円以下) |
| 公的年金のみ(65歳以上) | 172万円以下 |
| 公的年金のみ(65歳未満) | 122万円以下 |
たとえばアルバイト収入が年130万円のフリーターの子どもは、2025年分では扶養控除の対象外でしたが、2026年分からは対象となり、親は38万円の控除を受けられます。「これまで扶養に入れられなかった家族を、新たに扶養に入れられる」ケースがある点がポイントです。
配偶者のパートはいくらまで?税金と社会保険の壁
配偶者のパートは、健康保険の扶養に入れるのは130万円未満です。税金は136万円以下で配偶者控除、169万円まで38万円の控除が維持され、約207万円まで段階的に控除が続きます。税金上の「崖」はありません。
配偶者控除は給与収入136万円以下に拡大
配偶者の給与収入が136万円以下(合計所得62万円以下)であれば、配偶者控除(原則38万円)の対象となります。2025年までの123万円から13万円拡大されました。
136万円を超えても控除は段階的に続く
136万円を超えても、配偶者特別控除により給与収入約207万円まで控除が続きます。2026年・2027年分の配偶者特別控除額は次のとおりです。
| 配偶者の給与収入(合計所得金額) | 扶養する側の給与収入1,095万円以下(合計所得900万円以下) | 1,095万円超1,145万円以下(900万円超950万円以下) | 1,145万円超1,195万円以下(950万円超1,000万円以下) |
|---|---|---|---|
| 136万円超169万円以下(62万円超95万円以下) | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 169万円超174万円以下(95万円超100万円以下) | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| 174万円超179万円以下(100万円超105万円以下) | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| 179万円超184万円以下(105万円超110万円以下) | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| 184万円超189万円以下(110万円超115万円以下) | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| 189万円超194万円以下(115万円超120万円以下) | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| 194万円超199万円以下(120万円超125万円以下) | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| 199万円超204万円以下(125万円超130万円以下) | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| 204万円超207万円以下(130万円超133万円以下) | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
配偶者控除・配偶者特別控除には、扶養する側の所得制限もあります。扶養する側の給与収入が1,095万円を超えると控除額が縮小し、1,195万円を超えると控除は受けられません。
106万円の壁は2026年10月に撤廃。週20時間などの要件で判定
パートの社会保険加入要件のうち、「106万円の壁」と呼ばれてきた月額8.8万円以上の賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。
ただし、週20時間以上働くことに加え、2027年9月までは原則として厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働いていること、2か月を超えて雇用される見込みがあること、学生ではないことなどの要件があります。
これらの要件を満たして勤務先の社会保険に加入すると、年収130万円未満であっても配偶者の健康保険の扶養から外れます。
企業規模要件の段階的な撤廃や、2026年10月に始まった保険料調整制度など、社会保険の加入条件の詳細は次の記事で解説しています。
年収はどう数える?期間・交通費・掛け持ちの扱い
年収の壁でいう「年収」は、税金では1月1日〜12月31日に支払われた給与の合計(税金や社会保険料を引く前の額面)です。健康保険の扶養は、今後1年間の収入見込みで判定します。数え方の違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 税金(所得税・住民税・扶養控除) | 健康保険の扶養 |
|---|---|---|
| 判定の期間 | 1月〜12月に支払われた給与の合計 | 原則として今後1年間の収入見込み。2026年4月以降、一定の場合は労働契約の内容から年間収入を見込んで判定 |
| 12月分の給与が1月に振り込まれる場合 | 支給日が属する年(翌年)の収入になる | 年間収入の見込みに含めて判定 |
| 通勤手当(交通費) | 非課税限度額内なら含めない | 原則として収入に含める |
| 掛け持ち(複数のバイト先) | すべての勤務先の合計 | すべての収入を踏まえて判定 |
| 額面か手取りか | 額面(税・保険料を引く前) | 額面を基準に判定 |
とくに交通費は、税金では含めないのに健康保険では含める点が見落とされがちです。交通費が多い人は、健康保険の扶養のラインに早く達することがあります。
バイト代から所得税が引かれていたら戻ってくる?
年間の給与収入が178万円以下で、ほかに所得がない場合は、原則として所得税がかかりません。毎月の給与から所得税が源泉徴収されていても、年末調整または還付申告によって、納め過ぎた所得税が戻る場合があります。
2026年11月までの給与の源泉徴収には、改正前の税額表が適用されます。2026年分の基礎控除や給与所得控除の引き上げは、原則として12月の年末調整で反映されます。
年の途中でバイトを辞めた人や、掛け持ちで2か所目以降の勤務先から給与を受けている人は、年末調整の対象外となることがあります。その場合は、翌年に確定申告(還付申告)をすると払いすぎた税金が戻ります。
103万・123万・160万の壁はどうなった?過去の数字との違い
2026年分の所得税には、103万円・123万円・160万円の壁はもう当てはまりません。「〇〇万円の壁」という言葉は改正のたびに数字が変わっており、古い情報が混在しやすいため、年ごとに整理します。
所得税がかかり始める年収は、2024年までの103万円から、2025年に160万円、2026・2027年には178万円へと引き上げられました。2028年以降は、現行の改正内容どおりなら168万円になる予定です。
| よく聞く金額 | 本来の意味 | 2026年分の扱い |
|---|---|---|
| 103万円の壁 | 2024年分までの所得税の課税ライン・扶養控除の上限 | 適用されない(178万円・136万円に引き上げ) |
| 104万円 | 2026・2027年分の基礎控除額(年収の壁ではない) | 基礎控除104万円+給与所得控除74万円=178万円 |
| 110万円 | 2025年中の収入にかかる住民税の非課税ライン(単身の目安) | 2026年中の収入は約119万円に |
| 123万円の壁 | 2025年分の扶養控除・配偶者控除の上限 | 136万円に引き上げ |
| 150万円 | 2025年分の特定親族特別控除の満額ライン/2025年10月からの大学生年代の健康保険の扶養ライン | 税は159万円に引き上げ、健康保険は150万円未満のまま |
| 160万円の壁 | 2025年分の所得税の課税ライン | 178万円に引き上げ |
制度改正の経緯や企業向けの支援策は、次の記事で詳しく紹介しています。
2026年(令和8年度)税制改正で何が変わった?
令和8年度税制改正では、物価高への対応と働き控えの解消を目的に、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、所得税の課税最低限が160万円から178万円になりました。主な改正内容は次のとおりです。
| 改正項目 | 改正前(2025年分) | 改正後(2026年・2027年分) |
|---|---|---|
| 基礎控除(最大) | 95万円 | 104万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 所得税の課税最低限(給与収入) | 160万円 | 178万円 |
| 扶養親族等の所得要件 | 合計所得58万円以下(給与収入123万円以下) | 合計所得62万円以下(給与収入136万円以下) |
| 勤労学生控除の所得要件 | 合計所得85万円以下(給与収入150万円以下) | 合計所得89万円以下(給与収入163万円以下) |
基礎控除の引き上げは、「本則の引き上げ」と「特例による上乗せ」の2段構成です。本則は58万円から62万円に引き上げられ、今後は消費者物価指数に連動して2年ごとに見直す仕組みが導入されました。2026・2027年分は特例として、合計所得金額489万円以下の人に42万円が上乗せされ、基礎控除は104万円になります。
これらの改正は2026年12月1日に施行され、2026年1月以降の給与すべてを含む2026年分の所得税から適用されます。住民税は、2027年度分(2026年中の収入にかかる住民税)から反映されます。
2028年以降の年収の壁はどうなる?
2028年分以降は、2026・2027年分の時限的な上乗せが縮小するため、所得税がかかり始める年収は178万円から168万円に下がる予定です。基礎控除は合計所得金額132万円以下の人で99万円(本則62万円+特例37万円)、給与所得控除の最低保障額は69万円になります。
| 年収ライン | 2026・2027年分 | 2028年分以降(予定) |
|---|---|---|
| 本人の所得税がかかり始める | 178万円 | 168万円 |
| 扶養控除・配偶者控除の上限 | 136万円 | 131万円 |
| 大学生年代の親の控除が満額 | 159万円 | 154万円 |
| 勤労学生控除の上限 | 163万円 | 158万円 |
| 住民税がかかり始める目安 | 約119万円(2027・2028年度の住民税) | 約114万円(2029年度以降の住民税) |
※2028年分以降の金額は、令和8年度税制改正の内容をもとにした給与収入換算の目安です。基礎控除等は物価に連動して2年ごとに見直されるため、今後の改正で変わる可能性があります。
なお、健康保険の扶養のライン(130万円・150万円)は税制とは別の制度で、上の表の影響は受けません。
「年収の壁」とは?税金の壁と社会保険の壁の違い
年収の壁とは、働く人の収入が一定額を超えると、税や社会保険の負担が発生・増加するボーダーラインのことです。性質の異なる3つの系統があり、今回の税制改正で引き上げられたのは「本人の税金の壁」と「扶養する側の税金の壁」の2つです。
| 壁の種類 | 内容 | 主な金額(2026年) |
|---|---|---|
| 本人の税金の壁 | 働く本人に所得税・住民税がかかるライン | 住民税約119万円、所得税178万円 |
| 扶養する側の税金の壁 | 親・配偶者の扶養控除や配偶者控除が減る・なくなるライン | 136万円、159万円(大学生年代)、169万円(配偶者) |
| 社会保険の壁 | 本人が勤務先の社会保険に加入する、または家族の健康保険の扶養から外れるライン | 130万円、150万円(大学生年代)、週20時間 |
住民税がかからない世帯の基準や、非課税世帯向けの支援については次の記事で解説しています。
扶養する側に必要な手続きは?
基礎控除や給与所得控除の引き上げ分は、例年どおりの年末調整で自動的に反映されます。一方、扶養控除など家族に関する控除は、申告書に記載した内容にもとづいて適用されるため、改正で新たに扶養対象となる家族がいる場合は手続きが必要です。
秋のうちに家族の年収見込みを確認する
税金の壁の判定は、1〜12月に支払われた給与の合計で行われます。年末になってから超過に気づいても調整はできないため、10〜11月のうちに家族の年収見込みを確認しておきましょう。シフトを調整する余地が残るほか、年末調整の申告書に記載する「所得の見積額」の準備にもなります。
扶養控除等(異動)申告書を提出する
改正により新たに扶養親族等に該当する家族がいる場合は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出します。申告書の「異動月日及び事由」欄には「令和8年12月1日 改正」などと記載します。
特定親族特別控除申告書を提出する
大学生年代の子の収入が136万円を超えて特定親族特別控除を受ける場合は、年末調整時に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。2026年分は、基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書と一体の様式になっています。
配偶者控除等申告書は「収入−74万円」で計算する
配偶者の合計所得金額は「給与収入−給与所得控除」で計算します。2026年分は給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられたため、パート収入190万円以下であれば「収入−74万円」が合計所得金額です。2025年分は65万円で計算していたため、前年と同じ感覚で計算すると合計所得を多く見積もり、控除額の区分を誤るおそれがあります。
改正の施行日は2026年12月1日ですが、年末調整に間に合わせるため、改正を反映した年末調整関係書類を施行日前から提出することも認められています。
出典:国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」
家族の収入が壁を超えてしまったらどうなる?
扶養控除などを受けたあとに家族の収入が上限を超えていたことがわかった場合、年末調整のやり直しや修正申告で、控除しすぎた分の税金を納めることになります。勤務先から自治体へ提出される給与支払報告書などで、後から判明することもあります。気づいた時点で勤務先や税務署に相談し、早めに精算しましょう。
いつから反映される?適用スケジュール
改正は2026年1月からの収入すべてに適用されますが、毎月の給与への反映は2027年1月からです。2026年中に改正前のルールで多めに源泉徴収された分は、12月の年末調整でまとめて精算されます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月1日 | 社会保険の賃金要件(106万円の壁)が撤廃 |
| 2026年11月まで | 毎月の給与の源泉徴収は従来どおり(変更なし) |
| 2026年12月 | 年末調整で改正後の控除額を適用し、1年分を精算(還付が発生しやすい) |
| 2027年1月以降 | 改定された源泉徴収税額表が適用され、毎月の手取りに反映 |
| 2027年6月以降 | 2026年中の収入にかかる住民税(2027年度分)に改正が反映 |
次のようなケースでは年末調整で改正が反映されないため、確定申告が必要です。
- 2026年11月30日以前にその年最後の給与を受けた場合(年の途中の退職、海外赴任、休職など)
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
- 公的年金受給者が、改正で新たに扶養対象となった親族について扶養控除を受ける場合
年収の壁に関するよくある質問
大学生のアルバイトは2026年にいくらまで働くのがよいですか?
世帯の負担が大きく変わるのは150万円のラインです。19歳以上23歳未満(配偶者を除く)が親の健康保険の扶養にとどまれるのは年収150万円未満のため、これを超えると本人が国民健康保険等に加入し保険料の負担が発生します。税金面では159万円まで親の特定親族特別控除(63万円)が満額維持され、本人の所得税は178万円までかかりません。「150万円未満に収める」か「保険料を払ってもなお手取りが増える水準まで働く」かの二択で考えるのが実務的です。月額の目安は150万円未満で約12.5万円です。
高校生のアルバイトはいくらまで扶養内ですか?
高校生年代(16歳以上19歳未満)は、健康保険の扶養が年収130万円未満、親の扶養控除(38万円)が給与収入136万円以下までです。特定親族特別控除は19歳以上23歳未満が対象のため、高校生年代には159万円までの緩和が適用されません。月額の目安は約10.8万円です。本人の所得税は178万円までかかりません。
103万円の壁はどうなりましたか?
2026年分の所得税には、103万円という基準は当てはまりません。基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、本人に所得税がかかるのは給与収入178万円からです。扶養控除・配偶者控除の上限も136万円に引き上げられました。かつて子のアルバイト収入が103万円を超えると親の控除63万円が一気になくなる「崖」がありましたが、特定親族特別控除の創設で解消され、大学生年代の子は159万円まで親の控除が満額で維持されます。
月にいくらまで稼げば扶養内に収まりますか?
年収を単純に12等分すると、健康保険の扶養にとどまる月額の目安は、大学生年代(19歳以上23歳未満)で約12.5万円、高校生・配偶者・23歳以上の子などで約10.8万円です。ただし、健康保険の扶養は単月の給与だけで決まるわけではありません。2026年4月からは、給与収入のみの場合など一定の条件を満たせば、労働条件通知書などに記載された賃金から年間収入を見込んで判定する取扱いが始まっています。最終的な判定は加入している健康保険組合などにご確認ください。
交通費(通勤手当)は年収に含まれますか?
税金の判定では、非課税限度額内の通勤手当は年収に含めません。一方、健康保険の扶養の判定では通勤手当も収入に含めます。交通費が多い場合は、税金のラインより先に健康保険の扶養のライン(130万円・150万円)に達することがあるため注意が必要です。
バイトを掛け持ちしている場合はどう数えますか?
税金・健康保険のいずれも、すべての勤務先から受け取った給与の合計で判定します。1か所あたりの収入が少なくても、合計で壁を超えれば扶養から外れます。2か所目以降の勤務先の給与は年末調整の対象外となるため、所得税が引かれている場合は確定申告で精算します。
178万円まで働けば税金はかかりませんか?
所得税は給与収入178万円までかかりませんが、住民税は別です。2026年中の給与収入がおおむね119万円を超えると、住民税がかかり始めるのが目安です(自治体と本人の状況によって異なります)。また、健康保険の扶養は130万円未満(大学生年代は150万円未満)で外れるため、税金だけで判断しないようにしましょう。
106万円の壁はなくなりましたか?
はい。パートの社会保険加入要件のうち、月額8.8万円以上という賃金要件(いわゆる106万円の壁)は2026年10月1日に撤廃されました。ただし、週20時間以上働くことに加え、2027年9月までは原則として従業員51人以上の企業等で働いていること、2か月を超えて雇用される見込みがあること、学生ではないことなどの要件があります。企業規模要件は2027年10月から段階的に撤廃されます。
23歳以上の大学院生やフリーターの子どもはいくらまで扶養に入れますか?
23歳以上の子どもは、給与収入136万円以下(合計所得62万円以下)であれば、親が扶養控除38万円を受けられます。健康保険の扶養は130万円未満が条件です。学生であっても、23歳以上では特定親族特別控除や健康保険の150万円の特例は使えません。
178万円の壁はこれからも続きますか?
178万円は2026年・2027年分の水準です。2028年分以降は、基礎控除が合計所得金額132万円以下の人で99万円、給与所得控除の最低保障額が69万円となり、所得税がかかり始める年収は168万円になる予定です。扶養控除の上限は131万円、大学生年代の親の控除が満額となる上限は154万円になる見込みです。基礎控除等は物価に連動して2年ごとに見直されるため、毎年の確認をおすすめします。
住民税の扶養判定も緩和されますか?
はい。住民税の扶養親族等の所得要件も合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)に引き上げられます。適用は2027年度分(2026年中の収入にかかる住民税)からです。住民税の給与所得控除の最低保障額も、2027・2028年度分は74万円に引き上げられます。
家族の収入が年末に上限を超えてしまったらどうなりますか?
扶養控除などは、扶養する側が年末調整のやり直しや修正申告をして、控除しすぎた分の税金を納めることになります。税金の判定は1〜12月に支払われた給与の合計で行うため、12月に入ってから調整できる余地は限られます。10〜11月のうちに年収見込みを確認し、上限を超えそうな場合はシフトを調整するか、超えた場合の負担を事前に把握しておきましょう。
まとめ
2026年の年収の壁は、税金のラインが大きく引き上げられた一方、健康保険の扶養のラインが実質の上限になりやすい状況です。
- 働く本人に所得税がかかるのは178万円から(学生も同じ)。住民税は約119万円から
- 扶養控除・配偶者控除の対象となる家族の収入上限は136万円に拡大
- 大学生年代は159万円まで親の控除に影響なし。ただし健康保険の扶養は150万円未満で、実質の上限はここ
- 高校生年代・23歳以上の子は特定親族特別控除の対象外。健康保険130万円・扶養控除136万円が上限
- 配偶者は約207万円まで配偶者特別控除が続き、税金上の「崖」はない。健康保険の扶養は130万円未満
- 106万円の壁(賃金要件)は2026年10月1日に撤廃。週20時間以上などの要件で判定される
- 2028年以降は所得税の課税ラインが168万円になる予定
新たに扶養に入れられる家族がいる場合は、勤務先への申告書の提出を忘れないようにしましょう。改正の反映は2026年12月の年末調整からです。最新の数字を正しく把握して、世帯にとって最適な働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
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参考:


