2020年9月29日(火)に文部科学省から令和3年の概算要求が公開されました。今回は文部科学省における情報について紹介していきたいと思います。
令和3年の要望額は5兆9,118億円で、前年令和2年の予算額5兆3,060億円と比較すると6,058億円の増額(11.4%増)となりました。
前年度も+12.2%増しているので引き続きの増額です。
分野別で見ると
・文教関係予算:4兆3,011億円(前年度予算:4兆303億円)
・スポーツ関係予算:444億円(前年度予算:351億円)
・文化芸術関係予算:1,588億円(前年度予算:1,067億円)
・科学技術予算:1兆2,427億円(前年度予算:9,762億円)
となっています。また、ウィズコロナの時代の「新たな日常」に向けて、各分野で「新型コロナウイルス感染症への対応など緊要な経費」としてコロナ関係費として5,982億円が内包され、これらも今回の目玉にもなりそうです。
「新型コロナウイルス感染症への対応など緊要な経費」は大枠で以下の3つに分けられます。
1.ポストコロナの「新たな日常」の実現
2.ウィズコロナ下の学習・スポーツ・文化・研究活動の継続支援
3.コロナに負けない「安全・安心」環境の実現
今回は上記を元に文部省の令和3年概算要求のポイントを紹介していきます。
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この記事の目次
文部省の令和3年文教関係予算について 4兆3,011億円
【令和3年の概算要求のポイント】
例年に引き続きですが文教関係予算が概算要求額の大半を占めています。
前年に引き続き教育のICTに関わる環境を整えることに加え、感染症を回避するため少人数制授業を実現する体制を整えることを重要視しているようです。
ICTに関わる授業ができる教員の採用、少人数授業を達成するための教員の採用と「採用」に関わる費用も大きくなっています。
また、例年通り「いじめ・不登校、虐待対応」するための環境整備や、障がい者に対する支援として特別支援教育の生涯学習化を進める「障害者活躍推進プラン」等の推進費も含まれています。
以下概要になります。
教育政策推進のための基盤の整備
・少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備やGIGAスクールにおける学びの充実など、新しい時代の学びの環境の整備及び学校における働き方改革の推進
・幼・小・中・高等学校及び特別支援学校等において、幼児児童生徒や教職員が安全・安心に過ごせるよう、感染症対策等を充実
・児童生徒等の安全と健康を守り、計画的・効率的な長寿命化を図る老朽化対策を中心とし、「新たな日常」を支える学校施設等の整備を推進
夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成
・コミュニティ・スクールと地域学校協働活動との一体的推進による地域の教育力の向上、新しい生活様式に対応した体験機会の充実を図るとともに、学校安全体制の整備を推進
・高等学校教育改革の推進、道徳教育の充実等
・教育相談体制等の充実によるいじめ・不登校、虐待対応等の推進
・感染症対策を含めた大学入学共通テストの円滑な実施
社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成
・新しい時代の学びの環境整備のための派遣教師の増など、在外教育施設の機能を強化
・Society 5.0の実現及びウィズコロナ・ポストコロナに向けた人材育成の強化
生涯学び、活躍できる環境の整備
・人生100年時代や技術革新の進展等を見据え、リカレント教育等社会人が学び直す機会を拡充
・就学前から高等教育段階、卒業後まで、特別支援教育の生涯学習化を進める「障害者活躍推進プラン」等の推進
誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットの構築
・私立高等学校授業料の実質無償化や高等教育の修学支援の確実な実施など、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットを構築
・外国人材の受入れ拡大に対応し、共生社会の実現を図るため、日本語教育・外国人児童生徒等への教育を充実
文部省の令和3年スポーツ関係予算のポイント 444億円
【令和3年のポイント】
スポーツ関係予算については444億円の概算要求がでています。昨年の351円なので100億弱の増額となっていますが、増額の大半は今年コロナの影響で中止になった東京オリンピック・パラリンピックの感染症対策のコストとその維持費に充てられるようです。
また、ウィズコロナの時代においても学校教育の運動教育が滞りなくできるような体制強化にも利用されます。
概要としては以下の2つになっています。
■東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の成功に向けた対応
■「新たな日常」におけるスポーツ施策の総合的な推進とスポーツ・レガシーの継承
文部省の令和3年文化芸術関係予算のポイント 1,588億円
【令和3年の概算要求のポイント】
文化芸術関係予算については、前年と比較すると500億円程度の増額となっています。
これまで行われてきたこれまでの「生」公演「生」展覧の収益だけでは運営・生活ができなくなってくるであろう事業者が出てくることもあり、ウィズコロナの時代でも鑑賞ができるようなネット配信などの収益モデルを確立させる体制を整えるために利用されます。
また、子どもたちもウィズコロナの時代であっても「文化芸術」に触れる機会を作れる環境整備費として利用されます。
概要については以下になります。
■文化芸術活動の継続・発展・継承のため、「新たな日常」の文化芸術活動・人材育成を支援するとともに、子供たちが多様な文化芸術に触れる環境等を充実
■文化財の次世代への確実な継承のため、修理や防災対策、修理技術者等の育成、邦楽の普及拡大を推進するとともに、日本遺産等の地域の文化資源の磨き上げ等による地域活性化を推進
■文化施設の機能強化や文化観光の推進とともに、国立文化施設の整備・充実、新しい生活様式下での鑑賞方法への対応等を推進
文部省の令和3年科学技術予算のポイント 1兆2,427億円
【令和3年の概算要求のポイント】
科学技術予算も前年比較で増額となっています。
科学技術分野でもコロナ感染症の影響は不可避であり、将来日本を支える若手技術者の研究施設環境の悪化を防ぐ費用として利用されます。
また、バブル期やリーマンショック後の反省を活かし、コロナの今だからこそ公的投資を行い日本の研究を維持・上昇させることで経済の下支えを作ることを目標に利用されます。具体的な目標には以下のようなものがあります。
・新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、新規1拠点を形成
・優れた若手研究者が切れ目なく研究費の支援を受け、実力ある中堅・シニア研究者にステップアップするための支援の充実
・優れた若手研究者が切れ目なく研究費の支援を受け、実力ある中堅・シニア研究者にステップアップするための支援の充実
・ウィズコロナ/ポストコロナ時代における社会経済の変革等に向けて、経済・社会的にインパクトのあるターゲットを明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標を設定
・人文・社会科学を含めた幅広い分野の研究者の結集と融合により、ポストコロナ時代を見据えた基礎研究に取り組む。
概要は以下の4つを挙げています。
■我が国の抜本的な研究力向上と優秀な人材の育成
■Society 5.0を実現し未来を切り拓くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化
■重点分野の戦略的推進と感染症対策等のための研究開発の推進
■大規模自然災害対策等の国民の安全・安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発の推進
令和3年文部科学省概算要求まとめ
今回は文部科学省の概算要求についてまとめていきました。
全体を通してみるとポイントは、ウィズコロナの時代であっても学校教育や研究環境の悪化を防ぎ、文芸に触れることができる環境を整えることで将来の日本経済を支えるために公的投資をしていくというものかと思われます。
各省庁同様ですが、コロナ対策費はもちろん通常の国策もコロナありきで検討しないといけなくなってきているのが見て取れます。
教育に関わる方もこういった補助金・助成金は支給されやすくなるかと思いますので、随時確認をしておくことをおススメします。
他省庁についても以下にまとめております。
【令和3年各省庁概算要求(案)について】
■厚労省概算要求(案)
■総務省概算要求(案)
■経産省概算要求(案)
■各省庁まとめ
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