2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震では、経済産業省が翌29日にセーフティネット保証4号の適用を発表し、災害救助法適用の10市10町1村で被災した中小企業・小規模事業者に対する資金繰り支援が動き始めました。近年は能登半島地震、複数の台風、林野火災など突発的な自然災害が相次いでおり、被災事業者の資金繰りを守る制度としてセーフティネット保証4号への注目が高まっています。
「災害の影響で売上が落ちてしまい、運転資金の確保が難しい」「銀行からの融資枠を超えて借入れたい」と悩む経営者の方も多いのではないでしょうか。セーフティネット保証4号は、指定災害の影響で売上高等が減少した中小企業者について、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度です。ただし、市区町村の認定を受けても融資が確約されるわけではなく、その後に金融機関と信用保証協会の審査があります。
本記事では、セーフティネット保証4号の仕組み・対象災害・認定要件・申請の流れを、2026年時点の最新情報でわかりやすく解説します。
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この記事の目次
セーフティネット保証4号とは?信用保証協会が別枠で100%保証する制度
セーフティネット保証4号とは、突発的な自然災害等の発生により売上高等が減少した中小企業者を対象に、信用保証協会が一般保証と別枠・融資額の100%を保証する制度です。中小企業信用保険法に基づく「セーフティネット保証(経営安定関連保証)」の1〜8号の認定区分のうち、自然災害への対応措置として位置づけられています。
- 根拠法:中小企業信用保険法
- 制度分類:セーフティネット保証(経営安定関連保証)の4号
- 対象事由:突発的災害(自然災害等)
- 対象資金:経営安定資金
- 保証割合:借入債務の100%
- 保証限度額:一般保証とは別枠で、普通保証2億円以内、無担保保証8,000万円以内
- 保証人:原則として第三者保証人は不要
セーフティネット保証には8つの認定区分があり、それぞれ経営に支障が生じている中小企業を、事由別に支援します。4号は「突発的災害(自然災害等)」への対応措置です。
| 号数 | 認定事由 |
|---|---|
| 1号 | 連鎖倒産防止 |
| 2号 | 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限 |
| 3号 | 突発的災害(事故等) |
| 4号 | 突発的災害(自然災害等) |
| 5号 | 業況の悪化している業種(全国的) |
| 6号 | 取引金融機関の破綻 |
| 7号 | 金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整 |
| 8号 | 金融機関の整理回収機構への貸付債権の譲渡に伴う金融取引の調整 |
セーフティネット保証4号の対象となる災害は?2026年現在の指定案件
セーフティネット保証4号は、災害発生時に経済産業省が個別に対象地域と指定期間を告示することで発動されます。2026年時点で中小企業庁が公表している主な指定案件は次のとおりです。
- 令和7年青森県東方沖を震源とする地震に伴う災害(2026年6月16日更新)
- 令和7年台風第22号に伴う災害(2026年4月24日更新)
- 令和7年台風第15号等に伴う災害(2026年4月7日更新)
- 令和6年能登半島地震(2026年6月23日更新)
- 令和8年岩手県大槌町の林野火災(2026年5月29日掲載)
- 令和8年6月24日からの大雨に伴う災害
指定期間は3か月ごとに調査のうえ、必要に応じて延長されます。指定期間は「認定申請ができる期間」を指し、この期間内に本店等所在地の市区町村へ認定申請することが必要です。
過去の主な発動事例(新型コロナ・大規模自然災害)
過去には、新型コロナウイルス感染症(令和2年3月に47都道府県全域が指定)や、東日本大震災、平成28年熊本地震、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨など、日本の大規模災害の多くで4号が発動されてきました。近年の自然災害の激甚化・頻発化に伴い、指定案件も増加傾向にあります。
セーフティネット保証4号の認定要件|売上高20%以上の減少がポイント
セーフティネット保証4号の対象となるには、指定地域で事業を行い、指定災害の影響によって経営の安定に支障が生じていることについて、市区町村長の認定を受ける必要があります。
売上高等については、事業期間や災害発生前の売上実績に応じて、次の3つの認定基準のいずれかを満たす必要があります。
前年同月・前年同期と比較できる場合
- 災害等が発生した後の最近1か月の売上高等が、前年同月と比較して20%以上減少していること
- 最近1か月とその後2か月を含む3か月の売上高等が、前年同期と比較して20%以上減少することが見込まれること
創業間もない事業者・拡大した事業者向けの緩和要件
創業者等で、前年同月や前年同期との単純な比較が難しい場合には、災害発生前に売上高等があったかどうかに応じて、次の認定基準が使われます。
- 最近1か月の売上高等が、災害発生直前3か月の月平均売上高等と比較して20%以上減少していること
- 最近1か月とその後2か月を含む3か月の売上高等が、災害発生直前3か月の売上高等と比較して20%以上減少することが見込まれること
- 最近1か月の売上高等が、災害発生後3か月の月平均売上高等と比較して20%以上減少していること
- 最近1か月とその後2か月を含む3か月の売上高等が、災害発生後3か月の売上高等と比較して20%以上減少することが見込まれること
「前年同月と比較できない」という理由で諦めず、市区町村の商工担当課に相談してみましょう。
セーフティネット保証4号の申請手順|市区町村→信用保証協会・金融機関
セーフティネット保証4号の申請は、市区町村での認定 → 信用保証協会・金融機関での保証付き融資申込みという2段階で進めます。認定書の発行がゴールではなく、その後の金融機関・信用保証協会の審査を経て初めて融資が実行される点に注意が必要です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ステップ1 | 本店等(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市区町村(または特別区)の商工担当課等に認定申請書を提出 |
| ステップ2 | 市区町村で認定を受け、認定書の発行を受ける |
| ステップ3 | 希望の金融機関または所在地の信用保証協会へ認定書を持参し、保証付き融資を申し込む |
| ステップ4 | 信用保証協会・金融機関の審査を経て融資実行 |
認定申請に必要な主な書類
必要書類は市区町村によって異なりますが、一般的には次の書類が求められます。
- 認定申請書(自治体所定の様式)
- 最近1か月および比較対象期間の売上高等を確認できる書類
- 確定申告書、決算書、売上台帳、試算表など、自治体が指定する書類
- 法人や事業所の所在地、事業実態などを確認するために自治体が求める書類
⚠️ 認定書の発行は融資を確約するものではありません。金融機関・信用保証協会の審査で希望どおりの結果とならない場合もあります。
セーフティネット保証4号を利用するメリットと注意点
セーフティネット保証4号の最大のメリットは、一般保証と別枠で融資額の100%を信用保証協会が保証してくれる点にあります。既に一般保証を利用している事業者でも、追加で最大2億8,000万円の別枠を確保できます。
メリット
- 別枠での100%保証:一般保証(最大2億8,000万円)とは別枠の保証限度額を利用できる
- 災害復旧貸付(日本政策金融公庫・商工組合中央金庫)など他の被災事業者向け融資と併用できるケースが多い
- 創業間もない事業者・業容拡大直後の事業者向けの緩和要件が用意されている
注意点
- 認定書の発行は融資を確約するものではなく、最終的な融資可否は金融機関・信用保証協会の審査による
- 認定申請ができるのは指定期間内のみ(原則3か月・延長あり)
- 市区町村ごとに提出書類・様式が異なるため、事前に窓口へ確認する必要がある
- 保証料率は各信用保証協会・保証制度で異なる
セーフティネット保証4号と5号・危機関連保証の違い
セーフティネット保証4号は、5号や危機関連保証と混同されがちですが、対象事由・保証割合・対象範囲が異なります。「災害の影響で売上が大きく落ちた」ケースはまず4号を検討するのが基本です。
| 制度 | 対象事由 | 保証割合 | 対象範囲 | 売上減少要件 |
|---|---|---|---|---|
| セーフティネット保証4号 | 突発的災害(自然災害等) | 100% | 指定地域の中小企業 | 前年同月比20%以上減少 |
| セーフティネット保証5号 | 業況悪化業種(全国的) | 80% | 指定業種の中小企業 | 前年同期比5%以上減少 |
| 危機関連保証 | 金融危機・大規模災害等 | 100% | 全国・全業種(発動時) | 前年同月比15%以上減少 |
4号と5号の使い分け
4号と5号は保証枠を共用(同じ2.8億円の別枠内で併用可能)できます。売上減少幅が20%以上の場合は4号(100%保証)が有利ですが、20%に届かない場合や指定地域外の場合は5号(80%保証・5%以上の売上減少)の検討が現実的です。
セーフティネット保証4号に関するよくある質問
セーフティネット保証4号の保証限度額はいくらですか?
一般保証とは別枠で、普通保証2億円以内、無担保保証8,000万円以内の保証限度額が設けられています。保証割合は100%ですが、これは信用保証協会が金融機関に対して借入債務を保証するという意味です。事業者の返済義務がなくなるものではなく、同額の融資が確約されるものでもありません。市区町村の認定後に、金融機関と信用保証協会の審査があります。
セーフティネット保証4号は今どの災害が指定されていますか?
2026年時点では、令和8年熊本地震(近日中の官報告示予定)、令和7年青森県東方沖を震源とする地震、令和7年台風第22号、令和7年台風第15号等、令和6年能登半島地震、令和8年岩手県大槌町の林野火災などが中小企業庁のホームページで指定案件として公表されています。指定期間は3か月ごとに調査のうえ、必要に応じて延長されます。
セーフティネット保証4号の申請はどこで行いますか?
本店等(個人事業主の場合は主たる事業所)所在地の市区町村または特別区の商工担当課等の窓口で認定申請を行います。認定を受けた後、認定書を持参して希望の金融機関または所在地の信用保証協会に保証付き融資を申し込みます。
創業1年未満でもセーフティネット保証4号を利用できますか?
利用可能です。事業開始後1年1か月を経過していない事業者や、前年以降に店舗・工場を増やした事業者などには緩和要件が設けられており、災害発生直前3か月間の月平均売上高との比較で20%以上減少している場合に認定を受けられます。前年実績がなくても諦めず、市区町村の商工担当課に相談してみましょう。
セーフティネット保証4号と5号の違いは何ですか?
4号は「突発的災害(自然災害等)」への対応措置で、保証割合は融資額の100%、売上高等が前年同月比20%以上減少していることが要件です。5号は「業況の悪化している業種(全国的)」への対応措置で、保証割合は80%、指定業種で最近3か月の売上高等が前年同期比5%以上減少していることが要件です。売上減少幅が大きく指定地域内の場合は4号、業種指定を受けている場合は5号が中心となります。
セーフティネット保証4号と災害復旧貸付は併用できますか?
併用できるケースが多くあります。セーフティネット保証4号は信用保証協会の保証制度で、災害復旧貸付は日本政策金融公庫や商工組合中央金庫が実施する政府系金融機関の融資制度です。両者は別の枠組みのため、資金需要と返済計画に応じて組み合わせて活用できます。詳しくは経済産業省の特別相談窓口や最寄りの商工会議所などで相談できます。
セーフティネット保証4号の保証料率はどのくらいですか?
保証料率は各信用保証協会および各保証制度で異なります。事業者の財務状況・保証内容により変動するため、具体的な数値は最寄りの信用保証協会に確認してください。全国信用保証協会連合会のウェブサイトから最寄りの協会を検索できます。
個人事業主でもセーフティネット保証4号を利用できますか?
中小企業信用保険法上の中小企業者に該当すれば、法人だけでなく個人事業主も利用できます。個人事業主の場合は、主たる事業所の所在地の市区町村で認定申請を行います。事業実態が指定地域内にあることが要件です。
認定書があれば必ず融資を受けられますか?
認定書の発行は融資を確約するものではありません。認定書を金融機関または信用保証協会に提出した後、返済能力・事業計画・担保などについて金融機関と信用保証協会の審査があり、その結果によっては希望どおりの融資条件とならない場合があります。事業計画書や資金使途の説明をしっかり準備することが重要です。
セーフティネット保証4号の申請期限はいつまでですか?
災害ごとに指定期間が定められており、その期間内に市区町村へ認定申請する必要があります。指定期間は原則3か月ごとに調査のうえ、必要に応じて延長されます。現時点の指定期間は中小企業庁のホームページ「セーフティネット保証制度(4号:突発的災害(自然災害等))」で災害ごとに公表されているので、必ず確認しましょう。
まとめ|対象地域と認定基準を確認して利用を検討しよう
セーフティネット保証4号は、地震や台風などの指定災害によって経営の安定に支障が生じている中小企業者を対象に、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度です。
保証限度額は、一般保証とは別枠で普通保証2億円以内、無担保保証8,000万円以内です。ただし、100%保証は借入金の返済が免除されるという意味ではありません。事業者には返済義務があり、市区町村長の認定を受けた後も、金融機関と信用保証協会による審査があります。
1.中小企業庁の公式ページで、災害と自社の事業地域がセーフティネット保証4号の指定対象になっているか確認する
2.認定基準①〜③のうち、自社の売上状況に当てはまる基準があるか確認する
3.本店等の所在地を管轄する市区町村に、認定申請の受付方法と必要書類を確認する
4.借入額や資金使途、返済計画を確認したうえで、金融機関または信用保証協会へ相談する
認定申請の様式や必要書類は、市区町村によって異なります。また、指定災害や対象地域、指定期間は変更されることがあります。申請前に、中小企業庁と市区町村の最新情報を確認してください。
被災事業者向けには、セーフティネット保証4号のほかにも、災害復旧貸付、既往債務の返済条件の変更、小規模企業共済の災害時貸付などがあります。どの制度が利用できるか判断できない場合は、金融機関、信用保証協会、商工会議所、商工会、よろず支援拠点などへ相談してください。
出典:中小企業庁「セーフティネット保証制度(4号:突発的災害)」
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