令和2年3月10日に発表された「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 第2弾」では、総額1.6兆円規模の金融措置により、信用保証制度、融資制度の両面から、事業者の皆さまの資金繰りを支援するとしています。どのような支援制度が適しているかは、どの程度新型コロナウイルスによる影響を受けているかなどにより変わってきますが、セーフティネット保証4号・5号、無利子・無担保融資、危機関連保証など、「支援制度を耳にしたことはあるが次々出てきてよく内容を理解していない」という方も多いのではないでしょうか。
自社に合った支援制度を見つけるためにもそれぞれの内容を理解することが重要になってきます。そこで今回は、緊急対応策関連の金融措置のなかから、「セーフティネット保証4号・5号」にスポットライトをあて、内容とその違いについてご紹介します!
令和2年3月25日 追記
令和2年4月1日から令和2年6月30日までのセーフティネット保証5号の対象業種が指定されました。4月1日からは587業種が対象となります。
▼セーフティネット保証5号の指定業種(令和2年4月1日~令和2年6月30日)
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200323008/20200323008-2.pdf
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この記事の目次
信用保証制度とは
セーフティネット保証の内容をみる前に、それに関わる「信用保証制度」と「信用保証協会」について確認しておきましょう。
信用保証制度とは、中小企業者が金融機関から事業資金を借り入れる際、信用保証協会が公的な保証人になることで、資金の融通を円滑にするという制度です。信用保証協会の一般保証の保証限度額は2億8,000万円となっています。確かな保証人として中小企業者をバックアップする信用保証協会は、現在全国に51(47都道府県並びに4つの市)あり、協会ごとに地域に密着した保証・経営支援業務を行っています。
信用保証制度を利用するメリット
信用保証協会が保証人となることで、融資枠の拡大や長期の借入など、金融機関からの資金調達力が高まります。原則、法人代表者以外の連帯保証人は必要なく、無担保での資金繰りも可能です。
セーフティネット保証は信用保証協会を利用した特例保証
セーフティネット保証(経営安定関連保証)は、経営の安定に支障をきたしている中小企業者を支援するため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務を保証する制度です。セーフティネット保証を利用するためには、本社(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市区町村による認定を受ける必要があります。セーフティネット保証には1号~8号の認定区分が設けられていますが、新型コロナウイルス感染症への対策としては「4号(突発的災害を受けた地域)」と「5号(業況の悪化している業種)」認定が対象となっています。
市区町村の認定を受けると、金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が一般保証とは別枠(最大2億8,000万円)で、4号なら借入債務の100%、5号なら80%を保証します。
セーフティネット保障制度(4号・5号)
■対象資金:経営安定資金
■上限融資額:2億8,000万円以内(セーフティネット4号・5号は併用可能ですが、同じ枠となります)
■保障割合
・セーフティネット4号:100%
・セーフティネット5号:80%
■保障料率:各保証協会毎及び各保証制度毎に異なります
セーフティネット保証4号・5号について知っておきたいポイント
セーフティネット保証4号・5号について知っておきたいポイント(令和2年3月18日時点)は以下のとおりです。
・セーフティネット保証4号が47都道府県を対象に発動
・セーフティネット保証5号の対象となる業種が追加指定
・認定基準の緩和により創業1年未満の事業者等も対象に!
それでは、これらのポイントを確認しながら、セーフティネット保証4号・5号に関する知識を深めていきましょう!
セーフティネット保証4号が47都道府県を対象に発動
セーフティネット保証4号とは、突発的災害(今回は新型コロナウイルス感染症)の発生に起因して経営の安定に支障が生じている中小企業者を支援するため、前述のとおり、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証するという制度です。
セーフティネット保証4号は通常「特定の地域」で事業に支障をきたしている中小企業を支援するものですが、今回の新型コロナウイルスは全国に影響をおよぼしているため、対象となる地域が47都道府県になっています。つまり全国どこの事業者でも適用となる可能性があります。
【対象中小企業者の認定基準】
・指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること
・最近1か月間の売上高が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること
参考:セーフティネット保証4号の概要
セーフティネット保証5号の対象となる業種の追加指定【令和2年3月25日更新】
セーフティネット保証5号とは、業況の悪化している業種に属することで経営の安定に支障を生じている中小企業を支援するため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の80%を保証するという制度です。
新型コロナウイルス感染症による影響が広がる前から、すでに152業種がセーフティネット保証5号の指定業種になっていましたが、3月6日になって、新型コロナウイルスにより特に重大な影響が生じている旅館・ホテル、食堂、レストラン、フィットネスクラブなど40業種が緊急的に追加指定されました。その後、3月13日にも特に重大な影響が生じている乳製品製造業や理容・美容業など316業種が追加指定され、これにより現在508の業種がセーフティネット保証5号の対象となっています。
▼対象業種はこちら
セーフティネット保証5号の指定業種【152業種】(令和2年1月1日~令和2年3月31日)
セーフティネット保証5号の追加業種【40業種】(令和2年3月6日~令和2年3月31日)
セーフティネット保証5号の追加業種【316業種】(令和2年3月13日~令和2年3月31日)
また3月23日の発表で、令和2年度第1四半期の対象業種として、業種別の業況を踏まえ587業種が指定されることがわかりました。
▼4月1日から6月30日までの対象業種はこちら
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200323008/20200323008-2.pdf
全国的に業状の悪化している業種に属する企業の資金供給を支援するのがセーフティネット保証5号です。不況業種の追加指定に伴い、融資対象者が拡大されます。
【対象中小企業者の認定基準】
・指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等※が前年同期比で5%以上減少していること
・指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていていない中小企業者
※時限的な運用緩和により、2月以降、直近3か月の売上高等が算出できるまでは,直近の売上高等の減少と売上高等の見込みを含む3か月間の売上高等でも可としています。(例:2月の売上高実績+3月、4月の売上高見込み)
参考:セーフティネット保証5号の概要
セーフティネット保証4号・5号の認定基準の緩和
令和2年3月13日からの運用緩和により、これまでの基準では対象外となる方(前年実績のない創業者など)も認定を受けられる可能性があります。
【新たに対象となる方】
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、経営の安定に支障を生じている次の方
・業歴3か月以上1年1か月未満の事業者
・前年以降店舗や業容の拡大をしてきたため、単純な売上高等の前年比較では認定が困難な事業者
この方たちは、新型コロナウイルスの影響を受ける前などを基準として以下のいずれかの方法で売上高等を比較します。
- 最近1か月の売上高等と最近1か月を含む最近3か月間の平均売上高等を比較
- 最近1か月の売上高等と令和元年12月の売上高等を比較、かつ、その後2か月間(見込み)を含む3か月の売上高等と令和元年12月の売上高等の3倍を比較
- 最近1か月の売上高等と令和元年10~12月の平均売上高等を比較、かつ、その後2か月間(見込み)を含む3か月の売上高等と令和元年10~12月の3か月を比較
※上記いずれかの方法で比較して、セーフティネット保証4号なら売上高等減少が▲20%以上、セーフティネット保証5号は▲5%以上必要です。
セーフティネット保証4号・5号の違い
セーフティネット保証4号と5号の違いとして、まず保証割合の違いがあげられます。4号は債務の100%保証、5号は80%保証となっていますので、保証割合からみてスムーズな借入となるのはセーフティネット保証4号といえるでしょう。
またセーフティネット保証4号は突発的な災害により、特定の地域で事業に支障をきたしている中小企業を支援するもので(今回は全国47都道府県が対象)、セーフティネット保証5号は、地域に関わらず全国的に業状の悪化している業種に属する企業を支援するものです。4号は業種の指定はなく、5号の融資対象者は不況業種に指定されていることが必要という点が異なります。
では認定基準はどうでしょうか。セーフティネット保証4号では、最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少している(かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる)必要があります。新型コロナウイルスの影響を受けて売上が大きく減少してしまった企業はセーフティネット保証4号を検討してもよいでしょう。セーフティネット保証5号は最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少していること、という内容ですので、売上高の減少率が20%に満たない場合は、5号の利用を検討する、ということになるでしょう。
▼セーフティネット保証4号・5号と、先日発動した「危機関連保証」を比較した記事はこちら
手続きの流れ
(1) 対象となる中小企業者は、本店等(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市区町村に認定申請を行います。
(2) 希望の金融機関又は最寄りの信用保証協会に認定書を持参し、保証付き融資を申し込みます。
(1)について、認定を申請できる期間は、セーフティネット保証4号は令和2年6月1日まで、セーフティネット保証5号は、業種の指定期間が市町村長又は特別区長に対して認定を申請することができる期間となります。認定申請に必要な書類は各市区町村によって異なりますが、基本的に「認定申請書」「確定申告書」「決算報告書」「売上高等の減少が確認できる書類」といった書類が必要になるとお考えください。
(2)について、金融機関及び信用保証協会による審査があります。(認定書の発行によって融資を確約するものではありません。)
まとめ
今回は、新型コロナウイルスの影響拡大にともなう資金繰り支援のなかから、経営の安定に⽀障が⽣じている中⼩企業者に対して⼀般保証とは別枠(最⼤2.8億円)の保証を行うセーフティネット保証4号と5号についてご紹介しました。
補助金ポータルでは、新型コロナウイルス感染症で影響を受ける方への支援について、今後も詳しくお伝えしていきますので、最新記事のほか、リンクや関連記事で表示される記事もぜひご確認ください。
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