7月3日、東京都は9日連続で猛暑日となりました。これは統計開始以降最長記録です。また関東甲信では1951年以降、最短での梅雨明けとなったことも報告されました。
一方で、電気料金は高騰を続けています。気温があがり、冷房などを利用する日が増えると、電気代もかさみます。かといって適切に冷房を使わなければ、熱中症も心配です。省エネしながら猛暑を乗り切るには、どうすればよいのでしょうか。
この夏、家庭でできる省エネ方法をまとめました。
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この記事の目次
節電の社会的需要と節電への協力要請について
経済産業省によると、今夏の電力需給は厳しい見通しです。大規模な発電所のトラブルが発生した場合には電力の安定供給ができない可能性も懸念されています。さらに今年はウクライナ情勢などの影響で、石油や天然ガスの調達リスクが高まっています。こうした状況を踏まえ、政府は以下の期間、終日節電への協力を呼び掛けています。
【節電要請期間】
7月1日(金)から 9月30日(金)まで
ただし、これは冷房器具の使用を抑制するものではありません。熱中症には十分注意し、省エネを心がけながら、適切に冷房を使用しましょう。
参考:経済産業省
世界でも関心が高まる「省エネ」
省エネは節約のためだけに必要なわけではありません。
地球温暖化の原因とされる温室効果ガスは、その大部分が石油やガソリンなどのエネルギー起源です。地球の環境問題改善のため、世界中で省エネルギーの動きが活発化しています。日本でも2030年のカーボンニュートラルを目指し、脱炭素・省エネルギーに取り組んでいます。
また資源エネルギー庁によると、生活の利便性・快適性を求めるライフスタイルや世帯数の増加を背景に、1965年から2018年の家庭部門のエネルギー消費は約2倍に増えています。現在は省エネ意識の高まりにより家庭の消費エネルギーは減少傾向にありますが、まだ1965年の水準には戻っていません。
出典:資源エネルギー庁
用途別に見ると、冷房は3.2%、暖房は25.4%で、あわせて冷暖房設備で最も多くのエネルギーを消費しています。今年の夏に限らず、1年を通じた生活全体でエネルギーの使い方を見直す必要があるのです。
節電でポイント還元の新たな支援制度も?
節電に協力した家庭や企業を対象に、政府はポイント還元制度を導入する方針を固めています。緊急時の節電などを呼びかけるアプリをダウンロードすると、ポイントが付与される仕組みです。
また、前年度と比較して一定の節電をした場合はポイントの上乗せも検討されています。付与されたポイントは、日常生活で幅広く使用できます。節電で電気代金が抑えられ、さらにポイントの使用で普段の生活費も節約できます。
それでは、家庭でできる節電にはどんなものがあるのでしょうか。
家庭でできる節電・省エネ
夏季は、冬季についで電力需要が高まる季節です。
経済産業省は太陽光発電の出力が減少する17時から19時ころの点灯帯には、特に電力需要が厳しくなる傾向があるとしています。
出典:経済産業省
夏季の電力使用用途はエアコンと冷蔵庫が大きな割合を占めます。小池百合子東京都知事はすぐにできる夏の節電として、エアコンと冷蔵庫の使用方法について言及しました。また、資源エネルギー庁のポータルサイトでは「家庭でできる省エネ」が公開されています。これらの発表を中心に、夏の節電や機器の省エネについてまとめました。
▼以下、出典・参考:
小池知事「知事の部屋」/記者会見
経済産業省 夏季の省エネ・節電メニュー
資源エネルギー庁 ポータルサイト
夏の節電
夏に消費電力が大きくなるエアコンや冷蔵庫は、ちょっとした工夫で節電することができます。それぞれの節電方法と節電効果を紹介します。
・エアコン
室温は28℃を目安にエアコンを使うと、電気代の節約になります。ポイントは、エアコンの温度設定ではなく「室内の温度」を28℃にすること。温度計を使用して調整しましょう。小池百合子都知事によると、これで電気代が年間約1,000円の節約になるそうです。また、月2回ほどフィルターの掃除をすることも推奨されています
・冷蔵庫
冷蔵庫は温度設定を強から中へ変更すると、年間約2,000円の電気代の節約になるそうです。また、冷蔵庫の中身を半分程度に減らすことも節電に効果的です。こうすると年間約1,430円の節約に。合計で3,430円の節約効果が期待できます。
冷蔵庫を壁から2cmほど離したり、扉の開閉時間をなるべく短くしたりすることも省エネになります。
節電につながるライフスタイル
消費エネルギー量は、普段の生活で減らしていくこともできます。次は、習慣として取り入れたい、省エネにつながるライフスタイルを紹介します。
・家族団らんの時間を持つ
リビングに家族がそろって一緒に過ごすと、エアコンや照明の利用が一部屋で済みます。さらにみんなでテレビを見たりネットの動画を楽しんだりすれば、それぞれの部屋で過ごすよりもエネルギー消費はぐっと減らすことができます。
・移動手段を使い分ける
外出時は、なるべくバスや電車を利用しましょう。短距離の移動であれば自転車や徒歩で出かけると、運動にもなって一石二鳥です。水分補給や適度な休息を忘れずに!
自動車を利用するときはアクセルをゆっくり踏んだり、減速時は早めに離したりすると燃費改善につながります。
・調理時は火の大きさを調整する
火は鍋底からはみ出さない程度に調整し、さらに蓋をすると効率的にエネルギーを使うことができます。余熱を使った保温調理や、一つのフライパンをアルミホイルなどで区切って使う同時調理も省エネ効果が期待できます。
省エネ型機器への買い替え
近年の家電は、エネルギー消費効率が大幅に向上しています。家庭の家電が古い機器の場合は、新しい機器へ買い替えるだけで大きな節電になります。
各機器の省エネ効果や、買い替えのポイントをまとめました。
▼各機器を最新型に買い替えたときの省エネ率
・冷蔵庫
10年前の機器と比べて…約40〜47%
・エアコン
10年前の機器と比べて…約17%
・照明
電球形LEDランプ…約86%
・テレビ
9年前の機器と比べて…約42%
トップランナー基準とは
省エネ目的で家電を買い替えるときは、性能の高い機器を選びたいもの。そんなときに確認したいのが「トップランナー基準」です。
トップランナー基準とは家電製品など「特定機器」のうち、商品化されているものの中で最も優れたエネルギー消費効率などを基準にする制度です。トップランナー基準を満たした機器は非常に高い省エネ性能を有しているので、製品を選ぶ際の目安になるのです。
トップランナー基準を満たした商品は、「省エネルギーラベル」にそのことが表示されています。
冷蔵庫の選び方のポイント
冷蔵庫を選ぶときのポイントは以下の4つです。
①大きさ
②年間消費電力量
③冷凍室
④機能
一般的には容量が大きいものほど消費電力も大きくなります。特に冷凍庫の大きさは消費電力に大きく影響します。ライフスタイルや家族の人数にあったものを選ぶのが重要です。
テレビの選び方のポイント
テレビを選ぶときのポイントは以下の4つです。
①画面の大きさ
②機能
③待機電力
テレビは画面が大きいものや、多機能のものほど消費電力が大きくなります。ライフスタイルに適したものを選びましょう。
エアコンの選び方のポイント
エアコンを選ぶときのポイントは以下の4つです。
①大きさ
②能力
③APF(通年エネルギー消費効率)
エアコンは使用する部屋の広さの目安が表記されています。また、地域によって暖房・冷房など重視すべき性能が違います。部屋の大きさや用途にあったものを選びましょう。
節電・省エネは無理のない範囲で
高齢者や小さな子供は、体温の変化を自覚しづらいことがあります。大丈夫だと思っていても、いつの間にか熱中症になっていることがあるのです。こまめな水分補給や適切な室温管理を徹底しながら、無理のない範囲で省エネに取り組みましょう。
まとめ
消費エネルギーを減らす取り組みは、世界のすべての人にとって急務です。一人一人の心がけが、未来の環境において大きな成果をもたらします。また電気代の高騰や供給の不安定化など、個人の生活レベルにおいてもこの夏の省エネは大きな課題となっています。
けれども、省エネはそれほど難しいことではありません。ちょっとした習慣を変えたり、ポイントを抑えた家電の使い方をしたりするだけでも十分な効果を得ることができます。
この夏は無理のない省エネで、環境にも家計にも優しい生活を目指しましょう!