帝国データバンクの2026年6月調査によると、正社員の人手不足を感じる企業は52.1%に達し、非正社員でも30.4%が「不足」と回答しています。人件費の高騰と採用難が同時進行するなか、IoT・ロボット・AIで業務を自動化し、省人化と賃上げを両立させる動きが加速しています。
こうした流れを後押しするのが「省力化投資補助金」(中小企業省力化投資補助金)です。カタログ注文型と一般型の2類型があり、一般型は最大1億円、カタログ注文型は最大1,500万円まで設備投資費用の一部が補助されます。一般型の第8回公募は2026年8月中旬に開始予定(公募締切は2026年10月中旬予定)で、申請受付開始は2026年9月中旬が見込まれています。カタログ注文型は2027年3月末頃まで随時申請可能です。
本記事では、省力化投資補助金の対象者・補助額・2類型の違い・第7回で変わった重要ポイント・過去の採択率まで、2026年8月最新情報にもとづきわかりやすく解説します。自社に合った類型を選ぶための判断軸も具体的に紹介するので、設備投資を検討している事業者はぜひ参考にしてください。
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・【★本記事】省力化投資補助金とは?対象・補助額・2類型の選び方をわかりやすく解説【2026年最新】
・省力化投資補助金 一般型とは?最大1億円・対象・補助上限・申請の流れ
・中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型」とは?仕組み・補助額・申請方法を解説
・省力化補助金「一般型」vs「カタログ注文型」どちらを選ぶべき?
・省力化投資補助金(一般型)第5回の採択結果が公開!採択率と活用事例を紹介
・中小企業省力化投資補助金の採択事例5選!一般型の傾向と評価のポイントは
この記事の目次
省力化投資補助金とは?対象・目的をわかりやすく解説
省力化投資補助金とは、人手不足に直面する中小企業・小規模事業者がIoT・ロボット・AI等の省力化設備を導入する際、その費用の一部を国が補助する制度です。所管は中小企業庁、実施は独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)です。生産性向上と賃上げの実現を後押しすることを目的としており、補助金を活用することで人件費増を吸収しやすくなります。
| 所管 | 中小企業庁 |
|---|---|
| 実施 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構) |
| 類型 | カタログ注文型・一般型の2種類 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者等(人手不足要件あり) |
| 補助上限 | カタログ注文型:最大1,500万円/一般型:最大1億円 |
| 受付状況(2026年8月時点) | 一般型 第8回:2026年8月中旬公募開始予定(締切:2026年10月中旬予定)/カタログ注文型:2027年3月末頃まで随時 |
制度は2類型に分かれ、あらかじめ事務局に登録された製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」と、自社の課題に合わせて設備を自由に選定できる「一般型」があります。それぞれ申請方法や補助上限額が大きく異なるため、後述の比較表で違いをチェックしましょう。
省力化投資補助金の補助対象になる事業者は?
省力化投資補助金の対象は、日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者・個人事業主等です。業種ごとに定められた資本金または常勤従業員数の要件のいずれかを満たす必要があります。
業種別の規模要件(資本金・従業員数)
対象となる事業者の規模要件は以下のとおりです。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
上記に加え、要件を満たす組合・特定非営利活動法人(NPO)・社会福祉法人なども対象になります。
個人事業主も対象になる?
日本国内で事業を営む個人事業主も省力化投資補助金の対象です。業種別の規模要件(資本金・従業員数)を満たすことが条件で、法人と同様にIoT・ロボット等の省力化設備の導入費用について補助を受けられます。ただし申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要で、発行までに2〜3週間程度かかる点に注意しましょう。
また一般型では、応募申請時点で「賃上げ要件の対象となる従業員」が0名の事業者は申請できません。カタログ注文型は追加審査を経れば1回目の申請は可能ですが、2回目以降は不可となります。開業直後で従業員が未雇用の個人事業主が一般型を狙う場合、雇用計画とセットで検討する必要があります。
歯科医業を営む医療法人も対象(第7回から追加)
一般型では第7回公募(2026年6月開始)から、歯科医業を営む医療法人が新たに補助対象に追加されました。都道府県知事の認可を受け、従業員数300人以下の法人が対象となります。歯科医療の現場でも人手不足が深刻化しており、口腔内スキャナや自動化機器の導入ニーズに応える形での拡充です。
みなし大企業・同一法人扱いには要注意
大企業が株式の過半数を保有する企業などは「みなし大企業」とされ、補助対象外です。また、親会社が子会社の議決権の50%超を持つ場合は、両者は同一法人とみなされ、いずれか1社しか申請できません。
カタログ注文型は人手不足の状態にあることの確認が必要
カタログ注文型では、申請時に自社が人手不足の状態にあることを次のいずれかで示す必要があります。
- 直近の従業員平均残業時間が月30時間超
- 整理解雇によらない離職・退職で、従業員が前年度比5%以上減少
- 求人を出したが充足しなかった
省力化投資補助金の補助額・補助率はいくら?
補助上限と補助率は類型ごとに大きく異なります。カタログ注文型は最大1,500万円、一般型は最大1億円で、いずれも賃上げ要件を満たすと上限額が引き上げられる仕組みです。
カタログ注文型は最大1,500万円(補助率1/2以下)
カタログ注文型の補助率は1/2以下で、補助上限は従業員数によって異なります。2026年3月19日の制度改定により、賃上げ要件を満たすと上限額が引き上げられる特例が拡充されました。
| 従業員数 | 補助上限額(通常) | 大幅賃上げ時 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
従業員5人以下の枠は、改定前の200万円から500万円へと2.5倍に拡充されており、小規模事業者にとって使いやすい制度に変わりました。
一般型は最大1億円(補助率1/2〜2/3)
一般型の補助率は事業所の規模や賃上げ達成状況によって異なります。中小企業は1/2(大幅な賃上げで2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者は2/3です。第6回公募から、以前あった「1,500万円超の部分は補助率1/3」という区分は撤廃されており、補助上限額まで同一の補助率が適用されます。
| 区分 | 補助率 |
|---|---|
| 中小企業 | 1/2(大幅な賃上げを行う場合2/3) |
| 小規模企業者・小規模事業者・再生事業者 | 2/3 |
補助上限額は従業員規模によって細かく設定されており、大幅な賃上げの要件を満たすと一定額が上乗せされます。
| 従業員数 | 補助上限額(カッコ内は大幅賃上げ時) |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51〜100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(1億円) |
「省力化補助金は最大1億円」と紹介されることが多いですが、1億円は一般型(従業員101人以上・大幅賃上げ時)の上限です。カタログ注文型の上限は最大1,500万円ですので混同しないよう注意してください。
カタログ注文型と一般型、どちらを選ぶべき?【比較表】
カタログ注文型と一般型は、設備の選び方から申請方法、補助額まで大きく異なります。判断の決め手は「導入したい設備がカタログにあるか」と「投資規模」の2点です。まずは違いを一覧で確認しましょう。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 特徴 | 登録済み製品から選んで導入 | 自社課題に合わせて設備を自由選定 |
| 補助上限額 | 最大1,500万円 | 最大1億円 |
| 補助率 | 1/2以下 | 1/2(賃上げで2/3) |
| 申請時期 | 随時申請(2027年3月末頃まで) | 公募回制(第8回:2026年8月中旬開始予定・締切10月中旬予定) |
| 申請方法 | 販売事業者と共同申請 | 補助事業者が単独で申請 |
| 事業計画書 | 不要(製品選定が中心) | 必要(自社で作成) |
| GビズID | 必要(プライム) | 必要(プライム) |
| 対象経費 | 製品本体価格・導入経費 | 機械装置・システム構築費・技術導入費・専門家経費・運搬費・クラウド利用費・外注費・知的財産権関連経費 など |
| 向く事業者 | 簡易・即効性のある省力化を急ぐ事業者 | 個別最適化・大型投資が必要な事業者 |
カタログ注文型が向くのはどんな事業者?
カタログ注文型は、あらかじめ事務局に登録された省力化製品を販売事業者と共同で申請する仕組みです。事業計画書の作成が不要で、随時申請できるため、短期間で導入したい事業者に向いています。
・導入したい省力化機器がカタログに登録されている
・計画書作成の負担を避け、できるだけ短期間で導入したい
・投資額が1,500万円以下に収まる見込み
・販売事業者のサポートを受けながら進めたい
詳しくはこちら:
一般型が向くのはどんな事業者?
一般型は、カタログに掲載されていない設備やシステムを自社の課題に合わせて自由に組み合わせて導入できる補助金です。オーダーメイド設備や複数機器の組み合わせに対応でき、最大1億円という大きな補助上限額が魅力です。
・自社の業務に合わせたオーダーメイドの設備や、複数機器の組み合わせが必要
・投資額が大きく、最大1億円の補助上限を活用したい
・賃上げを実施し、補助率2/3を狙える
・事業計画を自社(または認定経営革新等支援機関の支援)で作成できる
詳しくはこちら:
もう少し詳しい比較と診断は、以下の比較記事にまとめています。
省力化投資補助金の対象になる設備・製品の例
省力化投資補助金では、業種別に多様な省力化設備が対象になります。カタログ注文型・一般型のどちらでも対応する代表例は以下のとおりです。
| 業種 | 代表的な省力化設備・製品 |
|---|---|
| 飲食・宿泊 | 配膳ロボット、券売機、自動精算機、セルフオーダーシステム |
| 製造業 | 産業用ロボット、AGV(無人搬送車)、検査自動化装置、協働ロボット |
| 卸売・小売 | セルフレジ、自動倉庫、棚卸システム、自動発注システム |
| 物流・運輸 | 自動仕分け装置、ピッキングロボット、配送管理システム |
| 介護・医療 | 見守りセンサー、移乗支援機器、配薬支援システム |
| 清掃・ビルメン | 清掃ロボット、巡回点検ロボット |
| 建設 | ICT建機、測量・現場管理システム |
同じ設備名でも、カタログ登録機種を選べばカタログ注文型、自社現場に合わせて特注したり複数機器を組み合わせたりすれば一般型、というように導入方法で類型が変わります。業種別のおすすめ製品や活用例は以下の記事も参考にしてください。
省力化投資補助金の公募スケジュールはいつまで?【2026年8月最新】
省力化投資補助金の受付期間は2類型で大きく異なります。カタログ注文型は2027年3月末頃まで随時申請可能、一般型は第8回公募が2026年8月中旬に開始予定で、申請受付開始は2026年9月中旬、公募締切は2026年10月中旬が見込まれています(いずれも予定)。
カタログ注文型のスケジュールと申請の流れ
カタログ注文型は受付期間内であれば随時申請が可能です。一般型のような公募回ごとの締切がないため、自社の準備が整ったタイミングで動けるのが特徴です。受付期間は2026年3月19日の改定により延長され、2027年3月末頃までとなっています。累計補助上限額の範囲内であれば2回目以降の申請も可能です。
1. GビズIDプライムを取得(2〜3週間程度)
2. カタログから自社に合う製品を選ぶ
3. 販売事業者に相談・見積もりを取得
4. 販売事業者と共同で電子申請
5. 交付決定後、製品を導入
6. 実績報告・補助金交付
一般型の第7回・第8回公募スケジュール
一般型 第7回公募は2026年7月31日17:00で締め切られました。第8回公募は2026年8月中旬に開始予定で、申請受付開始は2026年9月中旬、公募締切は2026年10月中旬が見込まれています(採択発表のスケジュールは後日公表予定)。
| 項目 | 第7回公募 | 第8回公募 |
|---|---|---|
| 公募開始 | 2026年6月5日(金) | 2026年8月中旬(予定) |
| 申請受付開始 | 2026年7月1日(水)10:00 | 2026年9月中旬(予定) |
| 公募締切 | 2026年7月31日(金)17:00 | 2026年10月中旬(予定) |
| 採択発表 | 2026年11月中旬(予定) | 後日公表予定 |
なお、直前の第6回公募(2026年5月15日締切)の採択発表は2026年8月下旬(予定)に控えています。第7回で不採択となった場合や第7回の締切に間に合わなかった場合は、第8回公募での再申請が可能です。
申請にはGビズIDプライムの取得が必須で、発行までに2〜3週間程度かかります。事業計画書も自社(または認定経営革新等支援機関の支援を受けて)作成する必要があるため、カタログ注文型と比べて準備期間に余裕をもったスケジュールが求められます。
1. GビズIDプライムを取得(2〜3週間程度)
2. 公募要領を確認
3. 事業計画書を作成
4. 電子申請(申請マイページ)
5. 書面審査・口頭審査(採択候補者決定)
6. 交付申請・交付決定
7. 補助事業の実施(交付決定日から18ヶ月以内)
8. 実績報告・補助金交付
9. 事業実施効果報告(1年目終了後の4月から5年間)
GビズIDの取得方法は以下の記事で詳しく解説しています。
【要チェック】一般型 第7回公募で変わった重要ポイント
一般型 第7回公募(2026年7月締切)では、賃上げ要件の厳格化・加点項目の拡充・審査体制の変更など、申請可否や採択率に直結する重要な変更が加えられました。第8回で申請を検討している事業者も、これらのルールは継続適用される可能性が高いため事前確認が必須です。
従業員21名以上は「一般事業主行動計画」の公表が必須に
第7回公募から、従業員21名以上の事業者は「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」を策定し、厚生労働省「両立支援のひろば」等で公表することが基本要件として義務化されました。未対応の場合は申請自体が不可となるため、対象規模の事業者は早めの準備が必要です。
加点項目が3つ新設(省力化ナビ・健康経営・生産性向上支援センター)
第7回公募では、以下の3つの加点項目が新設されました。同じ採択枠を巡る競争が激化するなか、加点獲得は採択への大きな武器になります。
- 省力化ナビ加点:中小機構「省力化ナビ」を活用し、生産性向上の知見を確認した事業者
- 健康経営優良法人加点:「健康経営優良法人2026」認定を取得している事業者
- 生産性向上支援センター利用加点:2026年4月新設の「生産性向上支援センター」の支援を受けた事業者
口頭審査は約30分・従業員1名の同席が可能に
書面審査を通過した申請者に実施される口頭審査は、第7回から所要時間が約30分に拡大されました。従来は代表者のみでしたが、役員または従業員1名の同席が認められ、より詳細な説明が可能となっています。
米国の追加関税措置の影響を反映
第7回公募からは、米国の追加関税措置の影響を受けている事業者向けに、指定様式での説明が可能となりました。輸出入への影響を事業計画に反映させる必要があります。
効果報告は事業計画1年目終了後の4月から5年間
事業実施後の効果報告期間は、事業計画1年目終了後の最初の4月から5年間と明確に規定されました。労働生産性・給与支給総額の実績を毎年報告する義務があり、未達の場合は補助金の返還を求められる可能性があります。
省力化投資補助金(一般型)のこれまでの採択率
一般型のこれまでの採択率は概ね6〜7割で推移しており、他の主要補助金(採択率3〜5割前後)と比較すると採択されやすい制度といえます。第1回から第5回までの実績は以下のとおりです。
| 公募回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1,809件 | 1,240件 | 68.5% |
| 第2回 | 1,160件 | 707件 | 60.9% |
| 第3回 | 2,775件 | 1,854件 | 66.8% |
| 第4回 | 2,100件 | 1,456件 | 69.3% |
| 第5回 | 2,035件 | 1,251件 | 61.5% |
第5回公募では採択率61.5%と、過去最高だった第4回(69.3%)からやや低下しましたが、全体を通じて申請の6〜7割が採択されている傾向は変わっていません。第6回の採択結果は2026年8月下旬に発表予定で、加点項目の増加や賃上げ要件の厳格化がどう影響するかが注目されます。
採択された事業の具体的な傾向やポイントは以下の記事で詳しく解説しています。
賃上げ要件と申請時の注意点
省力化投資補助金では、補助上限額の引き上げや補助率アップを受けるために賃上げが要件となります。事前着手の禁止など、申請前に押さえておきたいポイントもあわせて確認しましょう。
一般型の賃上げ要件(労働生産性+4.0%・給与総額+3.5%)
一般型 第7回公募では、以下の基本要件を満たす事業計画の策定が求められます。
- 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上(日本銀行の物価安定の目標+1.5%)
- 事業場内最低賃金水準要件
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上)
目標値が未達の場合、補助金の返還義務が発生します(再生事業者は返還要件が免除)。大幅な賃上げを行うと補助上限額の引き上げ特例が適用されます。
カタログ注文型の賃上げ要件
カタログ注文型は2026年3月19日の改定で賃上げ特例が見直されました。事業場内最低賃金を3.0%以上増加(日本銀行の物価目標+1.0%)、給与支給総額を6.0%以上増加させることが大幅賃上げ特例の要件です。従来の「45円以上」という金額ベースから、物価動向に連動した「率」による基準へと変わっています。自己の責によらない正当な理由なく未達の場合、補助額は減額扱いです。
事前着手・財産処分・収益納付の扱い
以下の3点は申請前に必ず押さえておきましょう。
- 事前着手の禁止:交付決定前に発注・契約・支払いを行った経費は補助対象外
- 財産処分制限:補助金で取得した設備は法定耐用年数の間、事務局の事前承認なく処分・譲渡・転用できない
- 収益納付は撤廃:カタログ注文型は2026年3月19日改定で撤廃、一般型は当初から対象外
省力化投資補助金に関するよくある質問
省力化投資補助金は怪しい制度ではない?
省力化投資補助金は経済産業省・中小企業庁が所管する公的な補助制度で、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施しています。国の令和5年度補正予算により創設され、公式サイト(https://shoryokuka.smrj.go.jp/)から申請できます。「怪しい」と検索される背景には、補助金全般に対する不安や、無関係の民間業者を装った勧誘の存在があります。申請は必ず公式サイトから行い、GビズIDプライムアカウントで電子申請する仕組みです。
ものづくり補助金など他の補助金と併用できる?
同じ経費に複数の補助金を充てることはできません。IT導入補助金と類似テーマの事業は併用不可、ものづくり補助金は過去3年間に2回以上交付決定を受けた事業者は対象外、事業再構築補助金は同一事業での併用不可などの制限があります。経費が重複しない別事業であれば併用可能なケースもあるため、事務局や専門家への確認をおすすめします。
既存設備の置き換えだけでも対象になる?
単なる置き換えは認められないことが多く、削減時間や削減人数など新たな省力化効果を試算で示せることが必要です。同等性能の入れ替えではなく、明確な省力化につながる導入であることが採択のポイントです。
個人事業主でも申請できる?
日本国内で事業を営む個人事業主も対象です。業種別の規模要件(資本金・従業員数)を満たすことが条件となります。申請にはGビズIDプライムの取得が必要で、法人と同様の手続きで進められます。ただし一般型は応募申請時点で従業員が0名の場合は申請不可、カタログ注文型は追加審査を経れば1回目の申請は可能ですが2回目以降は不可となります。
賃上げ目標が未達だとどうなる?
引き上げられた補助額分の返還を求められる可能性があります。一般型では基本要件(労働生産性+4.0%、給与支給総額+3.5%)が未達の場合、補助金の返還義務が発生します。自己の責によらない正当な理由がある場合は減額にとどまる扱いです。
採択率はどれくらい?
一般型は第1回68.5%、第2回60.9%、第3回66.8%、第4回69.3%、第5回61.5%と、6〜7割で推移しています。他の主要補助金(採択率3〜5割前後)と比べると採択されやすい水準です。カタログ注文型は仕組みが異なりますが、一定の割合で支給が決定しています。詳しくは以下の記事で解説しています。
不採択でも再申請できる?
一般型は次回以降の公募で再申請可能です。第7回で不採択となった場合は、2026年8月中旬開始予定(締切:2026年10月中旬予定)の第8回公募に再チャレンジできます。カタログ注文型も、累計補助上限額の範囲内であれば2回目以降の申請が可能になりました(2026年3月19日改定)。
申請から補助金受領までどのくらいかかる?
一般型は申請から採択発表まで約4カ月(第7回は2026年7月申請→11月中旬採択発表予定)、その後交付申請・交付決定を経て事業実施(交付決定日から18ヶ月以内)、実績報告・補助金受領まで合計で1年〜2年程度を見込みます。カタログ注文型は随時申請のため、採択・交付決定は申請から概ね1〜2ヶ月程度が目安です。
GビズIDは必要?
一般型もカタログ注文型も、GビズID(プライム)が必要です。GビズIDの取得には2〜3週間程度かかるため、申請を検討する場合は早めの準備をおすすめします。あわせて読みたい:
中古品や賃貸借(リース)は対象になる?
中古品は原則として対象外で、新品の設備導入が補助対象となります。賃貸借(リース)については、カタログ注文型ではファイナンス・リース取引を利用した導入が可能です。ただしカタログ注文型で賃貸借契約により導入する場合、1年未満で解約すると交付決定の取消(補助金返還)の対象となる点に注意が必要です。
まとめ
省力化投資補助金は、人手不足の解消や生産性向上、賃上げの実現を強力に支援する制度です。カタログ注文型と一般型で要件や申請方法が異なるため、あらかじめ違いを理解した上で自社に合った類型を選ぶことが採択への第一歩です。
・目的:人手不足対応・生産性向上・賃上げ実現
・2類型:カタログ注文型(簡易・即効)/ 一般型(個別最適・大型)
・補助上限:カタログ注文型 最大1,500万円 / 一般型 最大1億円
・補助率:1/2〜2/3(賃上げ要件達成で上乗せ)
・受付:カタログ注文型は2027年3月末頃まで随時 / 一般型 第8回は2026年8月中旬公募開始予定(申請受付開始9月中旬・締切10月中旬予定)
・第7回変更点:従業員21名以上の一般事業主行動計画公表、加点項目3種新設、口頭審査30分、歯科医業医療法人が対象追加
・過去採択率:概ね6〜7割(第1回68.5%〜第5回61.5%)
設備投資に使える他の補助金と比較検討したい場合は、以下の記事もあわせてご確認ください。
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