国内では新型コロナウイルスの感染拡大を契機にテレワークが拡大し、コロナ時代の働き方のスタンダードとして広く認知されるようになりました。
しかし一方では「生産性の低下」「機器やネットワークの整備」「現場管理の難しさ」「セキュリティ面での不安」などからテレワークの定着に難しさを感じている企業も多く存在しているようです。東京都商工会議所の調査では、2021年1月~3月の期間、66.2%あったテレワーク実施率は、5月の調査で38.4%%まで下落し、8月の調査では、ほぼ横ばいの39.9%ということでした。
参考:中小企業のテレワーク実施状況に関する調査(※5月、8月の調査は、それまでの調査先とは異なるため、前の調査との比較は参考情報)
そこで、今回はテレワークの導入・定着に取り組む企業が、テレワーク専門家への相談を無料で利用する事ができる「テレワークマネージャー相談事業」について紹介します。
テレワークの運用に苦戦しているという事業者の方は、業務の流れや分担のみなおし、テレワークの効果を最大限に伸ばす工夫等について是非ご相談ください。
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この記事の目次
そもそもテレワークって何?
テレワーク(リモートワーク)とは、ICT(information & communication technology=情報通信技術)を活用し、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方のことで、自宅で業務を行う場合には「在宅勤務」とも呼ばれます。
従業員の通勤に係る負担がなくなることや、育児や介護に携わる社員の雇用を継続できること、地方に在住する優秀な人材の採用が可能になることなど、雇用面において特に大きなメリットがあるため、政府は働き方改革の中で国民のライフワークバランスの向上を図るための中心的な施策として、テレワークの推進に取り組んでいます。
テレワーク導入に向けた課題は?
働き方改革や、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、さらには災害発生時のBCP対策としても有効なテレワークですが、導入に当たっては様々なITツールの導入や制度の整備が必要となるため、自社の組織構造や事業形態、ITリテラシーを理解した上で適切な仕組みを構築することは必要不可欠です。
下記では多くの企業が感じているテレワークの課題と、解決を図るために活用できるITツールについて紹介します。
(1)遠隔でのコミュニケーション
多くの企業が初めてテレワークを本格導入した時に感じる最大の課題がこのコミュニケーションといわれています。
社内のメンバーが別々の場所で業務を行うテレワークでは、コミュニケーションをパソコンの画面や音声のみで行うため、これまでの対面でのコミュニケーションのように表情や身振り手振りから細かいニュアンスを読み取ることは困難です。
また、同僚と会う機会が減ることでメンバーとの一体感が失われてしまうことも多く、仕事そのものへのモチベーションの維持にも工夫が必要となります。
社員同士のコミュニケーションはメールや電話、チャットツールなどでも可能ですが、同時に多くのメンバーが参加し、互いに表情を見ながらコミュニケーションを図ることが出来る、WEB会議システム等を利用すれば、チーム内でよりスムーズな意思の疎通が可能になります。
会話の録音や、画面共有、テキストの共有などが可能な製品もありますので、テレワークの定着に向けて最優先で導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(2)労働実態の把握
テレワークでは従業員が管理者や他のメンバーがいない自宅などで勤務するため、労働実態が把握しずらいのも大きな課題です。
従業員が慣れないテレワークで業務を抱え込み、連日サービス残業を行っているケース等も多くあるため、各社員の状況を把握するために勤怠管理の方法を確立することが重要です。
メールや電話で勤怠の報告を行っている企業も多いですが、これだけでは従業員のサービス残業まで把握することはできませんので、場合によってはパソコンの操作ログによって勤怠を記録するシステムなどの導入も視野にいれ、労働時間に関するルール作りを徹底する事が必要です。
また、テレワーク社員の評価には、労働時間の長さではなく仕事の成果を評価するためタスク管理機能を備えたITツールなどを導入するなど、評価制度などの仕組みづくりも大切です。
(3)情報漏えい等に関するセキュリティリスク
多くの機密情報や情報資産を抱える企業では、情報セキュリティ面での不安もテレワーク導入に慎重になる理由として多く挙げられています。
社員が社内のみで仕事をする場合よりも外部に情報が持ち出される危険性が高まることは間違いありませんので、テレワークの運用を想定したセキュリティポリシーの見直しとともに、ウィルス対策ソフトの導入や、気密性の高いデータを暗号化するためのITツールなどの導入を進めることが必要です。
(4)世代間のITリテラシーの格差
近年は70歳以上の高齢者におけるスマートフォンの普及率も50%を超えるまでになりましたが、学生時代からスマートフォンを通じ表計算ソフトやSNS、クラウドストレージなどに慣れ親しんでいる若者世代に比べ年齢層の高い労働者程テレワークへの対応が難しいという現実もあります。
企業ごとに取り組みのスタートラインとなる社員のITリテラシーは異なるため、テレワークの定着に成功するためには、導入企業ごとにその様態を適切にコーディネートできる専門家の支援を受ける事が、近道の一つといえるのではないでしょうか。
こうした、課題を解決するために創設されたのが、今回紹介する「テレワークマネージャー相談支援事業」です。
テレワークマネージャー相談事業とは?
テレワークマネージャー支援事業は、企業や地方自治体等を対象に、テレワークの導入に関する相談やITツールに関する情報提供などの支援を無料で行う総務省の支援事業です。
2018年から「テレワークマネージャー派遣事業」という名称で対面でのテレワーク相談を行っていたものですが、現在はコロナの影響を踏まえWEB会議や電話相談での対応を行う「相談事業」として実施されています。※現地派遣は地域のコロナ感染状況を踏まえて判断されます。
支援内容
この事業ではこれまで全くテレワークを行ってこなかった企業が初めてテレワークを導入する場合でも、計画の策定段階から相談を行う事が可能です。
毎年様々なITツールが開発される中で、専門家による最新の情報に基づいたコーディネートが期待出来るため、自社のITリテラシーに不安がある場合でも適切な環境整備に取り組むことが可能です。
・テレワークによる効果の説明
・テレワークに適したITツールについての情報提供
・情報セキュリティ対策についての相談
・労務管理等についての相談
・そのほか導入に向けての情報提供、相談などの支援
対象者
・民間企業
・都道府県・市町村等の地方公共団体及びそれに準ずる団体等
支援の方法
WEB会議・電話または派遣訪問で無料の相談対応などを行います。
・1回1~2時間、3回前後実施が目安
利用方法
①下記のウェブサイトで事業の利用者登録を行います。
②利用者登録後に入れる「マイページ」から、希望のマネージャーを検索します。⇒支援できる内容ごとにマネージャーを検索する事が可能です。
【選べる支援内容】
・テレワークの概要やモデルケースの動向等を知りたい
・導入プロセスを明確化し、実行計画を策定したい
・労働規則、人事評価等のルールを見直したい
・情報セキュリティ対策について知りたい
・導入済みテレワーク制度の評価・改善アドバイスが欲しい
・テレワークの導入の目的と効果を明確にしたい
・テレワークに関する経営層と現場の認識をあわせ、方針をまとめたい
・テレワークを実現するICT環境・ツールについて知りたい
・テレワークのトライアル(試行)を実施したい
・テレワークにあわせて業務プロセス改善を図りたい(BPR)
③希望のマネージャーに支援の依頼を行う
・以降はマイページ内のチャットを利用して、直接日時の打ち合わせなどを行います。
④現地派遣・電話・WEB会議により支援を実施
※コロナの状況などにより現地派遣が受けられない場合もあります。
⑤支援実施後に報告書を提出
・支援の実施日に報告書の作成に必要なりマインドメールが送付されます。
総務省令和3年度テレワークマネージャー相談事業
https://teleworkmanager.go.jp/
まとめ
今回はテレワークの導入に取り組む事業者等を対象に、テレワークの専門家が無料で計画策定等の支援を行う、総務省の「テレワークマネージャー相談事業」について紹介しました。
コロナを契機にニューノーマルな働き方の実現が叫ばれる中、企業がこれからの時代を乗り切るためにはテレワークの定着が大きなカギとなります。
今後テレワークの導入に取り組む場合や、現在導入しているテレワークに不満を感じている場合には迷わずテレワークマネージャー相談事業をご活用ください。
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