「会社を辞めたら、国から退職給付金がもらえるらしい」――そう聞いて検索したものの、結局どの制度で、自分はいくらもらえるのか分からないと感じていないでしょうか。
結論から言えば、「退職給付金」という名前の単一制度は、国(厚生労働省)にも会社にも存在しません。会社から受け取る退職金と、退職後に国からもらえる失業手当(基本手当)・高年齢求職者給付金・傷病手当金などをまとめて呼ぶ「総称」です。沖縄労働局・ハローワーク那覇も、「退職給付金」という名称の制度はないと明示したうえで、この言葉を使う申請サポートサイトへの注意を呼びかけています。
一方で、受け取れるお金そのものは確実に存在し、金額はこの1年でも変わりました。2026年8月1日から雇用保険の基本手当日額が改定され、45〜59歳の上限は8,870円から9,110円へ、年齢共通の下限は2,411円から2,562円へ引き上げられています。2025年4月からは自己都合退職の給付制限も原則1か月に短縮されました。
この記事では、「退職後にもらえるお金」を会社と国の2つに分けて一覧にし、受給条件、月収別の早見表、年齢・退職理由別のシミュレーション、「退職前給付金」の正体、申請サポート業者の注意点、退職前後の手続きまでを解説します。
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この記事の目次
退職給付金とは?「退職給付金」という制度は存在しない
退職給付金とは、会社から支払われる退職金(退職給付)と、退職後に国からもらえる公的給付をまとめた「総称」です。この名前の申請書や窓口は、ハローワークにも健康保険にもありません。自分が受け取れるお金を漏れなく確認するには、「会社」と「国」の2つの財源に分けて考えるのが近道です。
図のとおり、会社からのお金は勤務先に退職金規程がなければ受け取れず、国からのお金は自分で申請しなければ受け取れません。どちらも「退職したら自動的に振り込まれる」ものではない点を押さえておきましょう。
「退職給付金」で検索した人が探している4つの制度
「退職給付金」で検索した人が実際に探している制度は、ほとんどが次の4つのいずれかです。どれに当てはまるかは、退職時の年齢・退職理由・退職後すぐに働けるかどうかで決まります。
| 知りたいこと | 正式名称 | 支払い元 |
|---|---|---|
| 退職時に会社からまとめて受け取るお金 | 退職一時金・企業年金(退職給付) | 勤務先の企業 |
| 65歳未満で退職し、求職活動をするときのお金 | 基本手当(失業手当) | ハローワーク(雇用保険) |
| 65歳以上で退職したときのお金 | 高年齢求職者給付金 | ハローワーク(雇用保険) |
| 病気・ケガで働けずに退職したときのお金 | 傷病手当金(継続給付) | 加入していた健康保険 |
まず自分がどのケースかを確認してから、条件と金額を調べるのが最短ルートです。
厚労省・ハローワークの「退職給付金制度」はある?
厚生労働省やハローワークが「退職給付金」という名前で支給している制度はありません。「国からもらえる退職給付金」と呼ばれているものの実体は、厚生労働省が所管する雇用保険の失業手当(基本手当)・高年齢求職者給付金と、健康保険の傷病手当金です。
いずれも実在する公的制度で、自分でハローワークや加入していた健康保険に申請すれば手数料なしで受け取れます。沖縄労働局・ハローワーク那覇は「退職給付金」がありますとうたう申請サポートサイトについて、そのような名称の制度は存在せず、実際の制度は失業等給付であると注意を促しています。SNSや広告で「厚労省の退職給付金制度で最大○○万円」と紹介されている場合は、民間の有料サポートの宣伝と考えてよいでしょう。
退職金と退職給付金の違いは?
退職金は勤務先の会社が退職金規程に基づいて支払うお金で、退職給付金は退職金に国の公的給付まで含めた、より広い「総称」です。つまり、退職金は退職給付金の一部という関係になります。
| 比較項目 | 退職金 | 退職給付金(総称) |
|---|---|---|
| 支払い元 | 勤務先の企業(中退共・企業年金基金を含む) | 企業+国(雇用保険・健康保険)+市区町村 |
| 根拠 | 就業規則・退職金規程 | 退職金規程+雇用保険法・健康保険法など |
| 支給の義務 | 法律上の義務はない(規程があれば支払い義務) | 公的給付は要件を満たせば誰でも受給できる |
| 手続き | 原則不要(中退共・DCは本人が請求) | 公的給付は本人の申請が必要 |
| 税金 | 退職所得として課税(控除あり) | 失業手当・傷病手当金は非課税 |
退職金と公的給付は別制度なので、両方を同時に受け取れます。退職金を受け取ったからといって、失業手当が減額されることはありません。
退職手当・退職給与・退職補償金・退職者給付金の違いは?
退職手当・退職給与・退職一時金は、呼び方が違うだけで、いずれも会社が支払う「退職金」を指します。一方、「退職者給付金」「退職支援金」は公的制度の名称ではありません。似た言葉を整理すると、次のとおりです。
| 言葉 | 意味 | 公的制度の名称か |
|---|---|---|
| 退職金・退職手当・退職一時金 | 会社が退職時に支払うお金。公務員は「退職手当」と呼ぶ | 会社の制度(公務員は退職手当法) |
| 退職給与・退職給付 | 税務・会計上の用語で、退職金や企業年金の総称 | 会計・税務用語 |
| 退職補償金・解決金 | 解雇や退職勧奨の際に会社と合意して上乗せされるお金 | 個別の合意による |
| 退職給付金・退職者給付金・退職前給付金 | 退職後にもらえる公的給付をまとめた俗称・業者の呼び方 | 公的制度ではない |
退職金給付制度(退職給付制度)とは?会社の退職金の種類と仕組み
退職金給付制度(退職給付制度)とは、会社が従業員の退職時や退職後に支払うお金の仕組みの総称で、「退職一時金」と「企業年金」の2本立てが基本です。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付制度がある企業は74.9%で、約4社に1社には制度自体がありません。退職一時金・企業年金(DB・DC)・中退共の違いは?
会社からもらえるお金は、退職時にまとめて受け取る「退職一時金」、年金形式でも受け取れる「企業年金」、中小企業が加入する共済制度の「中退共」に分かれます。複数を併用している企業も少なくありません。
| 制度 | 受け取り方 | 請求先 |
|---|---|---|
| 退職一時金 | 退職時に一括 | 勤務先(原則手続き不要) |
| 確定給付企業年金(DB) | 年金または一時金 | 企業年金基金・勤務先 |
| 企業型確定拠出年金(DC) | 原則60歳以降に年金または一時金 | 運営管理機関(転職時は移換手続きが必要) |
| 中小企業退職金共済(中退共) | 退職後に一括または分割 | 勤労者退職金共済機構 中退共事業本部 |
会計用語の「退職給付制度」「退職給付債務」とは?
会計上の「退職給付」とは、従業員の退職後に支給される給付全般を指し、企業はその将来の支払見込額を「退職給付債務」として貸借対照表に計上します。企業年金や退職一時金の原資をどう積み立てているかを表す概念で、退職する個人が受け取る手続きとは別の話です。
個人が「自分はいくらもらえるのか」を知りたい場合は、会計用語を調べるより、勤務先の退職金規程と、雇用保険・健康保険の給付を確認するほうが確実です。
国から退職金が出る制度はある?中退共と小規模企業共済
国が会社員に直接退職金を支払う制度はありませんが、国が設けた「退職金を積み立てる共済制度」は2つあります。会社員向けの中小企業退職金共済(中退共)と、個人事業主・小規模企業の役員向けの小規模企業共済です。
| 制度 | 対象 | 掛金を払う人 | 運営 |
|---|---|---|---|
| 中小企業退職金共済(中退共) | 中小企業の従業員 | 会社(全額事業主負担) | 勤労者退職金共済機構 |
| 小規模企業共済 | 個人事業主・小規模企業の役員など | 本人 | 中小企業基盤整備機構 |
中退共に加入している会社を退職した場合は、会社から受け取った「退職金共済手帳」で本人が請求し、中退共から直接振り込まれます。勤務先が中退共に加入しているかどうかは、退職金規程か人事担当者に確認しましょう。
「退職支援金」「退職補助金」という制度はある?
個人が退職したことだけを理由に受け取れる「退職支援金」「退職補助金」「退職助成金」という国の制度はありません。退職後の生活や再就職を支える国の制度として実際に使えるのは、失業手当・再就職手当・教育訓練給付金・職業訓練受講給付金・住居確保給付金などです。
なお、企業が退職金制度を新たに導入した場合に国から助成を受けられる「キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コース」はありますが、これは事業主向けの制度で、退職する個人が申請するものではありません。
退職後にもらえるお金・退職したらもらえるお金一覧【2026年10月時点】
退職後にもらえるお金は、会社からの退職金3種類と、国からの給付9種類の合計12種類に整理できます。ただし全員がすべてを受け取れるわけではなく、「65歳以上か」「すぐ働ける状態か」「再就職が決まったか」の3点で、使える給付が分かれます。
チャートで自分の該当ルートを確認したら、下の一覧でそれぞれの金額の目安と申請先を確認しましょう。
国からもらえる9つの給付(2026年8月改定後)
国からもらえるお金の中心は、雇用保険の失業手当(基本手当)と健康保険の傷病手当金です。2026年8月1日改定後の金額を反映した一覧は次のとおりです。
| 種類 | もらえる人 | 金額の目安 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 失業手当(基本手当) | 65歳未満で求職活動をする人 | 日額2,562〜9,110円 × 90〜330日 | ハローワーク |
| 高年齢求職者給付金 | 65歳以上で求職活動をする人 | 基本手当日額の30日分または50日分(最大372,500円) | ハローワーク |
| 特例一時金 | 季節労働などの短期雇用特例被保険者 | 基本手当日額の30日分(当分の間40日分) | ハローワーク |
| 再就職手当 | 失業手当の受給中に早期に再就職した人 | 残りの基本手当の60%または70% | ハローワーク |
| 広域求職活動費・移転費 | 遠方での面接や転居を伴う再就職をする人 | 交通費実費+着後手当38,000〜95,000円 | ハローワーク |
| 教育訓練給付金 | 指定講座でスキルアップする人 | 受講費用の最大80%(専門実践は年間上限64万円) | ハローワーク |
| 職業訓練受講給付金 | 失業手当を受給できない求職者 | 月10万円+通所手当 | ハローワーク |
| 傷病手当金(継続給付) | 病気・ケガで働けずに退職した人 | 標準報酬日額の3分の2 × 通算1年6か月まで | 加入していた健康保険 |
| 住居確保給付金 | 離職・廃業後2年以内で家賃の支払いに困っている人 | 自治体が定める上限額 × 原則3か月(最大9か月) | 市区町村の自立相談支援機関 |
再就職手当・教育訓練給付金・住居確保給付金・求職者支援制度は、それぞれ専門記事で受給条件と計算方法を詳しく解説しています。
自己都合退職でもらえるお金は?
自己都合退職でも、雇用保険の加入期間が離職前2年間に通算12か月以上あれば、失業手当(基本手当)を90〜150日分受け取れます。会社に退職金規程があれば退職金も支給されますが、自己都合退職は会社都合や定年より低い支給率に設定されているのが一般的です。
- 失業手当:90〜150日分(7日間の待期+原則1か月の給付制限のあとに支給)
- 会社の退職金:規程があれば支給(自己都合の支給率で計算)
- 再就職手当:失業手当の受給中に早期再就職した場合
- 教育訓練給付金:指定講座を受講した場合
給付制限は、2025年4月1日以降の離職から原則2か月→1か月に短縮されました。ただし、離職日以前5年間に2回以上、自己都合離職で受給資格決定を受けている場合(3回目以降)は3か月です。また、離職前1年以内や離職後に教育訓練給付の対象講座などを受講した場合は、給付制限が解除されます。
会社都合退職でもらえるお金は?
倒産・解雇などの会社都合退職(特定受給資格者)は、失業手当の給付日数が最大330日に伸び、給付制限もありません。同じ45歳・加入20年でも、自己都合なら150日、会社都合なら330日と2倍以上の差があります。
さらに会社都合退職や雇止め(特定理由離職者)では、国民健康保険料の軽減措置も受けられます。会社から「再就職援助計画対象労働者証明書」を受け取った場合は、再就職支援の対象にもなります。
退職給付金をもらう条件は?給付ごとの受給要件
国の給付を受け取れるかどうかは、雇用保険・健康保険に「どれだけの期間加入していたか」と「退職後に働ける状態か」の2点でほぼ決まります。会社の退職金は、勤務先の退職金規程で定められた勤続年数などの条件を満たしているかどうかが基準です。
失業手当・高年齢求職者給付金・傷病手当金の受給条件
失業手当(基本手当)は、原則として離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です。会社都合退職(特定受給資格者)や、雇止め・病気などやむを得ない理由の退職(特定理由離職者)は、離職日以前1年間に6か月以上あれば受給できます。
| 給付 | 加入期間の条件 | その他の条件 |
|---|---|---|
| 失業手当(自己都合・定年など) | 離職前2年間に通算12か月以上 | 65歳未満で、働く意思と能力があり求職活動をしている |
| 失業手当(会社都合・特定理由離職者) | 離職前1年間に通算6か月以上 | 同上 |
| 高年齢求職者給付金 | 離職前1年間に通算6か月以上 | 65歳以上で、働く意思と能力がある |
| 傷病手当金(継続給付) | 退職日まで継続して1年以上健康保険に加入 | 退職日に傷病手当金を受けているか、受けられる状態 |
被保険者期間は、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上(または労働時間が80時間以上)ある月を1か月として数えます。病気療養や休養ですぐに働けない場合は失業手当を受け取れないため、受給期間の延長を申請しておきましょう。
失業手当は何日分もらえる?所定給付日数
失業手当を受け取れる日数(所定給付日数)は、自己都合・定年退職なら90〜150日、会社都合退職なら90〜330日です。会社都合退職は年齢と被保険者期間によって日数が大きく伸びます。
| 離職理由・年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自己都合・定年(全年齢) | − | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
| 会社都合 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | − |
| 会社都合 30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 会社都合 35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 会社都合 45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 会社都合 60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
障害者などの就職困難者は、別途150〜360日の給付日数が定められています。
退職給付金はいくらもらえる?計算方法と月収別早見表
国からもらえる金額の中心である失業手当は、「基本手当日額×所定給付日数」で決まります。基本手当日額は退職前6か月の賃金をもとに、おおむね賃金の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で計算され、2026年8月1日からは45〜59歳の上限が日額9,110円です。
失業手当の計算方法は?3ステップで確認
失業手当の総額は、次の3ステップで計算できます。
- ステップ1:賃金日額=退職前6か月の賃金合計(賞与を除く)÷180
- ステップ2:基本手当日額=賃金日額×給付率(賃金が低いほど高く、80%〜50%。60〜64歳は80%〜45%)
- ステップ3:総額=基本手当日額×所定給付日数
基本手当日額には年齢別の上限があり、2026年8月1日以降は30歳未満7,450円、30〜44歳8,270円、45〜59歳9,110円、60〜64歳7,830円です。下限は年齢共通で2,562円です。
月収別の基本手当日額早見表(2026年8月改定後)
厚生労働省が公表している令和8年8月1日以降の計算式で、月収(額面・賞与を除く)ごとの基本手当日額を試算すると次のとおりです。
| 月収(額面) | 賃金日額 | 30歳未満 | 30〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 約6,666円 | 5,037円 | 5,037円 | 5,037円 | 4,916円 |
| 25万円 | 約8,333円 | 5,776円 | 5,776円 | 5,776円 | 5,264円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,307円 | 6,307円 | 6,307円 | 5,348円 |
| 35万円 | 約11,666円 | 6,630円 | 6,630円 | 6,630円 | 5,431円 |
| 40万円 | 約13,333円 | 6,744円 | 6,744円 | 6,744円 | 6,000円 |
| 50万円 | 約16,666円 | 7,450円(上限) | 8,270円(上限) | 8,333円 | 7,500円 |
| 60万円 | 20,000円 | 7,450円(上限) | 8,270円(上限) | 9,110円(上限) | 7,830円(上限) |
早見表は1円未満を切り捨てた試算です。実際の金額は、離職票の賃金額をもとにハローワークが決定します。
年齢・退職理由別シミュレーション(失業手当の総額)
国からもらえる金額の総額は、退職時の年齢・退職理由・雇用保険の加入期間の3つで大きく変わります。代表的な5パターンを2026年8月改定後の計算式で試算しました。
| ケース | 基本手当日額 | 給付日数 | 総額の目安 | 初回入金の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 35歳・自己都合・加入10年(月収30万円) | 6,307円 | 120日 | 約76万円 | 退職後 約1か月半 |
| 45歳・会社都合・加入20年(月収40万円) | 6,744円 | 330日 | 約223万円 | 退職後 約3週間〜1か月 |
| 60歳・定年・加入38年(月収45万円) | 6,750円 | 150日 | 約101万円 | 退職後 約3週間〜1か月 |
| 65歳以上・加入1年以上 | 上限7,450円 | 50日分(一時金) | 最大372,500円 | 申請後 約1か月 |
| 病気で退職・健康保険加入1年以上 | 標準報酬日額×2/3 | 通算1年6か月まで | 傷病手当金として支給 | 申請後 約2週間〜1か月 |
会社に退職金制度があれば、これに勤続年数と規程に応じた退職金が加わります。60歳の定年退職なら、大学・大学院卒の平均退職給付額1,896万円と合わせて総額2,000万円近くになる計算です。
65歳以上の高年齢求職者給付金は、老齢年金と同時に受け取れる点が65歳未満の失業手当との大きな違いです。詳しい受給条件と計算方法は専門記事で解説しています。
会社の退職金はいくら?相場・支払時期・税金
会社からもらえる退職金は、大学・大学院卒の定年退職者の平均で1,896万円、東京都の中小企業の大卒モデル退職金で約1,150万円です。ただし退職金制度がない会社もあり、勤続年数や退職理由でも金額は大きく変わります。
退職金の相場は?大卒定年1,896万円・中小企業約1,150万円
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の平均退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1,896万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1,682万円、高校卒(現業職)で1,183万円です。
一方、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」では、中小企業の大学卒の定年時モデル退職金は約1,150万円(1,149万5千円)、高校卒は約974万円と、企業規模によって大きな差があります。
自己都合退職は、会社都合退職や定年退職より低い支給率に設定されているのが一般的です。金額の目安は自社の退職金規程で確認し、必要なら退職前に人事部へ見積額を問い合わせましょう。
退職金はいつもらえる?自己都合退職の場合の支払時期
退職一時金の支払時期は会社の退職金規程で定めた日で、退職後1〜2か月以内に振り込まれるケースが一般的です。自己都合退職でも会社都合退職でも、規程に支払日の定めがあればそれに従います。
労働基準法第23条では、退職者から請求があれば賃金を7日以内に支払うよう定めていますが、退職金は就業規則で定めた支払時期に支払えばよいとされています。予定日を過ぎても振り込まれない場合は、まず人事担当者に確認し、解決しなければ労働基準監督署に相談しましょう。中退共の退職金は、請求書の受付からおおむね4週間で振り込まれます。
退職金の税金は?勤続30年なら1,500万円まで非課税
退職金には所得税・住民税がかかりますが、退職所得控除により税負担は大幅に軽くなります。控除額は勤続20年以下なら「40万円×勤続年数」(最低80万円)、20年超なら「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」です。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 10年 | 400万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 38年 | 2,060万円 |
控除後の金額はさらに2分の1だけが課税対象になります。「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しておけば原則として確定申告は不要で、提出しないと支払額に一律20.42%の税率で源泉徴収されます。
定年退職でもらえるお金一覧|60歳・65歳で何が変わる?
定年退職でもらえるお金は、会社の退職金、雇用保険の失業手当(65歳以上は高年齢求職者給付金)、再雇用時の高年齢雇用継続給付、老齢年金の4つが中心です。60歳で退職するか、65歳以降に退職するかで受け取れる給付が変わります。
| もらえるお金 | 60〜64歳で退職 | 65歳以上で退職 |
|---|---|---|
| 会社の退職金 | 規程があれば受け取れる | 規程があれば受け取れる |
| 雇用保険の給付 | 失業手当(最大150日分) | 高年齢求職者給付金(最大50日分の一時金) |
| 年金との関係 | 失業手当の受給中は特別支給の老齢厚生年金が全額停止 | 老齢年金と同時に受け取れる |
| 再雇用で働く場合 | 高年齢雇用継続給付(賃金が60歳時の75%未満に下がった場合、最大で賃金の10%) | 対象外 |
60〜64歳で失業手当を受けると、特別支給の老齢厚生年金を受け取れる方は年金が停止されるため、どちらが得かは金額で比べて判断しましょう。すぐに働かず休養する予定がある場合は、定年退職者向けの受給期間延長(最長1年)を離職日の翌日から2か月以内に申請しておくと、あとから失業手当を受け取れます。
定年後も同じ会社に再雇用される場合は失業手当の対象にならず、賃金が下がったときの高年齢雇用継続給付が中心になります。2025年4月以降に60歳になった方は、給付率の上限が15%から10%に引き下げられています。
退職前給付金とは?「退職前に申請するともらえるお金」の正体
「退職前給付金」「退職前給付金制度」という名前の公的制度は存在しません。民間の申請サポート業者が、在職中から準備する傷病手当金と、その後の失業手当の受給をセットにして呼んでいる言葉です。ただし、退職前に動いておかないと受け取れなくなるお金や手続きがあるのは事実です。
退職前給付金制度という国の制度はある?
国や厚生労働省が「退職前給付金」を支給する制度はなく、「会社を辞める前に申請すると誰でももらえる給付金」もありません。在職中に申請するもので実在するのは、在職中から使える教育訓練給付金や、病気・ケガで休業したときの傷病手当金などで、いずれも条件を満たした人だけが対象です。
業者の広告で「退職前に申請すれば最大○○万円」とされている金額は、多くの場合「傷病手当金を最長1年6か月受け取り、そのあと失業手当を受け取る」という前提で計算されています。
「傷病手当金→失業手当」の流れと受け取れる条件
傷病手当金を退職後も受け取り、回復後に失業手当を受け取る流れは制度上可能ですが、医師の意見をもとに保険者が「労務不能」と認めた人だけが対象です。健康な状態で退職する方が受け取れるのは、失業手当だけです。
傷病手当金を退職後も受け取るには、退職日まで継続して1年以上健康保険に加入していること、退職日までに連続3日間の待期を満たしていること、退職日当日も労務不能で出勤していないことが必要です。支給額は1日あたり標準報酬日額の3分の2で、支給開始日から通算1年6か月まで受け取れます。
傷病手当金を受けている間は働ける状態にないため、失業手当は受け取れません。ハローワークで受給期間の延長(最長3年間延長し、合計4年間)を申請しておき、回復してから失業手当を受け取る流れになります。
退職前にやっておくべきことは?健康な人も必須の5項目
退職前にやっておかないと損をする手続きは、病気かどうかに関係なく5つあります。特に「退職所得の受給に関する申告書」と離職票の依頼は、全員に関係します。
| 退職前にやっておくこと | 理由 |
|---|---|
| 退職金規程を確認し、見積額を人事に聞く | 自己都合と会社都合で金額が変わるため |
| 「退職所得の受給に関する申告書」を提出する | 提出しないと20.42%が源泉徴収されるため |
| 離職票の発行を会社に依頼する | 失業手当の申請に必須のため |
| 離職理由(自己都合か会社都合か)を確認する | 給付日数と給付制限の有無が大きく変わるため |
| 教育訓練給付金の対象講座を調べる | 在職中から使え、受講すると給付制限が解除される場合があるため |
病気やケガで実際に働けない状態なら、在職中に医師を受診し、傷病手当金の要件を退職日までに満たしておくことが大切です。一方、健康な方が受給目的で受診・申請することは不正受給にあたります。
退職給付金はいつ・どうやってもらう?申請先と振込までの期間
退職給付金は「退職したらすぐ振り込まれる」わけではなく、給付ごとに支給のタイミングと申請先が違います。自動的に振り込まれるのは会社の退職一時金くらいで、国の給付は自分で申請しないと受け取れません。
退職給付金はいつもらえる?給付ごとの振込タイミング
会社の退職一時金は退職後1〜2か月、失業手当は会社都合・定年なら約3週間〜1か月、自己都合なら約1か月半が初回入金の目安です。
| もらえるお金 | 初回振込までの目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 退職一時金 | 退職後1〜2か月 | 退職金規程で支給日を確認 |
| 失業手当(自己都合退職) | 退職後 約1か月半 | 7日待期+原則1か月の給付制限あり |
| 失業手当(会社都合・定年退職) | 退職後 約3週間〜1か月 | 7日待期のみで給付制限なし |
| 高年齢求職者給付金 | 申請後 約1か月 | 一時金で一括振込 |
| 再就職手当 | 申請後 約1か月 | 就職日の翌日から1か月以内に申請 |
| 傷病手当金 | 申請後 約2週間〜1か月 | 申請書に医師の意見欄の記入が必要 |
| 中退共の退職金 | 請求書の受付後 約4週間 | 本人口座へ直接振込 |
生活費に余裕がない状態で退職する予定なら、入金までの期間を見込んで2〜3か月分の生活資金を用意しておくと安心です。
退職給付金はどうやってもらう?申請先と必要書類
退職給付金は、給付ごとに決められた窓口へ本人が申請してもらいます。特に注意したいのが、失業手当の「離職日の翌日から1年」という受給期間で、申請を大きく遅らせると期限内に受け取り切れず日数が残ってしまいます。
| もらいたいお金 | 申請先 | 主な必要書類 | 申請期限 |
|---|---|---|---|
| 退職一時金 | 勤務先(原則手続き不要) | 退職所得の受給に関する申告書 | 退職時 |
| 企業型DCの資産 | 運営管理機関 | 移換の申出書類 | 資格喪失の翌月から6か月以内 |
| 中退共の退職金 | 中退共事業本部 | 退職金共済手帳(請求書) | 退職後5年(時効) |
| 失業手当・高年齢求職者給付金 | 住所地のハローワーク | 離職票、本人確認書類、マイナンバー確認書類、通帳 | 失業手当は離職日の翌日から1年以内、高年齢求職者給付金は6か月以内 |
| 傷病手当金(継続給付) | 加入していた健康保険 | 支給申請書(医師の意見欄あり) | 労務不能だった日ごとに2年以内 |
| 住居確保給付金 | 市区町村の自立相談支援機関 | 本人確認書類、収入・預貯金の証明、賃貸借契約書 | 離職・廃業後2年以内 |
ハローワークで失業手当をもらうまでの流れ
失業手当は、離職票を持ってハローワークで求職の申込みをしたあと、原則4週間ごとの失業認定を受けて振り込まれます。
- STEP1 退職前:離職票の発行を会社へ依頼する
- STEP2 退職後10日〜2週間程度:会社から離職票が届く
- STEP3 住所地のハローワークで求職申込みをし、受給資格の決定を受ける
- STEP4 7日間の待期期間(自己都合退職は+原則1か月の給付制限)
- STEP5 雇用保険受給者初回説明会に参加し、原則4週間ごとに失業認定を受ける
- STEP6 認定日からおおむね1週間で指定口座に振込
「退職給付金がもらえる」業者は詐欺?本当にもらえる?
インターネット広告やSNSで見かける「退職給付金が最大○○万円もらえる」というサービスは、国の新しい制度ではなく、傷病手当金と失業手当の申請をサポートする民間の有料サービスです。給付そのものは公的な制度で、自分で申請すれば手数料はかかりません。また、雇用保険の給付額や期間は法律で決まっており、業者を通しても増えることはありません。
国民生活センターが注意喚起|相談は3年で約5倍
国民生活センターは2025年12月3日、「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意」と題する注意喚起を公表しました。PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた相談件数は、2021年度の42件から2024年度には217件と、3年で約5倍に増えています。
2025年度は10月末までの7か月間ですでに216件と、前年度1年分に迫るペースです(前年同期は90件)。東京労働局管内のハローワークの注意喚起資料では、契約当事者の平均年齢は42.7歳、平均契約購入金額は約29万円で、金額が分かる169件のうち146件が「10万円以上50万円未満」だったと紹介されています。
業者が言う「退職給付金」の正体は傷病手当金+失業手当
広告で示される高額な受給例の多くは、健康保険の傷病手当金(通算1年6か月)を受け取ったあと、受給期間を延長しておいた失業手当を受け取るという組み合わせを前提にしています。制度上は可能な受け取り方ですが、成立するのは病気やケガで実際に働けない状態にある人だけです。
傷病手当金の支給可否を判断するのは健康保険組合や協会けんぽで、医師の意見をもとに「労務不能」と認められる必要があります。「誰でももらえる」「退職前に申請するだけ」という説明を受けたら、いったん立ち止まったほうが安全です。
実際に起きているトラブル事例は?
国民生活センターの注意喚起では、次のような相談事例が紹介されています。典型例を知っておくことで、契約前の判断材料になります。
事業者の説明どおりの給付金を受け取れず、サポート費用の支払いを拒否したい。
相談事例2:解約したら高額な違約金を請求された
申請サポートの契約後に解約を申し出たところ、高額な違約金を請求された。
相談事例3:不正受給を促すような案内を受けた
契約後に、うつ病と診断されるためのマニュアルが届き、詐欺にあたらないか不安になった。
業者の指示に従って事実と異なる内容で申請すると、申請者本人が不正受給の責任を問われます。「業者に言われたとおりにした」では済まされません。
申請代行ができるのは社会保険労務士だけ
社会保険労務士法第27条により、報酬を得て労働・社会保険に関する申請書等の作成や提出手続の代行を業として行えるのは、社会保険労務士(社労士法人を含む)と法律で認められた弁護士などに限られます。資格のない事業者ができるのは、一般的な情報提供だけです。
社労士資格のない担当者から「書類の作成と提出はこちらでやっておきます」と言われた場合は、その場で資格を確認しましょう。ハローワークでは、失業手当の申請手続きについて無料で相談や案内を受けられます。
契約前に必ず確認すべき5項目
サポート費用は、受給見込額に対する成功報酬型や定額制など業者によって異なります。契約前に「自分のケースで最終的にいくら払うのか」を金額で確認しておくことが欠かせません。
- 手数料の計算方法(成功報酬の料率か、定額か)と支払総額の見込み
- 「全額返金保証」が適用される条件と、適用されないケース
- 解約の条件と違約金の有無(サポート開始前の解約でも違約金が発生するか)
- 実際に申請書を作成・提出するのは誰か(社会保険労務士かどうか)
- 受給できなかった場合に、支払った費用が返ってくるか
不正受給の罰則は?最大3倍返し+詐欺罪の可能性
事実と異なる申告をして失業手当を受け取ると、雇用保険法第10条の4に基づき、不正に受給した額の返還に加え、最大でその2倍の納付を命じられる(返還額と合わせて最大3倍返し)ことがあります。傷病手当金の不正請求も返還の対象で、悪質な場合は詐欺罪として刑事告発される可能性もあります。
迷ったときの相談窓口
契約を迷っている段階でも、トラブルになった後でも、公的な相談窓口を無料で利用できます。契約トラブルは消費者ホットライン「188(いやや!)」から最寄りの消費生活センターへ、失業手当の手続きは住所地を管轄するハローワークへ問い合わせましょう。
退職前後に必要な手続き|健康保険・年金・住民税
退職給付金を漏れなく受け取るには、健康保険・年金・住民税の手続きも期限内に進める必要があります。特に健康保険の任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民健康保険は14日以内と期限が短く設定されています。
健康保険は任意継続・国民健康保険・扶養のどれを選ぶ?
退職後の健康保険には3つの選択肢があります。家族の扶養に入れる場合は保険料の負担がなくなるため、まず家族の勤務先に条件を確認しましょう。
| 選択肢 | 保険料 | 申請先 | 申請期限 |
|---|---|---|---|
| 健康保険の任意継続 | 全額自己負担(協会けんぽは令和8年度の標準報酬月額の上限32万円で計算) | 協会けんぽ・健康保険組合 | 退職日の翌日から20日以内 |
| 国民健康保険 | 前年所得などに応じて市区町村が算定 | 市区町村 | 退職日の翌日から14日以内 |
| 家族の被扶養者になる | 負担なし | 家族の勤務先 | 扶養の事実発生から5日以内が目安 |
任意継続は最長2年間加入できますが、加入中に新たに発病した病気・ケガでは傷病手当金を受け取れません。どちらが安いかは前年の所得と扶養家族の人数で変わるため、市区町村の窓口で国民健康保険料を試算してもらって比較するのが確実です。
会社都合退職なら国民健康保険料が軽減される
倒産・解雇などで離職した方は、国民健康保険料の算定で前年の給与所得を100分の30とみなす軽減措置を受けられます。対象は離職時に65歳未満で、雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当する方です。
軽減は離職日の翌日が属する月から、その翌年度末まで適用されます。自動では適用されず、雇用保険受給資格者証などを持参して市区町村へ申請する必要があります。この軽減を使うと、国民健康保険のほうが任意継続より安くなるケースが多くなります。
国民年金・住民税の手続きは?
厚生年金の資格を失った60歳未満の方は、14日以内に市区町村で国民年金第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。収入が減って保険料の納付が難しい場合は、失業を理由とする特例免除や納付猶予を申請できるため、未納のまま放置せず窓口に相談しましょう。
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後に収入がなくても支払いが続きます。1〜5月に退職する場合は最後の給与などから残額が一括徴収され、6〜12月に退職する場合は普通徴収に切り替わって自分で納付するのが原則です。転職先が決まっている方・決まっていない方別の給付は、次の記事でまとめています。
退職給付金に関するよくある質問
退職給付金とは何ですか?
「退職給付金」という名前の制度は国にも会社にも存在しません。会社から受け取る退職一時金・企業年金と、退職後に国からもらえる失業手当・高年齢求職者給付金・傷病手当金などをまとめた総称です。勤務先の退職金規程と、退職時の年齢・退職理由に応じた公的給付の2方向から調べると、自分が受け取れるお金を漏れなく確認できます。
厚生労働省やハローワークに「退職給付金制度」はありますか?
ありません。「国からもらえる退職給付金」と呼ばれているものの実体は、雇用保険の失業手当(基本手当)・高年齢求職者給付金と、健康保険の傷病手当金です。沖縄労働局・ハローワーク那覇も、「退職給付金」という名称の制度はないとして注意を呼びかけています。これらは自分で申請すれば手数料なしで受け取れます。
退職金と退職給付金の違いは何ですか?
退職金は勤務先の会社が退職金規程に基づいて支払うお金で、退職給付金は退職金に国の失業手当や傷病手当金などの公的給付まで含めた総称です。退職金は法律上の支払い義務がなく規程がなければ支給されませんが、公的給付は要件を満たせば誰でも申請して受け取れます。退職金は退職所得として課税され、失業手当や傷病手当金は非課税です。
退職後にもらえるお金にはどんなものがありますか?
会社からの退職一時金・企業年金・中退共の3種類と、国からの失業手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、再就職手当、広域求職活動費・移転費、教育訓練給付金、職業訓練受講給付金、傷病手当金(継続給付)、住居確保給付金の9種類があります。どれを受け取れるかは、退職時の年齢・退職理由・すぐ働けるかどうかで決まります。
自己都合退職でももらえるお金はありますか?
あります。離職前2年間に雇用保険の加入期間が通算12か月以上あれば、失業手当を90〜150日分受け取れます。7日間の待期と原則1か月の給付制限のあとに支給され、初回入金は退職後約1か月半が目安です。会社に退職金規程があれば、自己都合の支給率で計算した退職金も受け取れます。
退職給付金をもらう条件は何ですか?
失業手当は原則として離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あり、働く意思と能力があって求職活動をしていることが条件です。会社都合退職や特定理由離職者は、離職日以前1年間に6か月以上で受給できます。傷病手当金の継続給付は、退職日まで継続して1年以上健康保険に加入し、退職時に傷病手当金を受けているか受けられる状態であることが条件です。
退職給付金はいくらもらえますか?
失業手当だけで比べると、35歳・自己都合・加入10年(月収30万円)なら120日分で約76万円、45歳・会社都合・加入20年(月収40万円)なら330日分で約223万円、60歳・定年・加入38年(月収45万円)なら150日分で約101万円が目安です。65歳以上は高年齢求職者給付金で最大372,500円の一時金です。これに会社の退職金が加わります。
失業手当の計算方法を教えてください。
退職前6か月の賃金合計(賞与を除く)を180で割って賃金日額を出し、年齢と賃金に応じた給付率(50〜80%、60〜64歳は45〜80%)を掛けて基本手当日額を求めます。これに所定給付日数を掛けたものが総額です。2026年8月1日以降、基本手当日額の上限は45〜59歳で9,110円、下限は2,562円です。
「退職前給付金」とは何ですか?
「退職前給付金」という名前の公的制度はありません。民間の申請サポート業者が、在職中から準備する傷病手当金と退職後の失業手当の受給をセットにして呼んでいる言葉です。傷病手当金は医師の意見をもとに労務不能と認められた人だけが対象で、健康な方が受給目的で申請することは不正受給にあたります。
「退職給付金が最大○○万円もらえる」という広告は本当ですか?詐欺ですか?
国の新制度ではなく、傷病手当金と失業手当の申請をサポートする民間の有料サービスです。国民生活センターは2025年12月3日、この種の申請サポートに関する相談が2021年度42件から2024年度217件へ増えたとして注意喚起を公表しました。高額な受給例は病気やケガで働けない状態が前提で、給付額は業者を通しても増えません。
退職金がない会社でも国からお金はもらえますか?
もらえます。退職金の支給は法律上の義務ではなく、厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では退職給付制度がある企業は74.9%です。退職金がなくても、雇用保険の加入期間などの条件を満たせば失業手当などの公的給付を受け取れます。
退職金はいつもらえますか?自己都合退職でも同じですか?
退職一時金の支払時期は会社の退職金規程で定めた日で、退職後1〜2か月以内に振り込まれるケースが一般的です。自己都合退職でも、規程に支払日の定めがあればそれに従います。中退共の退職金は、請求書の受付からおおむね4週間で振り込まれます。
退職金と失業手当は両方もらえますか?
両方もらえます。会社の退職金と雇用保険の失業手当は別の制度のため、退職金を受け取っても失業手当は減額されません。失業手当の受給には、働く意思と能力があり求職活動をしていることが条件になります。
定年退職でもらえるお金には何がありますか?
会社の退職金、雇用保険の失業手当(65歳以上で退職した場合は高年齢求職者給付金)、老齢年金が中心です。60〜64歳で再雇用され賃金が60歳時の75%未満に下がった場合は、高年齢雇用継続給付も受け取れます。60〜64歳で失業手当を受け取る間は、特別支給の老齢厚生年金が停止されます。
「退職支援金」「退職補助金」という国の制度はありますか?
個人が退職したことだけを理由に受け取れる「退職支援金」「退職補助金」という国の制度はありません。退職後に使える国の制度は、失業手当・再就職手当・教育訓練給付金・職業訓練受講給付金・住居確保給付金などです。
2026年8月1日の基本手当日額改定で何が変わりましたか?
基本手当日額の上限額が年齢区分ごとに引き上げられました。45歳以上60歳未満は8,870円から9,110円、30歳以上45歳未満は8,055円から8,270円、60歳以上65歳未満は7,623円から7,830円、30歳未満は7,255円から7,450円です。年齢共通の下限額も2,411円から2,562円に引き上げられました。
退職金を受け取ったら確定申告は必要ですか?
勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、適正な税額が源泉徴収されるため原則として確定申告は不要です。提出していない場合は支払額に一律20.42%が源泉徴収されるため、確定申告をすると納めすぎた税金が還付される可能性があります。
まとめ
退職給付金とは、会社から受け取る退職金と、失業手当・高年齢求職者給付金・傷病手当金など国からもらえる給付の総称で、「退職給付金」「退職前給付金」という単一の公的制度は存在しません。会社の退職金は大学・大学院卒の定年退職者の平均で1,896万円という調査結果がある一方、約4社に1社には制度がないため、まずは自社の規程確認が欠かせません。
国の給付は、2025年4月から自己都合退職の給付制限が原則1か月に短縮され、2026年8月1日からは基本手当日額の上限が引き上げられました(45〜59歳は日額9,110円)。失業手当の総額は、35歳・自己都合・加入10年で約76万円、45歳・会社都合・加入20年で約223万円、60歳・定年・加入38年で約101万円が目安です。
「退職給付金がもらえる」とうたう申請サポートは国の制度ではなく、給付額も業者を通して増えることはありません。失業手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間、任意継続は退職日の翌日から20日以内と期限が短いため、退職が決まったら早めにハローワークや市区町村の窓口で手続きを進めましょう。
- 「退職給付金」という制度はない:会社の退職金+国の公的給付の総称。「退職前給付金」も業者の呼び方
- 会社から:退職一時金・企業年金・中退共(大卒定年の平均1,896万円/制度がある企業は74.9%)
- 国から:失業手当・高年齢求職者給付金・傷病手当金・再就職手当・住居確保給付金など9種類
- 受給条件:失業手当は原則、離職前2年間に雇用保険の加入12か月以上(会社都合は1年間に6か月以上)
- 2026年8月1日改定:基本手当日額の上限は45〜59歳9,110円、30〜44歳8,270円、60〜64歳7,830円、30歳未満7,450円
- 給付制限:2025年4月から自己都合退職は原則1か月。教育訓練の受講で解除される場合あり
- 申請期限:失業手当は離職日の翌日から1年、任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内
- 申請サポート業者:相談は3年で約5倍。給付額は増えず、虚偽申請は本人が不正受給の責任を負う
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