令和2年9月30日までの期間限定で実施されている新型コロナ対応の雇用助成制度(雇用調整助成金の特例措置)が、年末まで適用期間を延長することが濃厚となりました。決まりました!(9月30日決定)
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000677657.pdf
既に与党である自民党の雇用問題調査会から厚生労働省に対し、雇用調整助成金の特例措置の延長を速やかに決定するよう求める提言書が提出されており、正式な決定は秒読み段階といって間違いなさそうです。となりました。
雇用調整助成金の特例措置は、コロナ禍による不安定な国内経済の中でも事業者の方が従業員の雇用の維持を可能にするために設けられた「休業手当への助成制度」です。
この制度では、コロナの影響で売上減少に見舞われた企業が雇用の維持を目的に休業などを行う場合に、従業員の休業手当に対し一人一日当たり最大15000円の助成を受けることができるため、一定の条件を満たす事業者の場合には一切の休業手当の負担をすることなく雇用の維持を実現することも可能となっています。
今回は2020年末までを目途に延長が濃厚となった延長が決定した「雇用調整助成金の特例」について紹介いたします。
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この記事の目次
雇用情勢の悪化がいよいよ深刻に
厚労省の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇や雇止めは8月14日時点で4万5650人にものぼり、緊急事態宣言の解除後となる6月以降も毎週千人程のスピードでその数を増やし続けています。
長引くコロナ不況の中で企業の休業や倒産も今後更に増加していくことが予想されるため、政府は既に200万人を大きく超える休業者の生活を守るため、雇用調整助成金の特例措置の早急な延長を目指しています。
雇用調整助成金の特例措置とは?
制度の詳細については過去のコラムでも取り上げていますので、今回は特例措置の制度内容のポイントについて紹介したいと覆います。
雇用調整助成金の特例に関するコラムはこちら
https://hojyokin-portal.jp/columns/koyoutyousei-corona
利用できる事業者について
雇用調整助成金の特例措置の申請を行うことができるのは「雇用保険の適用を受ける事業所の事業主」です。
特に厳しい申請要件等は設けられてはいませんが、コロナ禍においても売り上げの減少がない場合や、反対に売り上げが伸びている場合などは休業を行っても助成の対象とはなりません。
【主な申請条件】
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している※比較対象とする月については柔軟に取り扱われます。
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
4.コロナ禍以前に設置された事業所であること※少なくとも2019年12月末までに設置
休業助成の対象となる労働者は?
対象となる労働者は、正規、非正規問わず幅広い労働者で、雇用保険への加入なども条件となっていません。学生アルバイト等の休業も助成対象となりますので、事業者の方は積極的にご活用ください。
※正規・非正規で申請書の様式が異なりますが、助成内容については同様となります。
申請パターンは2種類
通常雇用調整助成金(特例ではないもの)は雇用保険非保険者の休業のみが助成対象となりますが、特例措置では非正規労働者まで対象を拡大するため緊急雇用安定助成金という名称の申請区分を特例として設置し、受付を行っています。
※助成内容は同様ですが申請様式などは別のものとなります。
正規雇用者の申請(雇用保険非保険者の申請)
⇒雇用調整助成金として申請
非正規雇用者の申請(雇用保険非保険者以外の申請)
⇒緊急雇用安定助成金として申請
助成内容について
従業員の休業に対し一人一日当たり最大15000円(教育訓練などを行う場合には追加の助成あり)が支給され、対象期間内の休業であれば日数についても制限はありません。
助成金額は上限額の範囲内で職場の平均賃金を基準に算出される仕組みです。
【支給額の計算式】
助成額=平均賃金額×休業手当等の支払い率×下記の助成率
【例外:小規模事業主の場合の計算式】
助成額=実際に支払った休業手当×下記の助成率
助成率は2/3~10/10
助成率は、事業所の規模と、直近で会社都合での従業員の解雇を行っているか否かで決定します。
【中小企業の助成率】
原則:4/5
解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合:10/10
【大企業の助成率】
原則:2/3
解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合:3/4
【教育訓練などを行う場合の追加】
休業中に教育訓練などを行う場合には、助成上限に一日当たり2400円(大企業は1800円)が上乗せされます。
申請方法
労使協定の締結と従業員の休業を実施し、事後的に申請を行うことで助成を受けることが可能です。補助金などの競争融資とは異なるため、要件さえ満たしていれば全ての事業主が受給することができます。※政府が破たんしない限り。
【特例措置の申請手続き】
1.労使協定の締結
2.休業などの実施
3.実績の報告⇒給付金の振込
8月25日より、個人情報の流出などの再三のトラブルにより停止されていた、オンライン申請が再開されています。
雇用調整助成金等オンライン受付システム ※厚労省特設
https://kochokin.hellowork.mhlw.go.jp/prweb/shinsei/app/default/vP37Zj9yAGFjNpLi4oac7Q%28%28*/!STANDARD
特例の適用期間
現在雇用調整助成金の特例措置の適用期間は9月30日までとなっていますが、現在国会では2020年12月末までその期間を延長することが審議されています。
期間延長含めまだ正式な決定ではありませんので、今後の発表を今しばらくおまちください。
現在の支給状況
雇用調整助成金の特例措置の総支給額は、2020年8月中に遂に1兆円を突破っする見込みで、実質的には3月頃からの半年に満たないコロナ禍によって既にこれ以上の雇用が失われていることを指しています。
8月21日時点の週報※厚労省HPより
令和2年10月2日(週報)※厚労省HPより
令和2年10月6日時点速報(日報)※厚労省HPより | 累計支給申請件数(件) | 累計支給決定件数(件) |
---|---|---|
令和2年10月6日時点(速報値) | 1,497,800(対前日比+17,237) | 1,344,228(対前日比+19,464) |
最新の実績について詳しく知りたい方はこちらをごらんください 厚労省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html#numbers
雇用助成金に関する注意事項 9月30日更新
・ご利用可能な特例措置の内容は、高助成率や、要件緩和などすべて引き続き延長となります。
・特例期間(令和2年1月24日~)、緊急対応期間(令和2年4月1日~)いずれも同日まで延長となります。
・支給対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内に申請する必要がありますので、ご留意いただくとともに、早めの申請をお願いいたします。
・令和3年1月以降の対応については、雇用情勢等を総合的に考慮し改めて判断することとしています。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000677657.pdf
まとめ
今回は12月末までの延長となった「雇用調整助成金の特例措置」について紹介しました。
新型コロナウイルス感染症による社会全体のパニックは今後も暫くはつづくものと思われますが、世界では既に100種類以上のワクチンの開発がすすめられ一部では臨床試験も開始されたとの報道もあります。
事業者の方は国内経済の回生に向け、重要な経営資源でもある従業員の雇用維持に取り組んでいただきたいと思います。
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