障害者が地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる「共生社会」実現の理念のもと、すべての事業主には法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。
民間企業の法定雇用率は平成30年4月1日から2.2%となっており、従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。令和3年の4月までに法定雇用率の更なる引き上げも予定されており、障害者雇用の取り組みはこれから大企業だけでなく、中小企業にも求められていくことになるでしょう。
今回は令和2年4月1日から施行となった、特に短い時間であれば就労可能な障害者を雇用する事業主に対する支援「特例給付金制度」についてご紹介します!
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この記事の目次
短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保する「特例給付金」とは?
働く意思を持ちながらも、週20時間未満といった短い労働時間でないと労働が難しい障害者は、法定雇用率の算定対象ではなく、雇用の機会を得ることが困難だという課題があります。
このような求職者に対する雇用機会の拡大と、企業の障害者雇用の促進のため、短い時間であれば働くことができる障害者を雇用する事業主に対して、新たに「特例給付金」が支給されることになりました。「特例給付金」の申請対象期間の初年度は令和2年度とし、令和2年度の雇用実績を踏まえ申請を行うのは令和3年度からとなります。
「特例給付金」の対象者
支給対象となるのは次のいずれも満たす障害者です。
(1) 障害者手帳等を保持する障害者
(2) 1年を超えて雇用される障害者(見込みを含む)
(3) 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者
(1)について、障害者手帳等を保持する障害者とは、次の手帳等を保持する障害者です。
出典:特例給付金制度のご案内
(3)について
・実労働時間が10時間未満の場合は対象障害者には含まれません。
・週所定労働時間が20時間以上でも、実労働時間が10時間以上20時間未満の場合は対象障害者に含まれます。
「特例給付金」の支給額
支給額は以下の計算式で算出します。
申請対象期間に雇用した対象障害者の人月数×支給単価
支給額は、支給対象の雇用障害者数(実人数)に基づいて、月ごとに算出します。対象障害者のカウントは重度障害者であっても、法定雇用率の算定のようにダブルカウントせず、実人数でカウントするという点がポイントです。
支給単価
「週所定労働時間20時間以上の労働者」の総数に応じて
100人超えの事業主:対象障害者1人あたり月額 7,000円
100人以下の事業主:対象障害者1人あたり月額 5,000円
が支給単価となっています。
支給単価の判定に用いる「週所定労働時間20時間以上の労働者」のカウント方法については、週所定労働時間が30時間以上の労働者は1人を1人として、同20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントします。
月の初日(賃金締切日とすることも可)に在籍するこれらカウント後の労働者が100人を超える月が申請対象期間の1年間に5か月以上ある場合は「100人超事業主」(障害者雇用納付金の申告義務のある事業主)に該当し、5か月未満の場合は「100人以下事業主」(障害者雇用納付金の申告義務のない事業主)に該当します。
この区分により、特例給付金の対象障害者1人あたりの月額が定められているのです。
支給上限人数
申請期間に雇用した「週所定労働時間20時間以上の障害者」の人月数が上限となります。
「週所定労働時間20時間以上の障害者」とは「週所定労働時間20時間以上の労働者」のうちの障害者のことです。障害者としてのカウントは次のとおりです。
給付金の支給額の算定には、対象障害者(週10~20時間未満で働く障害者)だけでなく週所定労働時間20時間以上の雇用障害者数も関係してくることが分かります。つまり、週20時間以上の障害者を雇用していない事業主は、週10~20時間未満で働く障害者だけ雇用しても支給を受けることができないことになります。
「特例給付金」の申請・支給の時期
【申請対象期間】
毎年度1年間(4月から翌3月)が申請対象期間です。初年度は令和2年度となります。
【申請期間】
申請できるのは対象期間の翌年の4月1日からで、申請の期限は週所定労働時間20時間以上の労働者(カウント後)の総数により異なります。
週所定労働時間20時間以上の労働者(カウント後)の総数が
100人超えの事業主の場合:翌4月1日~5月15日
100人以下の事業主の場合:翌4月1日~7月31日
となります。
つまり、週労働時間20時間以上の労働者の総数が100人超えの事業主の場合、令和2年度の実績に対して申請可能なのは、令和3年4月1日~5月15日までということです。
なお、年度の中途に事業を廃止等した場合は、事業を廃止等した日から45日以内に申請しなければなりません。(翌年まで待たずに、事業廃止日から45日以内に申請を行います。)
申請期限を過ぎた申請に対しては支給されませんので、お気をつけください。
【支給時期】
10~12月
【申請先】
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
申請書は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部へ郵送又は持参、もしくは機構のHPから電子申請で提出します。令和2年度の中途に廃止等した場合、電子申請は利用できませんので郵送又は持参による提出となります。
まとめ
今回ご紹介した障害者雇用の「特例給付金制度」は、週所定労働時間20時間未満の障害者を雇用する企業に対し特例給付金を支給する制度です。
法定雇用率の算定対象とならない週所定労働時間20時間未満の雇用障害者ですが、新たに特例給付金を設けることで、これまでなかなか雇用の機会を得ることが難しかった短時間の就労が可能な障害者の採用につながることが期待されています。
障害者雇用や多様な人材活用について、使える支援制度をお探しの方はお気軽に補助金ポータルまでご相談ください。
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