
ゴールデンウィークは、観光業・旅行業にとって年間でも有数の繁忙期です。現場対応に追われる時期ではありますが、だからこそ視野を広げ、次の集客チャンスへの準備を意識しておくことが重要です。インバウンド観光が回復傾向にある今、補助金などの支援制度を活用して、受け入れ体制の整備やサービス強化に早めに取り組んでおくことで、今後の競争力に大きな差が生まれます。
本記事では、観光関連事業者が活用できる主な支援制度を紹介します。集客力強化や施設改善を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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この記事の目次
令和7年(2025年)の訪日外国人旅行者数と動向
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、令和7年3月の訪日外国人旅行者数は約349万7,600人で、前年同月比13.5%の増加となり、3月としては過去最高を記録しました。米国、カナダ、韓国、台湾、タイなど複数の国・地域で過去最高水準を示し、インバウンドの回復が鮮明に表れています。
こうした回復傾向は、ゴールデンウィークを含む今後の観光シーズンにも継続することが期待されており、これからの繁忙期に向けて、インバウンド対応の体制強化が求められる状況です。
増えるインバウンドで見えてきた課題とは
訪日外国人旅行者数が回復・拡大する中で、受け入れ側の対応課題も顕在化しています。観光庁が令和6年末から令和7年初頭にかけて実施した調査によると、訪日外国人の半数以上は「特に困ったことはなかった」と回答したものの、残る半数は何らかの困難を経験しており、以下のような課題が挙がっています。
- ごみ箱の少なさ(21.9%)
- 施設スタッフとの言語面でのコミュニケーション(15.2%)
- 観光地や地域の混雑(13.0%)
出典:観光庁 令和6年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」調査結果
多言語表示の不備や公共交通の利用時の不便さも、都市部・地方部問わず課題として浮上しました。こうした声は、インバウンド観光を持続可能な成長産業としていく上で、受け入れ環境のさらなる整備が不可欠であることを示しています。
特に地方部では、都市部に比べて言語対応や交通情報の整備が追いついていない傾向があり、今後の地域観光の成長に向けた対策が急務です。
いま申請・準備できるインバウンド関連補助金リスト
ここでは、令和7年(2025年)5月時点で申請・準備可能な、インバウンド対応に活用できる補助金を紹介します。
地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業(観光庁)
訪日外国人旅行者が安心して地方を訪れるための受入環境整備を支援する制度です。災害・感染症時の対応や医療体制の充実など、安全・安心な観光の基盤づくりを推進します。観光案内所や観光施設における避難・情報提供機能の整備、医療機関におけるキャッシュレス決済や多言語対応機能の導入、観光危機管理計画の策定など、幅広い取組が対象です。
【受付期間】令和7年2月7日(金)~9月26日(金)17:00必着(※毎月末締切、予算上限に達し次第終了)
【公募対象】地方公共団体、観光案内所・観光施設の管理者、観光地における店舗・事業所等を運営する者、病院・診療所等を設置し、または管理する者 等
【補助内容】補助率:1/2以内
【対象事業】
- キャッシュレス決済環境の整備
- 災害用トイレの整備
- 非常用電源装置の整備
- 多言語対応AED 等
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業(観光庁)
観光地・観光事業者の収益力・生産性向上を図るため、CRM、予約管理、キャッシュレス端末、生成AIなどのデジタルツール導入や、観光DXに伴う計画立案・専門人材活用を支援する制度です。
【受付期間】令和7年4月16日(水)~6月6日(金)17:00
【公募対象】地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、宿泊事業者 等
【補助内容】補助率:1/2(専門人材派遣は定額)、上限:1,500万円(専門人材派遣は上限800万円)
【対象経費】
- CRM、PMS、清掃・予約管理システム
- 多言語対応ツール、観光アプリ、アクセス解析ツール
- キャッシュレス端末、自動チェックイン機、生成AIなどの導入費用
- 専門人材(DX推進)に係る人件費 等
観光地・観光産業における人材不足対策事業(観光庁)
宿泊業界の人手不足解消を目的に、設備・システム等の導入費用を補助する制度です。人手不足に対応するデジタルツールや省力化設備、業務効率化機器の導入が対象です。
【受付期間】令和7年3月24日(月)~5月30日(金)※参加申込は5月23日(金)17:00まで
【公募対象】旅館業法の営業許可を受けた宿泊事業者
【補助内容】補助率:1/2、上限:1施設あたり500万円(1事業者あたり最大3施設まで)
【対象経費】
- 自動チェックイン機、スマートロック、キャッシュレス端末
- PMS(ホテル管理システム)、予約管理システム、通訳・翻訳システム
- 清掃ロボット、清掃管理システム、配膳ロボット、労務管理システム
- 監視カメラ、混雑状況可視化システム 等
インバウンド関連統計情報のリンク集
インバウンドの現状を把握し、今後の戦略に活かすには、信頼性の高い統計データや旅行動向の分析が欠かせません。以下は、インバウンドと、国内旅行者の動向に関する統計情報を提供している機関のリンクです。
(1) 日本政府観光局(JNTO)
訪日外国人旅行者数の月別推移や国・地域別データを確認できます。
▶ https://www.jnto.go.jp/statistics/
(2) JTB総合研究所
日本人の出国動向など、国内旅行業界全体の流れを把握できます。ゴールデンウィークの旅行動向に関する詳細なレポートを公開しています。
▶ https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2025/04/03_jtb-2025gw.html
必要に応じて定期的に最新情報をチェックしておくと、施策のタイミング判断にもつながります。データをもとにした対策や制度活用の検討に役立ててください。
まとめ
令和7年3月には訪日外国人旅行者数が過去最高を記録し、ゴールデンウィークを経て、今後の夏季シーズンに向けたさらなる増加が期待されています。観光業者や地方自治体にとっては、戦略的な受入体制の整備を進めることが重要です。
現在、インバウンド対策を支援する各種補助金制度の公募・活用が進んでいます。これらを上手に取り入れることで、集客力や施設の受入対応力を高め、訪日客の満足度向上と地域経済の活性化につなげることができます。
インバウンド対応は「繁忙期直前に慌てて取り組む」のではなく、今から計画的に準備を進めることが成果につながる鍵です。統計情報や補助制度をフルに活用し、繁忙期に向けて対策を進めていきましょう。
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補助金ポータル「観光」関連補助金一覧
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