
インバウンドの増加や人材不足といった課題に対応するには、観光分野のDX化も重要です。
観光庁が令和7年(2025年)度に設置した「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」では、観光地の販路拡大・マーケティング強化/観光産業の収益・生産性向上に資するデジタルツールの導入支援やDX活用に向けた専門人材による伴走支援が実施されます。
今回は地域・産業の「稼ぐ力」を支援する、全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業についてまとめました。
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この記事の目次
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業とは
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業は、「稼げる地域・稼げる産業」の創出を目指す制度です。各地に観光の恩恵を行きわたらせるため、デジタルツールを含む設備投資を支援します。地域一体での持続可能な観光地域づくりを目的としています。
各支援の対象者は、以下のとおりです。
(1) 観光地の販路拡大・マーケティング強化
■対象者
地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会等および観光事業者等
(2) 観光産業の収益・生産性向上
■対象者
宿泊事業者
(3) 専門人材による伴走支援
■対象者
地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会等および観光事業者等
各支援は、一部の要件等が異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。
(1) 観光地の販路拡大・マーケティング強化
観光地のコンテンツの販路拡大・マーケティング強化に資する、地域一体でのデータ活用に向けたデジタルツールの導入を支援します。主な要件
主な要件は、以下のとおりです。
■計画申請にあたって、デジタルツールを通じた、地域一体でのデータ活用に向けた具体的な計画・将来ビジョンを検討すること
■観光事業者等が計画申請を行う場合は、複数の観光事業者が補助事業を実施すること
■補助事業者に、反社会的勢力と関係する者が含まれていないこと
補助額
■補助率
1/2
■補助上限額
1,500万円
対象経費
事業の実施に要する、ソフトウェア・クラウドサービス・ハードウェア等の導入に要する経費が、補助の対象となります。デジタルツール例は、以下のとおりです。
■観光アプリ
■CRM(顧客管理システム)
■地域サイト等での多言語翻訳・情報発信ツール
■DMP(データマネジメントプラットフォーム)
■デジタルマップ
■アクセス解析ツール
■デジタルチケット
■データ可視化ツール
■直販および地域サイト構築ツール
■レポーティングツール
■キャッシュレス決済端末
■生成AI
■POSシステム など
対象となるデジタルツールの詳細は、公募要領を確認してください。
(2) 観光産業の収益・生産性向上
観光産業の収益・生産性向上に資するデータ活用に向けて、宿泊事業者が実施するデジタルツールの導入が補助対象です。
主な要件
主な要件は、以下のとおりです。
■次のいずれかに該当すること
・宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度の登録を受けた(または登録申請をした)事業者
・有価証券報告書を内閣総理大臣に提出する会社またはその子会社・関連会社であり、かつ観光施設における心のバリアフリー認定制度の認定を取得済み(または1年以内に取得予定)の事業者
■デジタルツールを通じたデータ活用に向け、具体的な計画・将来ビジョンを検討すること
補助額
■補助率
1/2
■補助上限額
1,500万円
対象経費
事業の実施に要する、ソフトウェア・クラウドサービス・ハードウェア等の導入に要する経費が、補助の対象となります。デジタルツール例は、以下のとおりです。
■CRM(顧客管理システム)
■宿泊予約システム
■レベニューマネジメント
■清掃管理システム
■MA(マーケティングオートメーション)ツール
■在庫管理システム
■自動チェックイン機
■客室IoT
■スマートロック・カードロック
■エネルギー管理システム(EMS)
■キャッシュレス決済端末
■オーダーシステム
■PMS(顧客予約管理システム)
■生成AI など
対象となるデジタルツールの詳細は、公募要領を確認してください。
(3) 専門人材による伴走支援
以下に関わる専門人材の派遣が補助の対象です。
■観光DXに関する計画の策定
■旅行者の利便性向上や観光産業の生産性向上等に資するデジタルツールの導入
■デジタルツールの導入後の活用
主な要件
以下の目的に対して、適切なノウハウやスキルを有する人材を選定してください。
■旅行者の利便性向上・周遊促進
■観光産業の収益・生産性向上
■観光地経営の高度化 など
ただし、以下の場合は対象外です。
■反社会的勢力に関係のある人材
■本事業以外で既に申請団体に勤務している人材
補助額
補助額は、800万円を上限として定額です。なお複数名の専門人材の派遣を行う場合も、補助額の上限は変わりません。
対象経費
対象となるのは、要件を満たした専門人材に関わる人件費です。
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業 申請の流れ・申請方法
本制度では、いずれの支援でもおおまかな流れは同じです。事業全体の流れは、以下のとおりです。
(1) 計画申請
(2) 交付申請
(3) 事業実施
(4) 事業完了・完了実績報告
(5) 精算
出典:全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業
【申請方法】
必要な書類をメールまたはウェブ上で提出してください。提出方法は、期間によって異なります。以下を確認してください。
■4月16日(水)~5月15日(木)13:00までに提出する場合
メールで提出
■5月15日(木)13:00以降に提出する場合
特設ウェブサイトのマイページから提出
公募期間と必要書類
受付期間は、以下のとおりです。
令和7(2025)年4月16日(水)~令和7年6月6日(金)17:00
なお、令和7年5月15日(木)13:00までに計画申請ができない場合には、参加申し込みが必要です。参加申し込みの期間は、以下のとおりです。
令和7年5⽉15⽇(木)〜令和7年6⽉3⽇(火)
【必要な書類】
申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。
(1) 観光地の販路拡大・マーケティング強化
■事業計画書
■見積書・相見積書
■ツールの概要、カタログ等
(2) 観光産業の収益・生産性向上
■事業計画書
■旅館業法上の営業許可証の写し
■見積書・相見積書
■ツールの概要、カタログ等
■財務状況が分かる資料
(3) 専門人材による伴走支援
■調査票_基本情報・事業内容
■調査票_スケジュール・実施体制
■専門人材の同意書
■補助対象経費算定根拠
そのほか必要に応じた書類を用意してください。
審査のポイント
審査では、主に以下の項目が確認されます。
(1) 観光地の販路拡大・マーケティング強化 、(2) 観光産業の収益・生産性向上
■事業目的・内容の理解度
・公募要領の事業目的・内容に沿ったデジタルツールの導入であること
■事業計画の確実性
・資金調達の見込みがたっていること
・事業期間内に完了することが確実であること
■事業内容の的確性
・デジタルツールを通じたデータ活用に向けた具体的な計画・将来ビジョンが検討されていること
■経費の妥当性
・取組内容に応じた経費が見積書に適切に計上されていること
(3) 専門人材による伴走支援
■事業目的・内容の理解度
・公募要領の事業目的・内容に沿った申請内容であること
・組織の課題解決に向けて、適切なノウハウやスキルを有する人材が派遣されること
■事業計画の確実性
・事業実施期間が十分に確保されていること
■事業内容の的確性
・取組の効果が成果指標を通じて測定できること
・補助事業者や申請主体以外の支援先がノウハウやスキルを習得し、事業終了後に自ら観光DXに取り組む内容となっていること
■経費の妥当性
・取組内容に応じた経費が算定根拠資料に適切に計上されていること
まとめ
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業は、観光産業のデジタル化を推進し、「稼げる地域・稼げる産業」の創出を目指す重要な支援制度です。
5月15日まではメール、それ以降は特設ウェブサイトから申請します。審査では事業目的の理解度や計画の確実性、内容の的確性、経費の妥当性などが重視されます。
地域の観光産業のデジタル化は、そこに住む人にとっても、より生活しやすい環境の整備につながります。支援策を上手に活用し、持続可能な観光地づくりを目指しましょう。
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