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■IT導入補助金とは
IT導入補助金は、ITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入しようとしている事業者に対して、その事業者費等の一部を補助するお金のことです。
この事業を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といいます。
国際的な経済状況の変化を鑑みて、打たれ強い経済を構築するため、
自社の強みや弱みを分析し、「ITの利活用を設定し生産性の向上に資する」
と考えられる中小企業・小規模事業者に交付されます。
■補助の対象者
IT導入補助金の補助対象者は、
「日本国内に本社および事業所を有する中小企業等に限る」
と定義づけられています。
ちなみに、ここでの「中小企業等」の定義は、
・「中小企業基本法」第2条1項に規定されている資本金・従業員規模の一方が規定の数値以下である場合(個人事業主を含む)
・企業組合、協業組合等の組合関連
・医療法人、社会福祉法人及び特定非営利活動法人
(出典:中小企業基本法)
とされています。
表にまとめると、以下のようになります。
(参照:あなたの会社がもらえる!補助金・助成金第3版」 著:宮澤 猛)
■補助の対象費目
補助の対象費目は、ITツール(ソフトウェア、サービス等)です。
ただ、あらかじめIT導入支援事業者(以下参照)として事務局の承認を受けるとともに、事務局のHPに補助対象サービスとして公開されたものでなくてはいけません。
ITツール(ソフトウェア、サービス等)と定義されるのは以下の物になります。
①パッケージソフトの本体価格
②クラウドサービスの導入・初期費用
③クラウドサービスにおける契約書記載の運用開始日(導入日)から 1 年分までのサー ビス利用料・ライセンス/アカウント料
④パッケージソフトのインストールに関する費用
⑤ミドルウエアのインストールに関する費用
⑥動作確認に関する費用
⑦IT ツール(ソフトウエア、サービス等)の導入に伴う教育、操作指導に関する費用、 事業計画策定に係わるコンサルテーション費用(ただし関連会社、取引会社への説 明会等費用は補助対象外) ⑧契約書記載の運用開始日(導入日)から 1 年分までの問い合わせ・サポート対応に関 する費用、保守費用
⑨社外・社内・取引先向けホームページ制作サービス初期費用
⑩契約書記載の運用開始日(導入日)から1年間の WEB サーバー利用料(ただし、既存 ホームページの日常的な更新・改修費用は、補助対象外)
※ITツール(ソフトウェア、サービス等)登録要領より抜粋
・IT導入支援事業者とは?
IT導入補助金で特徴的なのが、「IT導入支援事業者」という存在です。
IT導入支援事業者は、補助事業者が行う生産性向上に係る計画の策定を支援や、
ITツールの提案や導入をし、補助事業者の代わりに各種手続きを行う者として事務局に登録されている人のことです。
IT導入補助金の補助の対象費目が、「IT導入支援事業者が登録しているITツール」なので、補助を受けようと考えている事業者は、まずIT導入支援事業者に補助金交付の代理申請依頼を行わなければいけません。※IT導入支援事業者・コンソーシアムは、こちらから検索できます。
・IT導入支援事業者の業務
IT導入支援事業者は、以下のフローで、IT導入支援事業者として登録を行います。
出典【PDF】https://www.it-hojo.jp/doc/pdf/
無事、IT導入支援事業者として登録された後は、以下のフローで業務を行います。
出典【PDF】https://www.it-hojo.jp/doc/pdf/
・IT導入支援事業者の要件
IT導入支援事業者として登録されるためには要件があります。
要件の種類は多く、全てを満たしていないとIT導入支援事業者として登録されません。
【IT導入支援事業者の基礎的要件】
①日本国において登録された法人であること。
②安定的な事業基盤を有していること。
③経済産業省の所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止措置を受けていないこと。
④事務局が定める要件を満たす IT ツール(ソフトウエア、サービス等)のサービス を提供できること。
⑤IT 導入支援事業者またはコンソーシアムを構成する構成員のうち 1 者以上は、IT ツール(ソフトウエア、サービス等)のサービスを提供した実績を有していること。
⑥本事業期間を通して、補助事業者への十分な支援(導入支援、定着支援、活用支援、 フォローアップ)を行える体制を整えること。
【事業実施における情報の取り扱いに関する要件】
⑦本事業に携わる部署において情報セキュリティ対策の管理が実施されていること。 なお、JISQ27001 またはプライバシーマーク相当の第三者認証取得が望ましく、JISQ27001 またはプライバシーマークの取得情報並びに「情報セキュリティ対応状況・確認書」 の内容については公表する。
⑧補助事業後に行う定期報告において、補助事業者の同意を得て、その情報を提供で きること。
【その他 】
⑨IT 導入支援事業者として、事務局が定める「宣誓事項」に同意し、遵守すること。
コンソーシアム(または協会)の登録について複数の事業者において、上記の要件を満たす場合にはコンソーシアム(または協会) での登録も可能だが、その場合以下の要件も満たしている必要がある。
イ.本事業のすべてに係る業務を監督する幹事社を一社選定し、構成員の取りまとめ を行うこと。
ロ.コンソーシアム(または協会)の構成員全てが、上記①②③⑦を満たしているこ と。(すべての構成員が、情報セキュリティ対応状況・確認書」を提出すること) ※コンソーシアムの構成員は個人事業主も可とする。
ハ.幹事者は、上記①②③⑦⑧⑨を満たしていること。
ニ.本事業における情報管理、適正な補助金運用等に関する契約を締結すること(事 務局からの問い合わせ等は、幹事社の担当に行う)。また、IT ベンダー等が提供 するサービス等に起因する一切の責任について、原則、幹事社が責任を負うもの とするが、補助事業者が不利益を被らない場合に限り、幹事社とコンソーシアム (また協会)を構成員で契約書、覚書等で定められている場合はこの限りではな い。
ホ.コンソーシアム(または協会)全体として、④⑤⑥を満たしていること。 【IT導入支援事業者応募要領より抜粋】
■補助率
補助金の上限額は100万円で、下限額は20万円です。
補助率は、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金と同じ2/3以下となっています。
例)150万円の経費を使った場合、最大でその2/3の100万円が補助されます。
残りの50万円は自己負担です。
■申請の流れ
補助金の申請の流れについて説明します。
現在、平成29年3月中旬~平成29年6月30日(予定)まで二次公募を行っているようです。しかし、先着100億円までという制限があるので、早目の応募をお勧めします。
ITツールについて
ITツール(ソフトウェア、サービス等)は、大きく3つに分けられています。詳しくはこちらをご覧ください。
・「フロント業務」・・・顧客と対面し、売上を作るもの
Ex.広報、マーケティング、カード決済等
・「ミドル業務」・・・原価・納期・在庫などを管理し、上記のフロント業務を支えるもの
Ex.顧客管理、納期管理、品質管理、工程改善、材料等発注等
・「バックオフィス業務」・・・会計や給与等を把握するもの
Ex.決算・税務、給与確保等
補助対象となるITツールは、フロント業務、ミドル業務、バックオフィス業務のうちから、コア機能を2つ以上含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の登録を必要条件としています。
これは補助金の交付が、面的な効率化や事業拡大を支えることを目的としているからです。要件を満たしていれば、CAD等の技術系ソフトも補助対象に追加することが可能です。
※同一の業務区分のみで構成する場合は、生産性向上指数において該当する業務区分の作業比率の合計が50%を超える組み合わせにすることが必要です。
※ITツール(ソフトウェア、サービス等)を構成する単体製品やコア機能の数については上限はありません。
■注意事項
・ハードウェアは補助の対象外となります。
・HPの開設や運営、クラウドサービス等の利用料は導入後の1年間が対象となっています。(既存のHPの更新や改修費用は含まれません)
・交付決定前に契約・導入され発生した経費は補助対象となりません。必ず交付決定を受けた後に補助事業を開始するようにしましょう。
・登録申請~交付、そして交付後にいたっても、提出しなければならない書類が多くあるので注意が必要です。
■まとめ
いかがでしたか?
IT導入補助金は、生産性の向上にITの利活用を設定している企業にとっては、是非とも活用したい、とてもありがたい補助金制度です。
事業費等の経費の一部の補助を受けることによって、経営力向上を図ることが出来ます。
ただ、登録~申請~交付そして交付後にいたるまで、提出しなければいけない資料がたくさんあるので、その点には注意が必要です。
IT導入補助金の交付を受けようと考えていらっしゃる方は、是非参考にしてみてください。