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飲食業・観光業のアフターコロナを考える【令和2年度 経済産業省 補正予算から】

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新型コロナウイルスの収束後の世界を考える「アフターコロナ」、「ポストコロナ」というキーワードがあちこちでみられます。

いまだ収まらないコロナウイルスの混乱のなかで、収束後を考えることは簡単ではありませんが、これから先に待っている世界は、コロナの前と同じものではないだろうという見方が大半です。

事業の継続とアフターコロナ

コロナウイルスの影響を受けて起きた変化、これから起きる変化、私たちはそれにどのように対応するのか……事業の継続には資金繰りだけでなく、アフターコロナを見据えた準備についても考える必要がありそうです。

4月30日にはコロナウイルスの感染拡大に対応する令和2年度の補正予算が成立しました。今回は、厳しい状況にある中小企業や小規模事業者等に対して集中的な支援策を上げている経済産業省関連の補正予算等を参考に、特に飲食業や観光業の皆さまに知っておいていただきたいポイントをまとめました。

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今、活用できる支援「給付金、実質無利子融資、休業手当の助成」など

アフターコロナを考える前に、今活用できる支援を確認しておきましょう。(令和2年4月30日時点)

①最大200万円支給の持続化給付金

売上が大きく減少した事業者を対象に、法人には最大200万円、個人事業者には最大100万円が支給される給付金です。事業全般に広く使えるため、売上が縮小していても負担しなければいけない固定費に充てるなどの用途が考えられます。

②当面の運転資金調達-実質無利子融資

特別利子補給制度を併用することで当初3年間は金利負担が実質的に無利子となる日本政策金融公庫や商工中金等の新型コロナウイルス感染症特別貸付を活用し、当面の運転資金の調達を行うことができます。

出典(一部抜粋):新型コロナウイルス感染症で資金繰りにご不安を感じている事業者の皆様へ

また、この度成立した補正予算では、以下の資金繰り対策に予算を計上しています。

■都道府県による制度融資を活⽤し、実質無利⼦融資を⺠間⾦融機関まで拡⼤
(融資窓⼝の拡充の観点から、⺠間⾦融機関にも実質無利⼦・無担保・据置最⼤5年の融資を拡⼤します。また、 セーフティネット保証、危機関連保証について要件を満たせば保証料ゼロとなります。)

■既往債務の実質無利⼦融資への借換にも対応
(既往債務に係る負担軽減のため、実質無利⼦融資への借換を可能にします。)

③従業員を休業させる場合の手当の助成

雇用調整助成金は休業手当等について、4/5(解雇等を行わない場合は、9/10)が助成される制度です。またこの助成金は、さらなる拡充案として、一定の要件を満たす場合は「休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする」といった内容も公開されています。(詳細は5月上旬発表予定)

ご紹介した①~③について、経済産業省の新型コロナウイルス感染症関連のページで公開されている「業種別支援策リーフレット」で確認いただけます。
業種別支援策リーフレット

リーフレットによると現在活用できる支援の方向性として、どの業種でも、実質無利子融資や最大200万までの給付金により当面の運転資金を確保し、「雇用調整助成金」による休業手当等の助成や、税・社会保険料の納付猶予、公共料金の支払い猶予で支払いの負担を軽減するという内容が示されています。

さらに前向きな投資に関しては、「生産性革命推進事業(ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金)」で店舗の改装などの回復期に向けた投資を応援する、という道筋が示されています。

【飲食店の前向きな投資の例】
■デリバリーや弁当販売を開始し、集客を維持したい
デリバリーやEC販売を開始する際の、システム導入にIT導入補助金を活用する。また、小規模事業者であれば、店舗の改装や機器の導入を行う時に、持続化補助金を活用する。

【宿泊業の前向きな投資の例】
■インバウンドには頼れないので、日本人客を増やしたい
顧客対応・販売支援システム(マーケティング、予約管理、営業行動支援、嗜好情報管理)等を利用した付加価値を高めたサービス提供に、IT導入補助金を活用する。新たなサービス開発のための設備投資にはものづくり補助金の活用を検討する。

このほかに、令和2年度補正予算で200億円を計上している「地域企業再起支援事業」では、コロナウイルス感染症の拡大によって中小企業の事業活動が減退した地域の経済の早期再起を図るため、地方自治体(都道府県)による以下のような取り組みを国が一部支援するとしています。

個々の事業者への感染症対策の支援や国の金融施策の上乗せ 
イベントやプロモーション活動など、旅館や飲食店街・商店街の活性化に向け地域の面的活動を行う事業者への支援や街の活性化に向けた施設の整備 など

各都道府県による、地域特有の課題や産業構造の特性を踏まえた支援の実施が期待されます。コロナウイルスに関する支援は国だけでなく自治体の情報も確認するようにしてください。

アフターコロナの飲食業、観光業は?

現在私たちは人との接触を減らしながらの生活を送り、企業も可能であれば在宅勤務を実施しています。それが新たな日常となった今、コロナウイルスの対応に伴い、顔を合わせず離れていても受けられる「非対面・遠隔サービス」への意識転換が起きはじめています。

離れていても受けられるサービスが「普通」になりつつあるため、アフターコロナにおいてもこの「非対面・遠隔サービス」は発展していくという見方があります。

現在、飲食に関しては「外食」から「中食」「宅配」へと消費がシフトしています。

アフターコロナの飲食業では、人々がどれくらいのタイミングで街に繰り出し外食をするようになるのか、消費意欲は戻ってくるのかなど不透明なため、事業の継続のためには、店内飲食だけでなく引き続きテイクアウトや宅配事業の充実が必要になると考えられます。

人の移動を伴う観光業では、コロナウイルスの感染拡大でキャンセルや休業が相次ぎ、現在、観光客の姿をみることはあまりない状態です。

アフターコロナの捉え方としては、いつごろから外国人旅行客が戻ってくるかの目処が立ちにくいこともあり、インバウンドだけでなく、国内における人の流れと賑わいをつくり出すために日本人の集客にも目を向けるということが考えられます。

アフターコロナの経営回復の取り組み

4月30日に成立した経済産業省関連の補正予算では、今回の感染症の流行の収束状況を見極めつつ、甚大な影響を受けている観光や飲食業などを対象に、期間を限定した「官民一体型」の需用喚起キャンペーンを講じるとしています。それが1兆6794億円を計上した「Go To キャンペーン事業」です。

出典(一部抜粋):令和2年度補正予算の事業概要(PR資料)

たとえば、①の観光キャンペーン(Go To Travel キャンペーン)は、旅行商品を購入した消費者に対し、代金の1/2相当分のクーポン等を付与するというものですが、国内の旅行商品を購入してもらうためには、日本人旅行者の購買意欲を刺激するような商品や情報発信のあり方を考えておくことが大切になるでしょう。

人の流れと消費を呼び戻すには、1つの産業だけでなく、さまざまな産業に対する需要喚起策を実施することが地域の再活性化には必要だとして、政府はGo Toキャンペーンのような多様な産業に対する支援策を打ち出しているものと考えられます。

キャッシュレス化の拡大

コロナウイルスの流行は、ウイルスを媒介する可能性のある現金に触れる機会を減らす「キャッシュレス決済」の普及につながり、キャッシュレス決済はこれまでの利便性やインバウンド対策といった面だけでなく、衛生管理の面でも注目されるようになりました。

以前は現金での支払いだった人も、感染のリスクを防ぐためにキャッシュレスを利用するようになり、幅広い層に利用が広がりました。アフターコロナにおいても、キャッシュレス決済は便利で衛生的な支払い方法として、発達するものと考えられています。消費者にお得なポイントなどの還元サービスがあるキャッシュレス決済の導入には、集客効果を期待することもできます。

補正予算では、地域で一体的にキャッシュレス決済を導入する場合に、端末やソフトウェア関連の費用を補助する「地域におけるキャッシュレス導入支援事業」に10億円を計上しています。また、自治体独自に端末導入の補助金制度を行っている場合もありますので、キャッシュレス決済導入を検討する場合は補助金の利用を検討してみるのがよいでしょう。

補正予算では、このほか、日本国内に人の流れと消費を呼び戻すための地域の中小企業・小規模事業者による、新たな商品やサービスの開発、ブランディング、販路開拓などの、地域の魅力を高める取り組みを支援する「JAPANブランド育成支援等事業」に15億円が計上されています。

JAPANブランド育成支援等事業の事業者支援型は、中小企業・小規模事業者自らが、地域の産品・サービスの磨き上げによる海外展開や全国展開、新たな観光需要の獲得に関する取り組みを行うときにかかる経費に対し、最大で500万円(補助率2/3以内)を補助するものです。その際に、クラウドファンディングや電子商取引(EC)を活用した取り組みを重点的に支援する、としています。ECはコンピューターのネットワーク上での電子的なやり取りによって商品やサービスを売買することをいい、アフターコロナの非対面・遠隔サービスの発展を見据えた支援内容と考えることができます。

まとめ

今回は、コロナウイルスの影響を受けて起きた変化をあげながら、令和2年度の補正予算を参考にアフターコロナの飲食業、観光業について考えてみました。

必死に耐えながら収束を待っている方や、長引く外出自粛で購買意欲がわかなくなっている消費者にしてみれば、アフターコロナの世界はまだ遠く現実味のないものです。

それでも、事業者にとって、いつか来るコロナの終わりを見据えてターゲットの見直しや、経営のあり方をもう一度考えること、政府の今後の支援内容を知ることは有益だと思われます。
補助金ポータルでは、今後も皆さまに活用いただける情報を紹介してまいります。

自社の状況にあった補助金や助成金の情報を早く知りたい!という方は「補助金コモン」のサービスをご検討ください。

参考:令和2年度経済産業省関連補正予算等の概要

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