エネルギーコストの上昇に対応し、環境に配慮した持続可能な経営を目指す企業にとって、省エネへの投資は今や避けて通れない道となっています。政府もこの重要性を認識し、令和5年度補正予算案の中でその支援策として「省エネ補助金(省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費、省エネルギー投資促進支援事業費)」に予算を計上しています。今後3年間で総額7000億円という大規模な予算拡充により、企業の省エネ設備への更新支援が加速されます。さっそく、その内容を確認していきましょう。
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この記事の目次
事業の目的
本事業の目的は、工場や事業場において省エネルギーと脱炭素を実現するための設備投資を促進することです。これには、カスタマイズされた機械設計の設備や先進的な技術の導入が含まれます。具体的には、工場のボイラや工業炉、ビルの空調設備や業務用給湯器などを省エネ型設備へ更新することを支援します。2030年度のエネルギー需給見通しの達成のため、温室効果ガスの削減と日本の産業競争力の強化を両立させることを目指しています。
出典:令和5年度補正予算案の事業概要(PR資料)
補正予算 省エネ補助金の概要
以下の取り組みを通じて支援が行われます。
1.工場・事業場型
「工場・事業場型」は、工場や事業場全体の省エネ化を目的としています。従来のA類型(先進事業)とB類型(オーダーメード型事業)が統合され、生産ラインの更新や集約などの工場・事業場全体で大幅な省エネ化を図る取り組みを支援します。省エネ効果は「省エネ率と非化石割合増加率の合計で10%以上」、「省エネ量と非化石使用量の合計で700kl以上」、などが要件になります。
この類型の補助対象経費には設備費、設計費、工事費が含まれ、補助率は中小企業で1/2以内、大企業で1/3以内となります。また、先進的な設備を導入し、より高い省エネ要件を満たす場合は、中小企業で2/3、大企業で1/2の補助が可能です。補助金の上限は通常15億円/年度で、非化石転換設備の場合は20億円/年度となります。
2.電化・脱炭素燃転型
新設された「電化・脱炭素燃転型」は、特に中小企業の電化や脱炭素化を推進することを目的としています。この類型は、化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換を伴う設備更新を支援します。補助対象となるのは、産業用ヒートポンプや業務用ヒートポンプ、低炭素工業炉、高効率コージェネレーション、高性能ボイラなどです。補助率は1/2以内で、補助金の上限は3億円、電化の場合は5億円です。
3.設備単位型
「設備単位型」は従来のC類型(指定設備導入事業)で、リストから選択される省エネ機器への更新を支援するものです。予め定められたエネルギー消費効率等の基準を満たす設備(業務用給湯器、高効率空調、産業用モータなど)の導入を補助します。対象経費は設備費で、補助率は1/3以内、補助金の上限は1億円に設定されています。
以上のすべての類型は複数年の投資計画に対応しており、企業が省エネ設備への長期投資を計画しやすくなっています。また、上記のほかに「4.エネルギー需要最適化型(エネマネ事業者等と共同で作成した計画に基づくEMS制御や高効率設備の導入等を支援)」もあり、これらの類型を単体で使用することも、組み合わせることも可能です。これにより、企業は省エネ効果と非化石燃料の使用を促進することで、より環境に優しい運営を目指すことができます。
まとめ
エネルギーコストの上昇とカーボンニュートラルへの移行は、現代の企業が直面する二重の課題です。この課題に対応するために、令和5年度の補正予算による省エネ補助金が提供されています。工場や事業所は、省エネ型設備への更新にこの補助金を積極的に活用することで、エネルギー効率の向上と環境負荷の低減を同時に実現することができます。企業はこの機会を捉え、持続可能なビジネスモデルへの転換を図りましょう。